12 / 66
第3話『死者を蘇らせる魔術を知っていると言っていたな』 3/3
しおりを挟む
「その服。着物だな。それに刀か。貴様、かの国の侍だな? 何の用だ」
「お前の連れていた少女に、用がある。それだけだ」
「チッ。面倒な」
何が何だかよく分からないが、二人とも私に用事があるらしい。
鎧の人はさっき聞いたが、着物の人はまだ知らない。
なら、どうしようか。聞いてみようか。
「す、すみませーん!」
「「なんだ!?」」
「あっ、忙しい所恐縮です。あのですね。着物の方。私に用事があるとの事なのですが、どの様な用事でしょうか?」
その問いに、ちょうどぶつかりながら止まっていた二人は、奇妙な物でも見る様な目で私を見た後、それぞれ大きく一歩後退した。
そして、着物の人は私を見ながら質問に答えてくれる。
「昼間。神刀について話していただろう? おそらく、かつて我が国より失われた一刀だと思われる。それを回収したいのだが、場所が分からない。お前が分かると言っていたから、案内して貰おうと思っていた」
「我が国……? という事は!! まさか、まさかまさか!! 貴方様は伝説の国ヤマトの出身なのですか!?」
「伝説かは知らんが、確かに俺はヤマトの出身だ」
「あぁ、本当に実在したのですね! いえ、存在は確かにしていました。ただ、それが現在まで続いているとは……! という事は、やはり獣人戦争に現れたという謎の武装集団は、ヤマトの侍さんなのでしょうか!? はっ! という事は、国連議会が東国へ冒険者を派遣したのも! 聖女セシル様が東へ向かったというのも! 全て、真実!!」
「あー。お嬢ちゃん?」
「なんでしょうか!? 鎧の方!」
「あー。いや。俺はオーロという者だが」
「自己紹介ですね! そう言えば私もまだしておりませんでした! 私はミラ。ミラ・ジェリン・メイラーと申します! よろしくお願いします。オーロさん!」
「あ、あぁ」
「それと、ヤマトの方もお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「……天霧、瞬だ」
「アマギリ? シュンさん」
「瞬で良い。ミラ、だったか?」
「はい! シュンさんですね! よろしくお願いします!」
私は立ち上がり、二人に頭を下げながら名案に震えていた。
そうだ! 殿下は言っていたじゃないか! 私が強い人たちとチームを組む事が出来れば何処へ行っても良いと!
オーロさんは、油断していたとは言え、お姉様を倒すほどの実力者で、シュンさんもオーロさんと同じくらい強い方!
なら、なら! 二人は個人戦闘力が人類の規格外。つまりはSランクの人間だという事だ。
そして、二人とも、私の知識を求めている。
これは運命だ。世界が私に旅立てと言っているに違いない!
「お二人に私から提案があります!」
「提案?」
「……?」
「私とチームを組んで、伝わっていない世界の歴史、そして失われた魔術を一緒に調べませんか!?」
「お前の連れていた少女に、用がある。それだけだ」
「チッ。面倒な」
何が何だかよく分からないが、二人とも私に用事があるらしい。
鎧の人はさっき聞いたが、着物の人はまだ知らない。
なら、どうしようか。聞いてみようか。
「す、すみませーん!」
「「なんだ!?」」
「あっ、忙しい所恐縮です。あのですね。着物の方。私に用事があるとの事なのですが、どの様な用事でしょうか?」
その問いに、ちょうどぶつかりながら止まっていた二人は、奇妙な物でも見る様な目で私を見た後、それぞれ大きく一歩後退した。
そして、着物の人は私を見ながら質問に答えてくれる。
「昼間。神刀について話していただろう? おそらく、かつて我が国より失われた一刀だと思われる。それを回収したいのだが、場所が分からない。お前が分かると言っていたから、案内して貰おうと思っていた」
「我が国……? という事は!! まさか、まさかまさか!! 貴方様は伝説の国ヤマトの出身なのですか!?」
「伝説かは知らんが、確かに俺はヤマトの出身だ」
「あぁ、本当に実在したのですね! いえ、存在は確かにしていました。ただ、それが現在まで続いているとは……! という事は、やはり獣人戦争に現れたという謎の武装集団は、ヤマトの侍さんなのでしょうか!? はっ! という事は、国連議会が東国へ冒険者を派遣したのも! 聖女セシル様が東へ向かったというのも! 全て、真実!!」
「あー。お嬢ちゃん?」
「なんでしょうか!? 鎧の方!」
「あー。いや。俺はオーロという者だが」
「自己紹介ですね! そう言えば私もまだしておりませんでした! 私はミラ。ミラ・ジェリン・メイラーと申します! よろしくお願いします。オーロさん!」
「あ、あぁ」
「それと、ヤマトの方もお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「……天霧、瞬だ」
「アマギリ? シュンさん」
「瞬で良い。ミラ、だったか?」
「はい! シュンさんですね! よろしくお願いします!」
私は立ち上がり、二人に頭を下げながら名案に震えていた。
そうだ! 殿下は言っていたじゃないか! 私が強い人たちとチームを組む事が出来れば何処へ行っても良いと!
オーロさんは、油断していたとは言え、お姉様を倒すほどの実力者で、シュンさんもオーロさんと同じくらい強い方!
なら、なら! 二人は個人戦闘力が人類の規格外。つまりはSランクの人間だという事だ。
そして、二人とも、私の知識を求めている。
これは運命だ。世界が私に旅立てと言っているに違いない!
「お二人に私から提案があります!」
「提案?」
「……?」
「私とチームを組んで、伝わっていない世界の歴史、そして失われた魔術を一緒に調べませんか!?」
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
合成師
あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる