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第10話『これはリヴィアナ様の最後が記された書。言うなればリヴィアナ様自身です』(オーロ視点) 1/3
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(オーロ視点)
夜を越えて、新しい朝を迎えてから、俺はミラを抱きかかえ、森の奥に向かって突き進んでいた。
昨日聞いた胸糞悪い話を思い返すと、すぐにでもミラの服に手を突っ込んでペンダントを引きちぎりたくなるが、それをした所で悲しむのはミラだろう。
そう。おそらくはその行動が切っ掛けとなり、ヴェルクモント王国とその他の国で戦争となってしまうからだ。
だから今は何も出来ない。
という訳で、俺はミラの案内を聞きながら森を進み、古ぼけた石造りの建物にたどり着いた。
明らかに古いソレは、ミラ曰く千年前ヴェルクモント王国に居た、リヴィアナという王女の造った物らしい。
いつも通りミラは楽し気に歴史を語りつつ、入り口の煉瓦に触れ、魔術で封じられた入り口を、容易く開いてしまうのだった。
「ふむふむ。予想通り、暗号は初期の物でしたね。リヴィアナ様が構築した以降は更新されていなかった様です。しかしこれではおそらくリヴィアナ様が理想とした管理にはなっていないのではないでしょうか。本来、こうして暗号化をするのは適度なタイミングに更新をして、暗号を変える事により侵入者が侵入しにくい環境を構築する事であり……」
ペラペラと語り始めたミラを抱き上げて、俺はそのまま施設の中へと入る事にした。
語り始めたら止まらないし。楽しそうに話しているのを止める気も無いからだ。
「……広い場所に出るな」
「っ! ひ、光の精霊さん! 部屋を照らしてください!」
焦った様な……? いや、違う。嬉しさが抑えきれないという様な感情が溢れた様子のミラが、光の精霊を通して魔術を使い、部屋を明るく照らした。
そしてミラは俺の腕から飛び出して、部屋の中に駆け込もうとして……入り口近くで足を止めた。
「わ、罠です!」
「何!?」
俺はミラの声に急いでミラを護るべく前に出ようとしたが、ミラ自身が床に手を当てながらその魔術で出来た罠に触れていた。
危ないんじゃないのか? 大丈夫なのか?
「む? むむむ。なるほど。とりゃ!」
「ミラ!」
「んー。やっぱり大丈夫ですね。どうやら光の魔術で部屋を照らしている間は発動しない罠の様です。って、どうしました?」
「……いや。何でもないよ」
俺はミラを抱きかかえようとした体勢のまま固まっていたが、ミラの言葉に首を振って、一応ミラを抱えたまま罠の内側……封印書庫とやらに足を踏み入れた。
ここに、人を蘇らせる方法があるのか。
夜を越えて、新しい朝を迎えてから、俺はミラを抱きかかえ、森の奥に向かって突き進んでいた。
昨日聞いた胸糞悪い話を思い返すと、すぐにでもミラの服に手を突っ込んでペンダントを引きちぎりたくなるが、それをした所で悲しむのはミラだろう。
そう。おそらくはその行動が切っ掛けとなり、ヴェルクモント王国とその他の国で戦争となってしまうからだ。
だから今は何も出来ない。
という訳で、俺はミラの案内を聞きながら森を進み、古ぼけた石造りの建物にたどり着いた。
明らかに古いソレは、ミラ曰く千年前ヴェルクモント王国に居た、リヴィアナという王女の造った物らしい。
いつも通りミラは楽し気に歴史を語りつつ、入り口の煉瓦に触れ、魔術で封じられた入り口を、容易く開いてしまうのだった。
「ふむふむ。予想通り、暗号は初期の物でしたね。リヴィアナ様が構築した以降は更新されていなかった様です。しかしこれではおそらくリヴィアナ様が理想とした管理にはなっていないのではないでしょうか。本来、こうして暗号化をするのは適度なタイミングに更新をして、暗号を変える事により侵入者が侵入しにくい環境を構築する事であり……」
ペラペラと語り始めたミラを抱き上げて、俺はそのまま施設の中へと入る事にした。
語り始めたら止まらないし。楽しそうに話しているのを止める気も無いからだ。
「……広い場所に出るな」
「っ! ひ、光の精霊さん! 部屋を照らしてください!」
焦った様な……? いや、違う。嬉しさが抑えきれないという様な感情が溢れた様子のミラが、光の精霊を通して魔術を使い、部屋を明るく照らした。
そしてミラは俺の腕から飛び出して、部屋の中に駆け込もうとして……入り口近くで足を止めた。
「わ、罠です!」
「何!?」
俺はミラの声に急いでミラを護るべく前に出ようとしたが、ミラ自身が床に手を当てながらその魔術で出来た罠に触れていた。
危ないんじゃないのか? 大丈夫なのか?
「む? むむむ。なるほど。とりゃ!」
「ミラ!」
「んー。やっぱり大丈夫ですね。どうやら光の魔術で部屋を照らしている間は発動しない罠の様です。って、どうしました?」
「……いや。何でもないよ」
俺はミラを抱きかかえようとした体勢のまま固まっていたが、ミラの言葉に首を振って、一応ミラを抱えたまま罠の内側……封印書庫とやらに足を踏み入れた。
ここに、人を蘇らせる方法があるのか。
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