ホラーゲームに異世界転移した最強のオッサンはクリーチャーを殲滅しつつ美少女に説教す

因幡雄介

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ホラーゲーム『デス・スペースシップ』

鉱山エリアで詰む

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 モナカが穴から顔を出し、

「危なかったなオッサン! って、大丈夫かよ!?」

 と、私のかぶとから出る煙を見て言う。

「平気だ」

 パワードスーツの両目のディスプレーを光らせてやる。

「わかった。まぶしいからやめろ」

 モナカは手で光をさえぎった。

 クルミが穴から素早く飛び出し、

「おいたんすごいねぇ」
「なぜだかわかるか?」
「神だから?」
「よくわかっておる。ご褒美に抱っこしてくれる!」
「きゃははっ!」

 クルミを持ち上げ、肩に乗せてやった。

 楽しそうに笑っている。

 多少パワードスーツが爆発で熱くはなっているが、文曲が冷やしてくれているので、やけどはしないだろう。

「ありがとうございます。助かりました」

 七瀬はペコリと頭を下げる。

 私をいいように扱うくせに、わりと礼儀を心得ている。

「いいだろう。その礼儀正しさを評価して、貴様も抱っこしてくれる!」
「抱っこちゅる」

 クルミが「抱っこ」という部分だけかぶせてきた。

 私が近づいていくと、七瀬は両腕で胸をガードし、後ろに引き下がり、

「ちょ! いやっ! 何言ってるんですか! 近寄らないで! 変態!」
「遠慮をすることはない! 優しくしてやる!」
「セクハラ! セクハラですよ!」

 モナカの背中に隠れ出す。

「それならあたいを抱っこしてくれよ。ほら。巨乳のかよわい乙女だからさ」
「断る!」

 私はモナカに背中を見せた。

「なんでだよ?」
「人は原始の時代、猿だった。メスがオスを誘う手段は尻でしかない。貴様の巨乳はいわば尻であり、進化の過程で得た、オスを誘う生物兵器にすぎぬ! そんなもので私の気持ちは揺るがない――あきらめろ」
「……えっ? いや、何言ってんの??」

 モナカには、私の高尚な説明がよくわからないようだ。

『ネット知識をひろうしてもわかりませんよ。ようするに、性欲を感じないということですね』

 文曲がわかりやすく通訳した。

 モナカが親指を背中にさし、

「えー。じゃ、やっぱ七瀬のほうがいいってことかい?」
「ふううううううううう!!」

 隠れている七瀬はうなっていた。

 異性にかなりの潔癖感があるのだろう。

 ふっ、若いな。

 クルミを肩にのせたまま先に進む。

 植物育成エリアを抜けて、自動ドアが開いた先には、金網に囲まれた岩肌の壁が立ちふさがっていた。

 赤と白のパイロンが置かれていて、黄色と黒のバリケードが道を示している。

 金属製のトゲが、いくつも立った掘削機が放置されていた。

 ロードローラー型で、トゲを高速回転させ、岩壁を掘っていくのだろう。

 気になるのは、クリーチャーと思われる手や足が転がっていることか。

 本体はどうなったのか。

 モナカは銃に弾を込め、

「今は作業してないみたいだね。安い酒飲み屋でガテン系のオッサンたちが、給料もらえねぇってなげいてたよ」
「何を掘削してたんだ?」
「う~ん。レアメタルとかじゃないか? 宇宙ステーションは鉱山にいかりをおろしてるからね。本来の目的は、ここで貴重な鉱物を採取することだったんだろうね」

 そのために、こんな大型宇宙船を造り、従業員の家族を引っ越させたわけか。

 それがあだになって、ウイルスが広まり、人間によるクリーチャーができあがった。

 感染源はなんだ?

「クルミ。下ろすぞ」
「ええ~」
「またのせてやる」

 嫌がるクルミを肩から下ろして、七瀬に預ける。

「危険箇所が多い。気をつけろよ」
「はい」

 七瀬はクルミの手を持ち、穴に落ちないように見張っている。

 クリーチャーは姿を見せない。

 となりの植物エリアの毒素に大半やられただろうし、透明化になれる敵はたまたま近くにいたのかもしれない。

 中央コントロールルームに行くと、七瀬が制御システムを操作し始めた。

 システムのことはわからないが、管制棟と採掘場の線で結ばれた図面が、ディスプレー画面に浮かんでいる。

 七瀬は首を振り、

「ダメです。ブリッジが閉じられてて、管制棟の制御が言うことを聞きません。恐らく、サイホン指揮官がシステムを独立させたと思います」
「無人島にしたわけだね。自分だけ生き残るなんて、最低なやつだ」

 モナカが怒りからか、壁をぶん殴る。

「では教会からの道が正解だったのか?」
「いえ。たぶん、教会から行っても、状況は同じだと思います」
「私が壁をぶち破ってやろうか?」
「外は宇宙空間ですよ? あなたは死なないかもしれないけど、私たちが死にますよ」

 七瀬は絶望してしまったのか、顔を伏せてしまった。

 困ったな。私だけならいけそうな気はするが……。

 七瀬たちを置いていって、彼女たちがクリーチャーにやられるのは、さすがにまずい。

 いい手を考えてみるが、いつもネットの攻略サイトにお世話になっているので、自分で考えることができなくなっている。

「あれ? クルミはどうしたんだい?」

 モナカが声を上げた。

 制御室にクルミの姿はなかった。

 七瀬が透明な作業場を見渡せる、広いガラス窓に顔を向け、

「あっ! あの子!」

 クルミはとてとてと、岩壁の端のほうに走っていた。

「早く捕まえないと! きゃっ!?」

 七瀬の体がブレ、床に倒れた。

 地震が起こった。

 宇宙空間にもプレートがあるのか?

『熱源反応多数感知。地中にひそんでいたようです。第3ステージのボス、アンダーグラウンド・スキャンサーです』
「はっ!? どこにいる!」
『クルミちゃんのすぐそばです』

 文曲の言うことが本当なら、最悪の事態だった。
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