愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第10話『あぁ、シーラ様』(エミリー視点)②

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私はジッとシーラ様を見つめながら、ご準備が終わるのを待っていた。

今日は実によい朝だった。

あの日。シーラ様が私たちをウィルベン王国へ連れて行ってくれた日の事を夢に見たからだ。

どこにも行く場所のなかった私たちに手を差し伸べてくれ、もし国に拒絶されたら一緒に逃げるとまで言ってくれた。

素晴らしいシーラ様の愛を感じた日の事を鮮明に思い出せた。

これ以上の喜びはないだろう。

朝からの仕事にもやる気が出るというものだ。

無論。シーラ様に関わる仕事でやる気がない等という事はあり得ないが。

という訳で、今日も激しい争奪戦を勝ち抜いて、朝係となった私はシーラ様が朝の時間を優雅に過ごされているのを見ながら、シーラ様が動き出すのを待っていた。

「んに……くにゅう」

「……」

シーラ様はベッドに座ったまま、眠そうに頭を揺らしており、そんなお姿も大変可愛らしい。

しっかりと起きて活動しているときは、そのお姿に似合わず理知的で、大人びているのだが、寝ていたり、微睡んでいる時のシーラ様は見た目通りの子供に見える。

そういうギャップがまた素晴らしいのだ。

だからこそ、朝係は人気であり、夜係を決める時にはいつもケガ人が出る。

まぁ、この辺りは仕方ないことだろう。

シーラ様はそれだけ慕われているのだから。

「……はっ! あしゃ! んぐんぐ。朝ですね。うん。今日もいい天気です! 今日はビシッと起きられましたね」

「えぇ。そうですね。シーラ様」

「っ!? エミリーちゃん! いつの間に部屋の中に!?」

「今ちょうど部屋に来たところです」

「そ、そうですか。少々びっくりしましたが、問題ありません。えぇ、本当に」

「そうですね」

私は満面の笑みを浮かべながら焦ったように両手を動かしているシーラ様を見た。

可愛い。

あわあわしてるシーラ様可愛い。

いつかシーラ様がそういう事に興味を持った時、相手が出来るようにちゃんと勉強しておこう。

そう心に決意しながら、私は何も知りませんよという顔でシーラ様に頷いた。

大丈夫です。先ほどの寝ぼけているシーラ様のお姿はシーラ様専属メイドの中でしか共有しませんから、ご安心ください。

と、心の中でシーラ様へお伝えするのだった。
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