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覚醒する真紅編 中二病少女の過去

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人間界の生活にも慣れてきた
ルインとペルネリアは学園というものに興味が出てきて
学園にも転入という形で入ることに。


そして、小動物のような可愛らしさと
何者にも分け隔てなく接する彼女の性格が
クラスメイトの友達が徐々に出来ていき



ルインもその可愛らしい外見と元気な性格から
男女共に学園の人気者のようになり

男子生徒からはちやほやされまくっており
姫と呼ばれ、アイドルのようになっている。


そして今日からモルちゃんが復学して一緒に通えるようになった

転入生の二人と一緒に紹介されたが
モルちゃんのことを知らない人が多く

気だるげにして黄昏てる姿に
クラスメイト達は気品を感じているらしく
モルちゃんの世話焼きの性格もあって
気がついたらクラスの人気者になっている。



そんな輝かしい学園生活を遅れている三人とは
対象的な相変わらずクラスから孤立気味な
私は今日もクルルに会いに例の部屋を訪れたのだが

今日は珍しく彼女が居なかった。



「あれ…居ないのかな?」


すると壁の一部に違和感を感じた箇所があり

そこを押すと仕掛けが作動して隠し部屋を見つけた。

いつの間にこんなものを作ったのか…

中に入るとそこは、アイドルのファンの部屋のような

何かしらのグッズが散乱していた。

魔王っぽい衣装の白髪イケメン男性のような何かに

全身真っ白な死神のような少女の模型を見つけた。

そして埃を被っていたアルバムのような物を見つけた。

アルバムは随分とボロボロになっていて
飛び散った血が固まって黒くなったような汚れが付着していた。

アルバムの持ち主には悪いが気になりすぎるので
勝手に中身を拝見させてもらう。



そこに入っていたのは家族写真

プラチナのような髪色の幼い少女と家族が嬉しいに写っている。

そして、娘の成長過程を撮った写真が幾つも見られ

ある時を境に両親が写真に映らなくなり

見覚えのある銀髪の少女と執事っぽい人が映るようになり

腕に包帯を巻き始めたり眼帯を付けて喜んでいる

小さい頃のクルルの写真が増え始めていき…


私はこれがあの子のアルバムだとすぐに感づく。

両親がある時を境にいなくなって
中二病を発症したり髪色が変わったりと

気になる要素があり過ぎるが


これ以上見るのも悪かろうと隠し部屋を立ち去ろうとしたのだが


「あっ」

「お…お姉様…なんで……ここにいるのだっ!?」




錯乱しているクルルを宥めて
ベットの上に座わせてなんとか落ち着かせた。


「うう…見つかってしまったのだ…」


「えっと…可愛かったよ…小さい頃のクルルちゃん?」



「うう…出来れば…その…忘れてほしいのだ…」



「見られてしまったからには仕方ない…」

「それに…見られたのがお姉様でむしろ良かったのだ。」



「何故、我が中二病という宿命を背負わされたのか」


「我がまだ天使だった頃。
堕天使…つまり魔王となった時のことを話そう。」


「え、いいの…私なんかにそんな話をしちゃって?」

「これを話そうと思ったりのは、お姉様だけなのだ。

むしろ、お姉様になら聞いてほしいのだ。」


「そのアルバムを見て、何かおかしいと思う所はなかったか?」


「まあ、色々とあったかもね。」



「まず、その金髪の小娘は天使であった頃の我だ」

「そして、両親と共に幸せに暮らしていた。」

「あの日まではな。」


「我の右目に封じられた禁じられた力

終末の魔眼を狙った赫神華という組織が

突然屋敷を襲撃され、我の目の前で大虐殺が行われた。」


「私は恐怖で足が動かなくて

目の前で私を庇ってくれた友達が殺されて

お父さんとお母さんが刺されたり
殺されるのを見てしまって
気がついたら、目の前が真っ赤になって

我を殺しに来た奴らはほとんど死んでいて

我も天使じゃなくなっていて……堕天しててね…

何が起きたのか分からなかったけど

生き残りが私に刃を向けてきた時に

私は、このまま殺されるんだ…って思っていたら

そこに目の前に現れたの私にとってのヒーローが」



「白い死神のような女の子が現れて

赫神華の残党を一瞬で切り裂いてしまって

大金を執事に渡して去っていってしまったのだ。」


「それからは生き残ってた執事と共に
新しく建てたお屋敷で暮らしているというわけなのだ。」


「それから、我はあの時助けてくれた女の子に

強い憧れを抱くようになっていってな……」


「あの女の子みたいな格好よくて強い自分になりたいと思っていたら

いつの間にかこんな風になってしまって…

友達を作りたくても出来ない孤高の存在になってしまったのだ。」


「…そんな壮絶な過去があったんだね。」


「今はもう気にしていないのだ。

いつまでも過去に縛られ、暗い顔をしていては

冥界にいるお母様達に示しがつかぬからな。」


「…強いんだね、君は」


「そんなことは…ないのだ。」


「最強でカッコイイ自分を作って演じなければ…

素の我…弱くて泣き虫な本当の自分がすぐに出てきてしまうのだ。」


「それでも、私は強いって思うよ。」


「お姉様……」



パンッと手を叩いて


「さ、暗い話はここまでにして楽しいことをしようよ。」



「フッ…そうでなるな。」

「少しセンチメンタルになってしまったが」

「我は終末の魔眼を継承し、魔竜ディアボロスに認められた
悲しき過去や宿命さえも断ち切る魔王なのだっ!」


「シリアスな我はもう閉店するのだっ!」




「……それで、お姉様よっ!」


「……な~に~?」


「お姉様は何故に我の部屋を訪れたのだ?」


「大切な友達に会いに行くのに

いちいち理由なんていらないと思うんだ」


「そ…そうか……それだけで会いに行てくれたのか……

その…ありがとう…嬉しいのだ。」


「今度の休日に海に行くんだけど

クルルちゃんは水着持ってる?」


「クックック当然持っているぞっ!」


そして彼女は
『ブリューナク』と名札が付いてある
ゴスロリ系の日傘に

ゴスロリ系のビキニタイプの水着を
奥のタンスから引っ張り出してきた。

「えっと…その日傘は何?」

「お姉様興味があるのだな?

これは太陽神の加護を遮断する日傘……に見せかけた
悪魔の神器ブリューナクなのだ。」


元気を取り戻し、高笑いする彼女を見て


私はこの笑顔を守護りたいと思うのであった。




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