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覚醒する真紅編 中二病少女との出逢い
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私達が通っている魔導学園
最近、友達…と言えるかは知らないが知り合いが出来た。
私達より一年学年が下の後輩で
昨日、魔導学園に登校中
「助けてほしいのだ~!」
「ワームに飲み込まれてしまったのだ~!」
と素っ頓狂な叫び声が聞こえ
パンツが丸見えの状態でゴミ箱に嵌っていたところを助けて
軽く話しただけなのだが
その子にやけに気に入られてしまった。
私はその子がいつも使っていると言う
ただならぬ雰囲気というか…異彩を発している
誰も使っていない空き教室で
黒魔術やオカルトを研究している部室のような
風貌をしているという噂の教室に
お昼ご飯を食べ終えて向かう。
すると、案の定、窓は黒いカーテンのような物で
中の様子が見えないようになっており
教室の扉には闇のオーラ的なモノが漂っていた。
私が近づいた途端、自動ドアのように勝手に開いた。
「……入るがよい。」
その声に従い、私は教室に入ったのだが
「うわあ…」
内装を見た途端、そんな声が漏れてしまった。
予想通りというか、案の定というか…
教室だった頃の面影は一切無く
完全に彼女の趣味全開のプライベートルームのような
自室に魔改造されていた。
天蓋付きのなんか凄そうな高級なベット
部屋のあちこちには妖しげな置物や刀剣類の数々が飾られていて
床のド真ん中には紅く輝く電飾で魔法陣のような物が描かれていて
何処かに音楽を流す機材でもあるのか
この部屋に入った瞬間から壮大なBGMが流れている。
中二病全開といった部屋だ。
そんな巨大な魔法陣の中心には一つの人影が
「クククッ…ようこそ、我が魔城の館へ…!」
そこにいたのは
一部が黒く染まった美しい銀色に吸血鬼のように紅い瞳
そして、眼帯の下はコンタクトレンズでもしてるのか
金色の瞳がチラチラと見えている。
黒いフードを被り、マントを羽織り
右目には怪我もしていないのに眼帯を付け
ゴスロリと呼ばれる衣装のようにも思える
一瞬、貴族のような黒一色の装いのように見えた
マントの下は、大事な所は隠されているが
体のラインや同学年と比べて
かなり大きく膨らんでいる胸が丸見えで
ほとんど裸のような格好をしている。
右手には身の丈を超える大きな死神の鎌のような物を持ち
カッコイイ風のポーズを決めている。
死神のような風貌をしている
堕天使の美少女であった。
「えっと…なにをしているの…?」
「クククッ見てわからぬか?」
「そなたを我が魔王軍に入れる為の儀式に決まっておろうではないか?」
「……魔王軍?」
「クククッ何を隠そう
先日の伝説の魔法石を捜索した際の
サンドワームとの戦いで不覚にも捕食されてしまった
我を救出してみせたその力、只者ではないと
我の魔王の第六感が反応してな
我はそなたのことを気に入ったのだよ。」
……ただ、ゴミ箱に嵌っていた所を助けただけなのに
この子の中では随分と壮大な妄想をされてしまっていた。
「ワーハッハッハ!
我は原初の魔王サタニティ・ヘル・ルシファー!
星雲世界アストラルとこの世界を裏から支配している
神を殺す者にして偉大な魔王様なのだ~!」
少女がそう啖呵を切った瞬間
背後から打ち上げ花火が上がって
魔法陣と悪魔の羽のような模様の花の火が咲く。
「そなたがここを訪れたということは
我の配下になるつもりなのだろう?」
「いや、普通に会いに来ただけなんですけど」
「ならば早めに決断することだな?
そなたが我の配下になった暁には
褒美として我の支配下にある世界の半分をあげようというのだぞ?」
「…そういうのは世界を支配してから
言った方がいいんじゃないかな~?」
「フッ愚か者め、よく魔眼を凝らして見てみよ
既に星海の次元アストラル界は我の支配下にあるのだぞ 。」
「………」
…実際に瞳に魔力を込めて魔眼を凝らして見たけど
なんも見えねえ…
星海とかアストラル界とやらも見えねえ…。
「…というか、世界とか貰っても
支配とか管理とか出来ないからお断りするわ。
…というか、なんでそんな大層な物を私に?」
「うむ?忠誠を誓わせる為には褒美が手っ取り早かろう?
金塊とかお菓子とかの方が良かったのだ?」
……この子の世界観を掴むのは大変そうだ。
「フッ我がそなたを『気に入った』
これ以上の理由など必要なかろう。」
…確かに、そうかもしれない。
私も仲間を作る時に、気に入った以上に必要な理由はない
…っていつも言ってたからな。
…この子とは案外気が合う所があるのかもしれない。
……昔は私もこの子のように中二病だったし
「ええと…クルルちゃん」
「なっ…ク……ククッ
我の仮初の名でで呼ぶでない。
…あんまり格好よかったり強そうじゃないから。」
「サタ…なんじゃらは呼びにくいから
仮初の方で呼ばせてくれないかな?」
「う…うむ…発言出来ぬのならよかろう
仮初の名で呼ぶことを許可するのだ。」
(真名の方で呼ばれるの…ちょっぴり嬉しいのだ)
改めまして、この子の名前は
『クルル・ヘル・ルシファー』
私達より学年が一つ下の…いわゆる後輩ってやつだ
学園設立以来のとんでも問題児と言われている。
家がどこかの名家だとかお嬢様って聞いたことがあるが
そんな雰囲気を微塵も感じさせぬ
中二病を患っている美少女だ。
「えっと…それでクルルちゃん」
「うむ、如何したか?我が下僕よ?」
「下僕になったつもりはないんだけど…
その死神…?っぽい武器カッコイイね。」
「おお~!我のディアボロスに目を付けるとは
我が下僕なから褒めてやるのだ。」
「何処かに闇の静けさというか
禍々しくも気品を感じる形をしていて
その格好にも似合ってて凄く良いと思うよ。」
「わ…わあ………だよねだよね!
クルルもそう思うっ!」
興奮して素が出ているのか
子供らしい表情に変わり目をキラキラと輝かせながら
ディアボロスの良さを興奮気味に語るクルル。
「それにその衣装も死神っぽさが出てて良いと思う。」
「でしょでしょ!やっぱり死神といったら
こういう衣装だよね~」
「それにそのカッコイイポーズも決まってて
闇夜に潜み、悪を切り裂く暗殺者みたいで
とっても良い感じだよ。」
「わ…わあ…センパイ分かってくれるんだっ!
あのねあのね、この服とディアボロスは
クルルの一番のお気に入りでねっ!」
嬉しそうに衣装や武器を見せてくるクルルちゃん
しかし
「あ………」
「クククッ…や…やはりそなたには見所があるようだな」
素に戻っていることに気がついたのか
慌てておもむろに声を低くし大仰な言い回しを使い始める。
「良いな…とても良い…
ますます我はそなたを欲しくなったぞっ!」
その時、鐘のような音が聞こえた気がした。
「…………あっ
あの…重大なことに気づいたのですが
言っても宜しいでしょうか、魔王…さま?」
「フッ許可する。要件を述べよ。」
「……お昼休みが終わっちゃったので
そろそろ着替えないと遅刻しちゃうよ?」
「ふえっ…ええっ…もうそんな時間!?」
「うわわっやばいのだ…!?
遅刻したらまた先生に叱られるのだっ!
この間も大目玉食らわされたのだ~!」
…なにをやらかしたんだ…この子。
「あわわわわっ!?すぐに着替えるのだっ!
えっと…制服…制服…どこに脱ぎ捨てたっけ~?」
クルルは格好つけることを辞めて
慌てて衣装を脱ぎ捨てて全裸のまま、部屋中を探し回る。
散らかっている部屋中に乱雑に置かれた物を漁るように
クルルはあれでもないこれでもないと投げている。
すると、信じられない物が目に飛び込んできた。
「……っ!?」
それは、黒光りしている巨大な大根…のようなモノ。
モザイクを全力でかける必要があるような
金属で出来ている部分の根元のボタンを押せば
ウィンウィンウネリ動くような
どう見ても、大人の玩具にしか見えない
例のアレであった。
私は痙攣しながらそのブツを持って
制服に着替え終えたクルルに話しかける。
「あ…あの……クルル…さん…あの…こ……これ…」
「フッフッフそれに気がつくとは
センパイもお目が高い。
これは、我の黒魔術を研究する為の魔法具なのだっ!」
「……は?????」
そこで私は理解の範疇を超えてしまった。
「フッフッフ目玉が飛び出るぐらい驚いているのだ
流石は伝説のマジックアイテムなのだ。」
「フッフッフ
この黒光りは魔王サタンの角を再現していると言われていて
知ってる者は誰もが羨む伝説のマジックアイテムなのだよ。」
……ナニとは言わないが絶対騙されてるよ、クルルちゃん
「しかも、ただの置物ではないのだ!」
「根元のボタンを押すとウィンウィン動くんでしょ?」
「えっ!…なんで知っているのだ?
まさか、センパイもこれを欲しかった…とか?」
「そんなわけないでしょ、それ大人の玩具だし」
「………はあ???」
「だから、それは大人専用の……」
「え?……え??……えっと………」
「い…言われてみれば…この形………」
「その…センパイ…つかぬことを伺いますが…
コレ…もしかして…その……
卑猥な目的で使われることも…あるんですかっ!?」
「むしろそういう用途でしか使わないと思うなあっ!?」
「え……えええええええええええええ…!?」
「そ、そんなぁ…これを買う為に頑張って
セバスチャンのお手伝いしたり
演出に使う爆発用の魔法具を我慢したりして
やっと最近、お小遣いが貯まって買えたというのに……」
涙目になっている彼女を見て可哀想な気持ちになってくる。
この子、純粋というか天然というか
素はかなり純粋無垢な子なんだろうなあ
というのが分かってしまった。
「それは…なんというか…ドンマイ。」
私はガクリと肩を落とした彼女の肩にポンッと手を置く。
当然こんなやりとりをしては授業に間に合わず
私達は仲良く遅刻することになる。
お昼休みを終えた午後の授業
皆、午前の授業で疲れているのか
お昼休みの後で強烈な眠気がやってきているのか
どこかやる気がなく
逆にやる気に満ちている生徒が打ち返した
バトミントンのボールが豪速球のように飛び
学園の外の何処かに飛んでいったボールが当たり
吐血している少女がいたような気がしないでもない。
「ゴフッ!?」
「うう…イタタ……何処にいるの……」
「ゲホッゲホッゴホッゴホッ……ゴフッ!?」
「うぅ…おろろろろろろ…!?」
少女は口から大量の血を吐き出し
道路がみるみる真っ赤な血で染まっていき
その様子を見た通行人がキョッとした様子で見ている。
「うわあっ!?だ…大丈夫ですか!?」
背中に二本の刀をぶら下げて
暁のような紅の炎の紋様のある黒のパーカーに
ボクサーのズボンやスポーツブラのようにも思える
水着のようなインナー姿で
日課のランニングをしていた
ティナが吐血している少女に思わず話しかける。
「は…はい…私…虚弱体質なので…気にしないでくださ……」
「ゴホッゴホッ!」
「ほ…本当に大丈夫ですかっ!?
びょ…病院に行きましょう!」
「い…いいえ、本当に…大丈夫…です…から……」
死神のようなマントを羽織った
幸薄そうな白髪の少女はガリガリに痩せ細った体を引きずり
フラついている上に
右目が長く伸びた髪で隠れている為
フラフラとあちこちにぶつかり
その度に吐血しながらその幸薄な少女は
とある人物を見つける為に歩き出す。
そして、その少女の様子をボーッと見つめる
黒の下着姿で街を彷徨いている金髪の幼い少女がいた。
「……へえ、中々面白そうな子がいるじゃない」
「……あの子なら、私の玩具になってくれるかしら?」
「あーあ、せっかく外の世界に出てこれたってのに
平和すぎて退屈しちゃうな~
久しぶりにシャル姉とまた遊びたいな~」
「暇潰しにレーヴァテインで
ここらへんを焼き払ってしまおうか考えたけど
まだ暴れるわけにはいかないのよね~」
そして、ルインは闇に紛れて姿を消した。
「うう…あの子、ほんとうに大丈夫かなぁ…?」
ティナはキョロキョロと回りを見回すが
あの少女の姿は何処にもなかった。
そして、学園に視点を戻すと
私達は体育の授業でバトミントンなのだが
なぜか学年が違うはずのクルルもそこにいる。
「……というか、なんでクルルちゃんまでいるの?」
「フッフッフ…我も体育の授業なのである。
我のクラスは向こうでバスケットボールなどという
遊戯をやることになっておる。」
「向こうに行かなくてもいいの?」
「う、うむ、我が下僕の姿が見えなくてな
気になってしまって来たのだ。」
「そっか、心配かけたね。」
遅刻した原因は、『あの子』の気配を感じて
軽い頭痛に襲われてたせいなんだけどね。
あの子は確か、幽閉されていたはずだが
どうやらいつの間にか脱走して現世に降臨なさったようだ。
世界をいつでも壊せるような
超絶やべえ厄災が解き放たれてしまったが
まあそんなことは今は置いといて
「まあ、私はこの通りピンピンしてるから
クルルちゃんはそろそろ自分のクラスに戻った方がいいんじゃない?」
「う、うむ、そうであるな…でも……嫌なのだ」
「えっと…パスとか練習する相手とか…いないの?」
「もしかして運動とか苦手だったり?」
「いや、身体を動かすのは嫌いではないがな …
馴れ合うのを好まぬ故に……」
「そっか~」
「フッフッフ…気にするな、我は孤高の存在だからな。
………はあ…怒られるかもだから、行ってくるのだ」
そういってクラスの方にとぼとぼと歩いていく。
あ…なんだろう…ぼっち特有の雰囲気を感じてしまった。
二人組作って~って言われて一人余った時の
哀愁漂う雰囲気にも似ているような
…もしかして、クラスに馴染めてないのだろうか?
う~モルちゃんが復学して登校出来るまで
あと一週間もかかるなんて…
くそっ!これが半年以上ひきこもっていた代償だってのかっ!
毎日が暇で暇で仕方がない。
それに、うん、ぼっち同士組むのも面白そうだ。
今度また体育の時間に会えたら誘ってみよう。
次の日、クルルの様子が気になって
彼女のクラスにやって観察してみたが
教室にはほとんどおらず休み時間の大半を
図書室かあの空き教室で過ごしているようだ。
それに、イジメられている雰囲気はなく
クルルのあの独特な世界観についていけずに
どう接すれば良いか分からず
接し方を決めかねているといった感じで
誰も彼女に話しかける者はおらず
彼女はクラスから完全に浮いてしまっていた。
放課後、子供達と遊んでいるクルルを見かけた。
結構面倒見が良さそうなんだなあ
「クックック我の魔眼の力よっ!解き放て…!」
「うおおおお!!」
「僕達は負けない!」
「押し返せ~!」
「なぬっ我の闇が光に包まれて…」
「ぬわああああああっ!?」
「あははははははは」
「よっ!楽しそうだね。」
「クックック…我が下僕も
我の異能の力に引き寄せられたか!」
「この子達といつも遊んであげてるの?」
「クックックそうだ。
こやつらは我の魔眼に魅了されし光の騎士見習い達であ~る。」
「違うよ~!」
「僕達が遊んであげてるんだよ」
「お姉ちゃんいつもひとりで可哀想だからね」
「ええ……えええええええええ……!!!!????」
…少し可哀想なそんな様子を見た私は気づいたらこう呟いていた。
「せめて、私だけでもあの子の友達で居てあげないとなあ…」
そして、私はお昼休みの時間になると
決まって彼女のいる空き教室に通うようになった。
「ねえ、クルルちゃん」
「うむ、どうした我が下僕よ、申してみよ」
「今日の放課後さ、遊びに行かない?」
「おおっ!それは楽しそうではないか」
「それでは、魔石を探しにいくのだっ!」
「魔石?そんなのどこにあるの?」
「フッフッフ、普通にアクセサリー店に売ってあるのだ」
売ってあるのかよ。
まあ、確かにあるにはあるらしいな。高額だけど
魔法が使えない人も魔法を使えるようになるには
特定の魔法が刻まれた魔石で代用してるって言うし
魔石を見て回るのも面白そうだな。
そして放課後、私とクルルはやってきた。
クルルの私服は完全にゴスロリのような
中二病全開な服装でかなり目立つ。
「フッフッフ」
「へえ、初めて見たけど色んなのがあるんだね。」
爆裂魔法に転移魔法に防御魔法とか
バリエーション豊富だな~
ここらへんのやつをいくつか
お姉ちゃんにお土産として買っておくか。
後になって役に立つかもしれないしね。
「す…すまぬ、我はお花をつんでくるのだー」
「いいよー行っておいで」
魔石店を見回り終えた後に
私はお手洗いに行ったのであろう
クルルを探すが何処にいるのだろうと
思っていたらなにやら騒がしい。
「なんだろ…喧嘩かな?………ってクルルちゃん!?」
一目で不良と分かるような風貌をした
鉄パイプ持ちの四人の男性に囲まれている。
「クククッ我に気安く触れるとその腕が腐り落ちてしまうぞ?」
「あ?なに言ってんだこいつ?頭大丈夫かー?」
「フッ…口の聞き方に気をつけるのだな下郎共め。」
「それはこっちのセリフなんだよなあ」
「な、何を言うか、そなた達が悪いのであろう。
よってたかって一人を虐めるなど…」
「俺達が悪いってのか、ああっ!?」
「ひいっ!?」
「アヒャヒャヒャヒャ!!
こいつ偉そうなこと言って足がガクガク震えてるやがるぜえ!!!」
「トイレに入った後で良かったなあっ!!
じゃなきゃ今頃漏らしてたんじゃね?」
「こいつ、頭おかしいが顔だけは良いじゃあねえか」
「そうっすねえ!!犯してやりましょうぜえ!!」
「そ、そなたらがチビることになっても知らぬぞ!」
「おうおう!やれるもんならやってみろやオラァ!」
「ほ…本当にやって良いのだな…?」
「わ…我に逆らうと貴様らの魂ごと消滅させてしまうのだぞっ!」
「こ…これから封印を解き放つのだっ!
き…貴様らなんかコテンパンにしてやるのだっ!」
クルルは涙目になりながらも
震えながら手を眼帯に引っ掛けて外そうとする。
すると、眼帯がずれていき、瞳から金色の輝きが漏れます。
シャルロットは呆れ顔でその一部始終を見ていた。
……おいおいここは治安が良い街って聞いてたんだが?
世紀末みてえな不良がいやがるぜ。
男共の言動も少々可笑しく正気では無い気がするが
……まったくもう、声と足が震えてるじゃあないか
目立つ格好してるからだよ~
シャルロットは
震えているクルルの豊満な胸に手を伸ばそうとする
下賎な輩の手首を掴んだ。
「あ?てめえ、なんのよう………」
その時、凄まじい衝突音のような物が街中に鳴り響いた。
シャルロットが不良の一人を壁に向けて投げつけた音だ。
壁の一部の崩れ、叩きつけられた不良は
白目を向いて泡を吹いて気絶している。
「な…ナンダア、テメエッ!? 」
「てめえ…よくもヤリヤガッタナ」
「やっちまええええっ!!!」
三人の不良が鉄パイプを振り回して
私の頭部を狙ってきたがそれを余裕綽々といった様子で避け
不良が振り上げ、脳天目掛けて振り下ろそうとした
鉄パイプを私は蹴り上げて遠くまで蹴飛ばす。
そして、不良の横顔に全力の蹴りをお見舞いしてやった。
不良で情けない声を洩らしながら駒のように回転し地に伏せる。
そして、気絶した不良の制服についている
大きめの金具が付いた金のボタンを毟り取る。
そして、私の後頭部に振り下ろされた
鉄パイプに向けてボタンを指で弾き鉄パイプを破壊する。
不良が驚愕している隙に私はその不良に上段蹴りを食らわせて
残った最後の一人も怯まずに特攻してきたが
軽く躱して不良の腹に正拳突きをめり込ませ
嗚咽を漏らした不良の顎に膝蹴りし、顎を砕き
両手を突き出すように両肩に手を置き
発勁のように衝撃波を放ち両肩の骨を砕き
最後に踵落としを後頭部に食らわせて終いだ。
「あの………センパイ…?」
「あっクルルちゃん怪我はなかった?」
「う、うん…………それより………」
戸惑うような目線で見上げてくる。
乱暴なことをして怖がられちゃった?
……どうしよう、もしかしてやり過ぎた?
今更ながら人畜無害アピールでもするか?
「あはは……あれぐらい普通の護身術だよ。ほんとだよ。」
「センパイ……本当に…強いんだ……」
「すごく……かっこよかったのだ………」
あれ?何故か尊敬の眼差しを向けられている気がする。
「センパイ…今の凄かったのだ!」
「素敵なのだ… 憧れるのだ……」
…怖がられてるわけじゃなさそうだね。
「あ…あの…これからはお姉様って呼んでもいいですか!」
「ええっ…!?」
「お姉様~~♪てりゃーっ!」
子猫のように甘えた声を出しながら
私に抱きついてきた。
「ゴロゴロニャーン…えへへ~なのだ~♪」
「お姉様最高!助けてくれてありがとうだよっ!」
「ど…どういたしまして…」
小動物のようにすりすりと胸や顔をくっつけてくるクルルちゃん。
「んふふ~お姉様っておっぱいちいさいね~」
「クルルちゃんが大きいだけだと思いますが!?」
「クルルはおっぱい小さくても平気だよ~
だってお姉様のこと大好きだし~♪
お姉様とっても綺麗で可愛いし
しかも強いとか最高すぎるよ~♪」
「そ…そろそろ離れてくれないかな~?」
「や~だ~~!」
一方その頃。
シャルロットが蹴り飛ばした鉄パイプが
弧を描くように回転しながら凄まじい勢いで
幸薄な少女の足首に直撃し、骨が折れて吐血する。
「グフッ!?ゴホッゴホッ!?」
右足が曲がってはいけない方向に折れて
吐血して道を真っ赤な血に染めて
大きな水溜りを作ってしまった。
そんな吐血中の幸薄な少女を偶然通りかかった
久遠零とローザが見かけて思わず声をかけた。
「あわわわわっ!?だ、大丈夫ですか!?」
「………何事?」
「ゴホッゴホッ……うう…ごめんなさい…」
「私…虚弱体質で……よく血を吐いてしまうんです」
「……なるほど虚弱体質ですか」
「なるほど…虚弱体質……
しかし、これほどまでに貧弱な者は初めて見た。」
「それより、足は大丈夫そうですか?」
「は…はい、しばらくすればくっつくと思うので
そ…それでは……ゲホッ!ゲホッ!」
咳き込みプルプルと震えながら
幸薄な少女はその場を後にする。
その一部始終を屋根上で見ていた金髪の少女は
退屈そうに呟く。
「あーあ、やっぱりすぐにやっつけられちゃったわ
やっぱりあんな玩具じゃ駄目ね。
次はもっと暴れられるような舞台を選ぼうかしら
もっと合法的に殺戮が許されるような状況…
そうね、極悪人さんならどれだけ殺してもいいって
たしかシャル姉も言ってた気がするし
壊しても良いような極悪人さんを探そうっと!」
そして、ルインは闇夜に姿を消し、時を待つことにした。
そして、レガリア邸にて
クルルがシャルロットに晩ご飯を食べさせようと箸を近づけていく。
「お姉様~はい、あーん♡」
「じ…自分で食べられるよクルルちゃ~ん」
「……どうなってるのよ…これ」
「いやあ、カクカクシカジカというわけで
可愛い後輩に懐かれまして……」
「へえ、私が休学してる間にそんなことがあったのね…」
お姉ちゃんにジト目で見られているような気がするのは何故だろうか?
「おおっ!お姉様のお姉ちゃんなのだ!」
「モルセンパイなのだっ!」
「気軽にモルちゃんでいいわよ。」
「お姉ちゃんはワケアリで今は休学してるんだけど
一週間後に復学することになったんだよね。」
「フッフッフそれなら我もお姉様と一緒に
復学するまでモルセンパイとの親睦を深めるのだ~!」
「ええ…よろしくね…クルル…ちゃん」
二人は握手を交わした。
これで一応、友達とか知り合いにはなれたのかも?
「よしっ!お姉様、モルちゃんセンパイ
我の後に続くのだ~!」
そして、私達はクルルちゃんにお風呂に連れてこられて
親睦を深める儀式として一緒に風呂に入ることとなったのであった。
「………なにやってるの?」
微妙に不機嫌そうなモルちゃんの視線を浴びながら
私は無心に手を動かす。
お風呂上がりの可愛い後輩の髪を乾かしてやっているのである。
「んふふ~見ての通りなのだ~」
数分前、お風呂から上がり髪を湿らせたままの
クルルちゃんが私達の部屋に突撃してきたのである。
そしてバスタオルを手渡され、このような状況に
「あのねあのね、今日の入浴剤って
お姉様が選んでくれたんだよね?」
「うん、まあ」
「桃の香りのやつクルル好きかも~なのだ~」
顔をフニャフニャに緩めて
子猫のような甘えた声を出すクルルちゃん
「そっか、気に入ってくれてよかったよ。」
お姉ちゃんのお土産として買っておいたやつだけど
クルルちゃんも気に入ってくれたようで良かった良かった。
私とモルちゃんだけでなく膝の上に乗っている
クルルちゃんから甘い桃の香りが漂ってくる。
「…というか、髪を乾かすぐらい一人で出来るんじゃないの?」
「そうだけど、お姉様にやってほしいのだ~」
「なんでわたしが……」
「お姉様は我と桃園の誓いを誓いあった
この魔王様の下僕だからに決まっているのだ!」
ドヤ顔で桃園の誓いとか言い放ったクルルちゃん
おそらく意味を理解して喋ってるとは思えないけど。
それに反応して顔を真っ赤にしている
ムッツリスケベなモルちゃんは
『どういうことよっ!』と私の肩を揺さぶる。
そして私達に騒がしい日常が戻ってきたことを実感するのであった。
そして、幸薄な少女は
「お父様とお母様は現世の空気は猛毒って言ってたけど
スウーーハアーー…思ったより気持ちいい…」
「うっぷ……!」
「ゴホッゴホッゲホッ!?」
幸薄な少女は激しく咳き込んだ後に盛大に吐血した上に
登っていた建物の屋上から落下し体が血まみれになる。
「うう……どこにいるの……ハデスちゃーん?」
「ハデスちゃん…ハデスちゃん…ハデスちゃん…」
「ハデスちゃん…ハデスちゃん…ハデスちゃん…」
そして、少女は息絶えて
まるで死んだように眠りについたのであった。
今、私はクルルに呼び出され薄暗い森の中にいる。
月明かりに照らされている広けた場所に
彼女は立っていた。
「クックックよく来たのだお姉様っ!」
「えっと…何しに呼んだの?湯冷めしちゃうぞ?」
「クックック、今宵の月は紅いからな
我の封じられた力を解き放つには
ちょうどいい時であろうと思ってな。」
「…私がコレを見せるのは…特別な人にだけ…
お姉様にだけなんだから…。」
『堕天した明けの明星』
彼女は聞こえないようにボソッと呟くと
右目の眼帯に手をかけてゆっくりと眼帯を外す。
すると、紅い瞳が金色に変わり光輝いていく。
終末の魔眼が発動し
周囲を逢魔ヶ刻のように妖しく照らしていく。
そして、未来が見える。
空間が崩壊し新たな世界に再構築され
天と地が逆転し大地が砕け散り
ヒビ割れた大地の隙間から光が差し込んだ世界で
針がⅫを指した時
世界の終わりを告げる終末時計と
それと同時に終焉をもたらし世界を終演させる
巨大な時計盤と金色の眼のような姿をしている神が
彼女の背後に顕現し
宇宙を壊すほどの力が眠っているかもしれない
究極にして禁断の終末の魔眼
トワイライト・アポカリプスが解放され
宇宙の全てが消去される神々しい輝きに包まれる。
という結末を未来視してしまった。
しかし、彼女の瞳から宇宙さえも消去してしまう
明けの明星の神滅の光輝が放たれているのにも関わらず
ただ突風が吹き荒れただけで何も起こらなかった。
「クッ……クッ……ク…ど…どうやら封印の力が強く
我の終末の魔眼の解放はまだ不完全のようだ…」
「よかったな、お姉様。
我の終末の魔眼の封印が完全に解かれていたら
今頃お姉様は宇宙の塵になっていたのだ。」
「…そっか~」
(ふ…不発して……よ…よかった…
これで…いつも通りの日常が送れる…)
「そ…それじゃあ我は先に帰ってるのだ
お姉様も湯冷めする前に帰るのだぞ」
(よかった……お姉様が消えなくて…)
我はバクバクと五月蝿く鳴る心臓の音を
お姉様に気づかれないように小走りで戻るのであった。
最近、友達…と言えるかは知らないが知り合いが出来た。
私達より一年学年が下の後輩で
昨日、魔導学園に登校中
「助けてほしいのだ~!」
「ワームに飲み込まれてしまったのだ~!」
と素っ頓狂な叫び声が聞こえ
パンツが丸見えの状態でゴミ箱に嵌っていたところを助けて
軽く話しただけなのだが
その子にやけに気に入られてしまった。
私はその子がいつも使っていると言う
ただならぬ雰囲気というか…異彩を発している
誰も使っていない空き教室で
黒魔術やオカルトを研究している部室のような
風貌をしているという噂の教室に
お昼ご飯を食べ終えて向かう。
すると、案の定、窓は黒いカーテンのような物で
中の様子が見えないようになっており
教室の扉には闇のオーラ的なモノが漂っていた。
私が近づいた途端、自動ドアのように勝手に開いた。
「……入るがよい。」
その声に従い、私は教室に入ったのだが
「うわあ…」
内装を見た途端、そんな声が漏れてしまった。
予想通りというか、案の定というか…
教室だった頃の面影は一切無く
完全に彼女の趣味全開のプライベートルームのような
自室に魔改造されていた。
天蓋付きのなんか凄そうな高級なベット
部屋のあちこちには妖しげな置物や刀剣類の数々が飾られていて
床のド真ん中には紅く輝く電飾で魔法陣のような物が描かれていて
何処かに音楽を流す機材でもあるのか
この部屋に入った瞬間から壮大なBGMが流れている。
中二病全開といった部屋だ。
そんな巨大な魔法陣の中心には一つの人影が
「クククッ…ようこそ、我が魔城の館へ…!」
そこにいたのは
一部が黒く染まった美しい銀色に吸血鬼のように紅い瞳
そして、眼帯の下はコンタクトレンズでもしてるのか
金色の瞳がチラチラと見えている。
黒いフードを被り、マントを羽織り
右目には怪我もしていないのに眼帯を付け
ゴスロリと呼ばれる衣装のようにも思える
一瞬、貴族のような黒一色の装いのように見えた
マントの下は、大事な所は隠されているが
体のラインや同学年と比べて
かなり大きく膨らんでいる胸が丸見えで
ほとんど裸のような格好をしている。
右手には身の丈を超える大きな死神の鎌のような物を持ち
カッコイイ風のポーズを決めている。
死神のような風貌をしている
堕天使の美少女であった。
「えっと…なにをしているの…?」
「クククッ見てわからぬか?」
「そなたを我が魔王軍に入れる為の儀式に決まっておろうではないか?」
「……魔王軍?」
「クククッ何を隠そう
先日の伝説の魔法石を捜索した際の
サンドワームとの戦いで不覚にも捕食されてしまった
我を救出してみせたその力、只者ではないと
我の魔王の第六感が反応してな
我はそなたのことを気に入ったのだよ。」
……ただ、ゴミ箱に嵌っていた所を助けただけなのに
この子の中では随分と壮大な妄想をされてしまっていた。
「ワーハッハッハ!
我は原初の魔王サタニティ・ヘル・ルシファー!
星雲世界アストラルとこの世界を裏から支配している
神を殺す者にして偉大な魔王様なのだ~!」
少女がそう啖呵を切った瞬間
背後から打ち上げ花火が上がって
魔法陣と悪魔の羽のような模様の花の火が咲く。
「そなたがここを訪れたということは
我の配下になるつもりなのだろう?」
「いや、普通に会いに来ただけなんですけど」
「ならば早めに決断することだな?
そなたが我の配下になった暁には
褒美として我の支配下にある世界の半分をあげようというのだぞ?」
「…そういうのは世界を支配してから
言った方がいいんじゃないかな~?」
「フッ愚か者め、よく魔眼を凝らして見てみよ
既に星海の次元アストラル界は我の支配下にあるのだぞ 。」
「………」
…実際に瞳に魔力を込めて魔眼を凝らして見たけど
なんも見えねえ…
星海とかアストラル界とやらも見えねえ…。
「…というか、世界とか貰っても
支配とか管理とか出来ないからお断りするわ。
…というか、なんでそんな大層な物を私に?」
「うむ?忠誠を誓わせる為には褒美が手っ取り早かろう?
金塊とかお菓子とかの方が良かったのだ?」
……この子の世界観を掴むのは大変そうだ。
「フッ我がそなたを『気に入った』
これ以上の理由など必要なかろう。」
…確かに、そうかもしれない。
私も仲間を作る時に、気に入った以上に必要な理由はない
…っていつも言ってたからな。
…この子とは案外気が合う所があるのかもしれない。
……昔は私もこの子のように中二病だったし
「ええと…クルルちゃん」
「なっ…ク……ククッ
我の仮初の名でで呼ぶでない。
…あんまり格好よかったり強そうじゃないから。」
「サタ…なんじゃらは呼びにくいから
仮初の方で呼ばせてくれないかな?」
「う…うむ…発言出来ぬのならよかろう
仮初の名で呼ぶことを許可するのだ。」
(真名の方で呼ばれるの…ちょっぴり嬉しいのだ)
改めまして、この子の名前は
『クルル・ヘル・ルシファー』
私達より学年が一つ下の…いわゆる後輩ってやつだ
学園設立以来のとんでも問題児と言われている。
家がどこかの名家だとかお嬢様って聞いたことがあるが
そんな雰囲気を微塵も感じさせぬ
中二病を患っている美少女だ。
「えっと…それでクルルちゃん」
「うむ、如何したか?我が下僕よ?」
「下僕になったつもりはないんだけど…
その死神…?っぽい武器カッコイイね。」
「おお~!我のディアボロスに目を付けるとは
我が下僕なから褒めてやるのだ。」
「何処かに闇の静けさというか
禍々しくも気品を感じる形をしていて
その格好にも似合ってて凄く良いと思うよ。」
「わ…わあ………だよねだよね!
クルルもそう思うっ!」
興奮して素が出ているのか
子供らしい表情に変わり目をキラキラと輝かせながら
ディアボロスの良さを興奮気味に語るクルル。
「それにその衣装も死神っぽさが出てて良いと思う。」
「でしょでしょ!やっぱり死神といったら
こういう衣装だよね~」
「それにそのカッコイイポーズも決まってて
闇夜に潜み、悪を切り裂く暗殺者みたいで
とっても良い感じだよ。」
「わ…わあ…センパイ分かってくれるんだっ!
あのねあのね、この服とディアボロスは
クルルの一番のお気に入りでねっ!」
嬉しそうに衣装や武器を見せてくるクルルちゃん
しかし
「あ………」
「クククッ…や…やはりそなたには見所があるようだな」
素に戻っていることに気がついたのか
慌てておもむろに声を低くし大仰な言い回しを使い始める。
「良いな…とても良い…
ますます我はそなたを欲しくなったぞっ!」
その時、鐘のような音が聞こえた気がした。
「…………あっ
あの…重大なことに気づいたのですが
言っても宜しいでしょうか、魔王…さま?」
「フッ許可する。要件を述べよ。」
「……お昼休みが終わっちゃったので
そろそろ着替えないと遅刻しちゃうよ?」
「ふえっ…ええっ…もうそんな時間!?」
「うわわっやばいのだ…!?
遅刻したらまた先生に叱られるのだっ!
この間も大目玉食らわされたのだ~!」
…なにをやらかしたんだ…この子。
「あわわわわっ!?すぐに着替えるのだっ!
えっと…制服…制服…どこに脱ぎ捨てたっけ~?」
クルルは格好つけることを辞めて
慌てて衣装を脱ぎ捨てて全裸のまま、部屋中を探し回る。
散らかっている部屋中に乱雑に置かれた物を漁るように
クルルはあれでもないこれでもないと投げている。
すると、信じられない物が目に飛び込んできた。
「……っ!?」
それは、黒光りしている巨大な大根…のようなモノ。
モザイクを全力でかける必要があるような
金属で出来ている部分の根元のボタンを押せば
ウィンウィンウネリ動くような
どう見ても、大人の玩具にしか見えない
例のアレであった。
私は痙攣しながらそのブツを持って
制服に着替え終えたクルルに話しかける。
「あ…あの……クルル…さん…あの…こ……これ…」
「フッフッフそれに気がつくとは
センパイもお目が高い。
これは、我の黒魔術を研究する為の魔法具なのだっ!」
「……は?????」
そこで私は理解の範疇を超えてしまった。
「フッフッフ目玉が飛び出るぐらい驚いているのだ
流石は伝説のマジックアイテムなのだ。」
「フッフッフ
この黒光りは魔王サタンの角を再現していると言われていて
知ってる者は誰もが羨む伝説のマジックアイテムなのだよ。」
……ナニとは言わないが絶対騙されてるよ、クルルちゃん
「しかも、ただの置物ではないのだ!」
「根元のボタンを押すとウィンウィン動くんでしょ?」
「えっ!…なんで知っているのだ?
まさか、センパイもこれを欲しかった…とか?」
「そんなわけないでしょ、それ大人の玩具だし」
「………はあ???」
「だから、それは大人専用の……」
「え?……え??……えっと………」
「い…言われてみれば…この形………」
「その…センパイ…つかぬことを伺いますが…
コレ…もしかして…その……
卑猥な目的で使われることも…あるんですかっ!?」
「むしろそういう用途でしか使わないと思うなあっ!?」
「え……えええええええええええええ…!?」
「そ、そんなぁ…これを買う為に頑張って
セバスチャンのお手伝いしたり
演出に使う爆発用の魔法具を我慢したりして
やっと最近、お小遣いが貯まって買えたというのに……」
涙目になっている彼女を見て可哀想な気持ちになってくる。
この子、純粋というか天然というか
素はかなり純粋無垢な子なんだろうなあ
というのが分かってしまった。
「それは…なんというか…ドンマイ。」
私はガクリと肩を落とした彼女の肩にポンッと手を置く。
当然こんなやりとりをしては授業に間に合わず
私達は仲良く遅刻することになる。
お昼休みを終えた午後の授業
皆、午前の授業で疲れているのか
お昼休みの後で強烈な眠気がやってきているのか
どこかやる気がなく
逆にやる気に満ちている生徒が打ち返した
バトミントンのボールが豪速球のように飛び
学園の外の何処かに飛んでいったボールが当たり
吐血している少女がいたような気がしないでもない。
「ゴフッ!?」
「うう…イタタ……何処にいるの……」
「ゲホッゲホッゴホッゴホッ……ゴフッ!?」
「うぅ…おろろろろろろ…!?」
少女は口から大量の血を吐き出し
道路がみるみる真っ赤な血で染まっていき
その様子を見た通行人がキョッとした様子で見ている。
「うわあっ!?だ…大丈夫ですか!?」
背中に二本の刀をぶら下げて
暁のような紅の炎の紋様のある黒のパーカーに
ボクサーのズボンやスポーツブラのようにも思える
水着のようなインナー姿で
日課のランニングをしていた
ティナが吐血している少女に思わず話しかける。
「は…はい…私…虚弱体質なので…気にしないでくださ……」
「ゴホッゴホッ!」
「ほ…本当に大丈夫ですかっ!?
びょ…病院に行きましょう!」
「い…いいえ、本当に…大丈夫…です…から……」
死神のようなマントを羽織った
幸薄そうな白髪の少女はガリガリに痩せ細った体を引きずり
フラついている上に
右目が長く伸びた髪で隠れている為
フラフラとあちこちにぶつかり
その度に吐血しながらその幸薄な少女は
とある人物を見つける為に歩き出す。
そして、その少女の様子をボーッと見つめる
黒の下着姿で街を彷徨いている金髪の幼い少女がいた。
「……へえ、中々面白そうな子がいるじゃない」
「……あの子なら、私の玩具になってくれるかしら?」
「あーあ、せっかく外の世界に出てこれたってのに
平和すぎて退屈しちゃうな~
久しぶりにシャル姉とまた遊びたいな~」
「暇潰しにレーヴァテインで
ここらへんを焼き払ってしまおうか考えたけど
まだ暴れるわけにはいかないのよね~」
そして、ルインは闇に紛れて姿を消した。
「うう…あの子、ほんとうに大丈夫かなぁ…?」
ティナはキョロキョロと回りを見回すが
あの少女の姿は何処にもなかった。
そして、学園に視点を戻すと
私達は体育の授業でバトミントンなのだが
なぜか学年が違うはずのクルルもそこにいる。
「……というか、なんでクルルちゃんまでいるの?」
「フッフッフ…我も体育の授業なのである。
我のクラスは向こうでバスケットボールなどという
遊戯をやることになっておる。」
「向こうに行かなくてもいいの?」
「う、うむ、我が下僕の姿が見えなくてな
気になってしまって来たのだ。」
「そっか、心配かけたね。」
遅刻した原因は、『あの子』の気配を感じて
軽い頭痛に襲われてたせいなんだけどね。
あの子は確か、幽閉されていたはずだが
どうやらいつの間にか脱走して現世に降臨なさったようだ。
世界をいつでも壊せるような
超絶やべえ厄災が解き放たれてしまったが
まあそんなことは今は置いといて
「まあ、私はこの通りピンピンしてるから
クルルちゃんはそろそろ自分のクラスに戻った方がいいんじゃない?」
「う、うむ、そうであるな…でも……嫌なのだ」
「えっと…パスとか練習する相手とか…いないの?」
「もしかして運動とか苦手だったり?」
「いや、身体を動かすのは嫌いではないがな …
馴れ合うのを好まぬ故に……」
「そっか~」
「フッフッフ…気にするな、我は孤高の存在だからな。
………はあ…怒られるかもだから、行ってくるのだ」
そういってクラスの方にとぼとぼと歩いていく。
あ…なんだろう…ぼっち特有の雰囲気を感じてしまった。
二人組作って~って言われて一人余った時の
哀愁漂う雰囲気にも似ているような
…もしかして、クラスに馴染めてないのだろうか?
う~モルちゃんが復学して登校出来るまで
あと一週間もかかるなんて…
くそっ!これが半年以上ひきこもっていた代償だってのかっ!
毎日が暇で暇で仕方がない。
それに、うん、ぼっち同士組むのも面白そうだ。
今度また体育の時間に会えたら誘ってみよう。
次の日、クルルの様子が気になって
彼女のクラスにやって観察してみたが
教室にはほとんどおらず休み時間の大半を
図書室かあの空き教室で過ごしているようだ。
それに、イジメられている雰囲気はなく
クルルのあの独特な世界観についていけずに
どう接すれば良いか分からず
接し方を決めかねているといった感じで
誰も彼女に話しかける者はおらず
彼女はクラスから完全に浮いてしまっていた。
放課後、子供達と遊んでいるクルルを見かけた。
結構面倒見が良さそうなんだなあ
「クックック我の魔眼の力よっ!解き放て…!」
「うおおおお!!」
「僕達は負けない!」
「押し返せ~!」
「なぬっ我の闇が光に包まれて…」
「ぬわああああああっ!?」
「あははははははは」
「よっ!楽しそうだね。」
「クックック…我が下僕も
我の異能の力に引き寄せられたか!」
「この子達といつも遊んであげてるの?」
「クックックそうだ。
こやつらは我の魔眼に魅了されし光の騎士見習い達であ~る。」
「違うよ~!」
「僕達が遊んであげてるんだよ」
「お姉ちゃんいつもひとりで可哀想だからね」
「ええ……えええええええええ……!!!!????」
…少し可哀想なそんな様子を見た私は気づいたらこう呟いていた。
「せめて、私だけでもあの子の友達で居てあげないとなあ…」
そして、私はお昼休みの時間になると
決まって彼女のいる空き教室に通うようになった。
「ねえ、クルルちゃん」
「うむ、どうした我が下僕よ、申してみよ」
「今日の放課後さ、遊びに行かない?」
「おおっ!それは楽しそうではないか」
「それでは、魔石を探しにいくのだっ!」
「魔石?そんなのどこにあるの?」
「フッフッフ、普通にアクセサリー店に売ってあるのだ」
売ってあるのかよ。
まあ、確かにあるにはあるらしいな。高額だけど
魔法が使えない人も魔法を使えるようになるには
特定の魔法が刻まれた魔石で代用してるって言うし
魔石を見て回るのも面白そうだな。
そして放課後、私とクルルはやってきた。
クルルの私服は完全にゴスロリのような
中二病全開な服装でかなり目立つ。
「フッフッフ」
「へえ、初めて見たけど色んなのがあるんだね。」
爆裂魔法に転移魔法に防御魔法とか
バリエーション豊富だな~
ここらへんのやつをいくつか
お姉ちゃんにお土産として買っておくか。
後になって役に立つかもしれないしね。
「す…すまぬ、我はお花をつんでくるのだー」
「いいよー行っておいで」
魔石店を見回り終えた後に
私はお手洗いに行ったのであろう
クルルを探すが何処にいるのだろうと
思っていたらなにやら騒がしい。
「なんだろ…喧嘩かな?………ってクルルちゃん!?」
一目で不良と分かるような風貌をした
鉄パイプ持ちの四人の男性に囲まれている。
「クククッ我に気安く触れるとその腕が腐り落ちてしまうぞ?」
「あ?なに言ってんだこいつ?頭大丈夫かー?」
「フッ…口の聞き方に気をつけるのだな下郎共め。」
「それはこっちのセリフなんだよなあ」
「な、何を言うか、そなた達が悪いのであろう。
よってたかって一人を虐めるなど…」
「俺達が悪いってのか、ああっ!?」
「ひいっ!?」
「アヒャヒャヒャヒャ!!
こいつ偉そうなこと言って足がガクガク震えてるやがるぜえ!!!」
「トイレに入った後で良かったなあっ!!
じゃなきゃ今頃漏らしてたんじゃね?」
「こいつ、頭おかしいが顔だけは良いじゃあねえか」
「そうっすねえ!!犯してやりましょうぜえ!!」
「そ、そなたらがチビることになっても知らぬぞ!」
「おうおう!やれるもんならやってみろやオラァ!」
「ほ…本当にやって良いのだな…?」
「わ…我に逆らうと貴様らの魂ごと消滅させてしまうのだぞっ!」
「こ…これから封印を解き放つのだっ!
き…貴様らなんかコテンパンにしてやるのだっ!」
クルルは涙目になりながらも
震えながら手を眼帯に引っ掛けて外そうとする。
すると、眼帯がずれていき、瞳から金色の輝きが漏れます。
シャルロットは呆れ顔でその一部始終を見ていた。
……おいおいここは治安が良い街って聞いてたんだが?
世紀末みてえな不良がいやがるぜ。
男共の言動も少々可笑しく正気では無い気がするが
……まったくもう、声と足が震えてるじゃあないか
目立つ格好してるからだよ~
シャルロットは
震えているクルルの豊満な胸に手を伸ばそうとする
下賎な輩の手首を掴んだ。
「あ?てめえ、なんのよう………」
その時、凄まじい衝突音のような物が街中に鳴り響いた。
シャルロットが不良の一人を壁に向けて投げつけた音だ。
壁の一部の崩れ、叩きつけられた不良は
白目を向いて泡を吹いて気絶している。
「な…ナンダア、テメエッ!? 」
「てめえ…よくもヤリヤガッタナ」
「やっちまええええっ!!!」
三人の不良が鉄パイプを振り回して
私の頭部を狙ってきたがそれを余裕綽々といった様子で避け
不良が振り上げ、脳天目掛けて振り下ろそうとした
鉄パイプを私は蹴り上げて遠くまで蹴飛ばす。
そして、不良の横顔に全力の蹴りをお見舞いしてやった。
不良で情けない声を洩らしながら駒のように回転し地に伏せる。
そして、気絶した不良の制服についている
大きめの金具が付いた金のボタンを毟り取る。
そして、私の後頭部に振り下ろされた
鉄パイプに向けてボタンを指で弾き鉄パイプを破壊する。
不良が驚愕している隙に私はその不良に上段蹴りを食らわせて
残った最後の一人も怯まずに特攻してきたが
軽く躱して不良の腹に正拳突きをめり込ませ
嗚咽を漏らした不良の顎に膝蹴りし、顎を砕き
両手を突き出すように両肩に手を置き
発勁のように衝撃波を放ち両肩の骨を砕き
最後に踵落としを後頭部に食らわせて終いだ。
「あの………センパイ…?」
「あっクルルちゃん怪我はなかった?」
「う、うん…………それより………」
戸惑うような目線で見上げてくる。
乱暴なことをして怖がられちゃった?
……どうしよう、もしかしてやり過ぎた?
今更ながら人畜無害アピールでもするか?
