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覚醒する真紅編 虚弱な冥界姫と破壊神的な悪魔少女
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『私が死んでも…死んでからも…ずっと一緒だよ。』
お姉ちゃんが私と交わした最初で最後の約束。
気がついたら私は
だけど、ずっと側にお姉ちゃんがいるような気がしてた。
ずっとお姉ちゃんの匂いと暖かさが私を包んでいて
お姉ちゃんの心の闇や黒い感情を抱くと
その悪意が人のようになった泥人形が現れる。
それを壊して遊んで、ずっとそれの繰り返しで
やることがなくなって心底退屈な暮らしをしていた。
そして、夢の終わりが近づいていると分かったのは
お姉ちゃんが心から楽しいって思える感情が芽生えた影響なのか
窓に色んな光が見え始めるようになって
光を覗くとお姉ちゃんが楽しそうな光景が見えて
それが、羨ましくて、それに手を伸ばそうとして…
気がついたら私はここにいた。
ずっと長い間、変な夢を見ていたような気がする。
私は、大好きなお姉ちゃんに逢いたくて逢いたくてたまらなくなっていて
それにここは初めて見る物に溢れていて
お姉ちゃんを探すついでに遊んじゃおうと思って
寝そべっていた体を起こして玩具を探す。
私には、妹がいた。
二千年生きてきた人生で生まれて初めて出来た
大切な妹。
名前は…なんだったっけ?
確か…破滅とか終末とか不吉な意味のある名前を付けられていて
両親や周囲の大人達からいつも悪魔だとか忌み嫌われていて…
幼い頃からあの子はずっと幽閉されていた。
あの子は無邪気な子供で無邪気さ故の残虐さもあって
実際に悪魔のような所業をやっていたような気がする。
いつも殺した人間や動物の死骸が彼女の側に落ちていて
買ってあげたぬいぐるみもすぐに壊れて綿が飛び出ちゃって
彼女の瞳に写っている者は彼女の暇潰しの玩具でしかなくて
だけど、私だけは人間扱いされていたような気がする。
いつもお姉ちゃんお姉ちゃんって私の腕を掴んで
いつも一緒に眠ったりお風呂に入ってたり
とても可愛かったのを今でも覚えている。
私は、そんな大人達から彼女を守ってあげていて
いつもボコられてたっけなあ?
そして、いつの日だったか忘れたけど
それをあの子に虐げられている所を見られて…それで…
あの子は私を庇うように守ってくれて
そこから一方的な大虐殺ショーが行われて
両親やそれに仕えていた召使い周囲の人間を
たった一夜にして、一人残らず殺し回ったんだよね。
そして、気づいた時にはお屋敷が紅く染まっていて
時が流れて屋敷が廃墟になっても
あの子と二人っきりでずっと暮らしていたけど
ある時、再び幽閉せざるを得ない事態に
破壊衝動を抑えきれずに暴れて暴走するぐらいなら
私のあの子の大好きな部分だからよかったんだけど
その身に宿していた禁忌とも呼べる
破壊の力があまりにも強大すぎた。
あの子の破壊の力は制御されず周囲に多大な影響を及ぼしていて
存在しているだけでその世界を崩壊させて滅ぼす
それに気がついたのは
嵐の夜に妹が破壊の力で嵐を消し去った
次の日の満月の夜だったかな…?
妹の力は禁じられた力が次第に大きくなっていき
何もしていないのにも関わらず
満月の月が突如、壊れて欠けた。
お屋敷や周囲の森の木々も崩壊し始めて…
そして私は
世界の崩壊を収めさせる為に
あの子が力を自力で制御出来るようになるまで
時を止め、永久の時を過ごせる特殊空間にお屋敷ごと閉じ込めて
あの子を『私の魂』の中に封印することにした。
あの子にとっては、どれだけの時間が経過していたんだろうか?
もしかしたら一日寝て起きた程度の時間かもしれない。
もしかしたら、何億、何千何万の年月が経過していて
狂ってしまっているのかもしれない。
それにしてもあの子、いつの間にか脱走してたんだなあ
前みたいに元気にしてるといいんだけど
と思っていると
前方に珍しい格好をした美少女が歩いてきた。
ルビーのような赤い瞳
白銀の短髪は広がるように毛先がピンと跳ねてる。
首元は刈り上げ気味だが前髪だけは長く右目が隠れている。
色白い肌の華奢な身体。
黒いマントを羽織り、黒い下着にも見えるような 服を着ている。
こちらとすれ違うと思った瞬間、突然私の服に鮮血が飛び散った。
「ゴホッゴホッ……!?ゲホッゲホッ…!」
「ちょっ大丈夫!?」
「す…すみませ……ゲホッゲホッ……ゴフッ!!」
咳き込んだ白髪の少女は更に血を吐いて
私の白い服が真っ赤に染まっていく。
「えっと…どこかで休もう?」
「うう…すみません…」
近くの公園に連れてきて休ませる。
「どう?そろそろ落ち着いた?」
「はい…すみません…服を汚しちゃって…」
「いいよいいよ、服ぐらい気にしないよ。」
「本当にすみません…私…虚弱体質で…」
「そっか…大変なんだね」
「はい…こっちにはじめて来た時は
動く大きな鉄の塊にぶつかっちゃつて
色んな骨が折れたりして大変でした。」
「…それマジ?よく生きてたね…」
「はい…私って虚弱体質で
よく怪我をしたり骨が折れたりするんですけど
不死で更に再生するのが凄く早いのでいつもなんとかなってます。」
「そ…そうなんだ…苦労しそうだね…
えっと…君ってもしかして悪魔とかそういう類の娘?」
「うん、私は元々冥界にいたんですけど
ハデスちゃんっていう大悪魔なら
私の虚弱体質を治せるかもってお父さんから言われて
それで…その子が人間界の何処かに居るって聞いて、
それで…こっちに来たんですけど…中々見つからないし
生活するのにも一苦労で何回も餓死しちゃって…」
(なんか面白そうな子だな…気に入っちゃったかも)
「そっか…それじゃあうちで一緒に暮らす?」
「えっ…いいんですか?」
「いいよいいよ、一人や二人増えた所で
そんなに変わらないと思うから。」
「それじゃあ、自己紹介しよう。
私のことはシャルロットって呼んでね。」
「私は虚弱体質を治す為に人間界にやってきました。
『ペルネリア・デスポーネ・ハーデス』って言います。」
(ハーデス…さっきお父さんって言ってたし
もしかして…冥界の魔王の娘なのかな?
冥界屈指の大悪魔…冥界のお姫様……
そういえば…アイツ、娘がいるとか言ってたっけ?)
「うん、よろしくねペルちゃん」
「これからお世話になります。」
「そんなにかしこまらなくても良いよ」
「………というわけで」
「ペルちゃんをうちの家族に加えてもよろしいでしょうか…?」
「なんでそんな汗だらだらなのよっ!?」
「フッお姉様が決めたことだ。我は反対せぬ。」
「俺もいいと思うぞ」
「私も娘が増えたみたいで嬉しいわ~!」
「さてと、両親の許可も出たことだし……」
「まずはペルちゃんをお風呂にぶち込んで
可愛いお洋服に着替えさせようと思いま~す!」
「えっわっ!わああーー!」
そんなこんなで二十分後…
「うう…恥ずかしいよお……!」
「大丈夫よ、可愛いから」
そして恥ずかしがっていそいそと扉の陰に隠れている
ペルネリアがゆっくりと姿を現す。
黒いフードとマントしか着ていなかった
そんな格好から一転して
上半身は白を基調としたロリータファッションのようで
お腹周りは丸見えで更に胸の膨らみが強調されるデザインで
下半身は蝙蝠の羽か死神のフードのように
先端が破けている黒いスカートにニーソックス
といった感じの非常に可愛らしい衣装になっている
「えっと…どうかな?」
「凄く可愛い…スタイルも良くて…モデルさんみたい…」
「まるでお姫様のように可愛いのだ~」
「へえ…結構いいじゃん。
よかったねペルちゃん可愛い服選んでもらえて。」
「うん!」
「お姉様…ペルちゃんが来てからというもの
どこか楽しそうなのだ。」
「なんかさ、私に妹が出来たみたいで楽しいんだ。」
「私も一人っ子だから
三人もお姉ちゃんが出来たみたいで嬉しいな~」
「それに、冥界にいた時はずっと一人だったから
こんなに賑やかなのも久しぶりでね、楽しいだ!」
「これからもきっと楽しくなるよ、きっと。」
「う~ん?」
「壊してもいい悪い人ってどこにいるんだろ~?」
「なかなか見つからないな~」
下着姿で彷徨いているルインの姿に興奮し
お尻や胸を触ろうと寄ってきた不埒な輩が…
「おじさんもしかして私と遊びたいの?」
「ゲヒヒヒヒ…そ…そそそそうだよ…
ぼぼぼ…ぼくとー!お医者さんごっこしまちょうね~!!!!」
「そっか~……えいっ★」
ルインが男に手を向けて変質者の睾丸を握り潰すと
男の全身の穴という穴から鮮血が噴き出し倒れる。
「ヒギャブッ!?」
「あ~あまた壊れちゃった。」
「見つけてもすぐに壊れちゃう奴しかいないし~」
退屈そうに歩いていると、前から
片目が隠れた白髪の少女がこちらに歩いてくる。
「……ん?………あれってあの時の悪魔…?」
(ヨワヨワなのに頑丈そうで面白いな~って思ってたんだよねえ
私の玩具になってくれるかな?)
「ゴホアッ!!!」
白髪の少女は私の隣まで歩いてきた所で突然
盛大に吐血し、私の方にまで鮮血が飛び散った。
元々血まみれだったけど更に私の体を赤く染めていく
「うわあっ!?」
「あわわ…ご…ごめんなさい…」
「わ…私のせいでそんなに血まみれに…!?」
「ウッ…ゴホッゴホッ…ゲホッゲホッゲホッ……!!」
激しく咳き込んで吐血し続けて
アスファルトに赤い水飛沫が出来ていく。
「……少し休んだら?」
白髪の少女を近くの公園のベンチに座らせて
咳き込むのが落ち着くまでゆっくりと待つ。
「スーーハーー……スーー……ハー……ふう。」
「どう?落ち着いた?」
「うん!ありがとう悪魔さん優しいんだね!」
「へえ…気づいてたんだ。」
「うん私も悪魔だし」
「悪魔が人間界にいるなんて珍しいね。」
「うん、ちょっと色々あってね…」
「…そういえば、その箱って何入ってるの?」
「これはね、ラーメンっていう食べ物だよ。」
「らーめん…?ってなに?」
「悪魔さんラーメン知らないんだ…?
私と一緒だね!私も最近知ったんだ~」
「私も…らーめんってやつ食べに行きたいな~」
「うん!それじゃあ一緒に食べようか!」
「お箸が余分に入れてあってよかった~」
「はい悪魔さんの分!」
「わあ…美味しそう…いただきまーす!」
白髪の悪魔は木の棒みたいなのを綺麗に半分に割って
濃厚そうなスープと細くて白い何が沢山入ってる物を口に運んでいく。
「おーいしーー!」
「悪魔さんも食べなよー美味しいよ?」
「うん…」
私もこの子の真似をして割ってみるけど上手く割れなかった…。
そして食べてみると…はじめて食べた味がした。
いつも食べたり飲んだりしてたのは
殺した悪魔から吸い取った血液と肉ばっかりだったから
道具を使って何かを食べるのも
こんなに暖かい液体を飲んだのは久しぶりかも
幽閉される前はそうしてたような気がする。
「私ね、今日から人間界で暮らすことになったんだ~」
「悪魔さん…よかったら友達になってくれないかな?」
「と…友達?」
「私、ペルネリア・デスポーネ・ハーデスっていうの!
よかったら、ペルちゃんって呼んでね!」
「…デスルイン・レガリア・ジエンド。
私のことも、ルインって呼んでほしいかな。」
(ペル…ハーデス……?どっかで聞いたことあるような…?)
(…もしかして冥界の魔王ハーデスの娘…?)
(だとしたら…最高の玩具になってくれるかも…?)
(それに…友達…友達かあ……はじめてかも…)
(『友達』って…昔に本で見たことあるけど
お姉ちゃん以外はお人形しかいなくて
ずっと一人だった私にはよく分からなかった。
だけどどうしてだろう…ずっと欲しいなって思ってて
この子なら…友達になってくれるのかな?)
「………うん、いいよ友達になろ!」
私は、彼女の差し伸べてきた手を取ろうとする。
だけど、怖くて…少し躊躇しちゃって戸惑って
少し震えている私の手をこの子は強く握ってくれた。
「私なんかと友達になりたいなんて…変な子…」
「えへへ…よく言われるよ~」
「…おっペルちゃんじゃん、何してるの~?」
「あっシャルロットちゃんだ!」
「あのね、私にはじめて友達が出来たんだ~」
「へえ…もう友達出来たんだ、どんな子なの?」
「あそこに座ってる悪魔の子だよ。」
そしてペルちゃんが指を指した方に視線を向けると
私を見つめて呆然としている様子の
吸血鬼のように獰猛そうな紅い瞳に
黒の下着姿の金髪の美少女…?幼女…?がいた。
(この私より強い禍々しい破壊神の魔力…)
(そして見覚えしかないバイオレンスで可愛らしい
なんとも悪魔らしい瞳に懐かしい表情)
(…どうしよう…我が妹よっ!って感じで
ハイテンションで歓迎しようか?
いや、数億…?数万年ぶりの姉妹の再会なんだし
ここは…)
とか考えていると目の前が真っ暗になり
抱きつかれた感覚と全身が柔らかい感触に包まれる。
「シャル姉~!久しぶり~~~!!!!」
「えっと…久しぶり……だね。ルイン」
「シャル姉~シャル姉シャル姉~!!」
「お…おお落ち着いて~!」
「…というわけで…この子も加えてもよろしいでしょうか…?」
「昨日の今日だしもう気にしないわよ。」
「クッ…お姉様の妹…グヌヌ…好敵手出現なのだっ!?」
「今日からよろしくねルインちゃん」
「みんなよろしく~」
私はルインとペルちゃんと一緒にお風呂に入って
今は妹の髪を洗ってあげている。
「シャル姉に洗ってもらうの久しぶりな気がする~」
ルインは相変わらず気持ちよさそうにしている。
「私もシャル姉の体を洗ってあげるね~」
「ルインちゃん私もやりた~い」
全身泡まみれの二人が私に勢いよく抱きついてきたり
就寝の時間になると、扉が勢いよく開き
飛び出してきたルインに激突した
モルちゃんが開いていた窓から勢いよく飛んでいき
「シャル姉~いっしょに寝ていい?」
「私も一緒に寝ていい…かな?」
「いいよ~」
「わーい!やった~!」
破壊神と冥界のお姫様が加わり賑やかな夜を過ごすのであった。
お姉ちゃんが私と交わした最初で最後の約束。
気がついたら私は
だけど、ずっと側にお姉ちゃんがいるような気がしてた。
ずっとお姉ちゃんの匂いと暖かさが私を包んでいて
お姉ちゃんの心の闇や黒い感情を抱くと
その悪意が人のようになった泥人形が現れる。
それを壊して遊んで、ずっとそれの繰り返しで
やることがなくなって心底退屈な暮らしをしていた。
そして、夢の終わりが近づいていると分かったのは
お姉ちゃんが心から楽しいって思える感情が芽生えた影響なのか
窓に色んな光が見え始めるようになって
光を覗くとお姉ちゃんが楽しそうな光景が見えて
それが、羨ましくて、それに手を伸ばそうとして…
気がついたら私はここにいた。
ずっと長い間、変な夢を見ていたような気がする。
私は、大好きなお姉ちゃんに逢いたくて逢いたくてたまらなくなっていて
それにここは初めて見る物に溢れていて
お姉ちゃんを探すついでに遊んじゃおうと思って
寝そべっていた体を起こして玩具を探す。
私には、妹がいた。
二千年生きてきた人生で生まれて初めて出来た
大切な妹。
名前は…なんだったっけ?
確か…破滅とか終末とか不吉な意味のある名前を付けられていて
両親や周囲の大人達からいつも悪魔だとか忌み嫌われていて…
幼い頃からあの子はずっと幽閉されていた。
あの子は無邪気な子供で無邪気さ故の残虐さもあって
実際に悪魔のような所業をやっていたような気がする。
いつも殺した人間や動物の死骸が彼女の側に落ちていて
買ってあげたぬいぐるみもすぐに壊れて綿が飛び出ちゃって
彼女の瞳に写っている者は彼女の暇潰しの玩具でしかなくて
だけど、私だけは人間扱いされていたような気がする。
いつもお姉ちゃんお姉ちゃんって私の腕を掴んで
いつも一緒に眠ったりお風呂に入ってたり
とても可愛かったのを今でも覚えている。
私は、そんな大人達から彼女を守ってあげていて
いつもボコられてたっけなあ?
そして、いつの日だったか忘れたけど
それをあの子に虐げられている所を見られて…それで…
あの子は私を庇うように守ってくれて
そこから一方的な大虐殺ショーが行われて
両親やそれに仕えていた召使い周囲の人間を
たった一夜にして、一人残らず殺し回ったんだよね。
そして、気づいた時にはお屋敷が紅く染まっていて
時が流れて屋敷が廃墟になっても
あの子と二人っきりでずっと暮らしていたけど
ある時、再び幽閉せざるを得ない事態に
破壊衝動を抑えきれずに暴れて暴走するぐらいなら
私のあの子の大好きな部分だからよかったんだけど
その身に宿していた禁忌とも呼べる
破壊の力があまりにも強大すぎた。
あの子の破壊の力は制御されず周囲に多大な影響を及ぼしていて
存在しているだけでその世界を崩壊させて滅ぼす
それに気がついたのは
嵐の夜に妹が破壊の力で嵐を消し去った
次の日の満月の夜だったかな…?
妹の力は禁じられた力が次第に大きくなっていき
何もしていないのにも関わらず
満月の月が突如、壊れて欠けた。
お屋敷や周囲の森の木々も崩壊し始めて…
そして私は
世界の崩壊を収めさせる為に
あの子が力を自力で制御出来るようになるまで
時を止め、永久の時を過ごせる特殊空間にお屋敷ごと閉じ込めて
あの子を『私の魂』の中に封印することにした。
あの子にとっては、どれだけの時間が経過していたんだろうか?
もしかしたら一日寝て起きた程度の時間かもしれない。
もしかしたら、何億、何千何万の年月が経過していて
狂ってしまっているのかもしれない。
それにしてもあの子、いつの間にか脱走してたんだなあ
前みたいに元気にしてるといいんだけど
と思っていると
前方に珍しい格好をした美少女が歩いてきた。
ルビーのような赤い瞳
白銀の短髪は広がるように毛先がピンと跳ねてる。
首元は刈り上げ気味だが前髪だけは長く右目が隠れている。
色白い肌の華奢な身体。
黒いマントを羽織り、黒い下着にも見えるような 服を着ている。
こちらとすれ違うと思った瞬間、突然私の服に鮮血が飛び散った。
「ゴホッゴホッ……!?ゲホッゲホッ…!」
「ちょっ大丈夫!?」
「す…すみませ……ゲホッゲホッ……ゴフッ!!」
咳き込んだ白髪の少女は更に血を吐いて
私の白い服が真っ赤に染まっていく。
「えっと…どこかで休もう?」
「うう…すみません…」
近くの公園に連れてきて休ませる。
「どう?そろそろ落ち着いた?」
「はい…すみません…服を汚しちゃって…」
「いいよいいよ、服ぐらい気にしないよ。」
「本当にすみません…私…虚弱体質で…」
「そっか…大変なんだね」
「はい…こっちにはじめて来た時は
動く大きな鉄の塊にぶつかっちゃつて
色んな骨が折れたりして大変でした。」
「…それマジ?よく生きてたね…」
「はい…私って虚弱体質で
よく怪我をしたり骨が折れたりするんですけど
不死で更に再生するのが凄く早いのでいつもなんとかなってます。」
「そ…そうなんだ…苦労しそうだね…
えっと…君ってもしかして悪魔とかそういう類の娘?」
「うん、私は元々冥界にいたんですけど
ハデスちゃんっていう大悪魔なら
私の虚弱体質を治せるかもってお父さんから言われて
それで…その子が人間界の何処かに居るって聞いて、
それで…こっちに来たんですけど…中々見つからないし
生活するのにも一苦労で何回も餓死しちゃって…」
(なんか面白そうな子だな…気に入っちゃったかも)
「そっか…それじゃあうちで一緒に暮らす?」
「えっ…いいんですか?」
「いいよいいよ、一人や二人増えた所で
そんなに変わらないと思うから。」
「それじゃあ、自己紹介しよう。
私のことはシャルロットって呼んでね。」
「私は虚弱体質を治す為に人間界にやってきました。
『ペルネリア・デスポーネ・ハーデス』って言います。」
(ハーデス…さっきお父さんって言ってたし
もしかして…冥界の魔王の娘なのかな?
冥界屈指の大悪魔…冥界のお姫様……
そういえば…アイツ、娘がいるとか言ってたっけ?)
「うん、よろしくねペルちゃん」
「これからお世話になります。」
「そんなにかしこまらなくても良いよ」
「………というわけで」
「ペルちゃんをうちの家族に加えてもよろしいでしょうか…?」
「なんでそんな汗だらだらなのよっ!?」
「フッお姉様が決めたことだ。我は反対せぬ。」
「俺もいいと思うぞ」
「私も娘が増えたみたいで嬉しいわ~!」
「さてと、両親の許可も出たことだし……」
「まずはペルちゃんをお風呂にぶち込んで
可愛いお洋服に着替えさせようと思いま~す!」
「えっわっ!わああーー!」
そんなこんなで二十分後…
「うう…恥ずかしいよお……!」
「大丈夫よ、可愛いから」
そして恥ずかしがっていそいそと扉の陰に隠れている
ペルネリアがゆっくりと姿を現す。
黒いフードとマントしか着ていなかった
そんな格好から一転して
上半身は白を基調としたロリータファッションのようで
お腹周りは丸見えで更に胸の膨らみが強調されるデザインで
下半身は蝙蝠の羽か死神のフードのように
先端が破けている黒いスカートにニーソックス
といった感じの非常に可愛らしい衣装になっている
「えっと…どうかな?」
「凄く可愛い…スタイルも良くて…モデルさんみたい…」
「まるでお姫様のように可愛いのだ~」
「へえ…結構いいじゃん。
よかったねペルちゃん可愛い服選んでもらえて。」
「うん!」
「お姉様…ペルちゃんが来てからというもの
どこか楽しそうなのだ。」
「なんかさ、私に妹が出来たみたいで楽しいんだ。」
「私も一人っ子だから
三人もお姉ちゃんが出来たみたいで嬉しいな~」
「それに、冥界にいた時はずっと一人だったから
こんなに賑やかなのも久しぶりでね、楽しいだ!」
「これからもきっと楽しくなるよ、きっと。」
「う~ん?」
「壊してもいい悪い人ってどこにいるんだろ~?」
「なかなか見つからないな~」
下着姿で彷徨いているルインの姿に興奮し
お尻や胸を触ろうと寄ってきた不埒な輩が…
「おじさんもしかして私と遊びたいの?」
「ゲヒヒヒヒ…そ…そそそそうだよ…
ぼぼぼ…ぼくとー!お医者さんごっこしまちょうね~!!!!」
「そっか~……えいっ★」
ルインが男に手を向けて変質者の睾丸を握り潰すと
男の全身の穴という穴から鮮血が噴き出し倒れる。
「ヒギャブッ!?」
「あ~あまた壊れちゃった。」
「見つけてもすぐに壊れちゃう奴しかいないし~」
退屈そうに歩いていると、前から
片目が隠れた白髪の少女がこちらに歩いてくる。
「……ん?………あれってあの時の悪魔…?」
(ヨワヨワなのに頑丈そうで面白いな~って思ってたんだよねえ
私の玩具になってくれるかな?)
「ゴホアッ!!!」
白髪の少女は私の隣まで歩いてきた所で突然
盛大に吐血し、私の方にまで鮮血が飛び散った。
元々血まみれだったけど更に私の体を赤く染めていく
「うわあっ!?」
「あわわ…ご…ごめんなさい…」
「わ…私のせいでそんなに血まみれに…!?」
「ウッ…ゴホッゴホッ…ゲホッゲホッゲホッ……!!」
激しく咳き込んで吐血し続けて
アスファルトに赤い水飛沫が出来ていく。
「……少し休んだら?」
白髪の少女を近くの公園のベンチに座らせて
咳き込むのが落ち着くまでゆっくりと待つ。
「スーーハーー……スーー……ハー……ふう。」
「どう?落ち着いた?」
「うん!ありがとう悪魔さん優しいんだね!」
「へえ…気づいてたんだ。」
「うん私も悪魔だし」
「悪魔が人間界にいるなんて珍しいね。」
「うん、ちょっと色々あってね…」
「…そういえば、その箱って何入ってるの?」
「これはね、ラーメンっていう食べ物だよ。」
「らーめん…?ってなに?」
「悪魔さんラーメン知らないんだ…?
私と一緒だね!私も最近知ったんだ~」
「私も…らーめんってやつ食べに行きたいな~」
「うん!それじゃあ一緒に食べようか!」
「お箸が余分に入れてあってよかった~」
「はい悪魔さんの分!」
「わあ…美味しそう…いただきまーす!」
白髪の悪魔は木の棒みたいなのを綺麗に半分に割って
濃厚そうなスープと細くて白い何が沢山入ってる物を口に運んでいく。
「おーいしーー!」
「悪魔さんも食べなよー美味しいよ?」
「うん…」
私もこの子の真似をして割ってみるけど上手く割れなかった…。
そして食べてみると…はじめて食べた味がした。
いつも食べたり飲んだりしてたのは
殺した悪魔から吸い取った血液と肉ばっかりだったから
道具を使って何かを食べるのも
こんなに暖かい液体を飲んだのは久しぶりかも
幽閉される前はそうしてたような気がする。
「私ね、今日から人間界で暮らすことになったんだ~」
「悪魔さん…よかったら友達になってくれないかな?」
「と…友達?」
「私、ペルネリア・デスポーネ・ハーデスっていうの!
よかったら、ペルちゃんって呼んでね!」
「…デスルイン・レガリア・ジエンド。
私のことも、ルインって呼んでほしいかな。」
(ペル…ハーデス……?どっかで聞いたことあるような…?)
(…もしかして冥界の魔王ハーデスの娘…?)
(だとしたら…最高の玩具になってくれるかも…?)
(それに…友達…友達かあ……はじめてかも…)
(『友達』って…昔に本で見たことあるけど
お姉ちゃん以外はお人形しかいなくて
ずっと一人だった私にはよく分からなかった。
だけどどうしてだろう…ずっと欲しいなって思ってて
この子なら…友達になってくれるのかな?)
「………うん、いいよ友達になろ!」
私は、彼女の差し伸べてきた手を取ろうとする。
だけど、怖くて…少し躊躇しちゃって戸惑って
少し震えている私の手をこの子は強く握ってくれた。
「私なんかと友達になりたいなんて…変な子…」
「えへへ…よく言われるよ~」
「…おっペルちゃんじゃん、何してるの~?」
「あっシャルロットちゃんだ!」
「あのね、私にはじめて友達が出来たんだ~」
「へえ…もう友達出来たんだ、どんな子なの?」
「あそこに座ってる悪魔の子だよ。」
そしてペルちゃんが指を指した方に視線を向けると
私を見つめて呆然としている様子の
吸血鬼のように獰猛そうな紅い瞳に
黒の下着姿の金髪の美少女…?幼女…?がいた。
(この私より強い禍々しい破壊神の魔力…)
(そして見覚えしかないバイオレンスで可愛らしい
なんとも悪魔らしい瞳に懐かしい表情)
(…どうしよう…我が妹よっ!って感じで
ハイテンションで歓迎しようか?
いや、数億…?数万年ぶりの姉妹の再会なんだし
ここは…)
とか考えていると目の前が真っ暗になり
抱きつかれた感覚と全身が柔らかい感触に包まれる。
「シャル姉~!久しぶり~~~!!!!」
「えっと…久しぶり……だね。ルイン」
「シャル姉~シャル姉シャル姉~!!」
「お…おお落ち着いて~!」
「…というわけで…この子も加えてもよろしいでしょうか…?」
「昨日の今日だしもう気にしないわよ。」
「クッ…お姉様の妹…グヌヌ…好敵手出現なのだっ!?」
「今日からよろしくねルインちゃん」
「みんなよろしく~」
私はルインとペルちゃんと一緒にお風呂に入って
今は妹の髪を洗ってあげている。
「シャル姉に洗ってもらうの久しぶりな気がする~」
ルインは相変わらず気持ちよさそうにしている。
「私もシャル姉の体を洗ってあげるね~」
「ルインちゃん私もやりた~い」
全身泡まみれの二人が私に勢いよく抱きついてきたり
就寝の時間になると、扉が勢いよく開き
飛び出してきたルインに激突した
モルちゃんが開いていた窓から勢いよく飛んでいき
「シャル姉~いっしょに寝ていい?」
「私も一緒に寝ていい…かな?」
「いいよ~」
「わーい!やった~!」
破壊神と冥界のお姫様が加わり賑やかな夜を過ごすのであった。
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