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第69話『宵闇の魔王』(レナ視点)①
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(レナ視点)
ゆっくりと倒れてゆくシーラちゃんを見ながら必死に手を伸ばして、抱きとめる。
何も出来なかった。
シーラちゃんと森で一緒に居たとき、私たちを襲った奴が現れて、剣でシーラちゃんの胸を貫いた。
頭の中で、剣に付いたシーラちゃんの血を舐めている女の行動を言葉にすると、余計に苛立ちが増える。
どうして、私は動くことが出来なかったんだ。
「ん、ぁあ。おいしい。おいしいですよ。先輩。前と同じなんですね」
「……どうして!」
「ん?」
「どうしてシーラちゃんを傷つけたの!? 貴女は、シーラちゃんの事が好きなんでしょ!?」
「好き。なんて言葉で片づけて欲しくないですね。私の感情は愛。愛です!」
「違う! そんなのは愛じゃない! シーラちゃんを傷つけて……」
「愛ですよ。この愛の素晴らしさが分からないなんて、貴女。可哀想な子ですねぇ。そう! 愛。これは愛。この胸が張り裂けそうな痛みこそ、愛なのです!」
「何が!」
「それよりも。良いんですか? このままじゃあ先輩。死んじゃいますよ?」
「っ!」
私は女の言葉で、急いでシーラちゃんに癒しの魔法を使う。
しかし、シーラちゃんの傷は少しも癒えなかった。
「なんで!?」
「ぷっ、アハハハ。アハハハハハ!! いい顔。いい顔をしていますよ。あなた」
私はシーラちゃんから顔を上げて、女を見る。
心には既に恐怖が強くのしかかっていた。
「先輩には永遠の魔法を使いました」
「えい、えん?」
「そう。永遠の魔法。今の状態で体が固定され、不変となる魔法。だから……! 死ぬことも無いけれど、私の愛が消える事も決してない!」
「うっ!」
私は女に蹴られ、シーラちゃんを手放してしまう。
そして、女はシーラちゃんの傷口に触れるとそこをかき回した。
「ぅ、ぁぁああ!」
「痛い? 痛いですか? 先輩。先輩。その痛みは私と先輩が愛し合っている証拠なんですよ」
「シーラちゃんを、離せ!」
私は魔法を女に向かって放ったが、女は容易くそれを弾き、私に向かって魔法を放った。
「うるさいコバエですね」
「っ! しーら……ちゃん!」
私は逃げる事も、受け止める事も出来ず、両手を前に突き出して、それを受け止め様としたが、次の瞬間には空に浮いていた。
景色が急に変わった事で動揺したが、私の背中に触れている手の感触に、私が転移したのだと理解する。
「大丈夫?」
「貴女は! エミリーさん!?」
「私だけじゃないわ」
「……あれは!」
ゆっくりと倒れてゆくシーラちゃんを見ながら必死に手を伸ばして、抱きとめる。
何も出来なかった。
シーラちゃんと森で一緒に居たとき、私たちを襲った奴が現れて、剣でシーラちゃんの胸を貫いた。
頭の中で、剣に付いたシーラちゃんの血を舐めている女の行動を言葉にすると、余計に苛立ちが増える。
どうして、私は動くことが出来なかったんだ。
「ん、ぁあ。おいしい。おいしいですよ。先輩。前と同じなんですね」
「……どうして!」
「ん?」
「どうしてシーラちゃんを傷つけたの!? 貴女は、シーラちゃんの事が好きなんでしょ!?」
「好き。なんて言葉で片づけて欲しくないですね。私の感情は愛。愛です!」
「違う! そんなのは愛じゃない! シーラちゃんを傷つけて……」
「愛ですよ。この愛の素晴らしさが分からないなんて、貴女。可哀想な子ですねぇ。そう! 愛。これは愛。この胸が張り裂けそうな痛みこそ、愛なのです!」
「何が!」
「それよりも。良いんですか? このままじゃあ先輩。死んじゃいますよ?」
「っ!」
私は女の言葉で、急いでシーラちゃんに癒しの魔法を使う。
しかし、シーラちゃんの傷は少しも癒えなかった。
「なんで!?」
「ぷっ、アハハハ。アハハハハハ!! いい顔。いい顔をしていますよ。あなた」
私はシーラちゃんから顔を上げて、女を見る。
心には既に恐怖が強くのしかかっていた。
「先輩には永遠の魔法を使いました」
「えい、えん?」
「そう。永遠の魔法。今の状態で体が固定され、不変となる魔法。だから……! 死ぬことも無いけれど、私の愛が消える事も決してない!」
「うっ!」
私は女に蹴られ、シーラちゃんを手放してしまう。
そして、女はシーラちゃんの傷口に触れるとそこをかき回した。
「ぅ、ぁぁああ!」
「痛い? 痛いですか? 先輩。先輩。その痛みは私と先輩が愛し合っている証拠なんですよ」
「シーラちゃんを、離せ!」
私は魔法を女に向かって放ったが、女は容易くそれを弾き、私に向かって魔法を放った。
「うるさいコバエですね」
「っ! しーら……ちゃん!」
私は逃げる事も、受け止める事も出来ず、両手を前に突き出して、それを受け止め様としたが、次の瞬間には空に浮いていた。
景色が急に変わった事で動揺したが、私の背中に触れている手の感触に、私が転移したのだと理解する。
「大丈夫?」
「貴女は! エミリーさん!?」
「私だけじゃないわ」
「……あれは!」
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