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兄の溺愛を卒業します
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今日で15歳になりました。
学園は卒業までしばらくありますが、ほとんど行く必要がないので、かねてより進めてきた計画を実行に移そうと思います。
実は、レオ義兄様から卒業しようと思うのです。
あの日からレオ義兄様の溺愛は加速し、今では信じられないほどのブラコンになっています。
え、あの日?
あの日というのはですね、今思い出してもぞっとします。
6歳で僕が引き取られて、それからは必死で勉強もしましたし、公爵家の恥にならないようにがんばしました。
そして、周りの人たちも少しずつ僕のことを認めてくれて来ていたと思います。
しかし、どうしても僕のことを認めてくれない人がいたのです。
8歳になったある日。
僕はいつも通りに授業を受け、剣の稽古をしようと部屋を出ました。僕の部屋は2階にあるので階段を降りようとしたところ、突然後ろから押されました。僕はそのまま体制を崩し、階段を転がり落ちました。
強く頭を打ち、意識がもうろうとする中階段の上を見ると、アメリアさんがこちらをにらみつけていました。
アメリアさんは子爵家出身であり、平民を強く差別する、選民主義者だったのです。
僕はそのまま意識を失いました。
「う、ゔん、レオ義兄様?」
目が覚めると、レオ義兄様が僕の手を握り締めていました。起き上がると頭がガンガンしました。
「ん、テオ?テオ!目を、覚ましたのかい、テオ!
だれか!医者を呼べ!」
「レオ義兄様?」
「テオ、よかった。」
レオ義兄様の目には涙が浮かんでいた。目にはクマがあり、あまり寝ていないのがよく分かりました。よほど心配してくれたのでしょう。
「僕はどのくらい目を覚まさなかったの?」
「テオ、テオは1週間も目を覚まさなかったんだよ。ほんとに心配で、もう目を覚まさなかったらどうしようって。」
「失礼します。レオナルド様、ラティス先生がいらっしゃいました。」
「失礼します。お久しぶりですね、テオドール様。」
僕の診察をしてくれるのはラティス先生でした。公爵家に引き取られてから、全然あいさつに行けていませんでしたから、久しぶりに会ったラティス先生は、少し白髪が増えたように思える。
「お久しぶりです。その節はお世話になりました。」
「いえいえ、ご成長なされていて安心いたしました。」
ラティス先生は、僕とお話ししながらも診察を始めました。いくつかの質問に答えて、頭部などの検査をして「ふぅ」と一息つきました。
「後遺症などはないようですね。よかった、もう心配はありませんね。」
「ありがとうございます、ラティス先生。」
「よかった、よかった。テオ。」
その時ふと思ったのは、アメリアさんのことでした。
「あの、レオ義兄様、アメリアさんは、」
アメリアさんの名前を出すと、レオ義兄様の目の光が消えたように感じました。
「テオはあの女のことなど気にしなくていいよ。もうテオの前に姿を現すことはないのだから。」
それ以上は聞きませんでした。それ以上聞くのは怖かったし、アメリアさんのことをそれ以上考えたくなかったです。
それからのレオ義兄様の溺愛ぶりはすさまじいものがありました。学園など、どうしても離れなければならないとき以外は、片時も僕のそばを離れませんでした。
新しい僕の専属メイドのリリーも、レオ義兄様が試験や面接などをして、吟味したうえで決めたそうです。
いまレオ義兄様は、王都にいます。レオ義兄様は、学園卒業後お父様の補佐につき、王都と領地を行き来する生活になっています。
レオ義兄様が領地にいない今、ぼくは冒険者登録をしに行こうと思うのです。
公爵家で教育を受けたおかげで、読み書きも計算もできますし、剣や弓もできます。冒険者としてやっていくには十分でしょう。
しかし、冒険者になるには、15歳以上という制約があったのです。そのため、僕は今日この日から登録できるようになったのです。
気合を入れて、冒険者ギルドへ向かおうとしたその時、部屋の扉があいたのです。
学園は卒業までしばらくありますが、ほとんど行く必要がないので、かねてより進めてきた計画を実行に移そうと思います。
実は、レオ義兄様から卒業しようと思うのです。
あの日からレオ義兄様の溺愛は加速し、今では信じられないほどのブラコンになっています。
え、あの日?
