ホラーゲームに異世界転移した最強のオッサンはクリーチャーを殲滅しつつ美少女に説教す

因幡雄介

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ホラーゲーム『デス・スペースシップ』

ショッピングセンターの怪

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 ショッピングセンターでは大広間に、いくつかテナントがあるだけで、宇宙船内だけに簡素な造りだった。

 衣服や食料品、ゲームセンターや本屋など、必要品や嗜好品までそろっていたようだ。

 ホラーゲームなので、床や壁は赤黒い血が飛び散っている。

「非番の日は、ここでよくタバコ買い込んでたよ」

 モナカがタバコを取り出し、火をつける。

 ちなみに私はとっくの昔にタバコはやめている。

 日本ではタバコは税金払っているようなものなので、買う意味もないと思っている。

「静かですね。きっとここに買い物にいった同僚も、化け物になってるんでしょうね」

 七瀬は一階にある食料品売り場を見つめながら言う。

 照明は照ってるので、電気はきているようだが、人がいないショッピングセンターはやはり不気味だ。

 クルミはテナントに興味を示し、行きたいようだが、七瀬が手を離してくれないようだ。

 通路を進んでいく。

 たまに配線から出る、電気がはじける音がする。

 化け物が暴れ回ったのか、壁が崩れ、階段の踏面が壊れている。

 足音が空間に響き渡る。

 モナカが鼻を動かし、

「変な臭いするね?」

 持っているサブマシンガンをかまえる。

 予想は的中。

 人の死体の山が、噴水広場の水のない水場に積み重なっている。

 七瀬はクルミを抱っこし、顔を引きつらせた。

 私は死体の山に近づき、

「ふむ。なんだか妙な感じだな?」
「そうだな。まずなんで死体の山ができてるのか? そしてこいつらはなぜ化け物となっていないのか? 見ろよ」

 男勝りのモナカが一体の死体を銃身で突く。

 化け物にやられた死体ならいくつも見た。

 だいたいかみつかれたか、両手の変化した刃物で斬られたかだ。

 だがこの死体は銃で撃ち殺されている。


『熱源反応。敵多数。周りを囲っています』


 文曲が反応。

 銃弾が床にはじかれた。

 黒い光沢が四方から私のほうに向けられた。


「ウ……テ……ウテ……」


 化け物の腕から銃がはえている。

 片言でぶつぶつしゃべり続ける。

 数は数十体いた。

「マジかよ? 銃なんて扱えるのか?」

 モナカの頬から透明な汗が落ちた。

 銃火器を扱える上に、ただ襲ってくるだけじゃなく、知能まで発達している。

 銃口の穴が私たちをのぞく。

 モナカが私のほうを向き、

「おいっ! どうするんだ!? 手を上げても攻撃をやめそうにないぞ!?」
「撃ちたまえ」
「はあっ!?」

 唾を飛ばしてくる。

「どうした? 私たちの死体を集めてお山を作るのだろう?」
『六道さん。撃たれれば、あなたは死にませんけど、ほかの人が死にます』
「違う違う。こういうときは念動力だろ?」
『あっ、そっちですか』

 後半、疎い文曲に、小さく教えてやる。

 ゲームの雰囲気を読んでくれ!

 文曲の準備ができたところでもういちど。

「さあどうした? 怖がっているのかね? 早く撃つんだ!」
「ウテ……ウテエエエエエエエエ!!」

 そう叫ぶと、化け物たちは銃を一斉放射。

『電磁スイッチオン。プラズマ放出。バリアー構築』

 丸型のバリアーが発生し、私と仲間たちを包んでいく。

 両目を閉じたモナカと七瀬があぜんとしていた。

「弾がまわってりゅー」

 クルミがクルクル回っている弾丸に手をのばす。

 銃の弾がバリアーの表面で止まり、回転し続けている。

 敵は崩れた目玉を私に向け、つぶやくように発していた言葉を忘れていた。

「おっと。人の物を取ってはいかんな。すぐに返してあげよう」
『サイコキネシス発動します』

 文曲の言葉と同時に、私は親指を床へさした。

 回転していた数多の銃弾が、すべて敵のほうに発射された。

 銃弾がクリーチャーの胴体や額を貫き、緑の液体を放出させながら、後ろに倒れる。

 ガラスが砕け、壁に火花が散った。

 モナカと七瀬はしゃがんで両耳を手で押さえていた。

 火薬のはじける音が消えたあと、再びショッピングセンターに静けさがおとずれる。

 モナカが伏せていた頭を上げ、

「おおっ、おいおい! ほんとにすげぇなオッサン!!」

 気安く私の装甲を平手でたたく。

「うわっ!? 股間もかてぇ」

 私の股下までたたくモナカ。

「なんというところをたたくんだ! もっと強くしないと、気持ち良くならんぞ!」
『六道さん。嫌がってないんですね』

 AIの感情のないツッコみにも慣れてきた。

「まだ敵がいるようですね」

 七瀬がクルミを引き寄せる。

 腕が銃になった敵のうちのひとりが、私を見てこそこそ逃げている。

 なるほど。集団がやられると逃げる敵か。

 クリーチャーにも性格があり、プレーヤーが強すぎると逃げるやつもいる。

『索敵に引っかからなかったのは、死体のふりをしていたようですね。熱源反応をおさえられるようです』

 文曲が敵をすぐに発見できなかった言い訳を述べる。

「でも消えちゃったよ?」

 クルミが逃げていく敵がいた方向に指を出す。

 いなくなってる。

 突然のできごとに、私と仲間は目を白黒させた。

「なっなんだ!?」

 モナカが膝を曲げて体を支えた。

 地響きがしている。

 私は七瀬とクルミのそばに立ち、敵の襲撃にそなえた。

 地響きは数秒でおさまる。

「なんだよいったい……おいっ!」
「どうした?」
「後ろ……後ろを見てみろ!!」

 モナカがあせっているので、後ろを振り向くと、床がブルドーザーで削られていったように、端を盛り上がらせ表面が掘り起こされている。

 テナントと別テナントの間、つまり、私たちがいる大広間に獣道ができているのだ。

 強引に削られていったのか、コーディングされていた船の金属が丸見えだ。


『マンイーターを感知しました。次のエリアのボスですね』


 文曲が冷静に次の敵を教えてくれた。
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