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・クロスオーバー~SUPER対REAL~
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来るべき新時代。地球は、平和と反映を目指す戦いを進めていた。発達した科学技術は豊かさを齎したが、同時に力と変化と争いもまたもたらした。
世界征服を企む悪の天才科学者ドクターハデス率いる秘密結社タルタロス。古代に互いに争いあって滅亡寸前となった結果休眠し、自分達の文明で変動した当時の地球環境に現代の科学技術で再び地表が近い環境となったことで復活し地上人類を下等種族と断じ征服せんとした古代帝国ムーザンとアクトランティス、宇宙からの侵略者ミェライ星人……
ドクターハデスの天才を誇示する為や戦士の器として神の化身として、宇宙に適応する為の肉体として、様々な理由で何れも巨大ロボットを兵器として使用する悪の軍団達との1974年から始まった断続的な戦いは、ドクターハデスと並ぶ天才科学者、鎧零郎博士がそれに対抗し人々を勇気付ける為に作りその孫の鎧兵司が動かす有人巨大人型ロボット・メタルゼウスと、それに続き加勢する為……ある意味そこで文明の方向性が定まったと言えるだろう……代表とした各地の研究期間が開発した人類の正義の為のロボット達によって食い止められ、それら科学者・研究所の連合機関であるSUPER(Scientific Universal Party in Earth Region=地球領域万国科学者党)が人類の危機に立ち向かった。戦いに勝利し、古代帝国の復活と争いの原因になっていた環境の改善に努め、愛と友情で異種族との和解に努め、戦いの時代を乗り越えた……筈、だったのに。
爆音が轟く。大地が揺れる。
研究員の死体が転がる崩壊寸前の建物、SUPERを構成する研究所の一つである光エネルギー研究所。大量破壊兵器の直撃も耐える光バリアーを揺するが故に選ばれた新たな敵との和平交渉の場から一転、内側からのテロ攻撃に燃え崩れるその中、光エネルギー研究所が有するSUPERロボット・ライトミトラスのパイロットである光陽太郎少年が暗殺テロの魔手から逃れ機体に搭乗せんと走る。
ふわふわした明るい褐色の髪、単純明快そうだが生命力を感じる顔色と体つきの少年は託された力を起動する為に命を振り絞る。敵の攻撃で崩れた壁を、鍛えた力で手を血まみれにして指を何本か折れさせながらも持ち上げ砕き覆した。
「くそっ、REALの奴等! なんて酷い真似をっ……!」
異次元からの侵略者REAL。もう一つの地球を自称するそいつらは、これまでの侵略者とは違っていた。これまで人類が戦ってきた秘密結社や古代帝国や宇宙人達はマシンモンスターや古代獣・機械戦士やスターロボといった一騎当千のロボット兵器を押し立てて戦った。無論、その過程で母艦を用いたり町を襲ったりもしたし、人質をとるような卑劣漢も強力な破壊兵器もあったが、基本的にはSUPERロボット達は英雄的に堂々と戦い撃退する事が出来た。
だが、REALロボット達は違った。奴等は、ロボットでありながらまるで兵士や戦車・戦闘機等の量産型兵器のように、軍団でやって来たのだ。
一体一体のREALロボットよりは、過去に戦った敵やSUPERロボットの方が遥かに強かった。REALロボットの中にもある程度強力な機体はあるが、大半の機体は兵隊のように画一的な装備を外装するばかりで、軍団でやって来ても並みの兵器を跳ね返す超合金の装甲と多数の武装を持つSUPERロボットはそれを蹴散らす事が出来る。だが、SUPERロボット数十に対し、敵は数千数万。百の敵を薙ぎ倒す間に、千の敵が守るべき町を焼いてゆく。
そして何より、隕石爆弾や毒ガス等の大量破壊兵器、殺戮端末や絨毯爆撃等の無差別攻撃、人心を撹乱し降伏を誘う社会戦、潜入工作員を使っての爆破テロや暗殺の苛烈さは、これまでの戦いを遥かに超えていた。
嗚呼、何人のパイロットと何体のSUPERロボットが、己が戦う戦場を迂回する田宮の軍勢に後方を焼かれて涙を呑み、機体に搭乗する前の卑劣な暗殺で命を落とし破壊工作で起動前を爆破され、政治的に操られた政治かや市民の降伏で孤立無援となった事か!
「負けるもんか! 鋼さんの為にも……!」
((来い、自称プロの兵隊ども、俺は戦士のプロだぜ! ))
ここに来るまでの間にも、グレートマルスのパイロットでSUPERロボットパイロットの中でもトップクラスの訓練を受けた戦士である鋼丈が、鍛え抜かれた肉体で片手に連装ミサイルランチャー片手にマシンガンを掴んで立ちはだかり敵兵を蹴散らしていたが、果たして彼は無事だろうか。無事に決まっている、彼もきっと相棒たるグレートマルスに乗って現れると信じ、ボロボロの手でハッチを開きライトミトラスを起動させる陽太郎。
光エネルギー研究所の、陽太郎少年とその母である光葛葉教授の叡知の産物、光合金結晶ライトニウムが燻銀色から溶け合わぬ筈の金と黄水晶を混ぜたような透明感のある金色に輝いていく。機体が起動し、空を仰ぐ。崩壊した研究所の穴の空いた天井から見える空を震わせ、REALのロボットが襲来する。
「あれは……!」
陽太郎少年はその内の一機を知っている。のっぺりと無個性な機体が大半の中、少数だが存在するエースパイロット用機体。その内の、レイガナー22改、そのパイロット、カナ・ニライを知っている。
この襲撃、アイツも知っているのか。知らないのか。知らないならあいつは今どんな顔でこの戦場を見下ろしている。知っているなら……機体が起動するまでの何秒かの間、それが酷く引っ掛かる。胸が騒ぐ。
((ワシの世界征服を! 世界が一つになる事を阻止しおったな! ならば! 一つにならぬ世界で生きていくがいい! それが争いと滅びの未来であったのなら……ワシの勝ちだという事を忘れるなあああ! ))
秘密結社タルタロス首領ドクターハデスは鎧兵司にそう言い残したという。
((余と余の最後の軍勢、余の国は最後まで戦うと今ここに叫んだ。自然と、古代獣と、隕石と、敵と、神と、全てと戦うことで生きてきた、それ以外の生き方を知らぬ、その生き方こそが生きる意味である誇り、それがムーザンであるが故に。全て戦士たる余の国は、平和の世を選ばぬ。同情も悲しみも否定も家庭も侮蔑と知るがよい。だが……我らとアクトランティスの神々は兎も角、女帝ネニウスとアクトランティスの民はそうではない。肝に命じよ、余等と貴様ら、勝った方がより強くなり先へ進む! 行くぞ! ))
((ダンマ大帝がそんな事を……私には分からない、私は……地海神エノシガイオス様は……私は……!? ))
神とすら戦う、地上全てと戦うと豪語したムーザン帝国大帝ダンマは最後まで戦い続けたが、自分達ムーザンと違い神に支配された文明であるアクトランティスはその民は守られるべきであると説き、アクトランティス帝国女帝ネウニスはそれを知る事で影響を受け、アクトランティス真の支配者・地海神エノシガイオスとの戦いの後アクトランティスの民が生き延びる道を作った。
((お前達はただ生存するだけなら、他に幾らでも手があった。そうであるにも関わらず、お前達は正義の為平和の為、分かり合おうとするのだな……そこには知恵がある。恐れ知らずの探求がある。そんなお前達にならば、我らの星を、自由な宇宙を預けられる))
そしてそれらの積み重ね故に、ミュライ星主シティア・スーダは、戦いを止めた。
それなのに今この世界は再び争いの中にある。それなのに、自分達はREALの、カナ・ニライの心が分からない。
「っ、負けるもんか! 僕は! ライトミトラス、シャイン! アップ!!」
血を吐くような思いで陽太郎は発進コードを音声入力する。光が、立ち上がった。
「各機体、爆撃を継続しろ! ライトミトラスとまともにドッグファイトはするな、このまま研究所の残骸に沈めるんだ!」
それを見て、上空、陽太郎少年が思う相手、ショートヘアの黒髪、南国生まれ風の褐色の肌の繊細そうな容姿を神経質に歪めたREAL軍大尉、カナ・ニライは配下のミサイラー35部隊に叫んでいた。彼女は思う。
((SUPER。私達の世界はお前達の世界とは違う))
REAL。Reunion of Earth and All Leagues=地球全連盟再統合体。その名の為に人は戦い、その名の元にまた戦い続けてきた。
疲弊した地球環境、際限なく拡大する人口に対応する為、人類は新天地を作り続けた。海が増えれば海底都市を作り、それでも足りなければ宇宙都市へ、月面都市へ。
そしてその都度戦争を繰り返した。海底都市達は海底都市達で、宇宙都市達は宇宙都市達で、月面都市達は月面都市達で、ある時は追いやられた貧者達が怒りを込めて、ある時は人類の革新を求めた求道者達が理想を込めて、ある時は地上の汚染から逃れた富者が侮蔑を込めて。それぞれの連盟を作り、地球政府と戦った。
果てもない憎悪と差別、それによる果てもない新兵器と非人道戦術の連鎖による大量殺戮。
現実性を定義し重力・電磁・ウィークボゾン・グルーオン等を統合する存在たるリアルスキー粒子の発見とリアルスキー粒子技術による飛行技術・電子工学発展の結果生まれたロボット兵器リアル・ロボットの存在がそれを手にしたものに勝てると思わせる事で戦いを誘発させ、戦いがその技術を進歩させ、新型の出現が更なる野心に火をつけた。
戦乱の果て、皮肉にもリアルスキー粒子とそれに基づくリアル・ロボットと同じ名を関するREALが地球と諸連盟の間で形成されても尚、恨み、陰謀、利益、様々な理由から内紛は絶えなかった。
戦いを止めた同胞すら憎んで戦いは継続した。
戦争で利益を得る事が出来なくなった軍需産業が戦いを止めようとして尚、軍需産業の方向転換によって己のシェアを食われる事を恐れた本来平和的産業であった別の企業が軍需企業に牙を剥き、軍需産業を憎む者が襲い、戦いは継続した。
貧困故に他者から奪う為に戦いが続いた。
戦う事以外に生計を立てる術も知らず、戦いの無い世界を知らぬ無知世代登場故に戦いは続いた。
それがREAL世界の歴史だ。
同じ人型兵器とはいえ、SUPERの個別のロボット達と、REALの兵器はまるで違う。SUPERのヒーロー達と、REALの兵士達はまるで違う。
私達はヒーローではない。分かり会えた事なんて無い。異能を得ても奇跡を見てもそれらを全て争いの道具として人は尚争う。どんな地からでも、決して誰も助けられはしない。我らの食らうREALの糧は苦い。
違う。違う。何もかも違う。分かりあえると信じて、こちらの文明の、私の、良い所探しをしようとしたライトミトラスのパイロットと交わした言葉の記憶を振り切ろうとする。
「君の姿は……僕に似ているものか!」
叫び、カナは引き金を引いた。
SUPERとREAL、二つの地球の接触により新たなる戦いが始まる。
だが、未だ誰も知らない。
二つの地球が何故接触したのか。
二つの地球は何故存在するのか。
何故二つの地球それぞれにSUPERロボットとREALロボットが存在するのか、存在する理由が整ったのか。
全ての答えが存在する事を。
その全てを望む者がいる事を、それ故にそれらが存在しているという事を。
それが理由である事を。
この戦いの結末、この戦いの果てにあるものを。
彼等彼女等はまだ、知らない。
世界征服を企む悪の天才科学者ドクターハデス率いる秘密結社タルタロス。古代に互いに争いあって滅亡寸前となった結果休眠し、自分達の文明で変動した当時の地球環境に現代の科学技術で再び地表が近い環境となったことで復活し地上人類を下等種族と断じ征服せんとした古代帝国ムーザンとアクトランティス、宇宙からの侵略者ミェライ星人……
ドクターハデスの天才を誇示する為や戦士の器として神の化身として、宇宙に適応する為の肉体として、様々な理由で何れも巨大ロボットを兵器として使用する悪の軍団達との1974年から始まった断続的な戦いは、ドクターハデスと並ぶ天才科学者、鎧零郎博士がそれに対抗し人々を勇気付ける為に作りその孫の鎧兵司が動かす有人巨大人型ロボット・メタルゼウスと、それに続き加勢する為……ある意味そこで文明の方向性が定まったと言えるだろう……代表とした各地の研究期間が開発した人類の正義の為のロボット達によって食い止められ、それら科学者・研究所の連合機関であるSUPER(Scientific Universal Party in Earth Region=地球領域万国科学者党)が人類の危機に立ち向かった。戦いに勝利し、古代帝国の復活と争いの原因になっていた環境の改善に努め、愛と友情で異種族との和解に努め、戦いの時代を乗り越えた……筈、だったのに。
爆音が轟く。大地が揺れる。
研究員の死体が転がる崩壊寸前の建物、SUPERを構成する研究所の一つである光エネルギー研究所。大量破壊兵器の直撃も耐える光バリアーを揺するが故に選ばれた新たな敵との和平交渉の場から一転、内側からのテロ攻撃に燃え崩れるその中、光エネルギー研究所が有するSUPERロボット・ライトミトラスのパイロットである光陽太郎少年が暗殺テロの魔手から逃れ機体に搭乗せんと走る。
