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魔帝動乱編 白銀の少女との交流
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「…………ねえ、お姉ちゃん」
「ん?どうしたの?」
「あの子の所に行くのはオススメしない気がする」
「どうしてよ?」
「理由は分からないけど
彼女を視ていたら何故か嫌な予感がして
可愛らしさと同時に悪寒でゾワゾワしたんよ。」
「気のせいでしょ」
「……そうだといいけどね。」
「シャル姉~!」
元気そうな声が聞こえると妹が私に抱きついてきた。
相変わらず下着という羞恥心を知らぬ格好で街をウロウロしている。
「シャル姉~わたしお腹空いた~!」
「早く何か食べた~い!」
「ええっと…どうしようかなー」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「許してください!」
「なんでもしますからーー!!!」
どこからともなく
誰かが何度も謝る声が聞こえてきた。
「ごめんなさい!許してください!ごめんなさい!」
やっぱり何度も何度も謝っている。
その声色はなにか切羽詰まったような印象だった。
もしかして…なにかトラブルか?
チンピラ程度ならたとえ相手が何人いようと
仮に全員が神器を持っていても余裕でなんとかなるだろう。
声がどんどん近づいてくる。
そしてついに声の主が視界に飛び込んできた。
「………ん?」
その光景を見た私達は混乱した。
ベンチの上にちょこんと座った可愛らしい三羽の子ウサギ
その子ウサギに向かって
地面に頭を打ち付けてしまいそうな勢いで
何度も土下座を繰り返す白銀の少女
ルミナは周りの目も気にせず
というよりも気にする余裕もなく
何度も何度も土下座を繰り返している。
「ごめんなさい!許してください!どいてください!」
どうやら三羽の子ウサギにベンチの上から
どくように頼んでいるらしい。
なんで自分でどけないの?
子うさぎ相手になぜ敬語なの?
色々疑問が浮かんだが
とりあえずどかしてあげることにした。
三羽の子ウサギを一羽ずつ下ろしていく。
下ろし終えた三羽はもふぅと
かわいいお尻を弾ませながらどこかへいってしまった。
「ふぅ…これで大丈夫…かしら?」
そう思ってルミナを見ると面白いくらい
額を地面にズリズリと擦り付けていた。
そのせいで子ウサギがいなくなったことに
気づいていないらしい。
私は慌ててルミナに
子ウサギがいなくなったことを伝えた。
「もう大丈夫よ!子ウサギはどかしたから」
「ごめんなさいごめんなさ…えっ?」
その白銀の少女は恐る恐る顔を上げた
肩より少し上くらいまである綺麗な銀髪は
ふわっとカールし、雪色に輝いている。
よほど怖かったのかその目には涙が浮かんでいる
その姿はあまりにも美しく
まるで慈愛の天使………と言っても過言じゃないほど
とても可愛らしい美少女がそこにいた。
「えっと……大丈夫?」
とりあえず立ち上がらせる。
「は、はい、ありがとうございます…」
その子は顔を真っ赤にしながら立ち上がった。
「あの!ご迷惑おかけしました…」
「いや、気にしないで…といいたいところだけど
なんで土下座してたのか聞いてもいい?」
「うっ……わかりました」
幼少期にウサギに指を噛み千切られちゃったことがあって
その時からウサギ恐怖症になってしまい
ウサギに触ることすら怖いらしい。
「そっか…こんなにウサギだらけの公園で
ウサギ恐怖症には辛いわね」
「あ、あの!」
「ん?どうしたの?」
「その、なにかお礼がしたいんですけど…」
「別に気にしなくていいわよ」
「そ……そういうわけにはいきません!」
「うむ………」
「そうね、ルミナ、お礼…になるかは分からないけど
私達と一緒にお昼ご飯でもどうかしら?」
「はい…是非。モルドレッドさんとなら喜んで。」
なんだか二人だけの世界が出来上がっている気がすると
シャルロットは訝しんだ。
手紙にも書いてあった公園の近くに存在する
レストラン、宵闇の産声。
普段の私達なら入ることは難しいであろう高級店だが
ルミナが選んだ店なのだ。
断るのも気が引けるし
私達は悪いと思って断っているのだが
ルミナはお金は全て自分が払うと言って聞かない。
それに、魔皇に払われるお給料はとんでもない額らしく
初めてお給料を貰った時はあまりの額に気絶したらしい。
高級店でランチしても一食位ぐらいなら全然大丈夫なんだとか
せっかくだから利用させていただいてみることにした。
入店すると同時に店のアチラコチラから
ざわついた貴族達の話し声が聞こえる。
「なんだあ?庶民がこの店に何の用だ?」
「バカ、知らないの?あの子、噂の新しい魔皇様よ」
「まるで天使のようだ……。 」
「後ろにいる二人も見たことがないぞ?」
「本当だ」
「背後の三人もルミナス様と同様美しいお方であるな。」
ルミナに対する賞賛やらなにやらが聞こえてくるが
ルミナは萎縮してしまい身を縮こまらせて
わたしの後ろに隠れてしまった。
「うぅ……」
「……やっぱり他の店にしようか?」
「い…いえっ!大丈夫…です!」
「あんまり無理しないでね?」
そうこう話している内に席についた。
ルミナを左右で挟むようにわたしとシャルロットが座る。
わたしの肩とルミナの肩が触れると
ルミナはぴゅうっ……と過呼吸のような悲鳴を小さくあげた。
とりあえず、注文しよう。
「わたしは、このハンバーグプレートと
ミルクレープとチキンステーキ
ドリンクは、イチゴミルク
デザートはプリンとチョコレートのアイスクリームパフェ」
「私は、そうだな~
ドラゴンの肉のローストビーフと
子サメのソテーのオレンジソースってやつとアップルパイ
ドリンクは、抹茶ラテ
デザートにチョコレートプリン。」
「わ…私は…デミグラスハンバーグとデミグラスオムライス
石焼きハンバーグステーキに包み焼きハンバーグと…
ドリンクは、クリームソーダ…で
それと、デザートのスペシャルゴージャスプリン…です。」
「私はシャル姉と同じやつ~!」
「……なんか皆ファミリーレストランっぽいチョイスだな?」
注文を終えると私はルミナに話しかけてみることにした。
「さて…と、改めて私達の自己紹介をしましょう。
私はモルドレッド・レガリア
種族は一応、吸血鬼よ。
吸血鬼としての真名は
モルドレッド・ドゥームズ・フォールンブラッド
年齢は11歳で趣味は読書
それでこっちは双子の妹で、シャルロット
シャルロット・レガリア
種族は…一応、人間らしいわ。
性格は問題児でぐーたらよ。
それとこっちは、シャルロットの妹のルイン
これからお世話になると思うけどよろしくね!」
「よろしく~」
「こ、こちらこそよろしく…です!
あの…それで…手紙はもうお読みになりましたか?」
「ああ、あの後すぐに読んだわよ。
貴女も読書が好きなのよね?実はわたしもなの。
貴女とはとっても気が合いそうだし
これからも仲良くなれたら嬉しいわ。」
「あうぅぅ……はいぃぃぃ……」
ルミナは耳まで真っ赤になって俯いてしまい
蚊の泣くような小さな声で言葉を続ける。
「あ…ありがとう…ございます…嬉しいです…」
「で、ですが、私の趣味のことよりも…」
「私が魔皇になった経緯について…どう思いましたか?」
「卑屈なことばかり書いてあって軽蔑しましたか…?」
「軽蔑なんかしないわよ。」
「私とお姉ちゃんは運が悪かったんだなってぐらいにしか思ってないよ。
それにしても災難だったね~
でもまあ、こんな高級店に入れるぐらい
お金貰えてるなんて羨ましいなあ~
不幸の中にある幸せってやつ?」
「そ…そうですか…」
「まあ、ジルちゃんがルミナを選んだのは可愛かったからじゃないかな?
アイツは可愛い女の子なら誰でも好きなんだよ」
「か………可愛い……ですか?」
ルミナはびっくりしたような顔をして驚き
頬を真っ赤に染めた。
「それにしても、弱いのに魔皇をやっているなんて
それって凄く大変なんじゃないの?
弱い魔皇なんて成り上がる為の恰好の餌………
下剋上上等って感じで襲われたりしないの?」
「……え?そんなことはないと思いますよ?」
「そうなの?」
「はい、部下の皆さんは
私が魔皇に選ばれた経緯や弱いことを理解しています。
でも、こんな私でも魔皇のお仕事をやれるように
一生懸命にサポートしてくれて
大丈夫だよとか、心配しないでいいからね?って
いつも、そうやって私を励ましてくれて
皆さん、私のことを妹のように優しくして
可愛がってくれるとっても良い人達なんです。」
「だから、やめたいって思うこともありますが
いつも助けてくれる皆さんに恩返ししたいから。
今も、やめたいって気持ちは無い訳ではないんですけど
部下の皆さんのお陰で頑張れているんです。」
「へえ、良い部下に恵まれたのね。」
「……お姉ちゃん、ガールズトークもほとほどにして
そろそろ本題の話に移らない?
今日はその為にここに来たんじゃなかったっけ?」
「あっ!……す……すみません…ネズミ退治の話…でしたよね?」
「そういえば、そうだったわね。
ルミナは一度、襲われてるのよね?
犯人の顔とか覚えていないの?」
「す…すみません。何も覚えていないんです。
家に帰ろうとした所までは覚えているんですけど
気がついたら路地裏で死んでいたらしいんです」
「手がかりなしか。」
「まあ、待っていればそのうち現れるでしょ」
「あの、私、凄く弱いんですけど、大丈夫でしょうか?」
「何も心配しなくてもいいわよ。
ルミナは私が護ってあげるから」
「うぅ…本当にすみません……モルドレッドさん。
私、オリハルコンやダイヤモンドを
片手で握り潰せる程度の力しかない軟弱者なんですぅ………。」
「……は?」
「……ワッツ!?」
……聞き間違いかしら?
うん、きっと疲れているのよ。
こんな、か弱い華奢な女の子が
伝説の勇者の聖剣に使われてたりする
世界一硬い魔鉱石を片手で握り潰せるとかあり得ないもの。
シャルロットも目が点になって放心している。
「あ…アハハ……ルミナは冗談が上手いのね……」
「そ…そんなことないですよ~!」
「まあ、この話は一旦置いときて
そいつらの目的ってなんなのかしらね?」
「目的…ですか?」
「殺して、その後に律儀に毎回生き返らせてるなんて理解出来ないわ。」
「確かに、得体が知れないですね。」
「情報が少なすぎる……」
ここであーだこーだ言ってても何も進展しない気がするが
凶悪犯罪者集団の下っ端達については
他の騎士団達がなんとかしてくれるらしいから
私達はのんびりと趣味や本のことを満喫して
主犯格のやつらもこの国の奴らに任せればいいのよ。
と思っていてもそうならないのが世の常というものなのだろう。
「……そういえばさ、料理来るの遅くない?」
「ドリンクやデザートの方が先に来てしまいましたね。」
「まあ、混んでいるだけなんじゃね?」
そんなことを思いながら
空腹を紛らわす為にデザートや飲み物を食べ終えて
ナイフやフォークを持ちながら待っていると
急に店内が暗くなった、停電か!?
いや、店内だけではない。
帳のような闇色の結界が帝国を覆い尽くし
店の外もまるで深夜のような宵闇に包まれている。
その様子に皆が戸惑っていると
不意に、外から何かが爆発したような音が聞こえた。
これは、ただの爆発ではない。
このレストランを大きく揺らす程の、ド級の大爆発
店内の人々が悲鳴をあげて店から逃げていき
外の人達も逃げ惑うその光景は阿鼻叫喚。
「シュワッと!?何事じゃ!?」
「まさか、もう仕掛けてきたの!?」
「さあ、行きましょう、モルドレッドさん」
店を飛び出した私達が見たのは
悪夢のような光景であった。
死体、死体、死体、どこを見ても死体の山
「な…なによこれ…!? 」
「わ…私に任せてください。」
ルミナは死体に向かって上級の回復魔法を使った
杖の先端から淡い光が溢れ、周囲を昼のように照らし
死体の山を光が包み込む。
死体に回復魔法を使っても意味などないと思ったが
どうやら、全員、ギリギリ生きていたのか
咳き込みながら息を吹き返した。
「す……すごいじゃないっ!」
「そ…そんなことないです……」
その惨劇の中心には、一人の青年がいる。
その赤黒い髪に褐色の肌、
邪神のような紋様を顔や体中に刻んだ
その奇妙な男は異変に気づいた。
「あ?」
先程、殺戮の限りを尽くした所から極光が見えた。
「なんだ…ありゃ?」
「おもしれーやつがいるじゃねえかっ!」
その男は極光の所まで、跳躍してきた。
着地した先でも虐殺の限りを尽くす彼の元に現れたのは
バラン・レガリアであった。
「ん?どうしたの?」
「あの子の所に行くのはオススメしない気がする」
「どうしてよ?」
「理由は分からないけど
彼女を視ていたら何故か嫌な予感がして
可愛らしさと同時に悪寒でゾワゾワしたんよ。」
「気のせいでしょ」
「……そうだといいけどね。」
「シャル姉~!」
元気そうな声が聞こえると妹が私に抱きついてきた。
相変わらず下着という羞恥心を知らぬ格好で街をウロウロしている。
「シャル姉~わたしお腹空いた~!」
「早く何か食べた~い!」
「ええっと…どうしようかなー」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「許してください!」
「なんでもしますからーー!!!」
どこからともなく
誰かが何度も謝る声が聞こえてきた。
「ごめんなさい!許してください!ごめんなさい!」
やっぱり何度も何度も謝っている。
その声色はなにか切羽詰まったような印象だった。
もしかして…なにかトラブルか?
チンピラ程度ならたとえ相手が何人いようと
仮に全員が神器を持っていても余裕でなんとかなるだろう。
声がどんどん近づいてくる。
そしてついに声の主が視界に飛び込んできた。
「………ん?」
その光景を見た私達は混乱した。
ベンチの上にちょこんと座った可愛らしい三羽の子ウサギ
その子ウサギに向かって
地面に頭を打ち付けてしまいそうな勢いで
何度も土下座を繰り返す白銀の少女
ルミナは周りの目も気にせず
というよりも気にする余裕もなく
何度も何度も土下座を繰り返している。
「ごめんなさい!許してください!どいてください!」
どうやら三羽の子ウサギにベンチの上から
どくように頼んでいるらしい。
なんで自分でどけないの?
子うさぎ相手になぜ敬語なの?
色々疑問が浮かんだが
とりあえずどかしてあげることにした。
三羽の子ウサギを一羽ずつ下ろしていく。
下ろし終えた三羽はもふぅと
かわいいお尻を弾ませながらどこかへいってしまった。
「ふぅ…これで大丈夫…かしら?」
そう思ってルミナを見ると面白いくらい
額を地面にズリズリと擦り付けていた。
そのせいで子ウサギがいなくなったことに
気づいていないらしい。
私は慌ててルミナに
子ウサギがいなくなったことを伝えた。
「もう大丈夫よ!子ウサギはどかしたから」
「ごめんなさいごめんなさ…えっ?」
その白銀の少女は恐る恐る顔を上げた
肩より少し上くらいまである綺麗な銀髪は
ふわっとカールし、雪色に輝いている。
よほど怖かったのかその目には涙が浮かんでいる
その姿はあまりにも美しく
まるで慈愛の天使………と言っても過言じゃないほど
とても可愛らしい美少女がそこにいた。
「えっと……大丈夫?」
とりあえず立ち上がらせる。
「は、はい、ありがとうございます…」
その子は顔を真っ赤にしながら立ち上がった。
「あの!ご迷惑おかけしました…」
「いや、気にしないで…といいたいところだけど
なんで土下座してたのか聞いてもいい?」
「うっ……わかりました」
幼少期にウサギに指を噛み千切られちゃったことがあって
その時からウサギ恐怖症になってしまい
ウサギに触ることすら怖いらしい。
「そっか…こんなにウサギだらけの公園で
ウサギ恐怖症には辛いわね」
「あ、あの!」
「ん?どうしたの?」
「その、なにかお礼がしたいんですけど…」
「別に気にしなくていいわよ」
「そ……そういうわけにはいきません!」
「うむ………」
「そうね、ルミナ、お礼…になるかは分からないけど
私達と一緒にお昼ご飯でもどうかしら?」
「はい…是非。モルドレッドさんとなら喜んで。」
なんだか二人だけの世界が出来上がっている気がすると
シャルロットは訝しんだ。
手紙にも書いてあった公園の近くに存在する
レストラン、宵闇の産声。
普段の私達なら入ることは難しいであろう高級店だが
ルミナが選んだ店なのだ。
断るのも気が引けるし
私達は悪いと思って断っているのだが
ルミナはお金は全て自分が払うと言って聞かない。
それに、魔皇に払われるお給料はとんでもない額らしく
初めてお給料を貰った時はあまりの額に気絶したらしい。
高級店でランチしても一食位ぐらいなら全然大丈夫なんだとか
せっかくだから利用させていただいてみることにした。
入店すると同時に店のアチラコチラから
ざわついた貴族達の話し声が聞こえる。
「なんだあ?庶民がこの店に何の用だ?」
「バカ、知らないの?あの子、噂の新しい魔皇様よ」
「まるで天使のようだ……。 」
「後ろにいる二人も見たことがないぞ?」
「本当だ」
「背後の三人もルミナス様と同様美しいお方であるな。」
ルミナに対する賞賛やらなにやらが聞こえてくるが
ルミナは萎縮してしまい身を縮こまらせて
わたしの後ろに隠れてしまった。
「うぅ……」
「……やっぱり他の店にしようか?」
「い…いえっ!大丈夫…です!」
「あんまり無理しないでね?」
そうこう話している内に席についた。
ルミナを左右で挟むようにわたしとシャルロットが座る。
わたしの肩とルミナの肩が触れると
ルミナはぴゅうっ……と過呼吸のような悲鳴を小さくあげた。
とりあえず、注文しよう。
「わたしは、このハンバーグプレートと
ミルクレープとチキンステーキ
ドリンクは、イチゴミルク
デザートはプリンとチョコレートのアイスクリームパフェ」
「私は、そうだな~
ドラゴンの肉のローストビーフと
子サメのソテーのオレンジソースってやつとアップルパイ
ドリンクは、抹茶ラテ
デザートにチョコレートプリン。」
「わ…私は…デミグラスハンバーグとデミグラスオムライス
石焼きハンバーグステーキに包み焼きハンバーグと…
ドリンクは、クリームソーダ…で
それと、デザートのスペシャルゴージャスプリン…です。」
「私はシャル姉と同じやつ~!」
「……なんか皆ファミリーレストランっぽいチョイスだな?」
注文を終えると私はルミナに話しかけてみることにした。
「さて…と、改めて私達の自己紹介をしましょう。
私はモルドレッド・レガリア
種族は一応、吸血鬼よ。
吸血鬼としての真名は
モルドレッド・ドゥームズ・フォールンブラッド
年齢は11歳で趣味は読書
それでこっちは双子の妹で、シャルロット
シャルロット・レガリア
種族は…一応、人間らしいわ。
性格は問題児でぐーたらよ。
それとこっちは、シャルロットの妹のルイン
これからお世話になると思うけどよろしくね!」
「よろしく~」
「こ、こちらこそよろしく…です!
あの…それで…手紙はもうお読みになりましたか?」
「ああ、あの後すぐに読んだわよ。
貴女も読書が好きなのよね?実はわたしもなの。
貴女とはとっても気が合いそうだし
これからも仲良くなれたら嬉しいわ。」
「あうぅぅ……はいぃぃぃ……」
ルミナは耳まで真っ赤になって俯いてしまい
蚊の泣くような小さな声で言葉を続ける。
「あ…ありがとう…ございます…嬉しいです…」
「で、ですが、私の趣味のことよりも…」
「私が魔皇になった経緯について…どう思いましたか?」
「卑屈なことばかり書いてあって軽蔑しましたか…?」
「軽蔑なんかしないわよ。」
「私とお姉ちゃんは運が悪かったんだなってぐらいにしか思ってないよ。
それにしても災難だったね~
でもまあ、こんな高級店に入れるぐらい
お金貰えてるなんて羨ましいなあ~
不幸の中にある幸せってやつ?」
「そ…そうですか…」
「まあ、ジルちゃんがルミナを選んだのは可愛かったからじゃないかな?
アイツは可愛い女の子なら誰でも好きなんだよ」
「か………可愛い……ですか?」
ルミナはびっくりしたような顔をして驚き
頬を真っ赤に染めた。
「それにしても、弱いのに魔皇をやっているなんて
それって凄く大変なんじゃないの?
弱い魔皇なんて成り上がる為の恰好の餌………
下剋上上等って感じで襲われたりしないの?」
「……え?そんなことはないと思いますよ?」
「そうなの?」
「はい、部下の皆さんは
私が魔皇に選ばれた経緯や弱いことを理解しています。
でも、こんな私でも魔皇のお仕事をやれるように
一生懸命にサポートしてくれて
大丈夫だよとか、心配しないでいいからね?って
いつも、そうやって私を励ましてくれて
皆さん、私のことを妹のように優しくして
可愛がってくれるとっても良い人達なんです。」
「だから、やめたいって思うこともありますが
いつも助けてくれる皆さんに恩返ししたいから。
今も、やめたいって気持ちは無い訳ではないんですけど
部下の皆さんのお陰で頑張れているんです。」
「へえ、良い部下に恵まれたのね。」
「……お姉ちゃん、ガールズトークもほとほどにして
そろそろ本題の話に移らない?
今日はその為にここに来たんじゃなかったっけ?」
「あっ!……す……すみません…ネズミ退治の話…でしたよね?」
「そういえば、そうだったわね。
ルミナは一度、襲われてるのよね?
犯人の顔とか覚えていないの?」
「す…すみません。何も覚えていないんです。
家に帰ろうとした所までは覚えているんですけど
気がついたら路地裏で死んでいたらしいんです」
「手がかりなしか。」
「まあ、待っていればそのうち現れるでしょ」
「あの、私、凄く弱いんですけど、大丈夫でしょうか?」
「何も心配しなくてもいいわよ。
ルミナは私が護ってあげるから」
「うぅ…本当にすみません……モルドレッドさん。
私、オリハルコンやダイヤモンドを
片手で握り潰せる程度の力しかない軟弱者なんですぅ………。」
「……は?」
「……ワッツ!?」
……聞き間違いかしら?
うん、きっと疲れているのよ。
こんな、か弱い華奢な女の子が
伝説の勇者の聖剣に使われてたりする
世界一硬い魔鉱石を片手で握り潰せるとかあり得ないもの。
シャルロットも目が点になって放心している。
「あ…アハハ……ルミナは冗談が上手いのね……」
「そ…そんなことないですよ~!」
「まあ、この話は一旦置いときて
そいつらの目的ってなんなのかしらね?」
「目的…ですか?」
「殺して、その後に律儀に毎回生き返らせてるなんて理解出来ないわ。」
「確かに、得体が知れないですね。」
「情報が少なすぎる……」
ここであーだこーだ言ってても何も進展しない気がするが
凶悪犯罪者集団の下っ端達については
他の騎士団達がなんとかしてくれるらしいから
私達はのんびりと趣味や本のことを満喫して
主犯格のやつらもこの国の奴らに任せればいいのよ。
と思っていてもそうならないのが世の常というものなのだろう。
「……そういえばさ、料理来るの遅くない?」
「ドリンクやデザートの方が先に来てしまいましたね。」
「まあ、混んでいるだけなんじゃね?」
そんなことを思いながら
空腹を紛らわす為にデザートや飲み物を食べ終えて
ナイフやフォークを持ちながら待っていると
急に店内が暗くなった、停電か!?
いや、店内だけではない。
帳のような闇色の結界が帝国を覆い尽くし
店の外もまるで深夜のような宵闇に包まれている。
その様子に皆が戸惑っていると
不意に、外から何かが爆発したような音が聞こえた。
これは、ただの爆発ではない。
このレストランを大きく揺らす程の、ド級の大爆発
店内の人々が悲鳴をあげて店から逃げていき
外の人達も逃げ惑うその光景は阿鼻叫喚。
「シュワッと!?何事じゃ!?」
「まさか、もう仕掛けてきたの!?」
「さあ、行きましょう、モルドレッドさん」
店を飛び出した私達が見たのは
悪夢のような光景であった。
死体、死体、死体、どこを見ても死体の山
「な…なによこれ…!? 」
「わ…私に任せてください。」
ルミナは死体に向かって上級の回復魔法を使った
杖の先端から淡い光が溢れ、周囲を昼のように照らし
死体の山を光が包み込む。
死体に回復魔法を使っても意味などないと思ったが
どうやら、全員、ギリギリ生きていたのか
咳き込みながら息を吹き返した。
「す……すごいじゃないっ!」
「そ…そんなことないです……」
その惨劇の中心には、一人の青年がいる。
その赤黒い髪に褐色の肌、
邪神のような紋様を顔や体中に刻んだ
その奇妙な男は異変に気づいた。
「あ?」
先程、殺戮の限りを尽くした所から極光が見えた。
「なんだ…ありゃ?」
「おもしれーやつがいるじゃねえかっ!」
その男は極光の所まで、跳躍してきた。
着地した先でも虐殺の限りを尽くす彼の元に現れたのは
バラン・レガリアであった。
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そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。
白い空間に声が流れる。
『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』
話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。
幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。
金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。
そう言い切れるほど美しい存在…
彼女こそが邪神エグソーダス。
災いと不幸をもたらす女神だった。
今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
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