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八月に書いた短編
帰省
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「ま、待てって……。下に親がいる、からっ」
「知ってるよ」
夏休み。
流石に帰省しないといけないなとか、両親にユーリのことをきちんと紹介したいなとか、あと、地元に帰るつもりはないとか、そういう諸々を説明したくて、僕はユーリを連れて帰省していた。
日帰りが出来ない距離ではないから、朝早く家を出て、夜には帰るつもりだった。のに。
両親は意外とあっさり諸々を了承してくれて、なんなら夜ご飯を食べて、泊まっていけばいいとまで言ってくれた。
ご飯を食べて、お風呂に入って、僕の部屋に布団を敷いて、そこまではよかった。
「ひ、ぁ……、それ、やだっ」
自分のベッドに仰向けにされ、両足を軽く持ち上げられる。布越しに互いの熱が擦れるだけなのに、それは酷く焦れったく、気持ちがいい。
「いれてない、でしょ?」
「こんな、の……、似たような、もん、だろ……!」
かろうじて残る理性をなんとか掻き集めて、いつもみたいに悪態をつこうと頑張ってみる。
途端、ユーリの熱が僕の後孔を掠めたのか「ひぅっ」と情けない声が出てしまった。
「リヒト、声」
慌てて両手を口にあてる。途端、鼻から「ふぅーっ」と荒い息が出ていった。
「……っ、んん」
ぐりっと熱を押しつけられるたび、直接触れてほしい、早く挿入てほしい気持ちが大きくなっていくのがわかる。
「ふ、ううっ、んんん」
声を押し殺して、ユーリをキッと睨みつけてみる。もちろんこんなので効果があるわけがなく、むしろユーリは端正な顔を心底嬉しそうに歪めて、
「物欲しそうな表情してるね」
と唇を舐めた。
どっちがだ。と言いたいけれど、今口を開いてしまえば、だらしない嬌声が漏れるのはわかりきっている。だからさらに強く口を押さえて、一切の声を漏らしてたまるかと、残り少ない意地を張った。
「ふふ。意地っぱりなリヒトも可愛いし好きだけど、やっぱり声聞きたいな」
「ふ……っ」
するりとズボンを足先から取り払われて、下着を曝け出す形になる。僕は慌てて手を伸ばして「しないって……!」と涙ながらに口にしたけれど、ユーリは愉しそうに口の端を持ち上げただけ。
「いいの? 欲しくない?」
ユーリの右手が僕の太ももを優しく撫でて、内側に何度も吸い付かれる。そのまま下着越しに、ユーリの舌が僕の熱を舐め上げたところで、ドアのノック音が響いた。
「兄さん、帰ってるって聞いたんだけど。もう寝てる?」
「!?」
そういえば、ナギは部活で帰ってくるのが遅いって言ってたっけ。だからってこんなタイミングで……。
「……っ」
寝てるフリを通すことにして、僕はまた口を両手で押さえた。
けれどユーリはそれが気に食わなかったらしい。小さく舌打ちが聞こえたかと思うと、下着をも取り払われてしまった。
「ユー……!?」
名前を呼んで抗議をするより早く、ユーリは僕を横向きにさせると、僕の後孔に指を入れ、空いた手で既に勃ち上がっていた陰茎を握り込んできたのだ。
「ん、あっ」
漏れた声を抑えるために、僕は咄嗟に枕に顔を埋めた。
「ひぃ、ぐっ」
「……兄さん?」
扉の向こうでナギが不思議そうな声を上げる。けれど僕が寝ていると思ったのか、ナギはそれ以上追求することなく、また一階に戻っていったようだ。
「あーあ、行っちゃったね。声、聞かせてあげればよかったのに」
「そんなこ、と、できないっ」
「……へぇ。あ、そ」
ユーリの声色が酷く冷たい。
違う。これは、拗ねてるんだ、たぶん。こいつは僕を手放すつもりが本当にないから、自分のモノだって示したいだけの、子どもみたいな反応。
「ユーリ……」
少しだけ顔を向けて、少し傷ついた表情を浮かべるユーリに左手を伸ばした。
「僕は、嫌だ。ユーリ以外に、こんなの見られるのも、声聞かれるのも。ユーリだけ、ユーリだから……」
「……っ」
顔をくしゃりと歪めたユーリが、僕を抱き起こした。そのままユーリと向かい合うように座らせられて、余裕のないユーリの顔がすぐ近くに見えるようになる。
「リヒト、挿入ていい?」
「は、あ? お前、僕が何言ったか聞いて……」
「俺が口塞いでててあげるし、なんなら俺の肩噛んでればいいから」
そう言い僕を真っ直ぐ見つめる空色の目は、ひどく熱っぽくて、僕だけを映しているのがとても心地が良い。
「……あまり激しくするなよ」
「ん」
目を閉じて、ゆっくりユーリと唇を重ね合う。
途端、腸壁を分け入ってくる感覚に、僕はちゃんと声を我慢できるかな、と舌を絡ませながらぼんやりと考えていた。
「知ってるよ」
夏休み。
流石に帰省しないといけないなとか、両親にユーリのことをきちんと紹介したいなとか、あと、地元に帰るつもりはないとか、そういう諸々を説明したくて、僕はユーリを連れて帰省していた。
日帰りが出来ない距離ではないから、朝早く家を出て、夜には帰るつもりだった。のに。
両親は意外とあっさり諸々を了承してくれて、なんなら夜ご飯を食べて、泊まっていけばいいとまで言ってくれた。
ご飯を食べて、お風呂に入って、僕の部屋に布団を敷いて、そこまではよかった。
「ひ、ぁ……、それ、やだっ」
自分のベッドに仰向けにされ、両足を軽く持ち上げられる。布越しに互いの熱が擦れるだけなのに、それは酷く焦れったく、気持ちがいい。
「いれてない、でしょ?」
「こんな、の……、似たような、もん、だろ……!」
かろうじて残る理性をなんとか掻き集めて、いつもみたいに悪態をつこうと頑張ってみる。
途端、ユーリの熱が僕の後孔を掠めたのか「ひぅっ」と情けない声が出てしまった。
「リヒト、声」
慌てて両手を口にあてる。途端、鼻から「ふぅーっ」と荒い息が出ていった。
「……っ、んん」
ぐりっと熱を押しつけられるたび、直接触れてほしい、早く挿入てほしい気持ちが大きくなっていくのがわかる。
「ふ、ううっ、んんん」
声を押し殺して、ユーリをキッと睨みつけてみる。もちろんこんなので効果があるわけがなく、むしろユーリは端正な顔を心底嬉しそうに歪めて、
「物欲しそうな表情してるね」
と唇を舐めた。
どっちがだ。と言いたいけれど、今口を開いてしまえば、だらしない嬌声が漏れるのはわかりきっている。だからさらに強く口を押さえて、一切の声を漏らしてたまるかと、残り少ない意地を張った。
「ふふ。意地っぱりなリヒトも可愛いし好きだけど、やっぱり声聞きたいな」
「ふ……っ」
するりとズボンを足先から取り払われて、下着を曝け出す形になる。僕は慌てて手を伸ばして「しないって……!」と涙ながらに口にしたけれど、ユーリは愉しそうに口の端を持ち上げただけ。
「いいの? 欲しくない?」
ユーリの右手が僕の太ももを優しく撫でて、内側に何度も吸い付かれる。そのまま下着越しに、ユーリの舌が僕の熱を舐め上げたところで、ドアのノック音が響いた。
「兄さん、帰ってるって聞いたんだけど。もう寝てる?」
「!?」
そういえば、ナギは部活で帰ってくるのが遅いって言ってたっけ。だからってこんなタイミングで……。
「……っ」
寝てるフリを通すことにして、僕はまた口を両手で押さえた。
けれどユーリはそれが気に食わなかったらしい。小さく舌打ちが聞こえたかと思うと、下着をも取り払われてしまった。
「ユー……!?」
名前を呼んで抗議をするより早く、ユーリは僕を横向きにさせると、僕の後孔に指を入れ、空いた手で既に勃ち上がっていた陰茎を握り込んできたのだ。
「ん、あっ」
漏れた声を抑えるために、僕は咄嗟に枕に顔を埋めた。
「ひぃ、ぐっ」
「……兄さん?」
扉の向こうでナギが不思議そうな声を上げる。けれど僕が寝ていると思ったのか、ナギはそれ以上追求することなく、また一階に戻っていったようだ。
「あーあ、行っちゃったね。声、聞かせてあげればよかったのに」
「そんなこ、と、できないっ」
「……へぇ。あ、そ」
ユーリの声色が酷く冷たい。
違う。これは、拗ねてるんだ、たぶん。こいつは僕を手放すつもりが本当にないから、自分のモノだって示したいだけの、子どもみたいな反応。
「ユーリ……」
少しだけ顔を向けて、少し傷ついた表情を浮かべるユーリに左手を伸ばした。
「僕は、嫌だ。ユーリ以外に、こんなの見られるのも、声聞かれるのも。ユーリだけ、ユーリだから……」
「……っ」
顔をくしゃりと歪めたユーリが、僕を抱き起こした。そのままユーリと向かい合うように座らせられて、余裕のないユーリの顔がすぐ近くに見えるようになる。
「リヒト、挿入ていい?」
「は、あ? お前、僕が何言ったか聞いて……」
「俺が口塞いでててあげるし、なんなら俺の肩噛んでればいいから」
そう言い僕を真っ直ぐ見つめる空色の目は、ひどく熱っぽくて、僕だけを映しているのがとても心地が良い。
「……あまり激しくするなよ」
「ん」
目を閉じて、ゆっくりユーリと唇を重ね合う。
途端、腸壁を分け入ってくる感覚に、僕はちゃんと声を我慢できるかな、と舌を絡ませながらぼんやりと考えていた。
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扉絵
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