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青の村への旅にて 会話と臨戦
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さて、タキタさんと散歩に出たのは良いんだけど問題がある。それは僕がこの辺りの地理に詳しくないって事だ。僕一人だったら危険な状況になっても平気だけど、僕から誘ったタキタさんを連れて万が一にも危険な場所や危険な事には近づきたくないから、植物に同調で危険なところを聞こうにも河の魔力が強すぎて植物が生えてないんだよね。
本当に危険に近づいてたらタキタさんが言ってくれるとは思う。でも自分で用心しておくに越した事はないというわけで腰の小袋から種を一つ取り出し、地面からひと握り取った土で包み魔法を発動させた。
「緑盛魔法・偽りの探知者」
僕の掌で成長して小さな花をつけたこの植物は偽枯草っていう名前で、その名の通り危険なものが近くにあると枯れたような見た目になり危険が過ぎると元に戻るっていう性質を持つ植物だ。……うん、花が咲いた綺麗なままだから危険はないみたい。タキタさんが僕のやり方を見て感心したようにつぶやく。
「ヤート殿は本当に自然体ですな」
「今の僕が自然体? 初めての場所で慎重になってるから自然体じゃないよ」
「わしには黒の村で過ごされている時と同じように自然体に見えますが……」
「それは僕の感情と表情が薄いからだね。あと僕はいろいろ考え方がズレてるみたいだからそれもあるかも」
「それはヤート殿自身も、そう思っているのですか?」
「みんなは魔獣を怖い存在だって言ってるけど僕は怖く感じないし、みんなが危険だっていう場所にも平気で行ける。これって僕に勇気があるとかじゃなくて、僕の危機感がみんなとはズレてるって事だよね?」
「その違いは気になりませんか?」
「ならない。僕は僕だし今のところそこまで迷惑はかけてない……はずだから」
「自分は自分ですか。なるほど……」
タキタさんは僕に話しかけながら何かを考えているみたいだった。
「変かな?」
「いえ、そう思える事は素晴らしい事です。ぜひ青の子供達に聞かせたい」
「なんで青の話になるの?」
「青の子供達は水添えや水守を目指します。しかし、どうしても器用でないものや合わないものが出てきて脱落していきます。そして一度脱落したものは無気力になったり諦めたりで、なかなか上がってこれないのです」
「そういう事か。僕はほとんど知らないけど黒の子供でもそういうのはあるかも」
「知らないのですか?」
「うん、僕は元々興味が薄いし基本的に兄さんと姉さんとリンリー以外の黒の子供とはからんでないから、兄さんと姉さんからチラッと聞いたり前にリンリーから相談された事くらいしか知らない」
「気になら……ないんですね」
「さっきも言ったけど僕は僕だから」
「なるほど、実にヤート殿らしい」
タキタさんが額に手を当てて目尻にしわを寄せて微笑んだ。でも、すぐに苦々しい顔になった。
「大人がどれほど鍛錬を続けるように言っても、成果が出ている子と成果の出ない自分を比べてやめてしまうのです。いずれ大木となる苗木と言えども、すぐに成長するわけでもないというのに……」
「欠色の僕の話は参考になるのかな? 一度脱落したけど乗り越えて強くなった青の大人が話をした方が脱落した子達には響くと思うけど」
「そうかもしれませんが、やはり同年代のヤート殿から自分は自分という考えがあるという事を聞かせたいのです」
かなり長く生きてるっぽいタキタさんなら、そういう諦めてやめてしまった子供を何人も見てきたんだろうね。本当に悔しそうだ。
「ヤート殿はどうやって自分は自分という考えに至ったのですか?」
「うーん、黒のみんなから欠色の事を聞いて悩んでもどうにもならない事だってわかって開き直った後に、今の僕は話せて動けて食べれて優しくて頼りになる人達や三体が周りにいるから良いかって納得した」
「そうですか……」
前世の事以外で僕が今思っている事を素直に伝えると、それっきりタキタさんは話さなくなった。僕は無言の時間が苦にならないから、そのまましばらく黙ったまま二人並んで歩いてみんなのところに戻る事になった。……しまった。タキタさんと散歩したのにタキタさんの事を聞けてない。僕が少し失敗したなって思ってると並んで歩いてたタキタさんが立ち止まる。
「タキタさん、どうかした?」
「ヤート殿、わしと手合わせしていただきたい」
「突然だね。場所はここ?」
「今この場でヤート殿と戦いたいです」
タキタさんから言われた事が意外だった。タキタさんって僕と同じかそれ以上に戦うのを避ける人だと思ってたから本当に意外だ。……真剣な顔で頼んできてるんだから断るのも違うよね。うん、理由は後で話してくれると思うし、これも観察につながるって考えて今は難しく考えないでおこう。
「わかった。やろう」
「即断ありがとうございます」
僕は戦うのはそこまで好きじゃないけど、たぶんラカムタさんより強いかもしれないタキタさんと向かい合ったらちょっとだけワクワクしてきた。僕も少しは竜人族らしくなってきたかな。
本当に危険に近づいてたらタキタさんが言ってくれるとは思う。でも自分で用心しておくに越した事はないというわけで腰の小袋から種を一つ取り出し、地面からひと握り取った土で包み魔法を発動させた。
「緑盛魔法・偽りの探知者」
僕の掌で成長して小さな花をつけたこの植物は偽枯草っていう名前で、その名の通り危険なものが近くにあると枯れたような見た目になり危険が過ぎると元に戻るっていう性質を持つ植物だ。……うん、花が咲いた綺麗なままだから危険はないみたい。タキタさんが僕のやり方を見て感心したようにつぶやく。
「ヤート殿は本当に自然体ですな」
「今の僕が自然体? 初めての場所で慎重になってるから自然体じゃないよ」
「わしには黒の村で過ごされている時と同じように自然体に見えますが……」
「それは僕の感情と表情が薄いからだね。あと僕はいろいろ考え方がズレてるみたいだからそれもあるかも」
「それはヤート殿自身も、そう思っているのですか?」
「みんなは魔獣を怖い存在だって言ってるけど僕は怖く感じないし、みんなが危険だっていう場所にも平気で行ける。これって僕に勇気があるとかじゃなくて、僕の危機感がみんなとはズレてるって事だよね?」
「その違いは気になりませんか?」
「ならない。僕は僕だし今のところそこまで迷惑はかけてない……はずだから」
「自分は自分ですか。なるほど……」
タキタさんは僕に話しかけながら何かを考えているみたいだった。
「変かな?」
「いえ、そう思える事は素晴らしい事です。ぜひ青の子供達に聞かせたい」
「なんで青の話になるの?」
「青の子供達は水添えや水守を目指します。しかし、どうしても器用でないものや合わないものが出てきて脱落していきます。そして一度脱落したものは無気力になったり諦めたりで、なかなか上がってこれないのです」
「そういう事か。僕はほとんど知らないけど黒の子供でもそういうのはあるかも」
「知らないのですか?」
「うん、僕は元々興味が薄いし基本的に兄さんと姉さんとリンリー以外の黒の子供とはからんでないから、兄さんと姉さんからチラッと聞いたり前にリンリーから相談された事くらいしか知らない」
「気になら……ないんですね」
「さっきも言ったけど僕は僕だから」
「なるほど、実にヤート殿らしい」
タキタさんが額に手を当てて目尻にしわを寄せて微笑んだ。でも、すぐに苦々しい顔になった。
「大人がどれほど鍛錬を続けるように言っても、成果が出ている子と成果の出ない自分を比べてやめてしまうのです。いずれ大木となる苗木と言えども、すぐに成長するわけでもないというのに……」
「欠色の僕の話は参考になるのかな? 一度脱落したけど乗り越えて強くなった青の大人が話をした方が脱落した子達には響くと思うけど」
「そうかもしれませんが、やはり同年代のヤート殿から自分は自分という考えがあるという事を聞かせたいのです」
かなり長く生きてるっぽいタキタさんなら、そういう諦めてやめてしまった子供を何人も見てきたんだろうね。本当に悔しそうだ。
「ヤート殿はどうやって自分は自分という考えに至ったのですか?」
「うーん、黒のみんなから欠色の事を聞いて悩んでもどうにもならない事だってわかって開き直った後に、今の僕は話せて動けて食べれて優しくて頼りになる人達や三体が周りにいるから良いかって納得した」
「そうですか……」
前世の事以外で僕が今思っている事を素直に伝えると、それっきりタキタさんは話さなくなった。僕は無言の時間が苦にならないから、そのまましばらく黙ったまま二人並んで歩いてみんなのところに戻る事になった。……しまった。タキタさんと散歩したのにタキタさんの事を聞けてない。僕が少し失敗したなって思ってると並んで歩いてたタキタさんが立ち止まる。
「タキタさん、どうかした?」
「ヤート殿、わしと手合わせしていただきたい」
「突然だね。場所はここ?」
「今この場でヤート殿と戦いたいです」
タキタさんから言われた事が意外だった。タキタさんって僕と同じかそれ以上に戦うのを避ける人だと思ってたから本当に意外だ。……真剣な顔で頼んできてるんだから断るのも違うよね。うん、理由は後で話してくれると思うし、これも観察につながるって考えて今は難しく考えないでおこう。
「わかった。やろう」
「即断ありがとうございます」
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