異界冒険譚シリーズ【ミラ編】-少女たちの冒険譚-

とーふ(代理カナタ)

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第20話『……天斬り』(第三者視点) 3/5

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「ずっとな。この旅の間。思ってたんだよ」

咆哮を上げながら少しずつ小さくなってゆく体で、突っ込んでくるドラゴンへ、そしてミラへ、オーロは語り掛ける。

「コイツをぶっ壊してやりてぇってな!!!」

右手を強く握りしめて、ペンダントを砕き、ひび割れてゆくチェーンを我慢が出来ないとばかりに無理矢理引きちぎる。

無残に壊されてゆく、ペンダントと重なる様にドラゴンの苦しそうな咆哮が空へと響き渡り、オーロはそれを見て、へッと笑った。

そして、ミラを近くで呆然としているセオドラーに向かって投げると、両手を広げて、ミラへ向かって地面すれすれに飛び込んでくるドラゴンに向かう。

「ミラ!! 次は、ソイツにもっと良い奴を買って貰うと良い! こんな悪趣味な奴じゃなくてな!!」

叫び声と共にオーロはドラゴンの突撃を受け止め、僅かに雪の上で後退するだけでその動きを完全に止めてしまった。

「シュン!!!」

「あぁ!!」

そして、オーロの声に応える様に、雪の中から一筋の光が空に向かって解き放たれた。

「……あれは」

「天斬りだと!? 瞬! まさか貴様!!」

天霧宗謙は怒りを滲ませた声で叫び、斬り合っていたフレヤから大きく離れ、雪から飛び出してきた瞬の元へと向かう。

「あぁ。天霧宗謙。そうだ。お前が追い求めた。本物の天斬りだ」

「抜かせ!! アダラード! ドラゴンを!」

「あぁ!」

「貴様らさえ消えれば計画は続行出来る!! 消えろ!!」

天霧宗謙はドラゴンの上に乗り、叫びながら空中から瞬を目掛けて、舞い降りる。

そして、ドラゴンの上で腰を下ろし、居合の型通りに腰に差した島風に手を掛けた。

それと同様に、雪の上に立つ瞬もまた、同じ様に居合の型を体でつくり、二人はほぼ同時に刀を神速で抜く。

「天斬り!!」

「……天斬り」

地面に向かって高速で舞い降りるドラゴンよりも早く瞬へ届いた斬撃は、瞬の体を深く傷つけて、多くの血を流した。

しかし、それを見て勝ちを確信した天霧宗謙は、何かがおかしいという事に気づく。

そう。とどめを刺そうと腰に差した鞘を掴もうとした腕が無いのだ。

そして、瞬が放った一撃は、その技の名通り、ドラゴンを両断し、青空を更に斬り裂いて、大気を歪ませる。
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