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第14章 家族の思い出
第199話 コンビニと来訪者
しおりを挟むその後、夏祭りを堪能した三人は、カランコロンと下駄を鳴らしながら、帰路についていた。
程よく車が行き交う道路沿いを進むと、ふとコンビニの前に差しかかった瞬間、飛鳥が急に声を上げた。
「華、蓮、悪いけど、少しコンビニの中で待っててくれない? 俺、寄るところがあるから」
「「え?」」
兄の言葉に、双子が同時に兄を見つめた。
時刻は、もう9時半を過ぎているのに
「こんな時間にどこにいくの?」
そう、華が問いかけると、飛鳥は普段と変わらない様子で答えた。
「ちょっと後輩に差し入れ届けてくるから、待ってて」
すると、言うな否や、出店で買った差し入れらしきものを持った飛鳥は、パタパタと駆け出していって、そんな兄の背を呆然と見つめていた双子は、暫くして、やっと我にかえった。
「えぇ!? 今、後輩って言った?!」
「言った! 言ったよな、後輩って!」
「ちょっと待ってよ! 後輩って、あのあやしい関係かもしれない女の人のことでしょ!?」
「後輩かどうかもあやしいけど……でも、その女の人、この辺に住んでるのかな? どうする、華」
「ど、どど、どうするって?」
「尾行するか?」
突然の蓮の提案に、華はサッと表情を青くする。
「ちょ、尾行って、バレたら絶対怒られるやつじゃん!?」
「でも、決定的な証拠つかむチャンスだろ!」
「待って、待って! もし飛鳥兄ぃが行った先で、子持ちの人妻とか出てきたらどうすんの!?」
「でも、兄貴がマジでやばいことしてるなら、現場を抑えるのが一番だろ!?」
「あぁぁぁぁ、待ってぇ、現場抑えるとか無理~! ていうか、わざわざ差し入れ届けに行く仲なんでしょ!? もう彼女でいいんじゃないの!? なんで彼女じゃないの!? てか、彼女じゃダメな理由が、なにかあるの?!」
「いや、だからそれが人妻とか、先生とか、セフレとかってことなんじゃ」
「……っ」
蓮の言葉に、華は絶句する。
結局、決定打はないものの、これまでの兄の行動や言動から推測するに、兄は確実に「人に言えないアダルトな関性」を、その「後輩」と、築きあげている。
ならば、蓮が言う通り、やめさせるなら現場を抑えるのが一番!
なのだが──
「あぁぁあぁあぁ、無理ー! まだ直視する勇気ないよ~」
(まー、そうだろうな)
品行方正な真面目な兄が、まさかここに来て、不毛な関係を築き上げているなんて、まだ信じられない。結局そのあと二人は、大人しくコンビニで待つことにしたのだった。
◇◇◇
その夜、あかりは、夏祭りの花火をベランダから眺めたあと、シャワーを浴びていた。
汗を流し脱衣場でバスタオルを取ると、体を丁寧にふきとり、膝丈のロングTシャツを一枚だけ着て、キッチンに移動する。
湿った髪をタオルで乾かしながら、冷蔵庫からペットボトルを取り出すと、あかりはコップに水を注ぎ、それを喉にながしこむ。
夏の暑い季節。冷たい水は、火照った身体に染み渡るように溶けていく。
(このあと、どうしようかな)
すると、水を飲みながら、ふと考えた。
時刻は10時前。明日は特に用事もないし、読みかけの本でも読むか? はたまた、もう休むか?
そんなことを考えていると
ピンポーン──!
突然インターフォンがなった。
「?」
こんな夜中に訪ねてくる知り合いは、あかりにはいない。
ふと、壁に取り付けられたインターフォンモニターに目をむけつつ「これは居留守案件かな」と思いながら、そこに映し出された人物を確認する。
「え!? 神……!?」
だが、訪ねてきた人物を見て、あかりは目を見開いた。
そこには、抜群に整った顔立ちをした美青年がいた。
そう、大学の先輩である──神木 飛鳥だ!
(か、神木さん? なんで、こんな時間に?)
その姿をみて、あかりは首を傾げる。
こんな夜更けに、わざわざ訪ねてくるなんて
(……もしかして、なにかあったの?)
前に、飛鳥が倒れた時のことを思い出し、あかりは漠然とした不安にかられた。
いつでも話を聞くと言った手前、急ぎの用事かもしれないと、すぐさま玄関に向かうと、あかりは、サンダルを履いて、慌てて玄関をあける。
「神木さん!」
「……!」
扉を開けた瞬間、浴衣姿の飛鳥と目が合った。すると、あかりは
「どうしたんですか! なにか……っ」
「ごめん、あかり。ちょっと中に入れて」
「え? あ、ちょっ……」
返答も聞かず、飛鳥は、そのままあかりの家に押し入り、その後、扉を閉める。
狭い玄関には、飛鳥とあかりの二人だけ。
突然のことに、あかりが戸惑うような視線を向けると、飛鳥は、そんなあかりを見つめて
「あのさ、お前に一つ、話しておきたいことがあるんだけど」
「……え?」
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