魔王メーカー

壱元

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第二章 前編

第十七話

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 翌朝、身体を揺さぶられ、私は目を覚ました。

寝ぼけ眼に映ったのは黒色。

「起きてください。グレア様」

「あれ? ラーラ様、どうしてここに?」

「門の所で待っていたのですが、貴女が来なかったので、様子を見に来たのです。…向こうで寝ていいですから、ひとまず起きてください」

今日は魔法の訓練を行う日であった。

 なんとか支度を済ませ、訓練場である東の大丘へと馬を走らせた。

「しばらく寝ていて大丈夫ですよ」

許可を得たので、私は爽やかな木陰にて暫くうたた寝していた。

目が覚め、上半身を起こすと、すぐ隣でラーラが本を読んでいた。

「少し体操でもしたらいかがでしょう? しゃきっとしますよ」

「はい」

運動の後、今まで偶然に頼っていた私は、木陰で人生史上初の魔法指導を受けた。

「貴女は私と同様、先天的に能力を持っていて、独学で魔法を使っていたのですよね?」

「はい」

「素晴らしい事ですが、独学には欠点もあります」

ラーラは先程の本を広げて見せた。

「人間の魔法の強みは、知識が『体系化』されていることです。他者への伝授や開発・発展において有利です。人間の魔法使いと戦う時、魔法の法則性や特性を押さえた理路整然とした戦術がなければ、例え相手が格下でも負ける事があります」

「つまり、感覚だけで魔法を用いる私に必要な事は『慣れるより習う』であると」

「そうです。その一段階目として、まずは魔法の基礎知識をお教えします」


 魔法という物は、自然界に存在するあらゆる現象を意図的に発生させるものだという。

森羅万象には魔力が備わっている。それ故、生物は自らの体内にある魔力をそれらに変換することが可能なのである。

また、魔法には、その性質に応じた区分が存在している。

「元素属性」と「非 元素属性」。

前者は「火」「水」「地」「雷」「風」「闇」「光」に関する魔法、後者には物理法則や精神などに作用する魔法を指す。

「ただし、『元素属性』の『闇』と『光』が曲者です。闇や光というものは、相補的な関係な上、『非 元素属性』的な性格が強いのです。『闇魔法』というのは、正確には『闇そのものを』生み出す魔法ではなく、『特定空間内のあらゆる音や光や物体を消し去る』…つまり『無』を生み出す魔法です。対する『光魔法』とは、あらゆる『有』を生み出す魔法です。まず、光の反射で人間は万物の存在を識ります。そして、光には熱などの強いエネルギーが伴い、この世界のあらゆる物理法則の根源となります。また、光を用いて成長する草花を始まりとして、生命も永遠に循環します。…闇:『無』の使い手である私と光:『有』の使い手である貴女。二人揃えば、この世に不可能はありません」

「えへへ、わくわくしてきました」

「でしょう?」


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