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第11話 『光の精霊さん。力を貸してください』 3/3
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一体いつからそうなっているのか。どうしてそういう生態になったのか。
それは分からないが、レッドリザードに食べ物を渡すと、人がたき火として集めた木材などに火を付けてくれるのだ。
しかも、火の調整をしてくれるから、適当に薪を置いていても結構何とかなるらしい。
後は、夜の間も勝手に火を燃やしてくれて、冒険者は助かるという訳である。
この時、適当な食料しか渡していないと、途中で逃げてしまう事も多いらしく、夜の安全を考えるなら、一番良い食料お手渡すのが良いとされている。
また、地方の集落では本当に人間と共生しているレッドリザードもいるらしく、一家に一家族。
暖炉にはレッドリザードが巣を作っており、人間から食料を貰う代わりに火を付けてくれるという話らしい。
これは私が生まれるよりも前、いや、もっとずっと前。
何なら聖女セシル様が居た時代よりも前の時代から続いてきた伝統らしく。
世界に存在する国や集落の中には、レッドリザードを神の使者として崇めている所もあるらしい。
まぁ、でも火の魔術で燃え上がる炎は魔力を散らしながら幻想的な輝きを放っているし、人の願いを聞いて、火という安らぎを与えてくれる姿は、確かに神様の使いと言っても過言じゃ無さそうだ。
「ありがとうございます。レッドリザードさん。あ、これ追加のお肉です」
「きゅう! きゅう!」
「あら。向こうから別の一団が……って、ご家族が居たんですね。それはちょうど良い。ここに多くお肉を置いておきますので、皆さんで食べて下さい」
「きゅ! きゅ!」
「ふふ。可愛いですね」
「おーおー。うまくて手懐けてるもんだ」
「明日からレッドリザード係はミラだな」
「確かにな。おい。チビ共。ミラを頼んだぞ。俺らは食料を取ってくるからな」
「きゅ!」
「ハハっ、いっちょ前に戦士の顔してやがるぜ。このチビ」
「良い事だ。じゃあ、行ってくるからな。ここで待ってろ。ミラ」
「はい! いってらっしゃい」
私は昨日まで集めた食料も整理しつつ、お鍋の準備やら、料理の準備をしてゆく。
火の中からはレッドリザード達の楽しそうな歌声が聞こえてきており、私も何だか楽しくなってしまうのだった。
そして、待っているだけでは暇だった私は、リヴィアナ様の封印書庫にあった光の魔術を一つ使ってみる事にする。
それは聖女セシル様がリヴィアナ様がお亡くなりになる前辺りに、よく使っていたという祝福の魔術だ。
世界に光を満たして、人々の心から争いを消すという素晴らしい魔術だ。
「光の精霊さん。力を貸してください」
両手を握り、世界へ祈る。
その光は周囲の魔力を光の魔術に変換し、癒しの力として広がってゆく。
当然火の中に居るレッドリザード達にも、そして草むらをかき分けて出てきたジャイアントベアーにも……って!?
「えぇぇええええ!!?」
私は突然出会ってしまったジャイアントベアーと見つめ合い、絶叫をあげてしまうのだった。
それは分からないが、レッドリザードに食べ物を渡すと、人がたき火として集めた木材などに火を付けてくれるのだ。
しかも、火の調整をしてくれるから、適当に薪を置いていても結構何とかなるらしい。
後は、夜の間も勝手に火を燃やしてくれて、冒険者は助かるという訳である。
この時、適当な食料しか渡していないと、途中で逃げてしまう事も多いらしく、夜の安全を考えるなら、一番良い食料お手渡すのが良いとされている。
また、地方の集落では本当に人間と共生しているレッドリザードもいるらしく、一家に一家族。
暖炉にはレッドリザードが巣を作っており、人間から食料を貰う代わりに火を付けてくれるという話らしい。
これは私が生まれるよりも前、いや、もっとずっと前。
何なら聖女セシル様が居た時代よりも前の時代から続いてきた伝統らしく。
世界に存在する国や集落の中には、レッドリザードを神の使者として崇めている所もあるらしい。
まぁ、でも火の魔術で燃え上がる炎は魔力を散らしながら幻想的な輝きを放っているし、人の願いを聞いて、火という安らぎを与えてくれる姿は、確かに神様の使いと言っても過言じゃ無さそうだ。
「ありがとうございます。レッドリザードさん。あ、これ追加のお肉です」
「きゅう! きゅう!」
「あら。向こうから別の一団が……って、ご家族が居たんですね。それはちょうど良い。ここに多くお肉を置いておきますので、皆さんで食べて下さい」
「きゅ! きゅ!」
「ふふ。可愛いですね」
「おーおー。うまくて手懐けてるもんだ」
「明日からレッドリザード係はミラだな」
「確かにな。おい。チビ共。ミラを頼んだぞ。俺らは食料を取ってくるからな」
「きゅ!」
「ハハっ、いっちょ前に戦士の顔してやがるぜ。このチビ」
「良い事だ。じゃあ、行ってくるからな。ここで待ってろ。ミラ」
「はい! いってらっしゃい」
私は昨日まで集めた食料も整理しつつ、お鍋の準備やら、料理の準備をしてゆく。
火の中からはレッドリザード達の楽しそうな歌声が聞こえてきており、私も何だか楽しくなってしまうのだった。
そして、待っているだけでは暇だった私は、リヴィアナ様の封印書庫にあった光の魔術を一つ使ってみる事にする。
それは聖女セシル様がリヴィアナ様がお亡くなりになる前辺りに、よく使っていたという祝福の魔術だ。
世界に光を満たして、人々の心から争いを消すという素晴らしい魔術だ。
「光の精霊さん。力を貸してください」
両手を握り、世界へ祈る。
その光は周囲の魔力を光の魔術に変換し、癒しの力として広がってゆく。
当然火の中に居るレッドリザード達にも、そして草むらをかき分けて出てきたジャイアントベアーにも……って!?
「えぇぇええええ!!?」
私は突然出会ってしまったジャイアントベアーと見つめ合い、絶叫をあげてしまうのだった。
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