5 / 15
第5話
しおりを挟む
「「…………」」
王城へと走る馬車の中、お父様は対面に座っている私をジッと見ながら何か考えているようで屋敷を出発した時から、ずっと黙っている。
私は、何か聞かれてもいつでも応えれるようにお父様を視界の端におさめつつ、馬車の窓から見える風景を黙って見ていた。
なぜ名指しされた私も黙っているかというと、お父様は期待をしてない私にも必要だと判断したら必ず言ってくれる人とわかっているので、そんなお父様が私に何も言わないとすれば、おそらく手紙には私が王城へ来るようにとしか書かれてなかったのだろうと納得しているからだ。
でも、お父様の隣に座っていたエンリエッタは違った。
「ねえ、お父様、先ほどの手紙には何が書かれていたのですか?」
馬車の中の沈黙に耐えられなかったのかお父様に質問する。
いやいや、考えてる当主を邪魔してどうするのよ。
というか、あんたは王城から指名されてないのに殿下に会いたいって言って無理やり馬車に乗ってる立場なんだから静かにしてるべきでしょ。
「…………」
「お父様?」
「…………リリスを王城へ向かわせるようにとしか書いていなかった」
「そうなのですか? リリス、あなた何をしたのよ?」
思い当たるとしたら昨日の事だけど、言っても良いのかわからないのでごまかす事にした。
「私にもわからないわ」
「……本当に?」
「そうよ」
「ふーん……」
明らかに怪しんでるわね。
こういう感が良いというか鼻が利くところは、エンリエッタの厄介なところの一つだわ。
「エンリエッタ、もうすぐ王城に着くから静かにしていろ」
「はーい」
お父様に返事はするものの、エンリエッタは私をじっとりとした目で見てくるのをやめない。
…………本当に厄介ね。
◆◆◆◆◆
王城に到着すると、お父様と私は謁見の間へ通される。
ここでもエンリエッタが私達に着いてこようとしたけど、さすがにお父様から止められて渋々客間へ入っていった。
エンリエッタ……、私達を案内してくれた女官が呆れた目で見てたわよ。
せめてお母様がいたら違ったと思うけど王城での言動には気をつけてほしいわ。
「お父様、王城でエンリエッタのあの言動は……」
「これから王に謁見するのだ。黙っていろ」
「……はい」
お父様とお母様は、エンリエッタがこのままで良いと思ってるのかしら?
まあ、私には家中で発言権がないのと、エンリエッタ本人の問題と考えるしかない、か……。
私の思考は謁見の間で王様とお妃様に並んでいるグレスオリオ様を見て完全に止まった。
…………グレスオリオ様は明らかに私へ微笑みかけてるわね。
どうしてかしら、ものすごく帰りたくなってきたわ。
「やあ、リリスリエッタ、昨日ぶりだね。元気そうで何よりだよ」
「グレスオリオ様も、ご健勝そうで何よりです」
お父様のどういう事だという疑問、王様と王妃様の不安を感じながら、私はグレスオリオ様へ返礼をする。
本当に帰りたいわ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
お気に入りの登録を、ぜひお願いします
また感想や誤字脱字報告もお待ちしています。
王城へと走る馬車の中、お父様は対面に座っている私をジッと見ながら何か考えているようで屋敷を出発した時から、ずっと黙っている。
私は、何か聞かれてもいつでも応えれるようにお父様を視界の端におさめつつ、馬車の窓から見える風景を黙って見ていた。
なぜ名指しされた私も黙っているかというと、お父様は期待をしてない私にも必要だと判断したら必ず言ってくれる人とわかっているので、そんなお父様が私に何も言わないとすれば、おそらく手紙には私が王城へ来るようにとしか書かれてなかったのだろうと納得しているからだ。
でも、お父様の隣に座っていたエンリエッタは違った。
「ねえ、お父様、先ほどの手紙には何が書かれていたのですか?」
馬車の中の沈黙に耐えられなかったのかお父様に質問する。
いやいや、考えてる当主を邪魔してどうするのよ。
というか、あんたは王城から指名されてないのに殿下に会いたいって言って無理やり馬車に乗ってる立場なんだから静かにしてるべきでしょ。
「…………」
「お父様?」
「…………リリスを王城へ向かわせるようにとしか書いていなかった」
「そうなのですか? リリス、あなた何をしたのよ?」
思い当たるとしたら昨日の事だけど、言っても良いのかわからないのでごまかす事にした。
「私にもわからないわ」
「……本当に?」
「そうよ」
「ふーん……」
明らかに怪しんでるわね。
こういう感が良いというか鼻が利くところは、エンリエッタの厄介なところの一つだわ。
「エンリエッタ、もうすぐ王城に着くから静かにしていろ」
「はーい」
お父様に返事はするものの、エンリエッタは私をじっとりとした目で見てくるのをやめない。
…………本当に厄介ね。
◆◆◆◆◆
王城に到着すると、お父様と私は謁見の間へ通される。
ここでもエンリエッタが私達に着いてこようとしたけど、さすがにお父様から止められて渋々客間へ入っていった。
エンリエッタ……、私達を案内してくれた女官が呆れた目で見てたわよ。
せめてお母様がいたら違ったと思うけど王城での言動には気をつけてほしいわ。
「お父様、王城でエンリエッタのあの言動は……」
「これから王に謁見するのだ。黙っていろ」
「……はい」
お父様とお母様は、エンリエッタがこのままで良いと思ってるのかしら?
