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第5話
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「いえっ、こちらこそ大変失礼しました、失礼しますっ」
「いや、予定よりはやく帰ってきたのはこちらだからね、ゆっくり作業してくれ」
(ゆっくりなんか出来ませんっ!)
そもそもお尻を向けて掃除なんかしてもいいのだろうか。かと言って、ジルベルトの方向にいちいち体を向けながら拭き掃除をするのもなんだかおかしいような気がする。些細なことで悩んでいるとジルベルトが部屋を出ていった。今の内に終わらせてしまおうと、素早く終わらせる。帰ってくる前に出ていこうと掃除用具を持ち上げた瞬間に団長が戻ってきた。手には救急箱を持っている。
「すまないが少し手伝ってくれるかい。若手騎士がまだ川で水浴びをしていてね」
「はいっ」
手当てのお手伝いだろうか。掃除道具を入り口のそばに立て掛けると、恐れ多いが団長に近づく。
団長がおもむろに騎士服とシャツを脱ぐと小麦色の肌を露出させた。大きな肩幅に立派な背中。全体的にしっとりと汗をかいている。背中の中心に綺麗な一本線が入り、両翼の筋肉が盛り上がっている。ウエストが少しきゅっと締まっており、男性なのに、美しさすら感じてしまう。まじまじと背中を見つめてゴクリと唾を飲み込んだ。
うなじの下、首の後ろに魔獸の爪痕だろうか。三本線の傷がある。血は止まっている。
「化膿止めを塗ってもらえるかな」
「畏まりました。あ、少しお水をいただきます」
入口付近にある棚に置かれている水差しを持つと、掃除用のバケツの上で手を洗う。
手渡された薬の蓋を開けて、指の腹に一匙掬う。
「お水で汚れは流されましたか?」
「ああ、流したよ」
「では塗りますね」
掬った薬を傷に塗り込む。
「出来ました」
「ありがとう、こんなおじさんに薬を塗らせて申し訳ない」
「いえいえ、お手伝いできて、光栄です……!」
昨日よりは自然に話せている気がする。
「ついでに救急箱も戻しておきますね」
「掃除道具もあるだろう?一緒にいこう」
「あ、そうでした......」
恥ずかしい。気を利かせたつもりが、気を使わせてしまった。でも嬉しい。
(一緒に歩いたりしてもいいんですかっ)
ジルベルトの部屋を出ようとすると掃除用のバケツを持ってくれた。お礼を言うと、こちらこそいつも感謝しているんだから、とお礼を返されてしまった。相変わらずの人の良さにニヨニヨと気持ちの悪い笑顔になってしまう。折角の機会だしと話しかけてみる。
「団長様が、お怪我なんて珍しいですよね......?体調など大丈夫でしょうか」
「体調はすこぶる元気だよ。今日の実践で足がすくんで動けなくなった騎士がいてね、かばった際に怪我をしてしまった」
私もまだまだだよ、という団長。
「訓練でどれだけ上達しても、実践で魔獸を目の前にすると、動けなくなってしまうことは実はよくあることなんだ」
「そうなんですねえ。......騎士様方が、定期的に数を減らしてくれるのが、とても助かっていると思います」
「エマさんも魔獣が多い地域の出身かい?」
「えっと、実はセイグル出身なんです」
えへへと笑うと、驚いているようだ。
「そうだったのか。ならば休みを設けてあげればよかったね。里帰りもしたかったろう」
今回の遠征にメイドの休みはない。遠征が終わってからまとまった休みをもらう予定だ。
「いえいえ、友人のソフィアとマリーンが今回の遠征のメイドとして参加してくれたので、友人とも会えましたし、それだけでも十分感謝しています」
「親御様にも会いたかったろう?......最終日に休みを作るか」
一人つぶやくように考えるジルベルトを慌てて止める。
「そんな、大丈夫です!昨年も里帰りしましたし」
「そうかい?そういえば家はどのあたりなんだ?」
「......中心部の隣町にあるガラワという町です」
「中心部はバドゥーセルかな?そちらには何度か訪れたことがあるよ」
エマは眩しそうにジルベルトを見つめた。
「何か困っていることはないかい」
「はい。今の所、何も困っていません」
「そうか、何かあったらすぐに頼りなさい」
やんわりと微笑むみながらも頼っていいと言い切る団長にときめく。仕事の一貫だとしても嬉しい。
「あ、あの、ご迷惑でなければ、騎士服を縫わせていただいても……?」
魔獣の爪痕が騎士服を綺麗に破いている。
「ああ、帰ってから衣装係に頼もうと思っていたが、……ではお願いするよ」
「はい、承りました」
「ただし、後回しにしてくれていいから」
「ふふふ、分かりました」
部屋に戻ったタイミングで、間違いなく真っ先に取り掛かるだろう自分を想像して笑ってしまった。
その夜。部屋で一人きりとなったエマは、丁寧に縫い上げた。過去の自分に感謝したくなった。縫製ができなければ、団長の服を直すことはできなかった。掃除も、調理も、この縫製も得意で良かったと心から思った。ほんのりと汗の香りがする騎士服をこっそり抱きしめた。
遠征三日目。
昨日は団長が少し怪我をしたものの、順調に小型魔獸の退治を進められたようだ。
騎士達は自信がついたのか雰囲気が大分良くなっている。
朝食を済ませると今日は訓練らしく、
宿舎近くで剣を振っている。遠目に団長を眺める。昨日近くで見た大きな体を思い出すと、胸が高鳴り体がうずうずと疼く。あの背中に飛び付けたらどれほど幸せか。
食事の片付けを終わらせると、エマとマリーンは洗濯の準備に移る。部屋から汚れた服を回収すると近くの川に運び、洗濯板で擦っていく。
泥汚れが酷い物は石鹸で落としていく。
「おはよ~」
お調子者のアベルが欠伸をしながらノロノロやってきた。
洗い場よりも上流で顔を洗うと話しかけてきた。
「急がなくて大丈夫ですか?もう始まっているようですけど」
「俺、指導役だもん」
お調子者ぶりに新人騎士だと思っていた。指導役ということは先輩騎士だ。そういえば騎士の紹介の時に端のほうにいた気もする。
「指導役だから早くいかなければならないのでは......?」
エマは思わず本音をこぼしてしまう。
「正論はモテないよ?エマちゃん」
「むっ、うるさいですよぅ!モテないことなんて知ってますー」
アベルがわははと楽しげに笑う。
「マリーンちゃーん」
エマの言うことなど気にも留めずにマリーンに話しかけている。
朝が弱いマリーンは気だるげに返事をしているようだが、それがなんとも艶めかしい。
そんなマリーンに鼻の下を伸ばしながらアベルは楽しそうだ。しばらくすると訓練の方向に走っていった。
「ほんとにエマとアベルさんって仲良しよねぇ」
「どこをどう見てそうなるの!?」
川での作業を終わらせて、往復し洗濯かごを運ぶ。宿舎前に物干しロープを張ると、片っ端から衣類を干していく。
「エマー!調理室の火がつかないんだけど見てくれなーい?」
「はーい!ごめんね、ちょっと抜けるね」
「行ってらっしゃーい」
エマは今日も大忙しである。
「いや、予定よりはやく帰ってきたのはこちらだからね、ゆっくり作業してくれ」
(ゆっくりなんか出来ませんっ!)
そもそもお尻を向けて掃除なんかしてもいいのだろうか。かと言って、ジルベルトの方向にいちいち体を向けながら拭き掃除をするのもなんだかおかしいような気がする。些細なことで悩んでいるとジルベルトが部屋を出ていった。今の内に終わらせてしまおうと、素早く終わらせる。帰ってくる前に出ていこうと掃除用具を持ち上げた瞬間に団長が戻ってきた。手には救急箱を持っている。
「すまないが少し手伝ってくれるかい。若手騎士がまだ川で水浴びをしていてね」
「はいっ」
手当てのお手伝いだろうか。掃除道具を入り口のそばに立て掛けると、恐れ多いが団長に近づく。
団長がおもむろに騎士服とシャツを脱ぐと小麦色の肌を露出させた。大きな肩幅に立派な背中。全体的にしっとりと汗をかいている。背中の中心に綺麗な一本線が入り、両翼の筋肉が盛り上がっている。ウエストが少しきゅっと締まっており、男性なのに、美しさすら感じてしまう。まじまじと背中を見つめてゴクリと唾を飲み込んだ。
うなじの下、首の後ろに魔獸の爪痕だろうか。三本線の傷がある。血は止まっている。
「化膿止めを塗ってもらえるかな」
「畏まりました。あ、少しお水をいただきます」
入口付近にある棚に置かれている水差しを持つと、掃除用のバケツの上で手を洗う。
手渡された薬の蓋を開けて、指の腹に一匙掬う。
「お水で汚れは流されましたか?」
「ああ、流したよ」
「では塗りますね」
掬った薬を傷に塗り込む。
「出来ました」
「ありがとう、こんなおじさんに薬を塗らせて申し訳ない」
「いえいえ、お手伝いできて、光栄です……!」
昨日よりは自然に話せている気がする。
「ついでに救急箱も戻しておきますね」
「掃除道具もあるだろう?一緒にいこう」
「あ、そうでした......」
恥ずかしい。気を利かせたつもりが、気を使わせてしまった。でも嬉しい。
(一緒に歩いたりしてもいいんですかっ)
ジルベルトの部屋を出ようとすると掃除用のバケツを持ってくれた。お礼を言うと、こちらこそいつも感謝しているんだから、とお礼を返されてしまった。相変わらずの人の良さにニヨニヨと気持ちの悪い笑顔になってしまう。折角の機会だしと話しかけてみる。
「団長様が、お怪我なんて珍しいですよね......?体調など大丈夫でしょうか」
「体調はすこぶる元気だよ。今日の実践で足がすくんで動けなくなった騎士がいてね、かばった際に怪我をしてしまった」
私もまだまだだよ、という団長。
「訓練でどれだけ上達しても、実践で魔獸を目の前にすると、動けなくなってしまうことは実はよくあることなんだ」
「そうなんですねえ。......騎士様方が、定期的に数を減らしてくれるのが、とても助かっていると思います」
「エマさんも魔獣が多い地域の出身かい?」
「えっと、実はセイグル出身なんです」
えへへと笑うと、驚いているようだ。
「そうだったのか。ならば休みを設けてあげればよかったね。里帰りもしたかったろう」
今回の遠征にメイドの休みはない。遠征が終わってからまとまった休みをもらう予定だ。
「いえいえ、友人のソフィアとマリーンが今回の遠征のメイドとして参加してくれたので、友人とも会えましたし、それだけでも十分感謝しています」
「親御様にも会いたかったろう?......最終日に休みを作るか」
一人つぶやくように考えるジルベルトを慌てて止める。
「そんな、大丈夫です!昨年も里帰りしましたし」
「そうかい?そういえば家はどのあたりなんだ?」
「......中心部の隣町にあるガラワという町です」
「中心部はバドゥーセルかな?そちらには何度か訪れたことがあるよ」
エマは眩しそうにジルベルトを見つめた。
「何か困っていることはないかい」
「はい。今の所、何も困っていません」
「そうか、何かあったらすぐに頼りなさい」
やんわりと微笑むみながらも頼っていいと言い切る団長にときめく。仕事の一貫だとしても嬉しい。
「あ、あの、ご迷惑でなければ、騎士服を縫わせていただいても……?」
魔獣の爪痕が騎士服を綺麗に破いている。
「ああ、帰ってから衣装係に頼もうと思っていたが、……ではお願いするよ」
「はい、承りました」
「ただし、後回しにしてくれていいから」
「ふふふ、分かりました」
部屋に戻ったタイミングで、間違いなく真っ先に取り掛かるだろう自分を想像して笑ってしまった。
その夜。部屋で一人きりとなったエマは、丁寧に縫い上げた。過去の自分に感謝したくなった。縫製ができなければ、団長の服を直すことはできなかった。掃除も、調理も、この縫製も得意で良かったと心から思った。ほんのりと汗の香りがする騎士服をこっそり抱きしめた。
遠征三日目。
昨日は団長が少し怪我をしたものの、順調に小型魔獸の退治を進められたようだ。
騎士達は自信がついたのか雰囲気が大分良くなっている。
朝食を済ませると今日は訓練らしく、
宿舎近くで剣を振っている。遠目に団長を眺める。昨日近くで見た大きな体を思い出すと、胸が高鳴り体がうずうずと疼く。あの背中に飛び付けたらどれほど幸せか。
食事の片付けを終わらせると、エマとマリーンは洗濯の準備に移る。部屋から汚れた服を回収すると近くの川に運び、洗濯板で擦っていく。
泥汚れが酷い物は石鹸で落としていく。
「おはよ~」
お調子者のアベルが欠伸をしながらノロノロやってきた。
洗い場よりも上流で顔を洗うと話しかけてきた。
「急がなくて大丈夫ですか?もう始まっているようですけど」
「俺、指導役だもん」
お調子者ぶりに新人騎士だと思っていた。指導役ということは先輩騎士だ。そういえば騎士の紹介の時に端のほうにいた気もする。
「指導役だから早くいかなければならないのでは......?」
エマは思わず本音をこぼしてしまう。
「正論はモテないよ?エマちゃん」
「むっ、うるさいですよぅ!モテないことなんて知ってますー」
アベルがわははと楽しげに笑う。
「マリーンちゃーん」
エマの言うことなど気にも留めずにマリーンに話しかけている。
朝が弱いマリーンは気だるげに返事をしているようだが、それがなんとも艶めかしい。
そんなマリーンに鼻の下を伸ばしながらアベルは楽しそうだ。しばらくすると訓練の方向に走っていった。
「ほんとにエマとアベルさんって仲良しよねぇ」
「どこをどう見てそうなるの!?」
川での作業を終わらせて、往復し洗濯かごを運ぶ。宿舎前に物干しロープを張ると、片っ端から衣類を干していく。
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