ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~

白黒 キリン

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青の村への旅にて 兄さんの行動と釣り上げ

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 河辺での一騒動から大河に沿っての移動を始めてしばらく経った。僕は破壊猪ハンマーボアの背中に乗ってるけど、他のみんなは景色が結構な速さで流れていくぐらいの速度で走ってる。まあ、正確に言えば一人は走っていないけどね。僕がディグリを見るとディグリも僕を見てきた。

「ドウカサレマシタカ?」
「前に大神林だいしんりんの奥に行く時にも見たけど、ディグリはそういう風に移動するんだなって」
「エエ、コノ方ガ私ニハ楽デスネ」
「ディグリは全身植物だから、そうなるか」
「ハイ」

 今のディグリがどんな方法でみんなと並走してるかと言えば、上半身は人型のまま動かさず下半身を蛇のように伸ばし左右に高速で蛇行させて前に進んでいる。しかも、他のみんなは河沿いとはいえ地形によって飛び越えたり飛び降りたりと上下動があるけど、ディグリはみんなよりはるかに上下動が少なくスルスル滑るように移動していた。

「良ケレバ私ノ身体ニ乗ッテミマスカ?」
「ブオ!!」
「イケマセンカ?」
「ガア!!」
「フム、今ハ良イデショウ。デスガ、無様ナ事ニナレバ私ガソノ背ニ乗セル役目ヲイタダキマス」
「ブオ」
「ガ」
「絶対ニアリエナイデスカ……、私は何度カ、アナタ方ノ無様ナ様子ヲ見タ事ガアリマスヨ?」
「「…………」」
「何カ?」

 高速で移動しながらのにらみ合いはやめてほしい。破壊猪ハンマーボアは背中に乗ってる僕に負担がかからないようにできるだけ速度の変化も上下動も小さくしてくれてたのに、にらみ合いになってからは動きが雑になってきた。……うっ。

破壊猪ハンマーボア、にらみ合いしてるところごめん。このまま行くと酔いそうだから動きを抑えてくれると嬉しい。ディグリも挑発しないで」
「ブ、ブオ……」
「大人気アリマセンデシタ。スミマセン」
「ありがとう」

 ドバーーーン!!! 

 にらみ合いが終わり、ホッとしたのも束の間、横の大河からかなり巨大な物体が水面を割って飛び出てきた。……水面から鋭い牙をむき出しにして口を開けている姿は前世でいうワニにそっくりだね。突然の事態に全員が河沿いから飛び退き戦闘態勢になった。

「あれは大霊湖だいれいこ大霊湖だいれいこに流れ込む大河に生息する魔獣だね。こちらに敵意を表しているのは、三体のにらみ合いに触発されたからだろう」
「姫さま、河沿いから離れて移動しましょう」
「そうだね。あの魔獣は陸地での動きは鈍いから、タキタの言う通り大河から離れるとしよう。みんな行く「飯だーーーー!!!! 強化魔法パワーダ!!!! オラァ!!!!」……」
「ちょっと、ガル!!」

 イリュキンが号令を言おうとした時に、兄さんが大河の水面から出ている巨大なワニみたいな魔獣に向かって弾丸のような速さで跳んでいき、ワニみたいな魔獣が反応する前に強化魔法パワーダを全力で発動させて殴った。そして兄さんは殴ったワニみたいな魔獣が河に沈む前に殴った時の回転の勢いを殺さずワニみたいな魔獣をつかみ、そのまま河の中から引きずり出すと振り回して僕達の方に投げてくる。

「まったくガルったら食い意地を張りすぎよ」
「ガル君らしいですね」
「あとで説教だ」
「あそこまで堂々と動かれたら、いっそ清々しいから不思議だね」
「ふむ、見事な動きですな」

 みんなが兄さんの行動にいろんな反応をする中、かなり無茶な動きだったし勢いがなくなって兄さんは河に落ちた。その様子を見ていた僕は気になった事をつぶやく。

「兄さんって泳げた?」
「「「あっ」」」
「ガボッ、ゴボッ、ガハッ」

 完全に兄さんは溺れてる。大神林だいしんりんにも河はあるけど、河以外で充分な獲物が取れるから黒のみんながわざわざ河に入る事も泳ぐ事もない。いくら竜人族りゅうじんぞくの運動神経が間違いなく最上級でも慣れない事を突然やれって言う方が無理だし、しかも兄さんは河に落ちる事なんて全く考えてなかったはずだから泳ぐって事への対応が余計にできてない。……って、現実逃避気味に冷静に見てる場合じゃなかった、兄さんを助けないと。

「ディグリ、兄さんを河から助けて」
「オマカセヲ」

 僕が頼むとディグリは腕の形にまとめてる蔓を解き兄さんに向かって伸ばしていく。少し離れてたけどディグリの蔓はすぐに届いてしっかりと兄さんの身体に絡みついた後、ディグリは兄さんをグンっと釣り上げた。うん、良い感じに兄さんがこっちに飛んでくる。

鬼熊オーガベア、受けとめて」
「ガア」

 僕が言うと鬼熊オーガベアは立ち上がり、ディグリに釣り上げられて飛んできた兄さんをたくましい胸と腕で受け止め地面にゆっくりと降ろした。

「兄さん、大丈夫?」
「ハァハァ、ゲホッ。お、おう、大丈夫だ。ディグリに鬼熊オーガベア、助かった」
「ゴ無事デ何ヨリデス」
「ガ」
「そうだ!! 飯は!?」
「……言う事はそれだけか?」
「おっさん……これは、イデデデデ」

 いつのまにかラカムタさんが兄さんの隣に立っていて、険しい顔で兄さんを見下ろしていた。さすがに兄さんもまずいと思ったのか慌てて何かを言おうとしたけど、ラカムタさんがその前に兄さんの頭をガシッと頭をつかむ。……兄さんは乱闘の時もラカムタさんに頭をつかまれてたけど大丈夫かな? まあ、兄さんの行動は不用心すぎるからしかたないといえばしかたないよね。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。

 感想や評価もお待ちしています。
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