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第7話
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「エマ、機嫌がいいわねえ」
朝食の準備中。マリーンが手を動かしながら話しかけてくる。
「気づいちゃった?えへへ、実はね」
エマが昨夜の出来事を話そうとすると、昨夜聞いたばかりの低い声が話しかけてきた。
「エマ、マリーンさん、おはよう」
「お早うございます!」
ジルベルトがエマに向かって話しかける。
「エマ、昨日はしっかり寝れたかい」
「はい、お陰さまで……。甘いものに埋もれる夢を見ました」
「甘いものが、好きなのか。王宮から持たされた菓子が少しあるが、食べるかい」
「わあ!いいのですか!」
「じゃあ、今夜もおいで」
ジルベルトが立ち去ると、マリーンがエマの肩を揺さぶる。
「ちょっと、どういうことぉ?いつの間に呼び捨てにされてるの?今夜もって!も、って何があったのよーう!」
えへへ、ぐへへと笑いが止まらないエマはニヤニヤしながら昨日の出来事を話した。
「なにそれぇー良い感じじゃない!」
「エッチできる可能性ありそうかなっ」
「エッチって言うかー、普通に良い感じじゃん、エマに気があるんじゃないの」
「そんなわけないじゃん!あの団長様がだよ!こんなちんちくりんに気があるなんてありえないありえない」
「そうかなー」
「でも、一度くらい、相手してもらえる可能性、ワンチャンあるかなって」
「ワンチャンねえ......」
その日は一日中が幸せすぎた。廊下ですれ違うと、一瞬立ち止まってくれてにこりと優しい笑みを向け、通り過ぎていく。
討伐から帰ってくると、騎士達と外で上半身が裸のジルベルトが水浴びする所も見てしまった。あまりに眼福すぎる。
あの逞しい背中をもう一度拝見できたことで、さらにいやらしい妄想が膨らんでしまう。
あの汗ばんだ背中を惜しげもなく抱き締めながら、まだ開拓されたことのない自分を貫く姿を想像して、勝手にいやらしい気持ちになってしまう。
洗濯物を取り込みながら妄想するエマにソフィアが話し掛ける。
「なに、ニヤニヤしているの」
「んー団長様って、どんなエッチするのかなって」
「結構、淡白そう。性欲なさそう」
「ええ!?そうかな?」
「普段の様子からガツガツさを感じないよねえ……一度イったら終わりそう」
「一度イったら十分じゃない......?」
「セイグルの女は一度くらいじゃ満足しないわよ?」
いまだ経験のないエマには未知の世界である。一体みんなはどれほどすれば満足するのか。一夜で色んな体位でしたりするのだろうか。ジルベルトは一体、どんな体位が好きなんだろう。
「また自分の世界にいっちゃった」
呆れ顔のソフィアに気づかず、妄想を膨らませるエマであった。
一日の仕事が終わり、ソフィアとマリーンに応援されながら団長室に向かう。扉の前で深呼吸すると、扉を叩く。
「どうぞ」
エマが来たのが分かっているからか、優しい声色だ。
「エマです、失礼します」
顔を覗かせる。
昨夜と同じ場所で、グラスを傾けながら、机に置かれている書類を読んでいる。
「お邪魔じゃないですか?」
顔を上げてこちらを振り向く。
「私も、たまには癒しの時間がほしい」
(それは、私との時間に癒されるってことで、その理解で認識齟齬、ありませんでしょうかっ)
早速の口撃に心拍数が上がっていると、よく見ると団長の顔がほんのりと赤い。
「団長様、酔っていますね?」
「騎士達に酒を飲んでいることは内緒だよ」
(なんだ、酔ってるだけか……)
拍子抜けすると、ジルベルトの正面の席に座る。
「お酒は持ってきたのですか?」
「地元の方からの差し入れで貰ってね、エマはお酒は飲めるのかい?」
呼び捨てが慣れない。こそばゆい気持ちになってしまう。
「機会がなくて、あまり飲んだことがないのです」
「ふむ、飲んでみるかい?少し強い酒だが美味しいよ」
ジルベルトがグラスを寄こす。受け取る時に指先が触れ合った。
「あ、おじさんのグラスなんて嫌だな、失礼した」
再度グラスを掴もうとエマの指の上から大きな手がグラスを包み込む。
「あ、大丈夫です……少しいただきます」
大きな手のひらが離れていくと、グラスを口元に近づける。花とアルコールの香りが漂ってくる。でも嫌な香りじゃない。
グラスを傾けてほんの少し口に含んでみる。ツンと、強い刺激の後に口内から鼻に芳醇な香りが駆け抜ける。
「大人の、味がします」
じっとエマを見つめていたジルベルトは柔らかな笑みを浮かべながら、水をほんの少し足してくれた。
「こうすると、香りがより引き立つよ」
もう一度飲むと、先程よりも華やかになった香りが鼻をくすぐる。
「癖になりそう……」
「約束の菓子も出そう」
至れり尽くせりである。メイドにもたまに差し入れが入る王宮の焼き菓子だ。
しっとりとした食感にほんの少し塩っけがある。
王宮で貰う際は中に果実を煮詰めたジャムが入っていることが多いが、遠征用だからか、日持ちをよくするためなのか、中には何も入っていない。
お酒と合わせると、不思議なことにお酒の甘みが際立つ。
「甘いものと、このお酒、とっても合いますね」
「わかるよ。もう一つグラスを持ってこよう」
水差しとグラスが入り口の近くの棚に置いてある。ジルベルトは立ち上がるとグラスを一つ持つと戻ってくる。
コプ、コプとお洒落な瓶から少しだけ注いでくれると、エマに渡した。
「新しいものをどうぞ」
「あ、すみません……」
ジルベルトが先程まで自分が持っていたグラスを持つと、エマのほうに傾ける。
「素敵な夜に」
グラスを重ねて音を鳴らす。
ジルベルトがぐいっとあおぐ。先程自分が口をつけたグラスをジルベルトが飲んでいる。
喉仏が上下し、嚥下されていく。
(格好よすぎです……!)
全ての動作が優雅なのに、強く男らしいのはなぜだろう。ジルベルトは髪をかきあげると、書類に目を落とした。
エマはゆっくりとお菓子を食べる。
窓から外を覗くが真っ暗で何も見えない。視線を戻して書類に何かを書き込むジルベルトを盗み見る。
真剣な様子のため、しばらく黙っていようと、ジルベルトの観察を始めた。
少し癖のある髪が額に垂れている。長いまつ毛に少したれ目で人が良さそうな顔つき。鼻は高く、薄い唇。フェイスラインは彫刻のように美しい。騎士であるのに、しかも騎士団長なのに威圧感が全くない。
お酒をペロ、と舐めながらお菓子を口に含む。
(なんか、ハマっちゃいそう)
差し入れされるということはきっと高価なお酒だろう。同じ物は用意できないかもしれないが、王都に帰った時にお酒を買ってみようなんて考える。そして今日の宝物みたいなこの時間を思い出して、晩酌してみよう。
お酒を回して香りを堪能していると、ジルベルトがゆったりと座り直した姿でこちらを見つめていた。
「気に入ってもらえてよかったよ」
「とっても美味しいです、お酒も、お菓子も」
ジルベルトの視界に自分が入っていることが恥ずかしいのに、嬉しい。
「メイドになって、どれくらいだい?」
「もう七年になります。十六の時に雇っていただきました」
「もう七年も経ったのか……どうして王都へ?」
「そ、うですね、憧れでしょうか。お給金も高いですし、一度、王都に出たかったのです」
言い淀んだエマに、深くは追求しなかった。気も使えるとは完璧すぎる。
「……私も質問してもいいですか?」
「ああ、もちろん」
「言えなかったら全然、大丈夫なんですけど、もしかして、公爵家のお仕事もされているのですか?」
チラリと書類に目を向けて聞いてみる。
「よくわかったね、嫡男でね、逃れられない仕事が多いんだ」
「もちろん、存じあげております……」
「なぜ、騎士に?と思ったかい?」
「はい」
「幼い時に、領地経営よりも国を守ることに興味があった」
「なにか、きっかけがあったんですか?」
「当時領地と隣接する隣国と争いが起きていてね。下に弟が二人と、妹が二人いるんだが、単純だが子供ながらに自分が守ってやらねばと思ったんだよ。……まあ、騎士になると、単純に力をつけるだけでは駄目だと分かったんだが」
なんて素直で素敵な理由なんだろう。公爵家に産まれて全てを持っている身分で、騎士になるために努力をしようとする人がどこにいるのだろうか。騎士団は上下関係も厳しいと聞くし、ここまでの道のりは公爵家の嫡男と言えど、むしろ公爵家の嫡男だからこそ大変なことが多かっただろう。
「では、次は私の質問だ」
「はい」
どうやら順番に質問する流れになったようだ。
「何が好きだい?食べ物でも、着飾るものでもなんでも」
「うーん、なんでしょう」
改めて聞かれ考えてみる。
「甘いものも好きですし、お休みの日は外に出かけることも好きですね」
「どこにでかけるんだい」
「城下町をブラブラと……特にあてもなく歩いたりします」
なんとも面白くない答えに申し訳なくなる。
「……えっと、では私の番ですね」
「ああ、どうぞ」
「反対に、団長様の好きな物はなんですか?」
「その昨日から思っていたんだが、団長様というのはやめないか?」
「今は私の質問の番ですよ?」
「おっと、すまない」
エマが吹き出す。
「私の、好きな物か……酒は好きだな、特別強い訳ではないんだが」
「お酒、私も買ってみようと思います」
「外で飲むのはやめた方がいい」
「なぜですか?」
「悪い男に騙されてしまっては駄目だろう?」
「あはは、そんなのありえませんよう!」
「そんなこと、ないと思うが」
そうしてゆったりと時間は過ぎたのだった。
朝食の準備中。マリーンが手を動かしながら話しかけてくる。
「気づいちゃった?えへへ、実はね」
エマが昨夜の出来事を話そうとすると、昨夜聞いたばかりの低い声が話しかけてきた。
「エマ、マリーンさん、おはよう」
「お早うございます!」
ジルベルトがエマに向かって話しかける。
「エマ、昨日はしっかり寝れたかい」
「はい、お陰さまで……。甘いものに埋もれる夢を見ました」
「甘いものが、好きなのか。王宮から持たされた菓子が少しあるが、食べるかい」
「わあ!いいのですか!」
「じゃあ、今夜もおいで」
ジルベルトが立ち去ると、マリーンがエマの肩を揺さぶる。
「ちょっと、どういうことぉ?いつの間に呼び捨てにされてるの?今夜もって!も、って何があったのよーう!」
えへへ、ぐへへと笑いが止まらないエマはニヤニヤしながら昨日の出来事を話した。
「なにそれぇー良い感じじゃない!」
「エッチできる可能性ありそうかなっ」
「エッチって言うかー、普通に良い感じじゃん、エマに気があるんじゃないの」
「そんなわけないじゃん!あの団長様がだよ!こんなちんちくりんに気があるなんてありえないありえない」
「そうかなー」
「でも、一度くらい、相手してもらえる可能性、ワンチャンあるかなって」
「ワンチャンねえ......」
その日は一日中が幸せすぎた。廊下ですれ違うと、一瞬立ち止まってくれてにこりと優しい笑みを向け、通り過ぎていく。
討伐から帰ってくると、騎士達と外で上半身が裸のジルベルトが水浴びする所も見てしまった。あまりに眼福すぎる。
あの逞しい背中をもう一度拝見できたことで、さらにいやらしい妄想が膨らんでしまう。
あの汗ばんだ背中を惜しげもなく抱き締めながら、まだ開拓されたことのない自分を貫く姿を想像して、勝手にいやらしい気持ちになってしまう。
洗濯物を取り込みながら妄想するエマにソフィアが話し掛ける。
「なに、ニヤニヤしているの」
「んー団長様って、どんなエッチするのかなって」
「結構、淡白そう。性欲なさそう」
「ええ!?そうかな?」
「普段の様子からガツガツさを感じないよねえ……一度イったら終わりそう」
「一度イったら十分じゃない......?」
「セイグルの女は一度くらいじゃ満足しないわよ?」
いまだ経験のないエマには未知の世界である。一体みんなはどれほどすれば満足するのか。一夜で色んな体位でしたりするのだろうか。ジルベルトは一体、どんな体位が好きなんだろう。
「また自分の世界にいっちゃった」
呆れ顔のソフィアに気づかず、妄想を膨らませるエマであった。
一日の仕事が終わり、ソフィアとマリーンに応援されながら団長室に向かう。扉の前で深呼吸すると、扉を叩く。
「どうぞ」
エマが来たのが分かっているからか、優しい声色だ。
「エマです、失礼します」
顔を覗かせる。
昨夜と同じ場所で、グラスを傾けながら、机に置かれている書類を読んでいる。
「お邪魔じゃないですか?」
顔を上げてこちらを振り向く。
「私も、たまには癒しの時間がほしい」
(それは、私との時間に癒されるってことで、その理解で認識齟齬、ありませんでしょうかっ)
早速の口撃に心拍数が上がっていると、よく見ると団長の顔がほんのりと赤い。
「団長様、酔っていますね?」
「騎士達に酒を飲んでいることは内緒だよ」
(なんだ、酔ってるだけか……)
拍子抜けすると、ジルベルトの正面の席に座る。
「お酒は持ってきたのですか?」
「地元の方からの差し入れで貰ってね、エマはお酒は飲めるのかい?」
呼び捨てが慣れない。こそばゆい気持ちになってしまう。
「機会がなくて、あまり飲んだことがないのです」
「ふむ、飲んでみるかい?少し強い酒だが美味しいよ」
ジルベルトがグラスを寄こす。受け取る時に指先が触れ合った。
「あ、おじさんのグラスなんて嫌だな、失礼した」
再度グラスを掴もうとエマの指の上から大きな手がグラスを包み込む。
「あ、大丈夫です……少しいただきます」
大きな手のひらが離れていくと、グラスを口元に近づける。花とアルコールの香りが漂ってくる。でも嫌な香りじゃない。
グラスを傾けてほんの少し口に含んでみる。ツンと、強い刺激の後に口内から鼻に芳醇な香りが駆け抜ける。
「大人の、味がします」
じっとエマを見つめていたジルベルトは柔らかな笑みを浮かべながら、水をほんの少し足してくれた。
「こうすると、香りがより引き立つよ」
もう一度飲むと、先程よりも華やかになった香りが鼻をくすぐる。
「癖になりそう……」
「約束の菓子も出そう」
至れり尽くせりである。メイドにもたまに差し入れが入る王宮の焼き菓子だ。
しっとりとした食感にほんの少し塩っけがある。
王宮で貰う際は中に果実を煮詰めたジャムが入っていることが多いが、遠征用だからか、日持ちをよくするためなのか、中には何も入っていない。
お酒と合わせると、不思議なことにお酒の甘みが際立つ。
「甘いものと、このお酒、とっても合いますね」
「わかるよ。もう一つグラスを持ってこよう」
水差しとグラスが入り口の近くの棚に置いてある。ジルベルトは立ち上がるとグラスを一つ持つと戻ってくる。
コプ、コプとお洒落な瓶から少しだけ注いでくれると、エマに渡した。
「新しいものをどうぞ」
「あ、すみません……」
ジルベルトが先程まで自分が持っていたグラスを持つと、エマのほうに傾ける。
「素敵な夜に」
グラスを重ねて音を鳴らす。
ジルベルトがぐいっとあおぐ。先程自分が口をつけたグラスをジルベルトが飲んでいる。
喉仏が上下し、嚥下されていく。
(格好よすぎです……!)
全ての動作が優雅なのに、強く男らしいのはなぜだろう。ジルベルトは髪をかきあげると、書類に目を落とした。
エマはゆっくりとお菓子を食べる。
窓から外を覗くが真っ暗で何も見えない。視線を戻して書類に何かを書き込むジルベルトを盗み見る。
真剣な様子のため、しばらく黙っていようと、ジルベルトの観察を始めた。
少し癖のある髪が額に垂れている。長いまつ毛に少したれ目で人が良さそうな顔つき。鼻は高く、薄い唇。フェイスラインは彫刻のように美しい。騎士であるのに、しかも騎士団長なのに威圧感が全くない。
お酒をペロ、と舐めながらお菓子を口に含む。
(なんか、ハマっちゃいそう)
差し入れされるということはきっと高価なお酒だろう。同じ物は用意できないかもしれないが、王都に帰った時にお酒を買ってみようなんて考える。そして今日の宝物みたいなこの時間を思い出して、晩酌してみよう。
お酒を回して香りを堪能していると、ジルベルトがゆったりと座り直した姿でこちらを見つめていた。
「気に入ってもらえてよかったよ」
「とっても美味しいです、お酒も、お菓子も」
ジルベルトの視界に自分が入っていることが恥ずかしいのに、嬉しい。
「メイドになって、どれくらいだい?」
「もう七年になります。十六の時に雇っていただきました」
「もう七年も経ったのか……どうして王都へ?」
「そ、うですね、憧れでしょうか。お給金も高いですし、一度、王都に出たかったのです」
言い淀んだエマに、深くは追求しなかった。気も使えるとは完璧すぎる。
「……私も質問してもいいですか?」
「ああ、もちろん」
「言えなかったら全然、大丈夫なんですけど、もしかして、公爵家のお仕事もされているのですか?」
チラリと書類に目を向けて聞いてみる。
「よくわかったね、嫡男でね、逃れられない仕事が多いんだ」
「もちろん、存じあげております……」
「なぜ、騎士に?と思ったかい?」
「はい」
「幼い時に、領地経営よりも国を守ることに興味があった」
「なにか、きっかけがあったんですか?」
「当時領地と隣接する隣国と争いが起きていてね。下に弟が二人と、妹が二人いるんだが、単純だが子供ながらに自分が守ってやらねばと思ったんだよ。……まあ、騎士になると、単純に力をつけるだけでは駄目だと分かったんだが」
なんて素直で素敵な理由なんだろう。公爵家に産まれて全てを持っている身分で、騎士になるために努力をしようとする人がどこにいるのだろうか。騎士団は上下関係も厳しいと聞くし、ここまでの道のりは公爵家の嫡男と言えど、むしろ公爵家の嫡男だからこそ大変なことが多かっただろう。
「では、次は私の質問だ」
「はい」
どうやら順番に質問する流れになったようだ。
「何が好きだい?食べ物でも、着飾るものでもなんでも」
「うーん、なんでしょう」
改めて聞かれ考えてみる。
「甘いものも好きですし、お休みの日は外に出かけることも好きですね」
「どこにでかけるんだい」
「城下町をブラブラと……特にあてもなく歩いたりします」
なんとも面白くない答えに申し訳なくなる。
「……えっと、では私の番ですね」
「ああ、どうぞ」
「反対に、団長様の好きな物はなんですか?」
「その昨日から思っていたんだが、団長様というのはやめないか?」
「今は私の質問の番ですよ?」
「おっと、すまない」
エマが吹き出す。
「私の、好きな物か……酒は好きだな、特別強い訳ではないんだが」
「お酒、私も買ってみようと思います」
「外で飲むのはやめた方がいい」
「なぜですか?」
「悪い男に騙されてしまっては駄目だろう?」
「あはは、そんなのありえませんよう!」
「そんなこと、ないと思うが」
そうしてゆったりと時間は過ぎたのだった。
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