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三月
屹立 終
さっき荷物を運んだばかりの体育館。厳密に言えば、体育館倉庫へと荷物を運んだわけだが、まぁ大して変わるもんじゃないだろう。
朝通った廊下を太刀根と歩いていると、廊下の隅でうずくまる銀髪が見えてきた。つか、三年生は教室で待機して、時間になったら華々しく整列して入ってくるんじゃなかったか?
このセンパイは本当に、相も変わらず、輪に馴染めないんだな。
「あ。あれって終じゃね?」
「無視しろ、無視。出来ないなら置いてくからな」
止まりそうになった太刀根を引っ張って、うずくまっているその後ろを足早に通り過ぎる。
「ぐすっ、ぐすっ、酷い。やっぱり誰もボクなんて……」
「おい護、なんか言ってるぞ?」
「構うならお前だけで構ってろ。俺は先に行く」
泣き真似なのか、はたまた本当に泣いてるのかはわからんが、第一に俺たちは少し遅れてるのだ。こんな場所で道草食ってる場合ではない。
だがあのメンヘラ銀髪野郎は痺れを切らしたのか、ついに「もう!」と言って立ち上がった。
「ちょっと、聞いてよ! 普通聞くでしょ!? 止まりなよ!」
「誰が止まるかっての。あぁそうだ、代わりに太刀根を置いてってやるから」
「え、俺?」
「誰がそんな納刀男子がいいって言ったの!? ボクは、壱とか、その、キミみたいな……」
最後のほうはよく聞こえなかったが、聞き取れなくてよかったと思う。つか納刀男子って何?
考えるのも億劫になる単語に、俺は頭を痛くしながら歩き続ける。本当は走りたかったが、廊下は走るの厳禁だからそこは我慢した。
「ちょっと待てよ。誰が納刀男子だって?」
よほど“納刀男子”と言われたのが頭にきたのだろう。太刀根は立ち止まり振り返ると、ずかずかとセンパイに向かっていき、問い詰めるように壁に手をついた。何が嬉しくて男同士の壁ドンを見なけりゃならんのだ。
お互いの鼻息がかかるであろう距離。一見すれば、身長の高い太刀根が有利に見えるが、対するセンパイも臆することなく、むしろ挑発するように太刀根を舐めるように見上げた。
「アンタに決まってるでしょ、太刀根攻。肝心な時でさえ、アンタの大事な剣は、なぁんの役にも立ちはしないんだから」
「この、言わせておけば……っ」
センパイを睨む太刀根の口から、小さく吐息が漏れた。よく見れば、センパイの膝が太刀根の股間をぐりぐりと攻撃している。
それ以上見ていられず、ついでに言えば、太刀根という余分な荷物をセンパイが引き取ってくれるなら大歓迎なので、俺は無言で二人に背を向けた。
「ちょ、ちょっと! 御竿護、このボクを置いてくつもり!?」
「あー、困るなー。センパイに付き纏われるの、本当に迷惑だわー」
棒読みにも等しかったが、太刀根ならこれで騙されてくれるはずだ。
「護、安心して体育館へ向かってくれ。終は俺がなんとかするから!」
「おー、流石太刀根。さんきゅー」
意気揚々と引き留める役を買って出てくれた太刀根に感謝しつつ、俺はまた体育館に向かっていく。
「もう! ちょっと! 離してよ、納刀馬鹿!」
「本当に納刀してるかどうかは、抜刀状態を見てから言えよ。俺の本気の剣技、お前に耐えられるかな?」
「へっ? あ、ぁ……、やだ、これが本気の剣技……? すごすぎて、あぁ!」
会話だけで寒気が走るが、とりあえず、あれだ。廊下でやることでは、ないと、俺は思うんだよな。
朝通った廊下を太刀根と歩いていると、廊下の隅でうずくまる銀髪が見えてきた。つか、三年生は教室で待機して、時間になったら華々しく整列して入ってくるんじゃなかったか?
このセンパイは本当に、相も変わらず、輪に馴染めないんだな。
「あ。あれって終じゃね?」
「無視しろ、無視。出来ないなら置いてくからな」
止まりそうになった太刀根を引っ張って、うずくまっているその後ろを足早に通り過ぎる。
「ぐすっ、ぐすっ、酷い。やっぱり誰もボクなんて……」
「おい護、なんか言ってるぞ?」
「構うならお前だけで構ってろ。俺は先に行く」
泣き真似なのか、はたまた本当に泣いてるのかはわからんが、第一に俺たちは少し遅れてるのだ。こんな場所で道草食ってる場合ではない。
だがあのメンヘラ銀髪野郎は痺れを切らしたのか、ついに「もう!」と言って立ち上がった。
「ちょっと、聞いてよ! 普通聞くでしょ!? 止まりなよ!」
「誰が止まるかっての。あぁそうだ、代わりに太刀根を置いてってやるから」
「え、俺?」
「誰がそんな納刀男子がいいって言ったの!? ボクは、壱とか、その、キミみたいな……」
最後のほうはよく聞こえなかったが、聞き取れなくてよかったと思う。つか納刀男子って何?
考えるのも億劫になる単語に、俺は頭を痛くしながら歩き続ける。本当は走りたかったが、廊下は走るの厳禁だからそこは我慢した。
「ちょっと待てよ。誰が納刀男子だって?」
よほど“納刀男子”と言われたのが頭にきたのだろう。太刀根は立ち止まり振り返ると、ずかずかとセンパイに向かっていき、問い詰めるように壁に手をついた。何が嬉しくて男同士の壁ドンを見なけりゃならんのだ。
お互いの鼻息がかかるであろう距離。一見すれば、身長の高い太刀根が有利に見えるが、対するセンパイも臆することなく、むしろ挑発するように太刀根を舐めるように見上げた。
「アンタに決まってるでしょ、太刀根攻。肝心な時でさえ、アンタの大事な剣は、なぁんの役にも立ちはしないんだから」
「この、言わせておけば……っ」
センパイを睨む太刀根の口から、小さく吐息が漏れた。よく見れば、センパイの膝が太刀根の股間をぐりぐりと攻撃している。
それ以上見ていられず、ついでに言えば、太刀根という余分な荷物をセンパイが引き取ってくれるなら大歓迎なので、俺は無言で二人に背を向けた。
「ちょ、ちょっと! 御竿護、このボクを置いてくつもり!?」
「あー、困るなー。センパイに付き纏われるの、本当に迷惑だわー」
棒読みにも等しかったが、太刀根ならこれで騙されてくれるはずだ。
「護、安心して体育館へ向かってくれ。終は俺がなんとかするから!」
「おー、流石太刀根。さんきゅー」
意気揚々と引き留める役を買って出てくれた太刀根に感謝しつつ、俺はまた体育館に向かっていく。
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「本当に納刀してるかどうかは、抜刀状態を見てから言えよ。俺の本気の剣技、お前に耐えられるかな?」
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