ふわふわした明るい褐色の髪、単純明快そうだが生命力を感じる顔色と体つきの少年は託された力を起動する為に命を振り絞る。敵の攻撃で崩れた壁を、鍛えた力で手を血まみれにして指を何本か折れさせながらも持ち上げ砕き覆した。
「くそっ、REALの奴等! なんて酷い真似をっ……!」
異次元からの侵略者REAL。もう一つの地球を自称するそいつらは、これまでの侵略者とは違っていた。これまで人類が戦ってきた秘密結社や古代帝国や宇宙人達はマシンモンスターや古代獣・機械戦士やスターロボといった一騎当千のロボット兵器を押し立てて戦った。無論、その過程で母艦を用いたり町を襲ったりもしたし、人質をとるような卑劣漢も強力な破壊兵器もあったが、基本的にはSUPERロボット達は英雄的に堂々と戦い撃退する事が出来た。
だが、REALロボット達は違った。奴等は、ロボットでありながらまるで兵士や戦車・戦闘機等の量産型兵器のように、軍団でやって来たのだ。
一体一体のREALロボットよりは、過去に戦った敵やSUPERロボットの方が遥かに強かった。REALロボットの中にもある程度強力な機体はあるが、大半の機体は兵隊のように画一的な装備を外装するばかりで、軍団でやって来ても並みの兵器を跳ね返す超合金の装甲と多数の武装を持つSUPERロボットはそれを蹴散らす事が出来る。だが、SUPERロボット数十に対し、敵は数千数万。百の敵を薙ぎ倒す間に、千の敵が守るべき町を焼いてゆく。
そして何より、隕石爆弾や毒ガス等の大量破壊兵器、殺戮端末や絨毯爆撃等の無差別攻撃、人心を撹乱し降伏を誘う社会戦、潜入工作員を使っての爆破テロや暗殺の苛烈さは、これまでの戦いを遥かに超えていた。
嗚呼、何人のパイロットと何体のSUPERロボットが、己が戦う戦場を迂回する田宮の軍勢に後方を焼かれて涙を呑み、機体に搭乗する前の卑劣な暗殺で命を落とし破壊工作で起動前を爆破され、政治的に操られた政治かや市民の降伏で孤立無援となった事か!
「負けるもんか! 鋼さんの為にも……!」
((来い、自称プロの兵隊ども、俺は戦士のプロだぜ! ))
ここに来るまでの間にも、グレートマルスのパイロットでSUPERロボットパイロットの中でもトップクラスの訓練を受けた戦士である鋼丈が、鍛え抜かれた肉体で片手に連装ミサイルランチャー片手にマシンガンを掴んで立ちはだかり敵兵を蹴散らしていたが、果たして彼は無事だろうか。無事に決まっている、彼もきっと相棒たるグレートマルスに乗って現れると信じ、ボロボロの手でハッチを開きライトミトラスを起動させる陽太郎。
光エネルギー研究所の、陽太郎少年とその母である光葛葉教授の叡知の産物、光合金結晶ライトニウムが燻銀色から溶け合わぬ筈の金と黄水晶を混ぜたような透明感のある金色に輝いていく。機体が起動し、空を仰ぐ。崩壊した研究所の穴の空いた天井から見える空を震わせ、REALのロボットが襲来する。
「あれは……!」
陽太郎少年はその内の一機を知っている。のっぺりと無個性な機体が大半の中、少数だが存在するエースパイロット用機体。その内の、レイガナー22改、そのパイロット、カナ・ニライを知っている。
この襲撃、アイツも知っているのか。知らないのか。知らないならあいつは今どんな顔でこの戦場を見下ろしている。知っているなら……機体が起動するまでの何秒かの間、それが酷く引っ掛かる。胸が騒ぐ。
((ワシの世界征服を! 世界が一つになる事を阻止しおったな! ならば! 一つにならぬ世界で生きていくがいい! それが争いと滅びの未来であったのなら……ワシの勝ちだという事を忘れるなあああ! ))
秘密結社タルタロス首領ドクターハデスは鎧兵司にそう言い残したという。
((余と余の最後の軍勢、余の国は最後まで戦うと今ここに叫んだ。自然と、古代獣と、隕石と、敵と、神と、全てと戦うことで生きてきた、それ以外の生き方を知らぬ、その生き方こそが生きる意味である誇り、それがムーザンであるが故に。全て戦士たる余の国は、平和の世を選ばぬ。同情も悲しみも否定も家庭も侮蔑と知るがよい。だが……我らとアクトランティスの神々は兎も角、女帝ネニウスとアクトランティスの民はそうではない。肝に命じよ、余等と貴様ら、勝った方がより強くなり先へ進む! 行くぞ! ))
((ダンマ大帝がそんな事を……私には分からない、私は……地海神エノシガイオス様は……私は……!? ))
