上 下
63 / 115

新世界創世編 発動

しおりを挟む
闇の中を漂い彷徨うルクシア

色んな光景が頭の中に浮かんでくる。



「モルドレッドさん、今日はいい天気ですね。」

「ねえ、モルドレッドさん

貴女の好きな本、買ってきたんですよ?」




「ギギィィィギギィ!!!!!」



モルドレッド(?)はルミナを叩く。


「あはは、痛いですよ…モルドレッドさん」


それは、ただの蠢く肉塊。

モルドレッドの血肉を掻き集めて作った

モルドレッドの姿をしたゴーレムでしかない。


「…………………」


「はは……あははははははは…!!!」


「………また失敗しちゃいました。」


「私ってやっぱりダメダメですね……。」


「こんな化物が、モルドレッドさんなわけないです。」


ルミナは、モルドレッドの姿をしたゴーレムを

魔法で跡形もなく消滅させる。

「あはは、またモルドレッドさんの肉片を集めないと………」



そこには、モルドレッドの冷たくなった体を抱きしめて
精神崩壊したルミナの姿があった。






ああ……あああ……なんて…残酷な光景なんだろう

モルドレッドの命が消えて

ルミナもおかしくなってしまって

命の灯火が次々と消えていく。





どうしよう…魔物が多すぎて助けられないよ!?

みんなが、いっぱい怪我をしてどんどん冷たくなってくる。




「ああ、この程度…大丈夫だから…」

「アンタは……逃げなさい。」

「ル……クシアちゃ……ん……逃げて…ください……」


「嫌だよ!私はシャルロットのことも!

モルルンのことも!ルミナのことも!

皆を助けたいのっ!!」



星命流転堕天慈癒極愛光アストラル・フォールンヒール!!!!」


しかし、三人の血が止まることはなかった。


「どうして……!?どうして治らないの…!?」


モルドレッドの体が魔物の攻撃で潰されて

モルドレッドのモノだった血液と肉片が飛び散り

ルクシアは顔にシャワーのような血飛沫を浴びる。



「こんなのって……ないよ……」



「なに……こ……れ?……………血………?」



「みんな………その……傷……大丈夫……なの…?」



「ああ……大丈夫………だ……よ……

君は……私達の…………希望……だから…………」


モルドレッドは魔物の攻撃で肉片となり

ルミナは精神が崩壊し正気を失い

シャルロットは、少女の腕の中で息を引き取った。


「みん……な………?」

「いやああああああああああ!!!!」

繋がりが……絆が………消えていく


また……私が………空っぽになっちゃう……!



「そんな……ダメだよ……ダメ……!

そんなの……ダメ……だよ……!

ルミナも…!シャルロットも……!モルルンも……!

みんな…死んじゃ……ダメ……ダメだよ………!!」


慟哭する少女の瞳には絶望しか映らない。


世界中の人々の命が、消えていくのを感じる。


世界中の人々がどうしようもない力に理不尽に殺されていく。


少女の頭の中に悲鳴が響く。


「助けてよ!」

「どうして…こんなことに…!」


「いやだ……死にたくない!!」


「娘を誰か…誰でもいいから助けてくれ!」

「嫌だ…嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!」

「ギャアアーーーッ!!」

「痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!」

「苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい」

「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」



「こんなの……いやだ……」


助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて

救いを求めて死んでいく人々の声が、悲鳴が

慟哭している少女に聞こえてくる。


「こんな酷いことばっかりな世界なんてもう嫌だよッッッ!!!

なんで、どうして………!?

どうしてこんなことになるのッッッ!!!」



「もう……嫌だよ………」





「みんなが………苦しんでる……」



「みんな………」


「私が、助けてあげないと……… 」


「こんな…悲劇しかない世界は、間違っている」


「私が…なんとかしないと」


『そうだ、お前が、救うしかないんだ。』


「……誰?」


『誰でもいいだろう?』


『貴様には、この悲劇を救える力がある。』


「…………どうすればいいの…?」


「こんな世界など、破壊し尽くして

悲劇など、存在しない。

幸せな世界に変えてしまえばいい。」


「………そう…だよね……わかった…」




「ああ……よかった……これで…」



「みんな幸せになれる……よね?」













「オメガ……今、あの子に何を見せた?」


「フッ分かっているだろう?」


「貴様達がこれから辿る絶望の未来だ。」


「これで、禁断の力が発動す----------」


シャルロットはオメガの魂の残滓をグチャリと握り潰し滅ぼした。





「まさか、創世と終焉と破壊の力が混ざっているのか!?」



ルクシアから赤黒い光が溢れ


この星が崩壊していき神々しい光に世界が包まれる。



「ギャアアーーーッ!!」

「モルドレッドさん!?」


「お姉ちゃ~ん!?」

空に落ちるモルドレッドを追って

ルミナとシャルロットは飛翔し

三人は世界崩壊の闇と世界創世の光に飲み込まれた。








しおりを挟む

処理中です...