あの日というのはですね、今思い出してもぞっとします。
6歳で僕が引き取られて、それからは必死で勉強もしましたし、公爵家の恥にならないようにがんばしました。
そして、周りの人たちも少しずつ僕のことを認めてくれて来ていたと思います。
しかし、どうしても僕のことを認めてくれない人がいたのです。
8歳になったある日。
僕はいつも通りに授業を受け、剣の稽古をしようと部屋を出ました。僕の部屋は2階にあるので階段を降りようとしたところ、突然後ろから押されました。僕はそのまま体制を崩し、階段を転がり落ちました。
強く頭を打ち、意識がもうろうとする中階段の上を見ると、アメリアさんがこちらをにらみつけていました。
アメリアさんは子爵家出身であり、平民を強く差別する、選民主義者だったのです。
僕はそのまま意識を失いました。
「う、ゔん、レオ義兄様?」
目が覚めると、レオ義兄様が僕の手を握り締めていました。起き上がると頭がガンガンしました。
「ん、テオ?テオ!目を、覚ましたのかい、テオ!
だれか!医者を呼べ!」
「レオ義兄様?」
「テオ、よかった。」
レオ義兄様の目には涙が浮かんでいた。目にはクマがあり、あまり寝ていないのがよく分かりました。よほど心配してくれたのでしょう。
「僕はどのくらい目を覚まさなかったの?」
「テオ、テオは1週間も目を覚まさなかったんだよ。ほんとに心配で、もう目を覚まさなかったらどうしようって。」
「失礼します。レオナルド様、ラティス先生がいらっしゃいました。」
「失礼します。お久しぶりですね、テオドール様。」
僕の診察をしてくれるのはラティス先生でした。公爵家に引き取られてから、全然あいさつに行けていませんでしたから、久しぶりに会ったラティス先生は、少し白髪が増えたように思える。
「お久しぶりです。その節はお世話になりました。」
「いえいえ、ご成長なされていて安心いたしました。」
ラティス先生は、僕とお話ししながらも診察を始めました。いくつかの質問に答えて、頭部などの検査をして「ふぅ」と一息つきました。
「後遺症などはないようですね。よかった、もう心配はありませんね。」
「ありがとうございます、ラティス先生。」
「よかった、よかった。テオ。」
その時ふと思ったのは、アメリアさんのことでした。
「あの、レオ義兄様、アメリアさんは、」
アメリアさんの名前を出すと、レオ義兄様の目の光が消えたように感じました。
「テオはあの女のことなど気にしなくていいよ。もうテオの前に姿を現すことはないのだから。」
それ以上は聞きませんでした。それ以上聞くのは怖かったし、アメリアさんのことをそれ以上考えたくなかったです。
それからのレオ義兄様の溺愛ぶりはすさまじいものがありました。学園など、どうしても離れなければならないとき以外は、片時も僕のそばを離れませんでした。
新しい僕の専属メイドのリリーも、レオ義兄様が試験や面接などをして、吟味したうえで決めたそうです。
いまレオ義兄様は、王都にいます。レオ義兄様は、学園卒業後お父様の補佐につき、王都と領地を行き来する生活になっています。
レオ義兄様が領地にいない今、ぼくは冒険者登録をしに行こうと思うのです。
公爵家で教育を受けたおかげで、読み書きも計算もできますし、剣や弓もできます。冒険者としてやっていくには十分でしょう。
しかし、冒険者になるには、15歳以上という制約があったのです。そのため、僕は今日この日から登録できるようになったのです。
気合を入れて、冒険者ギルドへ向かおうとしたその時、部屋の扉があいたのです。
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