愛され転生エルフの救済日記

とーふ(代理カナタ)

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第52話『嫌な男』(レナ視点)②

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そう、それは中庭を歩いていた時の事だ。

何処からか、争うような声が聞こえてきて、またかと思いながらその現場に顔を出した。

「生意気なのよ!」

「そうよ! なんで! アンタみたいな平民が! 特別教室に!」

「……っ」

「そりゃ優秀だからでしょ? そんな事も分からないの?」

「あんまりこういう争いに口を出すのは好きじゃないんだけどね。見ちゃった以上は見逃せないかな」

「は?」

「ん?」

私は物陰から飛び出して、イジメをやってる三人に右手を向けて魔法を構えたのだが、私と同じタイミングに反対側から出てきた奴がいた。

何かチャラチャラした男。どっかで見た様な気がするんだけど。果たしてどこだったか。

「君は……レナちゃん?」

「は? なんで、私の名前知ってるんですか?」

「まぁ、君は有名人だからね」

ハハハと笑う胡散臭い男は無視し、泣いている小さな女の子に目線を向けて、傍に駆け寄った。

そして、私と胡散臭い男が現れたからか、イジメを行っていた女三人は明らかに動揺したようである。

「と、特別教室のバーサーカーに……モスネル様」

「なんだ。俺の事を知っているんだ。なら話は早いな。今日の所は見逃してあげるけど……」

「「「も、申し訳ございませんでしたー!!」」」

何だかよく分からないが、胡散臭い男の事が怖かったのか、イジメ女共はさっさと逃げ出した様であった。

逃げるくらいなら初めからやらなきゃ良いのに。

と、私は消えた者の事はさっさと頭から追い出して、イジメられていた子に話しかける。

「君。大丈夫?」

「……あ、あなたは」

「私はレナ! 超絶天才魔法使いにして、シーラちゃんの相棒のレナだよ!」

「……」

「あれ? どうしたの?」

「あ、いえ、ちょっとビックリしてしまいまして」

「ふーん。そっか」

何だかオドオドとした姿が、やらかした時のシーラちゃんみたいで可愛いなと思い、見ていたのだが、女の子は急に焦り始めた。

「えと、えと! ごめんなさい!」

「……? ん? 突然謝ってどうしたの?」

「あっ、いえ! その、私、どんくさくて、失敗ばかりで、それで、レナさんも不快にさせてしまったかと」

「そんな事じゃ不快になんてならないよ。のんびりしてるっていうのも、貴女の良さでしょ。って、そうだ。名前教えてよ。貴女って言ってるのも何か微妙だしさ」

「え!? な、名前ですか!? それは私の事を名前で呼んで下さるという事でしょうか!?」

「いや、そりゃ呼ぶ為に教えてって言ってんだけどさ。アハハ。面白いね。ホント」
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