5 / 66
第1話『私は私の夢を叶える為に、冒険者になります!!』 5/5
しおりを挟む
「その様に言うな。今回の件は私が悪かった。だから、そんな風に自分の夢を否定しないでくれ。ミラ。君の辛そうな顔を見ていると私まで辛くなってくる」
「申し訳ございません。この様な姿を晒してしまい」
「いや、すまないな。私も少々暴走し過ぎたようだ」
私は涙をハンカチで拭いながら、熱くなりすぎた心を落ち着かせるべく息を吐いた。
そして、依頼を取り消し、今日はこのまま殿下を連れて帰ろうと考えていた……のだが。
「お話中、申し訳ございません!」
「なんだ貴様は」
「俺……あ、いや、私はヴェルクモント王国冒険者組合に所属している冒険者アランです! わ、私にミラ様の依頼を受けさせてください!」
「え?」
「あ! 私も受けます!」
「私も!!」
「俺もやりますぜ! ミラ様!」
「な、何故……皆さん。話を聞いていなかったのですか!? 依頼料が無いのですよ!?」
私は驚きながら私と殿下の前に出てきた、青年に話しかけるが、彼はやや緊張したまま笑い、頷いた。
なん……? どういう? 何が起きてるんだ?
「俺の両親は、魔物に殺されました。でも、そんな奴は世界にいっぱい居て、俺の悲しみも妹の絶望も、その辺に転がる石ころみたいなモンだったんです。でも! でも、ミラ様が怪我をした俺や妹を希少な光の魔術で癒してくれて、食べ物をくれて、寄り添ってくれて! こうして働いて、妹を養える様にしてくれたんです! だから、ミラ様の夢なら、俺も協力したい。恩返しがしたいんです!」
「私だって同じです! ミラ様! 母の病気を癒して下さった事は、一日だって忘れた事はありません!」
「この国でミラ様の名前を知らない人は居ませんよ! 光聖教の連中が邪魔しなければ、聖女様と呼ばれていた筈です!」
多くの人の声が私に向けられていた。
夢を、叶える手伝いをしてくれると。
でも、駄目だ。
「皆さんのご厚意は大変嬉しく思います。しかし、皆さんに私の夢をお願いする事は出来ません」
「そんな!」
「ミラ様!」
だって、そう! その夢は!!
「何故なら、私の夢は私自身が叶えるべきだと思うからです!」
私のものなのだから!!
「ん? どういう意味だ? ミラ」
「殿下。皆さん。私は私の夢を叶える為に、冒険者になります!!」
「は」
「「「はぁあああああ!!?」」」
今日一番であろう叫び声が、ヴェルクモント王国王都の南門近くに位置する冒険者組合にて起こるのだった。
「申し訳ございません。この様な姿を晒してしまい」
「いや、すまないな。私も少々暴走し過ぎたようだ」
私は涙をハンカチで拭いながら、熱くなりすぎた心を落ち着かせるべく息を吐いた。
そして、依頼を取り消し、今日はこのまま殿下を連れて帰ろうと考えていた……のだが。
「お話中、申し訳ございません!」
「なんだ貴様は」
「俺……あ、いや、私はヴェルクモント王国冒険者組合に所属している冒険者アランです! わ、私にミラ様の依頼を受けさせてください!」
「え?」
「あ! 私も受けます!」
「私も!!」
「俺もやりますぜ! ミラ様!」
「な、何故……皆さん。話を聞いていなかったのですか!? 依頼料が無いのですよ!?」
私は驚きながら私と殿下の前に出てきた、青年に話しかけるが、彼はやや緊張したまま笑い、頷いた。
なん……? どういう? 何が起きてるんだ?
「俺の両親は、魔物に殺されました。でも、そんな奴は世界にいっぱい居て、俺の悲しみも妹の絶望も、その辺に転がる石ころみたいなモンだったんです。でも! でも、ミラ様が怪我をした俺や妹を希少な光の魔術で癒してくれて、食べ物をくれて、寄り添ってくれて! こうして働いて、妹を養える様にしてくれたんです! だから、ミラ様の夢なら、俺も協力したい。恩返しがしたいんです!」
「私だって同じです! ミラ様! 母の病気を癒して下さった事は、一日だって忘れた事はありません!」
「この国でミラ様の名前を知らない人は居ませんよ! 光聖教の連中が邪魔しなければ、聖女様と呼ばれていた筈です!」
多くの人の声が私に向けられていた。
夢を、叶える手伝いをしてくれると。
でも、駄目だ。
「皆さんのご厚意は大変嬉しく思います。しかし、皆さんに私の夢をお願いする事は出来ません」
「そんな!」
「ミラ様!」
だって、そう! その夢は!!
「何故なら、私の夢は私自身が叶えるべきだと思うからです!」
私のものなのだから!!
「ん? どういう意味だ? ミラ」
「殿下。皆さん。私は私の夢を叶える為に、冒険者になります!!」
「は」
「「「はぁあああああ!!?」」」
今日一番であろう叫び声が、ヴェルクモント王国王都の南門近くに位置する冒険者組合にて起こるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる