195 / 318
青の村にて 立ち会いの申し出と弱点
しおりを挟む
さて、小休憩もできたし僕も兄さん達に置いていかれないよう頑張ろう。僕は界気化した魔力を全身から放ちつつラカムタさんの顔を見る。
「ラカムタさん」
「ヤート、どうし……お?」
ラカムタさんは僕の頭から手を離す前に、いつのまにか僕が一歩退がっていた事に気付きポカンとした顔になった。
「だいぶ界気化した魔力を放つのに慣れてきたよ」
「今のはヤート殿に呼びかけられた事で、ラカムタ殿の意識が手から逸れた時を界気化した魔力で感知したのですね」
「そして、ヤート殿はその瞬間を逃さず一歩後ろに退がったわけですな」
「イーリリスさんとタキタさんの言う通り。僕の動きはどうだった? ラカムタさん」
「…………大したもんだ」
ラカムタさんは自分の手と僕を見てから苦笑した後に褒めてくれた。
「ありがとう。まあ、これは今のラカムタさん相手だからできたんだけどね」
「俺は昨日のハインネルフ殿達との手合わせで、それだけ消耗して鈍ってるってわけだな」
「そういう事。だから、ゆっくり休んで。ハインネルフさん達もだよ」
「わかった。ゆっくりさせてもらおう」
「うむ、了解だ」
「うふふ、わかりました」
「ホッホッホ、承知しましたぞ。ヤート殿」
「それじゃあ僕は、また手合わせをしてくるね」
ラカムタさん達に頭を下げてから、手合わせで盛り上がっている広場の中央に歩いていく。でも、僕はすぐに立ち止まる。なぜなら……。
「僕に何か用? 青のヌイジュ」
「…………」
僕を嫌っているはずの青のヌイジュが、僕の進行方向に立って僕をジッと見ているからだ。
「要件は何?」
「…………」
ヌイジュは何も答えてくれないけど、この場合はどうするべきなんだろ? ……表情は少し眉間にシワが寄ってるくらいで、界気化した魔力を放ってみても害意は感知できない。…………考えてもわからないから割り切るか。僕は再び歩き出しヌイジュに近づいていく。
「ヤート‼︎」
ラカムタさんが大声を出した事で、周りのみんなも僕とヌイジュに気付き空気が張り詰める。そしてヌイジュを見る兄さん達の気配が刺々しいものになった時に、僕はヌイジュから三歩離れたところにいた。……何も起こらない。
二歩まで近づく。……何も起こらない。
さらにヌイジュへと一歩近づく。ラカムタさん達がいつでも動けるように構えたけど何も起こらない。
とうとう僕はヌイジュの右横を通り抜けた。……やっぱり何も起こらない。僕を見てただけで特に用はなかったのかな?
「…………待て」
どうやら僕を見てただけじゃなくて、本当に用があったらしい。僕はヌイジュの方を向き改めて聞いてみた。
「僕に何か用?」
「…………俺と立ち会え」
ヌイジュの言葉を聞いて三体も警戒心を表に出し始める。今までの事があるとはいえ、ここまでみんなに反応されるのはある意味すごいな。それはそれとしてヌイジュは、どういうつもりなんだろ?
「ずいぶんいきなりだけど、なんで僕がヌイジュと立ち会う必要があるの?」
「……お前は鍛錬のために手合わせの数を重ねる事を望んでいるはず。ならば俺とも立ち会え」
「なるほど……確かにそれはそうだね」
「決まった相手とだけで手合わせしたいならば断れ」
僕がヌイジュにどう答えようか考えながら周りを見ると、兄さん達やラカムタさんが小さく断れっていう感じの動きを手でしていた。ラカムタさん達は反対か。でも、ヌイジュの言ってる事にも筋が通ってる。それなら……。
「わかった。立ち会いをしよう」
「始めるぞ。構えろ」
「スー……、ハー……。いつでも良いよ」
「「ヤート‼︎」」
「「ヤート君‼︎」」
「「「ヤート殿‼︎」」」
兄さん達は僕とヌイジュの間に割って入ろうとしたのは、僕がヌイジュの申し出を受けた後だった。
立ち会いの始まりはヌイジュからで、界気化した魔力を放ちながら構えた僕の顔へと速く鋭い右突きを繰り出してくるのを感知する。僕はヌイジュの右突きを避けて懐に入り込むつもりだったけど、すでに左突きが僕を狙っていたため、懐へ入るのをやめてヌイジュから離れた。
ヌイジュはそんな僕を見て淡々と事実を積み重ねるように話し出す。
「お前が界気化を使えるのは知っている。そして界気化を使い、相手の奥底まで読めるようになっている事もな」
「……」
「界気化は相手の思考を事前に知れるという意味で強力だ。しかし、相手の速さが圧倒的に勝っている場合、先読みしていてもいずれ追いつかれる。つまり一瞬で相手を制圧できないなら無意味。次にいくぞ」
界気化した魔力でヌイジュが僕に蹴りを放つのを感知できたため、僕は素早く蹴りの当たらない位置に移動した。でも……。
「ウッ、……なんで?」
僕はヌイジュに蹴られた。押すような蹴りだったから痛くはなかったけど、問題はそこじゃない。界気化した魔力でヌイジュの動きを確認したのに、どうして蹴りが当たったんだ? ヌイジュがため息を吐く。
「……はあ。それなりの実力を持つものならば、考えた事と違う動きをする事も、逆に動かない事も可能。未熟な界気化に頼る愚を知れ」
「僕は誘導された……?」
「読み取った相手の行動の真偽を判断できる経験がない。読み取れたとしても生かすだけの速さも技術もない。それが今のお前が、界気化を使いこなせてない理由だ」
ぐうの音も出ないっていうのは、この事だな。改めて言われると、精神的にガツンとくるものがある。
「他の奴らはお前に優しく甘いゆえ、手合わせの範囲で済ませているが俺は違う。例えお前が接近戦や界気化の鍛錬をし始めたばかりの格下だとしても、俺は立ち会いでお前の弱点を攻める。覚悟して俺との立ち会いに挑め」
ヌイジュから重い言葉と意思が伝わってくる。……もしかしたら僕にとって、とても重要な一戦になるかもしれないね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
「ラカムタさん」
「ヤート、どうし……お?」
ラカムタさんは僕の頭から手を離す前に、いつのまにか僕が一歩退がっていた事に気付きポカンとした顔になった。
「だいぶ界気化した魔力を放つのに慣れてきたよ」
「今のはヤート殿に呼びかけられた事で、ラカムタ殿の意識が手から逸れた時を界気化した魔力で感知したのですね」
「そして、ヤート殿はその瞬間を逃さず一歩後ろに退がったわけですな」
「イーリリスさんとタキタさんの言う通り。僕の動きはどうだった? ラカムタさん」
「…………大したもんだ」
ラカムタさんは自分の手と僕を見てから苦笑した後に褒めてくれた。
「ありがとう。まあ、これは今のラカムタさん相手だからできたんだけどね」
「俺は昨日のハインネルフ殿達との手合わせで、それだけ消耗して鈍ってるってわけだな」
「そういう事。だから、ゆっくり休んで。ハインネルフさん達もだよ」
「わかった。ゆっくりさせてもらおう」
「うむ、了解だ」
「うふふ、わかりました」
「ホッホッホ、承知しましたぞ。ヤート殿」
「それじゃあ僕は、また手合わせをしてくるね」
ラカムタさん達に頭を下げてから、手合わせで盛り上がっている広場の中央に歩いていく。でも、僕はすぐに立ち止まる。なぜなら……。
「僕に何か用? 青のヌイジュ」
「…………」
僕を嫌っているはずの青のヌイジュが、僕の進行方向に立って僕をジッと見ているからだ。
「要件は何?」
「…………」
ヌイジュは何も答えてくれないけど、この場合はどうするべきなんだろ? ……表情は少し眉間にシワが寄ってるくらいで、界気化した魔力を放ってみても害意は感知できない。…………考えてもわからないから割り切るか。僕は再び歩き出しヌイジュに近づいていく。
「ヤート‼︎」
ラカムタさんが大声を出した事で、周りのみんなも僕とヌイジュに気付き空気が張り詰める。そしてヌイジュを見る兄さん達の気配が刺々しいものになった時に、僕はヌイジュから三歩離れたところにいた。……何も起こらない。
二歩まで近づく。……何も起こらない。
さらにヌイジュへと一歩近づく。ラカムタさん達がいつでも動けるように構えたけど何も起こらない。
とうとう僕はヌイジュの右横を通り抜けた。……やっぱり何も起こらない。僕を見てただけで特に用はなかったのかな?
「…………待て」
どうやら僕を見てただけじゃなくて、本当に用があったらしい。僕はヌイジュの方を向き改めて聞いてみた。
「僕に何か用?」
「…………俺と立ち会え」
ヌイジュの言葉を聞いて三体も警戒心を表に出し始める。今までの事があるとはいえ、ここまでみんなに反応されるのはある意味すごいな。それはそれとしてヌイジュは、どういうつもりなんだろ?
「ずいぶんいきなりだけど、なんで僕がヌイジュと立ち会う必要があるの?」
「……お前は鍛錬のために手合わせの数を重ねる事を望んでいるはず。ならば俺とも立ち会え」
「なるほど……確かにそれはそうだね」
「決まった相手とだけで手合わせしたいならば断れ」
僕がヌイジュにどう答えようか考えながら周りを見ると、兄さん達やラカムタさんが小さく断れっていう感じの動きを手でしていた。ラカムタさん達は反対か。でも、ヌイジュの言ってる事にも筋が通ってる。それなら……。
「わかった。立ち会いをしよう」
「始めるぞ。構えろ」
「スー……、ハー……。いつでも良いよ」
「「ヤート‼︎」」
「「ヤート君‼︎」」
「「「ヤート殿‼︎」」」
兄さん達は僕とヌイジュの間に割って入ろうとしたのは、僕がヌイジュの申し出を受けた後だった。
立ち会いの始まりはヌイジュからで、界気化した魔力を放ちながら構えた僕の顔へと速く鋭い右突きを繰り出してくるのを感知する。僕はヌイジュの右突きを避けて懐に入り込むつもりだったけど、すでに左突きが僕を狙っていたため、懐へ入るのをやめてヌイジュから離れた。
ヌイジュはそんな僕を見て淡々と事実を積み重ねるように話し出す。
「お前が界気化を使えるのは知っている。そして界気化を使い、相手の奥底まで読めるようになっている事もな」
「……」
「界気化は相手の思考を事前に知れるという意味で強力だ。しかし、相手の速さが圧倒的に勝っている場合、先読みしていてもいずれ追いつかれる。つまり一瞬で相手を制圧できないなら無意味。次にいくぞ」
界気化した魔力でヌイジュが僕に蹴りを放つのを感知できたため、僕は素早く蹴りの当たらない位置に移動した。でも……。
「ウッ、……なんで?」
僕はヌイジュに蹴られた。押すような蹴りだったから痛くはなかったけど、問題はそこじゃない。界気化した魔力でヌイジュの動きを確認したのに、どうして蹴りが当たったんだ? ヌイジュがため息を吐く。
「……はあ。それなりの実力を持つものならば、考えた事と違う動きをする事も、逆に動かない事も可能。未熟な界気化に頼る愚を知れ」
「僕は誘導された……?」
「読み取った相手の行動の真偽を判断できる経験がない。読み取れたとしても生かすだけの速さも技術もない。それが今のお前が、界気化を使いこなせてない理由だ」
ぐうの音も出ないっていうのは、この事だな。改めて言われると、精神的にガツンとくるものがある。
「他の奴らはお前に優しく甘いゆえ、手合わせの範囲で済ませているが俺は違う。例えお前が接近戦や界気化の鍛錬をし始めたばかりの格下だとしても、俺は立ち会いでお前の弱点を攻める。覚悟して俺との立ち会いに挑め」
ヌイジュから重い言葉と意思が伝わってくる。……もしかしたら僕にとって、とても重要な一戦になるかもしれないね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想や評価もお待ちしています。
16
あなたにおすすめの小説
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。
まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」
ええよく言われますわ…。
でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。
この国では、13歳になると学校へ入学する。
そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。
☆この国での世界観です。
《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
【完結】パパ、私は犯人じゃないよ ~処刑予定の私、冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで~
チャビューヘ
ファンタジー
※タイトル変更しました。
「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。
「……お前の声だけが、うるさくない」
心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の物語。
-----
感想送っていただいている皆様へ
たくさんの嬉しい言葉や厳しい意見も届いており一つ一つがすごく嬉しいのと頑張ろうと感じています。ご意見を元に修正必要な部分は随時更新していきます。
成長のため感想欄を閉じませんが公開はする予定ありません。ですが必ず全て目を通しています。拙作にお時間を頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。
人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。
それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。
嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。
二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。
するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる