虚構世界の覇者

虚構の現実化

プロローグ

我々の世界は、日々未来が生まれている中で、過去が消え去って行く、今という時間に埋もれて、行くべき先を見失う、残酷な現実から逃れる様に、道に迷う者に、見えない虚構の世界は広がっていた。

社会のあらゆる部分で、歪んだ人間関係の耐え難い現実で藻搔く様に生きていた少年、張子虎、彼は、現実から逃れるために、人の立ち入らない禁足地の未知の手段を用いて、虚構の世界の扉を開いて仕舞ったのである。

その時から、彼には、見えない虚構の形が見え、見えない物が作り出せる様な能力を手に入れた。

能力の引き換えに、彼は、虚構の世界に引き込まれて、現実から姿を消し去った。

だが、その虚構の世界で、反対側の現実世界を破壊仕様と目論む闇の魔の世界の企みが可能となった。

虚構世界と繫がれた現実世界に、闇の魔の世界のどす黒い悪意が解き放たれた。

都会の街中に見えない魔物が、現実の人間たちを苦しめ始める。

一旦は、虚構世界に逃げ出した張子虎は、自分のいた現実世界の崩壊を、黙って見ている事が出来ずに、限られた姿で再び、現実世界へと舞い戻った。



2024年4月28日　齋藤務