「あはは……あれぐらい普通の護身術だよ。ほんとだよ。」
「センパイ……本当に…強いんだ……」
「すごく……かっこよかったのだ………」
あれ?何故か尊敬の眼差しを向けられている気がする。
「センパイ…今の凄かったのだ!」
「素敵なのだ… 憧れるのだ……」
…怖がられてるわけじゃなさそうだね。
「あ…あの…これからはお姉様って呼んでもいいですか!」
「ええっ…!?」
「お姉様~~♪てりゃーっ!」
子猫のように甘えた声を出しながら
私に抱きついてきた。
「ゴロゴロニャーン…えへへ~なのだ~♪」
「お姉様最高!助けてくれてありがとうだよっ!」
「ど…どういたしまして…」
小動物のようにすりすりと胸や顔をくっつけてくるクルルちゃん。
「んふふ~お姉様っておっぱいちいさいね~」
「クルルちゃんが大きいだけだと思いますが!?」
「クルルはおっぱい小さくても平気だよ~
だってお姉様のこと大好きだし~♪
お姉様とっても綺麗で可愛いし
しかも強いとか最高すぎるよ~♪」
「そ…そろそろ離れてくれないかな~?」
「や~だ~~!」
一方その頃。
シャルロットが蹴り飛ばした鉄パイプが
弧を描くように回転しながら凄まじい勢いで
幸薄な少女の足首に直撃し、骨が折れて吐血する。
「グフッ!?ゴホッゴホッ!?」
右足が曲がってはいけない方向に折れて
吐血して道を真っ赤な血に染めて
大きな水溜りを作ってしまった。
そんな吐血中の幸薄な少女を偶然通りかかった
久遠零とローザが見かけて思わず声をかけた。
「あわわわわっ!?だ、大丈夫ですか!?」
「………何事?」
「ゴホッゴホッ……うう…ごめんなさい…」
「私…虚弱体質で……よく血を吐いてしまうんです」
「……なるほど虚弱体質ですか」
「なるほど…虚弱体質……
しかし、これほどまでに貧弱な者は初めて見た。」
「それより、足は大丈夫そうですか?」
「は…はい、しばらくすればくっつくと思うので
そ…それでは……ゲホッ!ゲホッ!」
咳き込みプルプルと震えながら
幸薄な少女はその場を後にする。
その一部始終を屋根上で見ていた金髪の少女は
退屈そうに呟く。
「あーあ、やっぱりすぐにやっつけられちゃったわ
やっぱりあんな玩具じゃ駄目ね。
次はもっと暴れられるような舞台を選ぼうかしら
もっと合法的に殺戮が許されるような状況…
そうね、極悪人さんならどれだけ殺してもいいって
たしかシャル姉も言ってた気がするし
壊しても良いような極悪人さんを探そうっと!」
そして、ルインは闇夜に姿を消し、時を待つことにした。
そして、レガリア邸にて
クルルがシャルロットに晩ご飯を食べさせようと箸を近づけていく。
「お姉様~はい、あーん♡」
「じ…自分で食べられるよクルルちゃ~ん」
「……どうなってるのよ…これ」
「いやあ、カクカクシカジカというわけで
可愛い後輩に懐かれまして……」
「へえ、私が休学してる間にそんなことがあったのね…」
お姉ちゃんにジト目で見られているような気がするのは何故だろうか?
「おおっ!お姉様のお姉ちゃんなのだ!」
「モルセンパイなのだっ!」
「気軽にモルちゃんでいいわよ。」
「お姉ちゃんはワケアリで今は休学してるんだけど
一週間後に復学することになったんだよね。」
「フッフッフそれなら我もお姉様と一緒に
復学するまでモルセンパイとの親睦を深めるのだ~!」
「ええ…よろしくね…クルル…ちゃん」
二人は握手を交わした。
これで一応、友達とか知り合いにはなれたのかも?
「よしっ!お姉様、モルちゃんセンパイ
我の後に続くのだ~!」
そして、私達はクルルちゃんにお風呂に連れてこられて
親睦を深める儀式として一緒に風呂に入ることとなったのであった。
「………なにやってるの?」
微妙に不機嫌そうなモルちゃんの視線を浴びながら
私は無心に手を動かす。
お風呂上がりの可愛い後輩の髪を乾かしてやっているのである。
「んふふ~見ての通りなのだ~」
数分前、お風呂から上がり髪を湿らせたままの
クルルちゃんが私達の部屋に突撃してきたのである。
そしてバスタオルを手渡され、このような状況に
「あのねあのね、今日の入浴剤って
お姉様が選んでくれたんだよね?」
「うん、まあ」
「桃の香りのやつクルル好きかも~なのだ~」
顔をフニャフニャに緩めて
子猫のような甘えた声を出すクルルちゃん
「そっか、気に入ってくれてよかったよ。」
お姉ちゃんのお土産として買っておいたやつだけど
クルルちゃんも気に入ってくれたようで良かった良かった。
私とモルちゃんだけでなく膝の上に乗っている
クルルちゃんから甘い桃の香りが漂ってくる。
「…というか、髪を乾かすぐらい一人で出来るんじゃないの?」
「そうだけど、お姉様にやってほしいのだ~」
「なんでわたしが……」
「お姉様は我と桃園の誓いを誓いあった
この魔王様の下僕だからに決まっているのだ!」
ドヤ顔で桃園の誓いとか言い放ったクルルちゃん
おそらく意味を理解して喋ってるとは思えないけど。
それに反応して顔を真っ赤にしている
ムッツリスケベなモルちゃんは
『どういうことよっ!』と私の肩を揺さぶる。
そして私達に騒がしい日常が戻ってきたことを実感するのであった。
そして、幸薄な少女は
「お父様とお母様は現世の空気は猛毒って言ってたけど
スウーーハアーー…思ったより気持ちいい…」
「うっぷ……!」
「ゴホッゴホッゲホッ!?」
幸薄な少女は激しく咳き込んだ後に盛大に吐血した上に
登っていた建物の屋上から落下し体が血まみれになる。
「うう……どこにいるの……ハデスちゃーん?」
「ハデスちゃん…ハデスちゃん…ハデスちゃん…」
「ハデスちゃん…ハデスちゃん…ハデスちゃん…」
そして、少女は息絶えて
まるで死んだように眠りについたのであった。
今、私はクルルに呼び出され薄暗い森の中にいる。
月明かりに照らされている広けた場所に
彼女は立っていた。
「クックックよく来たのだお姉様っ!」
「えっと…何しに呼んだの?湯冷めしちゃうぞ?」
「クックック、今宵の月は紅いからな
我の封じられた力を解き放つには
ちょうどいい時であろうと思ってな。」
「…私がコレを見せるのは…特別な人にだけ…
お姉様にだけなんだから…。」
『堕天した明けの明星』
彼女は聞こえないようにボソッと呟くと
右目の眼帯に手をかけてゆっくりと眼帯を外す。
すると、紅い瞳が金色に変わり光輝いていく。
終末の魔眼が発動し
周囲を逢魔ヶ刻のように妖しく照らしていく。
そして、未来が見える。
空間が崩壊し新たな世界に再構築され
天と地が逆転し大地が砕け散り
ヒビ割れた大地の隙間から光が差し込んだ世界で
針がⅫを指した時
世界の終わりを告げる終末時計と
それと同時に終焉をもたらし世界を終演させる
巨大な時計盤と金色の眼のような姿をしている神が
彼女の背後に顕現し
宇宙を壊すほどの力が眠っているかもしれない
究極にして禁断の終末の魔眼
トワイライト・アポカリプスが解放され
宇宙の全てが消去される神々しい輝きに包まれる。
という結末を未来視してしまった。
しかし、彼女の瞳から宇宙さえも消去してしまう
明けの明星の神滅の光輝が放たれているのにも関わらず
ただ突風が吹き荒れただけで何も起こらなかった。
「クッ……クッ……ク…ど…どうやら封印の力が強く
我の終末の魔眼の解放はまだ不完全のようだ…」
「よかったな、お姉様。
我の終末の魔眼の封印が完全に解かれていたら
今頃お姉様は宇宙の塵になっていたのだ。」
「…そっか~」
(ふ…不発して……よ…よかった…
これで…いつも通りの日常が送れる…)
「そ…それじゃあ我は先に帰ってるのだ
お姉様も湯冷めする前に帰るのだぞ」
(よかった……お姉様が消えなくて…)
我はバクバクと五月蝿く鳴る心臓の音を
お姉様に気づかれないように小走りで戻るのであった。
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