愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第12話『エルフいじめ』②

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ある貴族家の令嬢の話し相手。

令嬢は高い魔力を持っているため、万が一の事を考えてエルフの女性が望ましい。また令嬢の事を考えると幼い方が最適と思われる。……随分と範囲の狭い依頼だな。エルフなんてあんまりいないと思うけど。

まぁ良いか。色々と考えはあるんだろうし。

私はペラペラとページをめくってゆき、最後のページまで見終わってから、ファイルを渡してきた冒険者組合のお姉さんに視線を向けた。

「あのー」

「な、何か問題でもございましたか?」

笑顔が引きつっている。

なんか無理矢理笑顔を作っています。という感じだ。

その姿に少し申し訳なさを感じるが、言わない訳にもいかないし、なるべく柔らかい言い方で言おう。

「そのですね。魔物の討伐依頼は無いのでしょうか?」

やけに静まり返った冒険者組合の建物で、私の声は静かに響いていたが、私の言葉が終わるや否や。急にざわざわとし始めた。

何? いじめ? 泣くけど。恥も外聞もなく、泣くけど?

「と、とう、討伐の、依頼でございますか!? もしや、どこかで魔物に襲われたとか、そういう事でもございましたか!?」

「あ、いえ。私が依頼をしたい訳ではなく、私が依頼を受けたいのです」

「組合としましては! 日夜魔物の討伐には力を入れておりまして! シーラ様のお手を煩わせることなく、人類の安全圏確保に日々努めております! はい!!」

「そ、そうですか」

気合たっぷりで、必死に訴えてきたお姉さんに私はただ頷いた。

うーん。

話がうまく伝えられない。

どうしたものかな。

「えっとですね。実は私、お金が沢山欲しいんです」

「分かりました。少々お待ちください。すぐに私の全財産を用意してまいります」

「要らないです! 要らないですから!!」

私は訳の分からないことを言って、私の前から立ち上がろうとしたお姉さんの手を掴んで暴走を止める。

そして再びソファーに座ってもらいながら話を続けた。

「別に私は、ゆすりたかりがしたい訳では無くてですね。お仕事でお金が欲しいわけです」

「あぁ、そういう事でしたか。ではこちらのある貴族家のご令嬢の話し相手というのがオススメです。年間契約もありますし。ただお話をするだけで、お金が入ります! 安全で、お金もいっぱい。どうでしょうか?」

「それはそれで良いと思うのですが、どうせなら人の役に立ちたいじゃないですか。魔物被害は減っていない訳ですし」

「シーラ様……! なんとお優しい!」
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