神とすら戦う、地上全てと戦うと豪語したムーザン帝国大帝ダンマは最後まで戦い続けたが、自分達ムーザンと違い神に支配された文明であるアクトランティスはその民は守られるべきであると説き、アクトランティス帝国女帝ネウニスはそれを知る事で影響を受け、アクトランティス真の支配者・地海神エノシガイオスとの戦いの後アクトランティスの民が生き延びる道を作った。
((お前達はただ生存するだけなら、他に幾らでも手があった。そうであるにも関わらず、お前達は正義の為平和の為、分かり合おうとするのだな……そこには知恵がある。恐れ知らずの探求がある。そんなお前達にならば、我らの星を、自由な宇宙を預けられる))
そしてそれらの積み重ね故に、ミュライ星主シティア・スーダは、戦いを止めた。
それなのに今この世界は再び争いの中にある。それなのに、自分達はREALの、カナ・ニライの心が分からない。
「っ、負けるもんか! 僕は! ライトミトラス、シャイン! アップ!!」
血を吐くような思いで陽太郎は発進コードを音声入力する。光が、立ち上がった。
「各機体、爆撃を継続しろ! ライトミトラスとまともにドッグファイトはするな、このまま研究所の残骸に沈めるんだ!」
それを見て、上空、陽太郎少年が思う相手、ショートヘアの黒髪、南国生まれ風の褐色の肌の繊細そうな容姿を神経質に歪めたREAL軍大尉、カナ・ニライは配下のミサイラー35部隊に叫んでいた。彼女は思う。
((SUPER。私達の世界はお前達の世界とは違う))
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そしてその都度戦争を繰り返した。海底都市達は海底都市達で、宇宙都市達は宇宙都市達で、月面都市達は月面都市達で、ある時は追いやられた貧者達が怒りを込めて、ある時は人類の革新を求めた求道者達が理想を込めて、ある時は地上の汚染から逃れた富者が侮蔑を込めて。それぞれの連盟を作り、地球政府と戦った。
果てもない憎悪と差別、それによる果てもない新兵器と非人道戦術の連鎖による大量殺戮。
現実性を定義し重力・電磁・ウィークボゾン・グルーオン等を統合する存在たるリアルスキー粒子の発見とリアルスキー粒子技術による飛行技術・電子工学発展の結果生まれたロボット兵器リアル・ロボットの存在がそれを手にしたものに勝てると思わせる事で戦いを誘発させ、戦いがその技術を進歩させ、新型の出現が更なる野心に火をつけた。
戦乱の果て、皮肉にもリアルスキー粒子とそれに基づくリアル・ロボットと同じ名を関するREALが地球と諸連盟の間で形成されても尚、恨み、陰謀、利益、様々な理由から内紛は絶えなかった。
戦いを止めた同胞すら憎んで戦いは継続した。
戦争で利益を得る事が出来なくなった軍需産業が戦いを止めようとして尚、軍需産業の方向転換によって己のシェアを食われる事を恐れた本来平和的産業であった別の企業が軍需企業に牙を剥き、軍需産業を憎む者が襲い、戦いは継続した。
貧困故に他者から奪う為に戦いが続いた。
戦う事以外に生計を立てる術も知らず、戦いの無い世界を知らぬ無知世代登場故に戦いは続いた。
それがREAL世界の歴史だ。
同じ人型兵器とはいえ、SUPERの個別のロボット達と、REALの兵器はまるで違う。SUPERのヒーロー達と、REALの兵士達はまるで違う。
私達はヒーローではない。分かり会えた事なんて無い。異能を得ても奇跡を見てもそれらを全て争いの道具として人は尚争う。どんな地からでも、決して誰も助けられはしない。我らの食らうREALの糧は苦い。
違う。違う。何もかも違う。分かりあえると信じて、こちらの文明の、私の、良い所探しをしようとしたライトミトラスのパイロットと交わした言葉の記憶を振り切ろうとする。
「君の姿は……僕に似ているものか!」
叫び、カナは引き金を引いた。
SUPERとREAL、二つの地球の接触により新たなる戦いが始まる。
だが、未だ誰も知らない。
二つの地球が何故接触したのか。
二つの地球は何故存在するのか。
何故二つの地球それぞれにSUPERロボットとREALロボットが存在するのか、存在する理由が整ったのか。
全ての答えが存在する事を。
その全てを望む者がいる事を、それ故にそれらが存在しているという事を。
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この戦いの結末、この戦いの果てにあるものを。
彼等彼女等はまだ、知らない。
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