162 / 170
八月に書いた短編
帰省
しおりを挟む
「ま、待てって……。下に親がいる、からっ」
「知ってるよ」
夏休み。
流石に帰省しないといけないなとか、両親にユーリのことをきちんと紹介したいなとか、あと、地元に帰るつもりはないとか、そういう諸々を説明したくて、僕はユーリを連れて帰省していた。
日帰りが出来ない距離ではないから、朝早く家を出て、夜には帰るつもりだった。のに。
両親は意外とあっさり諸々を了承してくれて、なんなら夜ご飯を食べて、泊まっていけばいいとまで言ってくれた。
ご飯を食べて、お風呂に入って、僕の部屋に布団を敷いて、そこまではよかった。
「ひ、ぁ……、それ、やだっ」
自分のベッドに仰向けにされ、両足を軽く持ち上げられる。布越しに互いの熱が擦れるだけなのに、それは酷く焦れったく、気持ちがいい。
「いれてない、でしょ?」
「こんな、の……、似たような、もん、だろ……!」
かろうじて残る理性をなんとか掻き集めて、いつもみたいに悪態をつこうと頑張ってみる。
途端、ユーリの熱が僕の後孔を掠めたのか「ひぅっ」と情けない声が出てしまった。
「リヒト、声」
慌てて両手を口にあてる。途端、鼻から「ふぅーっ」と荒い息が出ていった。
「……っ、んん」
ぐりっと熱を押しつけられるたび、直接触れてほしい、早く挿入てほしい気持ちが大きくなっていくのがわかる。
「ふ、ううっ、んんん」
声を押し殺して、ユーリをキッと睨みつけてみる。もちろんこんなので効果があるわけがなく、むしろユーリは端正な顔を心底嬉しそうに歪めて、
「物欲しそうな表情してるね」
と唇を舐めた。
どっちがだ。と言いたいけれど、今口を開いてしまえば、だらしない嬌声が漏れるのはわかりきっている。だからさらに強く口を押さえて、一切の声を漏らしてたまるかと、残り少ない意地を張った。
「ふふ。意地っぱりなリヒトも可愛いし好きだけど、やっぱり声聞きたいな」
「ふ……っ」
するりとズボンを足先から取り払われて、下着を曝け出す形になる。僕は慌てて手を伸ばして「しないって……!」と涙ながらに口にしたけれど、ユーリは愉しそうに口の端を持ち上げただけ。
「いいの? 欲しくない?」
ユーリの右手が僕の太ももを優しく撫でて、内側に何度も吸い付かれる。そのまま下着越しに、ユーリの舌が僕の熱を舐め上げたところで、ドアのノック音が響いた。
「兄さん、帰ってるって聞いたんだけど。もう寝てる?」
「!?」
そういえば、ナギは部活で帰ってくるのが遅いって言ってたっけ。だからってこんなタイミングで……。
「……っ」
寝てるフリを通すことにして、僕はまた口を両手で押さえた。
けれどユーリはそれが気に食わなかったらしい。小さく舌打ちが聞こえたかと思うと、下着をも取り払われてしまった。
「ユー……!?」
名前を呼んで抗議をするより早く、ユーリは僕を横向きにさせると、僕の後孔に指を入れ、空いた手で既に勃ち上がっていた陰茎を握り込んできたのだ。
「ん、あっ」
漏れた声を抑えるために、僕は咄嗟に枕に顔を埋めた。
「ひぃ、ぐっ」
「……兄さん?」
扉の向こうでナギが不思議そうな声を上げる。けれど僕が寝ていると思ったのか、ナギはそれ以上追求することなく、また一階に戻っていったようだ。
「あーあ、行っちゃったね。声、聞かせてあげればよかったのに」
「そんなこ、と、できないっ」
「……へぇ。あ、そ」
ユーリの声色が酷く冷たい。
違う。これは、拗ねてるんだ、たぶん。こいつは僕を手放すつもりが本当にないから、自分のモノだって示したいだけの、子どもみたいな反応。
「ユーリ……」
少しだけ顔を向けて、少し傷ついた表情を浮かべるユーリに左手を伸ばした。
「僕は、嫌だ。ユーリ以外に、こんなの見られるのも、声聞かれるのも。ユーリだけ、ユーリだから……」
「……っ」
顔をくしゃりと歪めたユーリが、僕を抱き起こした。そのままユーリと向かい合うように座らせられて、余裕のないユーリの顔がすぐ近くに見えるようになる。
「リヒト、挿入ていい?」
「は、あ? お前、僕が何言ったか聞いて……」
「俺が口塞いでててあげるし、なんなら俺の肩噛んでればいいから」
そう言い僕を真っ直ぐ見つめる空色の目は、ひどく熱っぽくて、僕だけを映しているのがとても心地が良い。
「……あまり激しくするなよ」
「ん」
目を閉じて、ゆっくりユーリと唇を重ね合う。
途端、腸壁を分け入ってくる感覚に、僕はちゃんと声を我慢できるかな、と舌を絡ませながらぼんやりと考えていた。
「知ってるよ」
夏休み。
流石に帰省しないといけないなとか、両親にユーリのことをきちんと紹介したいなとか、あと、地元に帰るつもりはないとか、そういう諸々を説明したくて、僕はユーリを連れて帰省していた。
日帰りが出来ない距離ではないから、朝早く家を出て、夜には帰るつもりだった。のに。
両親は意外とあっさり諸々を了承してくれて、なんなら夜ご飯を食べて、泊まっていけばいいとまで言ってくれた。
ご飯を食べて、お風呂に入って、僕の部屋に布団を敷いて、そこまではよかった。
「ひ、ぁ……、それ、やだっ」
自分のベッドに仰向けにされ、両足を軽く持ち上げられる。布越しに互いの熱が擦れるだけなのに、それは酷く焦れったく、気持ちがいい。
「いれてない、でしょ?」
「こんな、の……、似たような、もん、だろ……!」
かろうじて残る理性をなんとか掻き集めて、いつもみたいに悪態をつこうと頑張ってみる。
途端、ユーリの熱が僕の後孔を掠めたのか「ひぅっ」と情けない声が出てしまった。
「リヒト、声」
慌てて両手を口にあてる。途端、鼻から「ふぅーっ」と荒い息が出ていった。
「……っ、んん」
ぐりっと熱を押しつけられるたび、直接触れてほしい、早く挿入てほしい気持ちが大きくなっていくのがわかる。
「ふ、ううっ、んんん」
声を押し殺して、ユーリをキッと睨みつけてみる。もちろんこんなので効果があるわけがなく、むしろユーリは端正な顔を心底嬉しそうに歪めて、
「物欲しそうな表情してるね」
と唇を舐めた。
どっちがだ。と言いたいけれど、今口を開いてしまえば、だらしない嬌声が漏れるのはわかりきっている。だからさらに強く口を押さえて、一切の声を漏らしてたまるかと、残り少ない意地を張った。
「ふふ。意地っぱりなリヒトも可愛いし好きだけど、やっぱり声聞きたいな」
「ふ……っ」
するりとズボンを足先から取り払われて、下着を曝け出す形になる。僕は慌てて手を伸ばして「しないって……!」と涙ながらに口にしたけれど、ユーリは愉しそうに口の端を持ち上げただけ。
「いいの? 欲しくない?」
ユーリの右手が僕の太ももを優しく撫でて、内側に何度も吸い付かれる。そのまま下着越しに、ユーリの舌が僕の熱を舐め上げたところで、ドアのノック音が響いた。
「兄さん、帰ってるって聞いたんだけど。もう寝てる?」
「!?」
そういえば、ナギは部活で帰ってくるのが遅いって言ってたっけ。だからってこんなタイミングで……。
「……っ」
寝てるフリを通すことにして、僕はまた口を両手で押さえた。
けれどユーリはそれが気に食わなかったらしい。小さく舌打ちが聞こえたかと思うと、下着をも取り払われてしまった。
「ユー……!?」
名前を呼んで抗議をするより早く、ユーリは僕を横向きにさせると、僕の後孔に指を入れ、空いた手で既に勃ち上がっていた陰茎を握り込んできたのだ。
「ん、あっ」
漏れた声を抑えるために、僕は咄嗟に枕に顔を埋めた。
「ひぃ、ぐっ」
「……兄さん?」
扉の向こうでナギが不思議そうな声を上げる。けれど僕が寝ていると思ったのか、ナギはそれ以上追求することなく、また一階に戻っていったようだ。
「あーあ、行っちゃったね。声、聞かせてあげればよかったのに」
「そんなこ、と、できないっ」
「……へぇ。あ、そ」
ユーリの声色が酷く冷たい。
違う。これは、拗ねてるんだ、たぶん。こいつは僕を手放すつもりが本当にないから、自分のモノだって示したいだけの、子どもみたいな反応。
「ユーリ……」
少しだけ顔を向けて、少し傷ついた表情を浮かべるユーリに左手を伸ばした。
「僕は、嫌だ。ユーリ以外に、こんなの見られるのも、声聞かれるのも。ユーリだけ、ユーリだから……」
「……っ」
顔をくしゃりと歪めたユーリが、僕を抱き起こした。そのままユーリと向かい合うように座らせられて、余裕のないユーリの顔がすぐ近くに見えるようになる。
「リヒト、挿入ていい?」
「は、あ? お前、僕が何言ったか聞いて……」
「俺が口塞いでててあげるし、なんなら俺の肩噛んでればいいから」
そう言い僕を真っ直ぐ見つめる空色の目は、ひどく熱っぽくて、僕だけを映しているのがとても心地が良い。
「……あまり激しくするなよ」
「ん」
目を閉じて、ゆっくりユーリと唇を重ね合う。
途端、腸壁を分け入ってくる感覚に、僕はちゃんと声を我慢できるかな、と舌を絡ませながらぼんやりと考えていた。
48
あなたにおすすめの小説
最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~
水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。
「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。
しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった!
「お前こそ俺の運命の番だ」
βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!?
勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!
酔った俺は、美味しく頂かれてました
雪紫
BL
片思いの相手に、酔ったフリして色々聞き出す筈が、何故かキスされて……?
両片思い(?)の男子大学生達の夜。
2話完結の短編です。
長いので2話にわけました。
他サイトにも掲載しています。
オレンジの奇跡~夕と凪、僕らが交わる世界~
けいこ
BL
両親が営む小さな旅館『久我屋』を手伝いながら、BL小説を書いている僕。
穏やかにゆっくりと過ごす日常に満足していたある日、僕の前にとんでもなく魅力的な男性が現れた。
今まで1度も誰かを好きになったことがない僕にとっては、この感情が何なのか理解できない。
複雑に揺れ動く心に逆らえず、今までとは明らかに違う現実に戸惑いながら、僕の心はゆっくり溶かされていく……
【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件
りゆき
BL
俺の部屋の天井から降って来た超絶美形の男。
そいつはいきなり俺の唇を奪った。
その男いわく俺は『運命の相手』なのだと。
いや、意味分からんわ!!
どうやら異世界からやって来たイケメン。
元の世界に戻るには運命の相手と結ばれないといけないらしい。
そんなこと俺には関係ねー!!と、思っていたのに…
平凡サラリーマンだった俺の人生、異世界人への嫁入りに!?
そんなことある!?俺は男ですが!?
イケメンたちとのわちゃわちゃに巻き込まれ、愛やら嫉妬やら友情やら…平凡生活からの一転!?
スパダリ超絶美形×平凡サラリーマンとの嫁入りラブコメ!!
メインの二人以外に、
・腹黒×俺様
・ワンコ×ツンデレインテリ眼鏡
が登場予定。
※R18シーンに印は入れていないのでお気をつけください。
※前半は日本舞台、後半は異世界が舞台になります。
※こちらの作品はムーンライトノベルズにも掲載中。
※完結保証。
※ムーンさん用に一話あたりの文字数が多いため分割して掲載。
初日のみ4話、毎日6話更新します。
本編56話×分割2話+おまけの1話、合計113話。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる