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宇宙の騎士団
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鏡が、公園の砂山の滑り台の上で、輝く白銀の甲冑を、その身に着けた騎士と話していた。
そんな鏡が、イヌに餌を上げるように、その宇宙の騎士団の騎士に、食べ掛けのパンを差し出していた。
差し出された一口 齧ったパンを見て、その騎士が言う、
「やめぬか!愚かな娘よ、私を侮辱するのは!」
鏡
「はーつ?はいつ!えさ、おっと、食べ物を要りませんかと、勧めていたのよ、人の心の籠った好意を断るの、騎士さんは?」
騎士
「…」
自分の見下した行動を正当化して言う口の減らない鏡に、返す言葉が出ない騎士、
鏡は、食べ掛けたパンを無理矢理に、騎士の手に渡して、自分はまた、新しいパンをあけて食べているのだ。
困惑する騎士、そこに鏡が言う、
「それね、中がチョコなの、クリームがちょっと甘すぎて、私は、今日はうぐいすが気分だから、美味しいわよ、さあ、食べて 食べて!」
その鏡が齧ったパンから、融けたチョコがだらりと垂れて出て来て、それはいかにもなのだ。
騎士は、それを手に言葉も無く見詰めていた。
だが騎士は、そんな鏡に言った、
「私は、私の代わりのかなめと為る、伝説の剣を受け継ぐウイングソードの騎士を、何百年も探していたのだ、」
その話をしている騎士の向こうで、頬を膨らませて、更にパンを頬張りながら、鏡が手を差し出して、パンを進めているのだ。
ムッとする騎士、
「聞いておるのか?娘よ、わが宇宙銀河星団、白銀の騎士団の騎士のかなめと為る者が、お前のような、娘に、その正しき命を移し受け継がせて、これ程までに変わるとわ?ああーー、情けない!」
その騎士の言葉に、今度は鏡が、ムッとした。
「私のような情けない、何なんです。人の好意も受けられない、礼儀の無い騎士に、言われたくないわ!」
渡したそれを騎士に、無理矢理にでも、鏡は、食べさせたいようなのだ。
困る騎士、畳み込むように、鏡が言う、
「あなたが、私の好意を気持ち良く受けるのなら、私もあなたの言う話を、真剣に聞きますよ!」
そこまで畳み込んで言うのだ。
鏡に追い詰められて、もう逃げられない騎士だった。
思い切って甲冑のカバーを上げて、その鼻筋の通った白い顔を出すと、腹を括ってパンを食べる騎士を、それを覗き込む鏡、
実は鏡は、甲冑で隠されていた。その騎士の顔がじかに見たかったのだ。
あっさりと鏡の計略に上手く絡み取られて仕舞う間抜けな騎士だった。
公園の砂山で、鏡が差し出したパンを、自棄に為って食べている騎士、
だが然し、その騎士の甲冑の中の、その容姿は凛々しい素顔だった。
青い瞳で、白ぎんの髪をひたいに垂らしていて、何とも麗しい顔をしていた。
それを見た、鏡が言った、
「か、間接キスした!私と、間接キスした!やだーーーつ、キス、キスだーーつ!」
と、覗き込んだ鏡が、唐突に騎士の横で騒いで言うのだ。
それに驚く騎士、
「お、お主が、食べろと申したのだろう!?」
だが鏡は、顔を赤らめて恥ずかしそうに言うのだ。
「ああ、私と、口付けをしたのと同じよ!凄い、恥ずかしいわ!」
と、鏡が声を潜めていやらしく言うのだ。
その鏡の言葉に大きく仰け反る騎士、全身を硬直させて震えるようにしながら、すっくと立ち上がると、
そんな体をくねらせて恥じらう鏡に向かって、怒りのやり場に困っている。
そこに鏡が更に言った、
「騎士さんは、愛の口付けをした相手に対しての、礼儀をちゃんと仕手下さい!」
鏡の言葉に、驚いて首を傾げる騎士、
それに鏡が、続けて言う、
「跪いて、私に、愛の告白をして下さい!それを、私が、お受けしますから!」
と、何とも恐ろしい事を言い出した。
その場で、激しく悶え苦しむ騎士、鏡が平然と言う、とんでもない言葉に、言いようの無い苦しみと、同時に怒りが、その甲冑の中で渦巻いて、治まりようが無い、騎士は勢い良く剣を抜いて、その砂山を両断して、息を荒げながら、沸き起こる怒りを制御しようとしていた。
だが鏡が、まだ言うのだ、
「そこで、恥ずかしがって、喜んでいないで、早く告白して、私と、本当の愛の口付けをしましょうよ、照れ屋さん!」
それには、もう騎士の我慢の限界だった。
騎士は奇声を上げて、鏡から走って去って行った。
「き ひいいいーーーーーーーい、ききいいーーーーーつ!」
上手く騎士を、その口で撃退した鏡は、キョトンとしていた。
「何かしら、あんなに慌てて、婚約指輪でも忘れたのかしらねえ?」
騎士が、狂って走って行って仕舞った方角を、鏡は、唯、茫然と見詰めていた。
その後に、そこに残された鏡は、遠くに走って行く騎士に呆れて、さっさと家に帰ると、母親が怒って玄関に立っていた。
それに縮み上がる鏡、
「お、お母さん、た、ただいま、アハハハハ、」
母親
「ただいまじゃ、無いでしょ、学校からの連絡で、あなたが帰らないから、心配していたのよ!まったくもう、」
鏡
「あ、ああ、アハハハハ、」
母親
「アハハじゃ無い!」
鏡
「こわーーーつ!」
母親に叱られた鏡は、首を窄めて、こそこそと、自分の部屋にいった。
部屋に入ると舌を出して、部屋の中からアカンベーをしている。
全く鏡は子供のような子供の鏡だった。
そんな、鏡のいる家の、外での向こうでは、ガコン、ガコン、ガコン!
あの騎士が、コンクリートの電柱に、自分の頭を激しく打ち付けていた。
そんな日の、夕暮れが、辺りを包んでいくと、夕闇の夜が足早に、全てを夜へといざなっていった。
そして、ガコン、ガコン、ガコン、ガコン!そこでは突貫工事のように、騎士が、まだ頭を、夜の闇の中で打ち付けていた。
どうしても怒りが収まりようも無く、唯、自壊的な行為で自制し続けていたのだ。
2025年8月27日
再編集
そんな鏡が、イヌに餌を上げるように、その宇宙の騎士団の騎士に、食べ掛けのパンを差し出していた。
差し出された一口 齧ったパンを見て、その騎士が言う、
「やめぬか!愚かな娘よ、私を侮辱するのは!」
鏡
「はーつ?はいつ!えさ、おっと、食べ物を要りませんかと、勧めていたのよ、人の心の籠った好意を断るの、騎士さんは?」
騎士
「…」
自分の見下した行動を正当化して言う口の減らない鏡に、返す言葉が出ない騎士、
鏡は、食べ掛けたパンを無理矢理に、騎士の手に渡して、自分はまた、新しいパンをあけて食べているのだ。
困惑する騎士、そこに鏡が言う、
「それね、中がチョコなの、クリームがちょっと甘すぎて、私は、今日はうぐいすが気分だから、美味しいわよ、さあ、食べて 食べて!」
その鏡が齧ったパンから、融けたチョコがだらりと垂れて出て来て、それはいかにもなのだ。
騎士は、それを手に言葉も無く見詰めていた。
だが騎士は、そんな鏡に言った、
「私は、私の代わりのかなめと為る、伝説の剣を受け継ぐウイングソードの騎士を、何百年も探していたのだ、」
その話をしている騎士の向こうで、頬を膨らませて、更にパンを頬張りながら、鏡が手を差し出して、パンを進めているのだ。
ムッとする騎士、
「聞いておるのか?娘よ、わが宇宙銀河星団、白銀の騎士団の騎士のかなめと為る者が、お前のような、娘に、その正しき命を移し受け継がせて、これ程までに変わるとわ?ああーー、情けない!」
その騎士の言葉に、今度は鏡が、ムッとした。
「私のような情けない、何なんです。人の好意も受けられない、礼儀の無い騎士に、言われたくないわ!」
渡したそれを騎士に、無理矢理にでも、鏡は、食べさせたいようなのだ。
困る騎士、畳み込むように、鏡が言う、
「あなたが、私の好意を気持ち良く受けるのなら、私もあなたの言う話を、真剣に聞きますよ!」
そこまで畳み込んで言うのだ。
鏡に追い詰められて、もう逃げられない騎士だった。
思い切って甲冑のカバーを上げて、その鼻筋の通った白い顔を出すと、腹を括ってパンを食べる騎士を、それを覗き込む鏡、
実は鏡は、甲冑で隠されていた。その騎士の顔がじかに見たかったのだ。
あっさりと鏡の計略に上手く絡み取られて仕舞う間抜けな騎士だった。
公園の砂山で、鏡が差し出したパンを、自棄に為って食べている騎士、
だが然し、その騎士の甲冑の中の、その容姿は凛々しい素顔だった。
青い瞳で、白ぎんの髪をひたいに垂らしていて、何とも麗しい顔をしていた。
それを見た、鏡が言った、
「か、間接キスした!私と、間接キスした!やだーーーつ、キス、キスだーーつ!」
と、覗き込んだ鏡が、唐突に騎士の横で騒いで言うのだ。
それに驚く騎士、
「お、お主が、食べろと申したのだろう!?」
だが鏡は、顔を赤らめて恥ずかしそうに言うのだ。
「ああ、私と、口付けをしたのと同じよ!凄い、恥ずかしいわ!」
と、鏡が声を潜めていやらしく言うのだ。
その鏡の言葉に大きく仰け反る騎士、全身を硬直させて震えるようにしながら、すっくと立ち上がると、
そんな体をくねらせて恥じらう鏡に向かって、怒りのやり場に困っている。
そこに鏡が更に言った、
「騎士さんは、愛の口付けをした相手に対しての、礼儀をちゃんと仕手下さい!」
鏡の言葉に、驚いて首を傾げる騎士、
それに鏡が、続けて言う、
「跪いて、私に、愛の告白をして下さい!それを、私が、お受けしますから!」
と、何とも恐ろしい事を言い出した。
その場で、激しく悶え苦しむ騎士、鏡が平然と言う、とんでもない言葉に、言いようの無い苦しみと、同時に怒りが、その甲冑の中で渦巻いて、治まりようが無い、騎士は勢い良く剣を抜いて、その砂山を両断して、息を荒げながら、沸き起こる怒りを制御しようとしていた。
だが鏡が、まだ言うのだ、
「そこで、恥ずかしがって、喜んでいないで、早く告白して、私と、本当の愛の口付けをしましょうよ、照れ屋さん!」
それには、もう騎士の我慢の限界だった。
騎士は奇声を上げて、鏡から走って去って行った。
「き ひいいいーーーーーーーい、ききいいーーーーーつ!」
上手く騎士を、その口で撃退した鏡は、キョトンとしていた。
「何かしら、あんなに慌てて、婚約指輪でも忘れたのかしらねえ?」
騎士が、狂って走って行って仕舞った方角を、鏡は、唯、茫然と見詰めていた。
その後に、そこに残された鏡は、遠くに走って行く騎士に呆れて、さっさと家に帰ると、母親が怒って玄関に立っていた。
それに縮み上がる鏡、
「お、お母さん、た、ただいま、アハハハハ、」
母親
「ただいまじゃ、無いでしょ、学校からの連絡で、あなたが帰らないから、心配していたのよ!まったくもう、」
鏡
「あ、ああ、アハハハハ、」
母親
「アハハじゃ無い!」
鏡
「こわーーーつ!」
母親に叱られた鏡は、首を窄めて、こそこそと、自分の部屋にいった。
部屋に入ると舌を出して、部屋の中からアカンベーをしている。
全く鏡は子供のような子供の鏡だった。
そんな、鏡のいる家の、外での向こうでは、ガコン、ガコン、ガコン!
あの騎士が、コンクリートの電柱に、自分の頭を激しく打ち付けていた。
そんな日の、夕暮れが、辺りを包んでいくと、夕闇の夜が足早に、全てを夜へといざなっていった。
そして、ガコン、ガコン、ガコン、ガコン!そこでは突貫工事のように、騎士が、まだ頭を、夜の闇の中で打ち付けていた。
どうしても怒りが収まりようも無く、唯、自壊的な行為で自制し続けていたのだ。
2025年8月27日
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