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第二章 後編
第十話
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八日目、九日目、十日目。
三日とも、昼休憩を挟みつつ朝から晩までバセリアと一緒に基礎鍛錬をし、練習後は風呂場で一日の疲れを癒しつつ気ままに語り合い、共に円卓で食事をし、程なくして死んだように眠るという生活だった。
十一日目になって、遂にバセリアは
「技を教える」
と宣言してくれた。
私が最初に習得するのは「蒼風流」の基本である歩法の一つ、「雲歩」。
魔力と筋肉を効率的に利用し、最小限の動作で素早く前後左右に移動する。
その軽やかな様がまるで、実体がなく踏み締めの効かない雲の上を渡っているように見える事がその名の由来である。
半日の格闘の末、私はこれの単なる発動に関してはそれなりに自在になった。
十二日目、十三日目は基礎練習と共に「雲歩」を練習し、形に成ってきた。
十四日目には最も汎用性高い走法の一つである、「駿馬」を習った。
この走法を極めた者は周囲に突風を放つ。
「疾風のバセリア」の由来もこれである。
これは脚全体に魔力を集中し、地面に突き刺す一歩一歩で前方に「飛び出す」走り方である。
これに合わせるだけであらゆる攻撃が威力を増し、一撃必殺になるという。
これは直ぐには身につかず、基礎練習や「雲歩」との並行で一週間を要した。
訓練を始めて丁度1ヶ月が経つ頃、私は遂に攻撃を直接の目標とした技術を習うことになった。
目にも止まらぬ切り下ろしと切り上げを連続させる「隼斬り」である。
魔力操作によって関節や筋肉の負担を軽減し、斬撃速度を高める事が出来るという。
これを習得するのに掛かったのは一週間と少し。
1ヶ月と二週間後のある日。
「よし」と彼女は意気込んだ。
「立ち会ってみるぞ」
私は木剣を使って、バセリアを相手取って練習試合を行った。
結果的に惨敗したものの、個別に習得した技術が実戦の場でどう光るのか、知ることが出来た。
試合も交えた練習の日々がさらに二週間続き、とうとう私に休日がやって来た。
「明日はどうする?」
風呂上がりに髪を結び直しながらバセリアは問い掛けてきた。
「休日」という言葉の響きに、訓練開始からほとんど挨拶程度の言葉しか交わしていないラーラの顔がちらついた。
だが、今は情報収集の時。
将来、烈士「疾風のバセリア」と対峙した時の為に弱点を探れるだけ探っておいて損は無い。
幸運にも、伯爵の「偵察」の一件といい、バセリアは最近私に対して開放的になり、それを迂闊に見せてくれそうな気配がしている。
ラーラならば、そんな私の計略を分かってくれるだろう。
「一緒に市場に買い物に行きましょうよ」
「分かった」
三日とも、昼休憩を挟みつつ朝から晩までバセリアと一緒に基礎鍛錬をし、練習後は風呂場で一日の疲れを癒しつつ気ままに語り合い、共に円卓で食事をし、程なくして死んだように眠るという生活だった。
十一日目になって、遂にバセリアは
「技を教える」
と宣言してくれた。
私が最初に習得するのは「蒼風流」の基本である歩法の一つ、「雲歩」。
魔力と筋肉を効率的に利用し、最小限の動作で素早く前後左右に移動する。
その軽やかな様がまるで、実体がなく踏み締めの効かない雲の上を渡っているように見える事がその名の由来である。
半日の格闘の末、私はこれの単なる発動に関してはそれなりに自在になった。
十二日目、十三日目は基礎練習と共に「雲歩」を練習し、形に成ってきた。
十四日目には最も汎用性高い走法の一つである、「駿馬」を習った。
この走法を極めた者は周囲に突風を放つ。
「疾風のバセリア」の由来もこれである。
これは脚全体に魔力を集中し、地面に突き刺す一歩一歩で前方に「飛び出す」走り方である。
これに合わせるだけであらゆる攻撃が威力を増し、一撃必殺になるという。
これは直ぐには身につかず、基礎練習や「雲歩」との並行で一週間を要した。
訓練を始めて丁度1ヶ月が経つ頃、私は遂に攻撃を直接の目標とした技術を習うことになった。
目にも止まらぬ切り下ろしと切り上げを連続させる「隼斬り」である。
魔力操作によって関節や筋肉の負担を軽減し、斬撃速度を高める事が出来るという。
これを習得するのに掛かったのは一週間と少し。
1ヶ月と二週間後のある日。
「よし」と彼女は意気込んだ。
「立ち会ってみるぞ」
私は木剣を使って、バセリアを相手取って練習試合を行った。
結果的に惨敗したものの、個別に習得した技術が実戦の場でどう光るのか、知ることが出来た。
試合も交えた練習の日々がさらに二週間続き、とうとう私に休日がやって来た。
「明日はどうする?」
風呂上がりに髪を結び直しながらバセリアは問い掛けてきた。
「休日」という言葉の響きに、訓練開始からほとんど挨拶程度の言葉しか交わしていないラーラの顔がちらついた。
だが、今は情報収集の時。
将来、烈士「疾風のバセリア」と対峙した時の為に弱点を探れるだけ探っておいて損は無い。
幸運にも、伯爵の「偵察」の一件といい、バセリアは最近私に対して開放的になり、それを迂闊に見せてくれそうな気配がしている。
ラーラならば、そんな私の計略を分かってくれるだろう。
「一緒に市場に買い物に行きましょうよ」
「分かった」
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