まあ、私には家中で発言権がないのと、エンリエッタ本人の問題と考えるしかない、か……。
私の思考は謁見の間で王様とお妃様に並んでいるグレスオリオ様を見て完全に止まった。
…………グレスオリオ様は明らかに私へ微笑みかけてるわね。
どうしてかしら、ものすごく帰りたくなってきたわ。
「やあ、リリスリエッタ、昨日ぶりだね。元気そうで何よりだよ」
「グレスオリオ様も、ご健勝そうで何よりです」
お父様のどういう事だという疑問、王様と王妃様の不安を感じながら、私はグレスオリオ様へ返礼をする。
本当に帰りたいわ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
と思ったら
お気に入りの登録を、ぜひお願いします
また感想や誤字脱字報告もお待ちしています。
0
あなたにおすすめの小説
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
無能聖女の失敗ポーション〜働き口を探していたはずなのに、何故みんなに甘やかされているのでしょう?〜
矢口愛留
恋愛
クリスティーナは、初級ポーションすら満足に作れない無能聖女。
成人を迎えたことをきっかけに、これまでずっと暮らしていた神殿を出なくてはいけなくなった。
ポーションをどうにかお金に変えようと、冒険者ギルドに向かったクリスティーナは、自作ポーションだけでは生活できないことに気付く。
その時タイミングよく、住み込み可の依頼(ただしとても怪しい)を発見した彼女は、駆け出し冒険者のアンディと共に依頼を受ける。
依頼書に記載の館を訪れた二人を迎えるのは、正体不明の主人に仕える使用人、ジェーンだった。
そこでクリスティーナは、自作の失敗ポーションを飲んで体力を回復しながら仕事に励むのだが、どういうわけかアンディとジェーンにやたら甘やかされるように。
そして、クリスティーナの前に、館の主人、ギルバートが姿を現す。
ギルバートは、クリスティーナの失敗ポーションを必要としていて――。
「毎日、私にポーションを作ってくれないか。私には君が必要だ」
これは無能聖女として搾取され続けていたクリスティーナが、居場所を見つけ、自由を見つけ、ゆったりとした時間の中で輝いていくお話。
*カクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
円満離婚に持ち込むはずが。~『冷酷皇帝の最愛妃』
みこと。
恋愛
「あなたと子を作るつもりはない」
皇帝シュテファンに嫁いだエリザは、初夜に夫から宣言されて首をかしげる。
(これは"愛することのない"の亜種?)
前世を思い出したばかりの彼女は、ここが小説『冷酷皇帝の最愛妃』の中だと気づき、冷静に状況を分析していた。
エリザの役どころは、公爵家が皇帝に押し付けた花嫁で、彼の恋路の邪魔をするモブ皇妃。小説のシュテファンは、最終的には運命の恋人アンネと結ばれる。
それは確かに、子どもが出来たら困るだろう。
速やかな"円満離婚"を前提にシュテファンと契約を結んだエリザだったが、とあるキッカケで彼の子を身ごもることになってしまい──?
シュテファンとの契約違反におののき、思わず逃走したエリザに「やっと見つけた」と追いすがる夫。
どうやら彼はエリザ一筋だったらしく。あれ? あなたの恋人アンネはどうしたの?
※小説家になろう様でも掲載しています
※表紙イラスト:あさぎかな先生にコラージュアートをいただきました
※毎朝7時に更新していく予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる