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生まれ変わり
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ハッと気づくと、また夜になっていた。
なんで誰も起こしてくれないの!
そう思ってすぐに起き上がろうとして、あれっ? と気づく。私は夜着に着替えてて、ちゃんとベッドに寝かされた状態だったから。
ヘレンさんが着替えさせてくれたのかな、と思ってたら、扉がノックもされずに開いた。と思ったら、ヴィル様が入ってきた。
「サラサ、起きたのか」
「すみません、ヴィル様! ちょっと休憩しようと思ったら寝てしまってて! すぐに仕事に戻ります!」
「まだ休んでいろ。無理をするなと言ったはずだ」
「でも、みんな忙しいので……」
「エヴェリーナ嬢には早々にお帰り頂こう。そうすればいつもと変わりなく過ごせるだろう?」
「え!? ダメですよ! せっかくのご縁じゃありませんか! やっとヴィル様にも家族が出来るかも知れないんですから!」
「そんなものは望んでいない」
「どうしてですか! どうして幸せになろうとなさらないんですか?!」
「……私にはその資格はない」
「そんな事ありません! 人はみんな幸せになる為に生まれてくるんです! ヴィル様もそうです!」
「お前は私がエヴェリーナ嬢と婚姻を結べば良いと思っているのか?」
「……それがヴィル様の幸せならば……」
「……誰が相手であっても、私が幸せになることはない」
「ヴィル様……!」
「ゆっくり休め。食事を持ってこさせる」
背を向けて出て行こうとするヴィル様に、私は投げ付けるように言ってしまった。
「もう過去の事はお忘れください!」
そう言った途端、ヴィル様の足はピタリと止まった。そして此方を振り返る事もなく一言
「お前に何が分かる……」
と呟くように言って立ち去ってしまった。
過去に囚われて前を向こうとしないヴィル様の事なんて、分かりたくないよ。
知らずに涙がボロボロ溢れ出てくる。でも私は何も間違った事は言ってない。何も間違ってなんかない。
涙をゴシゴシ拭いて、着替えをして仕事に戻る。自分を顧みないヴィル様の言うことなんて聞いてやらない。やる事もいっばいあるし、ゆっくり休んでなんかいられないんだから。
部屋を出て、各部屋のゴミを集める。もう夕食の時間も過ぎていて、皆が後片付けをしている頃だった。エヴェリーナ様は湯浴みの時間かな? と思いながら、各部屋へ渡り歩く。
執務室はもしかしてまだヴィル様がいるかも知れないから後回しにしよう。こんな事をしてるのがバレたら、また怒られちゃうかも知れないもんね。
そう思って執務室の前から立ち去ろうとした時に声が聞こえてきた。それはヴィル様とエヴェリーナ様らしき女性の声。僅かに開けられている扉の隙間からは中の様子が垣間見れる。
ダメだ、こんなふうに盗み聞きしちゃ! そして盗み見しちゃ! すぐに立ち去ろうとして、だけど話の内容にその場から動けなくなってしまった。
「どうしてわたくしを見てくださろうとなさらないのですか!」
「私には必要ないからだ」
「どうしてですか! それは貴方の罪を今も悔やんでいらっしゃるからですか?!」
「罪、だと?」
「えぇ……わたくしは知っています。貴方の罪を……」
「何を知っていると言うのだ? 私の何を……」
「わたくしは……アンジェリーヌです」
「……っ!」
「アンジェリーヌの生まれ変わりです」
「そんな……そんな事は……!」
「本当でございます! おぼろ気にですが、前世の記憶がございます! わたくしは貴方様が愛してくださったアンジェリーヌです!」
「……いや……だが、しかし……」
「わたくしは貴方様を恨んではいません。ですからヴィルヘルム様。もう過去の事は気にしないでくださいませ」
「……っ!」
僅かに見えたヴィル様は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。エヴェリーナ様がそっとヴィル様を抱きしめる。それを何も言わずに受け入れたヴィル様……
ズキリと胸が痛む。
あんな顔もされるんだ……良かったです……良かった……
エヴェリーナ様はアンジェリーヌの生まれ変わりだって。そのアンジェリーヌをヴィル様は愛していたんだって。
ヴィル様は驚いて何も言えなくなっていた。
過去に囚われていた人に、過去に関わった人が現れたらどうなるの? それで前を向く事はできるの? また過去に囚われたままになってしまわない?
ヴィル様がそれで幸せになれるなら良い。
だけど……
私はその場から足音を立てずに、ゆっくりと立ち去った。大好きな大好きなヴィル様。これで幸せになれるのかな。エヴェリーナ様と幸せになるのかな。
それなら良かった。大好きな人には幸せになって貰いたい。だからこれで良いんだ。きっと。
なのにどうして涙が出るの? 涙が止まらないの?
誰よりも大好きな人で、誰よりも幸せを願っていたはずなのに、どうしてこんなに心が苦しいの……?
なんで誰も起こしてくれないの!
そう思ってすぐに起き上がろうとして、あれっ? と気づく。私は夜着に着替えてて、ちゃんとベッドに寝かされた状態だったから。
ヘレンさんが着替えさせてくれたのかな、と思ってたら、扉がノックもされずに開いた。と思ったら、ヴィル様が入ってきた。
「サラサ、起きたのか」
「すみません、ヴィル様! ちょっと休憩しようと思ったら寝てしまってて! すぐに仕事に戻ります!」
「まだ休んでいろ。無理をするなと言ったはずだ」
「でも、みんな忙しいので……」
「エヴェリーナ嬢には早々にお帰り頂こう。そうすればいつもと変わりなく過ごせるだろう?」
「え!? ダメですよ! せっかくのご縁じゃありませんか! やっとヴィル様にも家族が出来るかも知れないんですから!」
「そんなものは望んでいない」
「どうしてですか! どうして幸せになろうとなさらないんですか?!」
「……私にはその資格はない」
「そんな事ありません! 人はみんな幸せになる為に生まれてくるんです! ヴィル様もそうです!」
「お前は私がエヴェリーナ嬢と婚姻を結べば良いと思っているのか?」
「……それがヴィル様の幸せならば……」
「……誰が相手であっても、私が幸せになることはない」
「ヴィル様……!」
「ゆっくり休め。食事を持ってこさせる」
背を向けて出て行こうとするヴィル様に、私は投げ付けるように言ってしまった。
「もう過去の事はお忘れください!」
そう言った途端、ヴィル様の足はピタリと止まった。そして此方を振り返る事もなく一言
「お前に何が分かる……」
と呟くように言って立ち去ってしまった。
過去に囚われて前を向こうとしないヴィル様の事なんて、分かりたくないよ。
知らずに涙がボロボロ溢れ出てくる。でも私は何も間違った事は言ってない。何も間違ってなんかない。
涙をゴシゴシ拭いて、着替えをして仕事に戻る。自分を顧みないヴィル様の言うことなんて聞いてやらない。やる事もいっばいあるし、ゆっくり休んでなんかいられないんだから。
部屋を出て、各部屋のゴミを集める。もう夕食の時間も過ぎていて、皆が後片付けをしている頃だった。エヴェリーナ様は湯浴みの時間かな? と思いながら、各部屋へ渡り歩く。
執務室はもしかしてまだヴィル様がいるかも知れないから後回しにしよう。こんな事をしてるのがバレたら、また怒られちゃうかも知れないもんね。
そう思って執務室の前から立ち去ろうとした時に声が聞こえてきた。それはヴィル様とエヴェリーナ様らしき女性の声。僅かに開けられている扉の隙間からは中の様子が垣間見れる。
ダメだ、こんなふうに盗み聞きしちゃ! そして盗み見しちゃ! すぐに立ち去ろうとして、だけど話の内容にその場から動けなくなってしまった。
「どうしてわたくしを見てくださろうとなさらないのですか!」
「私には必要ないからだ」
「どうしてですか! それは貴方の罪を今も悔やんでいらっしゃるからですか?!」
「罪、だと?」
「えぇ……わたくしは知っています。貴方の罪を……」
「何を知っていると言うのだ? 私の何を……」
「わたくしは……アンジェリーヌです」
「……っ!」
「アンジェリーヌの生まれ変わりです」
「そんな……そんな事は……!」
「本当でございます! おぼろ気にですが、前世の記憶がございます! わたくしは貴方様が愛してくださったアンジェリーヌです!」
「……いや……だが、しかし……」
「わたくしは貴方様を恨んではいません。ですからヴィルヘルム様。もう過去の事は気にしないでくださいませ」
「……っ!」
僅かに見えたヴィル様は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。エヴェリーナ様がそっとヴィル様を抱きしめる。それを何も言わずに受け入れたヴィル様……
ズキリと胸が痛む。
あんな顔もされるんだ……良かったです……良かった……
エヴェリーナ様はアンジェリーヌの生まれ変わりだって。そのアンジェリーヌをヴィル様は愛していたんだって。
ヴィル様は驚いて何も言えなくなっていた。
過去に囚われていた人に、過去に関わった人が現れたらどうなるの? それで前を向く事はできるの? また過去に囚われたままになってしまわない?
ヴィル様がそれで幸せになれるなら良い。
だけど……
私はその場から足音を立てずに、ゆっくりと立ち去った。大好きな大好きなヴィル様。これで幸せになれるのかな。エヴェリーナ様と幸せになるのかな。
それなら良かった。大好きな人には幸せになって貰いたい。だからこれで良いんだ。きっと。
なのにどうして涙が出るの? 涙が止まらないの?
誰よりも大好きな人で、誰よりも幸せを願っていたはずなのに、どうしてこんなに心が苦しいの……?
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