神木さんちのお兄ちゃん!

雪桜 あやめ

文字の大きさ
372 / 554
第5章 あかりの帰省

第350話 警備員とファン

しおりを挟む

 カツンと、靴の音が響く。

 その後、飛鳥のマンションにやってきたあかりは、中のエントランスを、ぐるりと見回した。

 スタイリッシュな内装と、落ち着いた雰囲気。

 奥には警備員も常駐しているらしく、防犯性がとても高いことがうかがえた。

(よかった。いつもどうりで……)

 ポストの前にたつと、あかりは『神木』と書かれたプレートを探しながら、先程の飛鳥の対応を思い出した。

 いつも通り『友達』としての対応に、思わずホッとしてしまった。

(やっぱり、勘違いかも? 神木さんが、私の事を好きだなんて……)

 最近は、彼の言動には、振り回されてばかりだった。

 まるで、全身で『好きだ』って訴えかけられているようにも感じて、それを必死に『違う』と言い聞かせた。

 この人は、誰にでもこんな事を言う人だから、勘違いしてはダメだと──

(まぁ、そうだよね。あんなにモテモテな人が私なんか好きになるわけが……)

 ちょっと勘違いしてしまった自分が、少し恥ずかしい。だが、いきなり

『本気で、付き合ってみる?』

 なんて言われれば、勘違いもするだろう。

(本当に、思わせぶりな言動ばっかり……)

 優しい上に、人タラシ。その上、あんなに綺麗でカッコイイ人に口説かれたら、女の子ならみんな好きになってしまう。

 しかもそれを『自覚して』と言ってるのに、全く自覚する兆しがない。

 だけど、それでも、自分は大丈夫だと思っていた。

『絶対に、好きにならない』と言えるほどの


 自信があったから……


(私、華ちゃんにも、好きにならないから安心してとまで言ってるのに……)

 まさか、こんなことになるなんて思わなかった。とんだ嘘つき女だ。

(……いやいや、まだ間に合う。いっそ、忘れよう。こんな気持ち)

 ブンブン首を振ると、あかりは、今ある感情を、必死にふりはらった。

 私は彼を、好きじゃない!
 そう、今ならまだ、なかったことにできる!

(よし! こんな気気持ち、ただの勘違い!)

 そう言い聞かせ、あかりは一度目を閉じると、気を取り直し、神木家のポストを探した。

「えーと、神木、神木……あった!」

 すると、目線より少し上に『Kamiki』とローマ字で書かれたポストがあった。

 あかりは、荷物の中から小ぶり紙袋を取り出すと、それをポストの中へ──

「!?」

 と、思った瞬間、あかりは目を見張った。
 なぜなら、そのポストには、しっかりと鍵がかかっていたから!!

(え!? うそ!)

 わざわざ、ポストに入るサイズのお土産を選んできたのに、ポストに鍵がかかっていては、開けることができない!

(なんで!? 鍵がかかってるなんて言ってなかったのに……っ)

 なんだ、これは?
 新手の嫌がらせなのか?

 いやまさか、そんなはずはない。
 あかりは、ぐるぐると悩む。

 だが、持って行くと言った手前、このまま帰るわけにはいかず、こうなると、電話でもして取りに来てもらうしか……

(どうしよう、せっかく会わずに渡そうと思ったのに……っ)

「──君!」

「?」

 だが、その瞬間、どこからか声がした。

 声の出処が分からず、あかりは、キョロキョロと辺りを見回す。すると、奥からマンションの警備員がこちらに向かって来るのが見えた。

「神木さんちに、なにか用?」

「え?」

 警備員に疑惑の目を向けられ、あかりは困惑する。

 これは、もしかして、怪しいヤツだと思われてる!?

「あ、あの……私は神木さんに、お土産を渡しに」

「あー、もしかして神木君のファンの子? ダメだよ。神木くん、ファンからの差し入れは受け取らないことにしてるから!」

「え!?」

 なるほど。つまり、ファンと勘違いされたのか!?

 まぁ、あの顔だ!
 ファンなら沢山いるだろうが

(あ、鍵かかってたのって……もしかして、プレゼント防止のため?)

 鍵をかけなければいけないほど、プレゼントがくるのだろうか。相変わらず、恐ろしい人だ!

「はい。だから、君も諦めて帰ってね!」

「あ、あの、違うんです! 私はファンじゃなくて、神木さんの友達で!」

「はいはい。ファンの子は、みんなそう言って、渡してもらおうとしてくるんだよ」

「え!? あの……!」

 ダメだ、信じてもらない!!

 だが、神木家に来たのは、まだ2回しかないため、あかり自身『友達』というには、まだちょっと説得力がなかった。

(仕方ない。迷惑だし、帰るしかないかな……)

 神木さんには、後で謝ろう。
 だが、そう思った時──

「あかり!」

 と、声をかけられた。

 目を向ければ、その奥には、少し息を切らしながら、飛鳥が駆け寄ってくるのが見えた。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

処理中です...