愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第16話『世界の正しさは常にシーラ様の傍に』②

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やばい。

やばい!

やばい!!!

え? なに? この、このくらい常識だよね。みたいな空気!

え? え? もしかして、知らなかったのって私だけ?

孤児院に住んでる子供たちもうんうん頷いてるし!

ちょっと待ってよ! 私だけなーんにも知らなかったの!?

「みんな! 静かにしないか! シーラ様が大事なお話があると言っているんだ」

「あぁ、そうだな」

「そうか。シーラ様はこの状況を何とかしようとしているんじゃないか?」

「流石はシーラ様だ」

「みんな、早く黙れ。シーラ様のお声が聞こえないだろうが」

私があわあわとしている間にも、ムイゼンの町の人たちは完全に話のを止め、私をジッと見つめていた。

ゴクリと唾を飲み込む音が妙に大きく私の中で響く。

「え、えと……その」

「はい。シーラ様」

「その、ですね。私、実は、本当に、何も知らなくて……もしかして、魔物の被害が多いから、農業が出来ないのかなって、その、ごめんなさいぃ……こんな、大げさに人を集めて、しまって」

緊張と、恥ずかしさと、いたたまれなさで、私はポロポロと涙を流しながら大人しく白状した。

だって! この状況で何も言える事なんてないもん!!

隠せば隠すだけ酷い事になるよ!

なら、この場で責められた方がマシだい!

「シーラ様」

「ひ、ひぇ。な、なんでしょうか?」

「シーラ様は農園に魔物を近づけない術を提案される予定だったという事で、よろしかったでしょうか?」

「え? えと、はい。そうですね」

「承知いたしました。ではここからは私にムイゼンの農業発展の責任者に一任して下さいませんか?」

「ふぇ?」

「おい! 何どさくさに紛れて勝手な事言ってるんだよジャック。責任者には俺がなるぜ!」

「いや俺だ!」

「私よ私!」

なに?

何が起きてるの?

「俺だ! 俺が確実に成功させてやる!」

「いや。ここは王都で教師をしていた私が、担当しようじゃないか!」

「いやいや。魔法でどんな硬い土だって掘り起こして、畑だろうが、田んぼだろうが、用水路だろうが、全部通す事が出来る俺が適任だろう!」

「お前は作業員として働け! 責任者ってのは頭で選ぶんだよ! 頭で!」

「なんだと!? 俺の頭はどんな岩だってぶっ壊せるぞ!」

「そういう頭じゃねぇ!」

「え、えと。みなさん?」

「「「はい!」」」

「ひぅ」
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