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第2話
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「春人ー!帰ろうぜー!」
「お!帰ろ帰ろー」
早いもので新しい学年に上がってから1ヶ月が経過しようとしていた。
新しいクラスにも慣れ、いつも通り翔太と帰ろうと鞄に荷物を詰めていると突然声を掛けられる。
「ゆ、有崎くん。今時間ある?」
見慣れない顔の女子に声を掛けられ、内容はすぐに察した。
「えーっと…」
ふと翔太に目線をやると、口パクで「正門で待ってる」と言ってどこかへ居なくなった。
どこまで気が利くんだろうか、なんだか申し訳ないな…。
沈黙が流れる中、呼び出された彼女の後ろをついて行くと体育館の裏へ辿り着く。
「え、えっと…。有崎くんが好きです。
もし良ければ付き合ってください!」
彼女はか細い声でそう言って、恥ずかしそうに俯いた。
僕は何故か翔太の顔を思い浮かべながら、断る理由を考える。
「ごめん、今大切な人がいるからさ。
でも気持ちを伝えてくれてありがとう。」
自分がそう言うと、彼女は悲しそうに微笑んだ。
「そ、そっか。
ごめんね、突然呼び出しちゃって…。
話聞いてくれてありがとう。」
その場を急いで立ち去って行く彼女の後ろ姿をぼーっと見つめる。
一体何人の人から告白されただろうか。
毎回理由を考えて断るのも結構しんどい。
断られた後の相手の反応を見るのは心が痛むが、どうしようも出来ない。
そんな事を考えながら、ふと翔太のことを思い出した。
「あっ、翔太を待たせてるんだった…!」
急いで正門へ向かうと、携帯を真剣に見つめる翔太の姿が目に入る。
「ごめん翔太!お待たせ。」
息を切らしながらそう言うと、ニヤニヤしながら近付いてくる。
「なんて言って断ったの?」
「えーっと、大切な人がいるからって…」
「誰だよ大切な人って!笑」
大笑いする翔太の頭を軽く叩くと、突然黙り込む。
「急に黙るなよ…。ごめん、強すぎた?」
「いや…、モテるのも大変だなって改めて思ってさ。」
真剣な顔でそう呟く翔太の姿に思わず吹き出す。
「おい!何で吹き出すんだよ!」
「いや…、突然黙り込んで何言い出すかと思ったらしょうもない事言うから笑」
「しょうもない言うな!笑」
赤い夕陽に照らされたアスファルトの上を歩きながら、二人でゲラゲラと笑い合う。
あぁ、この幸せな時間がずっと続きますように。
僕は心の中でそう願った。
「お!帰ろ帰ろー」
早いもので新しい学年に上がってから1ヶ月が経過しようとしていた。
新しいクラスにも慣れ、いつも通り翔太と帰ろうと鞄に荷物を詰めていると突然声を掛けられる。
「ゆ、有崎くん。今時間ある?」
見慣れない顔の女子に声を掛けられ、内容はすぐに察した。
「えーっと…」
ふと翔太に目線をやると、口パクで「正門で待ってる」と言ってどこかへ居なくなった。
どこまで気が利くんだろうか、なんだか申し訳ないな…。
沈黙が流れる中、呼び出された彼女の後ろをついて行くと体育館の裏へ辿り着く。
「え、えっと…。有崎くんが好きです。
もし良ければ付き合ってください!」
彼女はか細い声でそう言って、恥ずかしそうに俯いた。
僕は何故か翔太の顔を思い浮かべながら、断る理由を考える。
「ごめん、今大切な人がいるからさ。
でも気持ちを伝えてくれてありがとう。」
自分がそう言うと、彼女は悲しそうに微笑んだ。
「そ、そっか。
ごめんね、突然呼び出しちゃって…。
話聞いてくれてありがとう。」
その場を急いで立ち去って行く彼女の後ろ姿をぼーっと見つめる。
一体何人の人から告白されただろうか。
毎回理由を考えて断るのも結構しんどい。
断られた後の相手の反応を見るのは心が痛むが、どうしようも出来ない。
そんな事を考えながら、ふと翔太のことを思い出した。
「あっ、翔太を待たせてるんだった…!」
急いで正門へ向かうと、携帯を真剣に見つめる翔太の姿が目に入る。
「ごめん翔太!お待たせ。」
息を切らしながらそう言うと、ニヤニヤしながら近付いてくる。
「なんて言って断ったの?」
「えーっと、大切な人がいるからって…」
「誰だよ大切な人って!笑」
大笑いする翔太の頭を軽く叩くと、突然黙り込む。
「急に黙るなよ…。ごめん、強すぎた?」
「いや…、モテるのも大変だなって改めて思ってさ。」
真剣な顔でそう呟く翔太の姿に思わず吹き出す。
「おい!何で吹き出すんだよ!」
「いや…、突然黙り込んで何言い出すかと思ったらしょうもない事言うから笑」
「しょうもない言うな!笑」
赤い夕陽に照らされたアスファルトの上を歩きながら、二人でゲラゲラと笑い合う。
あぁ、この幸せな時間がずっと続きますように。
僕は心の中でそう願った。
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