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・解之巻
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各々の頭脳に秘められた秘中の秘たる力。
術とは脳が生む能で能で脳を生む事はできぬ。
次郎太の死体の脳は”無名獣”の拳で砕かれた。
四郎兵衛の頭は参佐に断ち割られた。
参佐の首は輪廻に踏み潰された。
この場に残る脳は三つ、否!
「はっ!」
輪廻がクナイを投じた。狙うは一影斎の脳天。しびとの膂力で投じられたクナイは、頭蓋を一撃でかち割った……溢れ出るのは脳髄ではなく歯車!
「あれは絡繰による分身!? つまり”どうやったか”の答えは即ち、”誰も一影斎をやっておらぬ”だったという事か!」
無名獣が驚きに吼えた。時同じくして絡繰屋敷が轟然と鳴動し始める。
「しかして”何故やったかは存在する。私達全員にそれをやりうる理由があるなら……そんな奴らは纏めて皆殺しにしたかったという訳ね」
そんな中、輪廻は本性を表したしびとの冷徹な目で周囲を見回し油断なく構える。無名獣の五感が火薬の匂いを捉えていないのであれば屋敷の自爆は無い。故に……鳴動する絡繰屋敷の四方八方から突き出されてくる仕掛け槍や仕掛け矢を払う。死なずの術とはいえ術の根源である脳を碎かれれば完全な死を迎えるが故に。
「そう、即ち”誰がやったかは」
そして輪廻や驚きながら身を翻す”無名獣”と同じく攻撃を交わしながら、後藤は犯人の名を告げた。
「【一人目の犠牲者、村崎一影斎】。犯人は、お主じゃ」
「くくく、同士討ちで削れるだけ削る役、もっと減るかと思っておったが、まあよい。忍法時滑りの術と忍法使い切りの術が消えれば十分よ!」
絡繰屋敷の四方八方から、一影斎の声がそれに答えた。
「けだものの術もしびと蘇りの術も、所詮戦いにおいては膂力が増す程度。そんなもので屋敷と一体化したこのわしの脳までは届かぬ! 貴様の忍法小口切りの術とやらもだ、後藤!」
故に密室殺忍事件を装い、疑心暗鬼で殺し合わせる必要があったと、参佐と四郎兵衛の術の事など調べがついていたのだと、忍び頭としての耳聡さを披瀝し勝ち誇る一影斎。
「ああ、確かに、忍法小口切りの術は警戒せんでいいぞ」
それに対する、無力を認めるような後藤の言葉。
それに一影斎は、奇妙な恐怖を覚えた。
「何となれば、参佐の推理も当たっておるからよ」
「何……」
そして、後藤は告げる。一影斎は悟る。
参佐は言った。後藤の”小口切りの術”は、実は剣技で、本当は別の術を隠し持っているのではないかと。
それが真実であるならば……
――――――――――――
「……まさかあのような術があるとはな」
戦いは終わった。
無名獣は驚き呆れた。よもやあのような術がありそれで後藤が一影斎を倒すとは。
「……これからどうする?」
輪廻が、後藤に問う。絡繰屋敷は倒壊した。既に里には大騒ぎの気配。混乱が巻き起こるだろう。無実の証明は、中々に骨が折れそうだ。
「そうさな」
後藤は顎を撫してにやりと笑い、輪廻と無名獣を誘った。
「儂と一緒に行かぬか。里の外に出よう」
この後の事は語られていない。
術とは脳が生む能で能で脳を生む事はできぬ。
次郎太の死体の脳は”無名獣”の拳で砕かれた。
四郎兵衛の頭は参佐に断ち割られた。
参佐の首は輪廻に踏み潰された。
この場に残る脳は三つ、否!
「はっ!」
輪廻がクナイを投じた。狙うは一影斎の脳天。しびとの膂力で投じられたクナイは、頭蓋を一撃でかち割った……溢れ出るのは脳髄ではなく歯車!
「あれは絡繰による分身!? つまり”どうやったか”の答えは即ち、”誰も一影斎をやっておらぬ”だったという事か!」
無名獣が驚きに吼えた。時同じくして絡繰屋敷が轟然と鳴動し始める。
「しかして”何故やったかは存在する。私達全員にそれをやりうる理由があるなら……そんな奴らは纏めて皆殺しにしたかったという訳ね」
そんな中、輪廻は本性を表したしびとの冷徹な目で周囲を見回し油断なく構える。無名獣の五感が火薬の匂いを捉えていないのであれば屋敷の自爆は無い。故に……鳴動する絡繰屋敷の四方八方から突き出されてくる仕掛け槍や仕掛け矢を払う。死なずの術とはいえ術の根源である脳を碎かれれば完全な死を迎えるが故に。
「そう、即ち”誰がやったかは」
そして輪廻や驚きながら身を翻す”無名獣”と同じく攻撃を交わしながら、後藤は犯人の名を告げた。
「【一人目の犠牲者、村崎一影斎】。犯人は、お主じゃ」
「くくく、同士討ちで削れるだけ削る役、もっと減るかと思っておったが、まあよい。忍法時滑りの術と忍法使い切りの術が消えれば十分よ!」
絡繰屋敷の四方八方から、一影斎の声がそれに答えた。
「けだものの術もしびと蘇りの術も、所詮戦いにおいては膂力が増す程度。そんなもので屋敷と一体化したこのわしの脳までは届かぬ! 貴様の忍法小口切りの術とやらもだ、後藤!」
故に密室殺忍事件を装い、疑心暗鬼で殺し合わせる必要があったと、参佐と四郎兵衛の術の事など調べがついていたのだと、忍び頭としての耳聡さを披瀝し勝ち誇る一影斎。
「ああ、確かに、忍法小口切りの術は警戒せんでいいぞ」
それに対する、無力を認めるような後藤の言葉。
それに一影斎は、奇妙な恐怖を覚えた。
「何となれば、参佐の推理も当たっておるからよ」
「何……」
そして、後藤は告げる。一影斎は悟る。
参佐は言った。後藤の”小口切りの術”は、実は剣技で、本当は別の術を隠し持っているのではないかと。
それが真実であるならば……
――――――――――――
「……まさかあのような術があるとはな」
戦いは終わった。
無名獣は驚き呆れた。よもやあのような術がありそれで後藤が一影斎を倒すとは。
「……これからどうする?」
輪廻が、後藤に問う。絡繰屋敷は倒壊した。既に里には大騒ぎの気配。混乱が巻き起こるだろう。無実の証明は、中々に骨が折れそうだ。
「そうさな」
後藤は顎を撫してにやりと笑い、輪廻と無名獣を誘った。
「儂と一緒に行かぬか。里の外に出よう」
この後の事は語られていない。
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