愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

文字の大きさ
83 / 246

第26話『シーラ様の恋愛事情』①

しおりを挟む
はい。どうも。

初代シーラ様杯の優勝者のシーラです。

いやー。もう何がどうしてこんな事に……という感じですが。

一応本来の目的であるオリヴァー君とパーティーを組んで、冒険者をやるという目的は達成したので、問題なしでしょう!

という訳で早速冒険だ! と言いたいところですが、残念ながらオリヴァー君はそのシーラ様杯で受けた傷が酷く、未だベッドの上の住人である。

「……シーラ様、申し訳ございません。この様な情けない姿を」

「何が情けないですか。オリヴァー君が居なければ、私もエミリーちゃんもどうなっていたか分かりませんよ。オリヴァー君はとても勇敢で格好良かったです」

あのロリコン魔王からの攻撃を受け止めたオリヴァー君を思い出し、私は寝ているオリヴァー君に向かって笑いかけた。

しかしそんな私をグラグラと揺らす人が後ろから現れて、私は何事かと振り向いた。

そこに立っていたのは、エミリーちゃんで、酷く不満そうな顔をしながら私の体を揺らしている。

「ど、どうしたんですか? エミリーちゃん!」

「シーラ様! 私も頑張ったんですよ! 確かに負けちゃいましたけど! でも! でも!!」

「大丈夫。分かってますよ。エミリーちゃんが頑張った事は」

「……シーラ様!」

「でも、今回の事は一歩間違えれば大変な事になっていたんですからね! あまり無茶はしないで下さい。私、ドキドキしすぎておかしくなってしまうかと思いました」

「あぅ、それは、申し訳ございません」

「あ、いえ! 本当に頑張っていたのは分かっているんですよ! ただ、あまり無茶はして欲しくないな! という想いがありまして!」

「はい。承知いたしました。シーラ様」

ふんわりと笑うエミリーちゃんを見て、私はひとまず息を吐いた。

それから私はエミリーちゃんにさりげなく、流れる様に部屋から外へと追い出されて、ポツンと廊下に立っていた。

え?

あれ?

どういう事?

いったい何が起きてるんですか?

何故、追い出されたのかと疑問に思い、扉を開けようとしたが、中から鍵が掛けられてしまっていた!

なんという事だろう!!

いやいやちょっと待ってよ! 別に偉ぶるつもりは無いけどさ! 私、一応この孤児院の管理者なんだけど!?

そんな、何の理由もなしに追い出されて。はいそうですか。って納得できないよ!

という訳で中の様子を伺ってみましょう。

私は扉に耳を当てて、中の声を聴こうとする。

が。流石に扉を一枚隔ててしまうと、声が届きにくい。

ところどころしか聞こえないが……。

『……オリヴァーさんの事が好き……』

『俺もそうだ……』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。

星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。 引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。 見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。 つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。 ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。 しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。 その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…? 果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!? ※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

処理中です...