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第18話『もっと広い目で世界を見ましょう。ニナ』
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いやー。原作ゲームの乙女ゲームや美少女ゲームにおいて、ほぼモブみたいなリヴィアナ姫様のとお茶会だったけど、まぁまぁ良い感じに終わったんじゃないかしら?
点数を付けるなら九十点以上は確実って感じかな。
腹黒ヤンデレ監禁王子に監禁されるフラグも、主人公エリオット君のハーレムに叩き込まれる事も無かった。
完璧だな! ヨシッ!
私は、自由だ!!
という訳で、今日も一日聖女活動をしていこうかな。なんて考えていたのだけれど、その前にやらなきゃいけない事があるようです。
そう。先日よりずっと怒っているニナを何とかするという事ですね。
「ニナ」
「なんでしょうか? 聖女様。私の様な役立たずの護衛にお声がけいただけるとは、嬉しい限りですね」
「そんなに怒らないでください」
「私のどこが怒っているというのですか!? まさか聖女様はご自分が何か悪い事をしたとお考えなのでしょうか!?」
「いや、あの、勝手な事をしてしまい、申し訳ございません」
謝った瞬間、ニナの目が怒りに染まった。
まさか私、火の魔術で焼かれるんだろうか。
出来れば痛くない感じで……!
「聖女様は!! もっと、警戒心を持ってください! 今回は無事だったかもしれませんが、あそこで命を落としていたかもしれないんですよ!?」
「いやいや。そんな事あり得ませんよー。だって相手お姫様ですよ? 私なんか手にかけても良い事は何も無いですよ」
「~~っ!! セシル様は! 恐れ多くも、この世にたった一人しかいない聖国の、聖女様です! 無論、エリカ様も聖女という意味では同じですが、より多くの、力を持たぬ民の為に、今日まで戦い続けてきたのは貴女だけなのです!! 重要性が違う!! たかが一国の王女と貴女とでは」
「ニナ」
「っ」
「たかが。なんて言ってはダメですよ。リヴィアナ姫様は立派にそのお役目を果たしているでは無いですか。あの方が行った施策で多くの問題が解決されている事を私はよく知っていますよ」
「その様な事は為政者として当たり前です!!」
「であるなら、私も聖女として当たり前の事をしているだけですよ。結果はあまり出ていませんが」
パチモン聖女じゃしょうがないね。
早く、エリカ様が真の聖女として世界を光で満たして貰いたいものですわ。
「わ、私は。私は、どんな偉大な方よりも、セシル様が、素晴らしいと」
「ニナ。全ては結果です。結果が出せない事に意味などありません。頑張っている等という言葉では誰も救えません」
「っ」
「もっと広い目で世界を見ましょう。ニナ。私の様なものはどこにでもありふれています。幼馴染として、最も信頼する友として、貴女の事は大切に想っていますが、私に囚われてしまうのを良しとは言えませんよ」
「……申し訳ございません。セシル様」
「ほら。そんな暗い顔をしないで下さい。明るくいきましょう! 笑顔でいれば、自ずと幸せも舞い込んできますよ!」
私は頭悪くはしゃいで見せるが、ニナの顔は暗いままだった。
うーん。やっぱりちょっと前にあった私のやらかしを気にしてるのかなぁ。
フォローはしたんだけど、やはりパチモン聖女の言葉は軽いからなぁ。
「……」
「ニナ。ほら、笑ってください。ニコー」
「……」
「ニナ?」
「セシル様。私はそんなに器用な人間ではありません」
「は、はい」
なんだ。圧が凄い。
無表情で迫って来る感覚。なんだこのプレッシャーは!?
「騎士として、聖女様を、セシル様を護らねばならないのに、それが果たせない。そんな状況で笑う事など、例えセシル様のご命令でも出来ません」
「ニナ。申し訳ございません。何だか無理を言ってしまいましたね。ですが、覚えておいてください。私にとってニナは大切な人で、誰よりも幸せになって欲しい人です。大切なお友達なんです。どうかそんなに自分を責めないでください。失敗なんて誰にでもありますよ。ニナが頑張っている事。私はちゃんと分かっていますよ」
「いくら頑張ったところで私は! 何も出来ていない」
「良いですか? ニナ。世の中、結果が全てなんて事は無いんですよ。どうやっても個人の力では難しい事もあります。大切なのはニナの心です。騎士として正しくあろうとする心、それが何よりも大事なんですよ」
「……セシルの言う事は、無茶苦茶だよ」
「え!? そ、そうですか!?」
「でも、変わらない。私の大好きなセシルだ」
なんだなんだ、パッションで話し過ぎたか?
その場のノリでペラペラ話してるから、訳の分からない事を言っていたかもしれない。
要反省だわ。
まぁ、次回に活かせるかはまた別の話だけど。
「セシルは、いえ。セシル様はこれからどうされるのですか?」
あぁ……希少な幼馴染モードが終わって騎士モードになってしまった。
残念。
「これから、ですか」
エリカ様やアリスちゃんとは話が出来たけど、もっと友好深めたいしなー。
ママに甘えるキッズになりたいんや。ワイは。
あー。それならやる事は決まっているか。
とりあえずはアリスちゃんに突撃。これしかあるまい。
「そうですね。今度はアリスさんやエリカさんと、ゆっくりお話をしたいですね」
前回は腹黒ヤンデレ監禁王子に乱入されたからな。今度こそ女の子だけのガールズトークをするんじゃい。
あー。でもリヴィアナ姫様は良い人っぽかったし。一緒にお茶会しても良いかもしれない。
まぁ、向こうはお姫様なんで、私程度が話かけても良い存在じゃ無いんですけど。
そもそもエリカ様にしても、アリスちゃんにしても、向こうはこの国の侯爵令嬢様と伯爵令嬢様だ。平民オブ平民の私がどうやって話すんだって話なんだけど。
「承知いたしました」
「え?」
「すぐ戻ります」
「え? え? ニナ?」
私が止める間もなく、ニナは部屋を飛び出すとどこかへ走り去ってしまった。
残されたのは手を空中に伸ばしたまま固まっている私だけである。
なんと間抜けな姿だろうか。
しかし、いつまでも間抜けを晒している訳にはいかない。
私は急いで、ニナを追う為に部屋の外へと出た。
だが、聖女らしく動いている私よりも、騎士として過ごしているニナの方が早いのは当たり前であり、私がニナに追いつくことは出来なかった。
そして、ニナはアリスちゃんやエリカ様に無理を言って、お茶会を用意させるのだった。
暴君にも程がある。
「申し訳ございません! 申し訳ございません!」
「だ、大丈夫ですよ。セシルさん。私たちお友達じゃないですか」
「そうですよ。またお話したいですね。と恵梨香お姉様とも話しておりましたので、ちょうど良かったです」
あぁ、なんて良い人達だろう!!
まさに天使や。
私は感動し、二人が差し伸べた手を握ろうとしたが、さりげない仕草でニナに私の手を奪われてしまう。
「……? ニナ?」
なんじゃい!!
「いえ。何もありませんよ」
何でもないって事は無いでしょ!? アリスちゃんもエリカ様もポカーンとしてるんですけどォ!?
まぁ。良いけどさ。
私はアリスちゃんとエリカ様に向き直って、楽しみにしていますと笑う。
しかし、手だけはニナが離してくれなかった為、握る事は出来なかった。
悲しみ。
点数を付けるなら九十点以上は確実って感じかな。
腹黒ヤンデレ監禁王子に監禁されるフラグも、主人公エリオット君のハーレムに叩き込まれる事も無かった。
完璧だな! ヨシッ!
私は、自由だ!!
という訳で、今日も一日聖女活動をしていこうかな。なんて考えていたのだけれど、その前にやらなきゃいけない事があるようです。
そう。先日よりずっと怒っているニナを何とかするという事ですね。
「ニナ」
「なんでしょうか? 聖女様。私の様な役立たずの護衛にお声がけいただけるとは、嬉しい限りですね」
「そんなに怒らないでください」
「私のどこが怒っているというのですか!? まさか聖女様はご自分が何か悪い事をしたとお考えなのでしょうか!?」
「いや、あの、勝手な事をしてしまい、申し訳ございません」
謝った瞬間、ニナの目が怒りに染まった。
まさか私、火の魔術で焼かれるんだろうか。
出来れば痛くない感じで……!
「聖女様は!! もっと、警戒心を持ってください! 今回は無事だったかもしれませんが、あそこで命を落としていたかもしれないんですよ!?」
「いやいや。そんな事あり得ませんよー。だって相手お姫様ですよ? 私なんか手にかけても良い事は何も無いですよ」
「~~っ!! セシル様は! 恐れ多くも、この世にたった一人しかいない聖国の、聖女様です! 無論、エリカ様も聖女という意味では同じですが、より多くの、力を持たぬ民の為に、今日まで戦い続けてきたのは貴女だけなのです!! 重要性が違う!! たかが一国の王女と貴女とでは」
「ニナ」
「っ」
「たかが。なんて言ってはダメですよ。リヴィアナ姫様は立派にそのお役目を果たしているでは無いですか。あの方が行った施策で多くの問題が解決されている事を私はよく知っていますよ」
「その様な事は為政者として当たり前です!!」
「であるなら、私も聖女として当たり前の事をしているだけですよ。結果はあまり出ていませんが」
パチモン聖女じゃしょうがないね。
早く、エリカ様が真の聖女として世界を光で満たして貰いたいものですわ。
「わ、私は。私は、どんな偉大な方よりも、セシル様が、素晴らしいと」
「ニナ。全ては結果です。結果が出せない事に意味などありません。頑張っている等という言葉では誰も救えません」
「っ」
「もっと広い目で世界を見ましょう。ニナ。私の様なものはどこにでもありふれています。幼馴染として、最も信頼する友として、貴女の事は大切に想っていますが、私に囚われてしまうのを良しとは言えませんよ」
「……申し訳ございません。セシル様」
「ほら。そんな暗い顔をしないで下さい。明るくいきましょう! 笑顔でいれば、自ずと幸せも舞い込んできますよ!」
私は頭悪くはしゃいで見せるが、ニナの顔は暗いままだった。
うーん。やっぱりちょっと前にあった私のやらかしを気にしてるのかなぁ。
フォローはしたんだけど、やはりパチモン聖女の言葉は軽いからなぁ。
「……」
「ニナ。ほら、笑ってください。ニコー」
「……」
「ニナ?」
「セシル様。私はそんなに器用な人間ではありません」
「は、はい」
なんだ。圧が凄い。
無表情で迫って来る感覚。なんだこのプレッシャーは!?
「騎士として、聖女様を、セシル様を護らねばならないのに、それが果たせない。そんな状況で笑う事など、例えセシル様のご命令でも出来ません」
「ニナ。申し訳ございません。何だか無理を言ってしまいましたね。ですが、覚えておいてください。私にとってニナは大切な人で、誰よりも幸せになって欲しい人です。大切なお友達なんです。どうかそんなに自分を責めないでください。失敗なんて誰にでもありますよ。ニナが頑張っている事。私はちゃんと分かっていますよ」
「いくら頑張ったところで私は! 何も出来ていない」
「良いですか? ニナ。世の中、結果が全てなんて事は無いんですよ。どうやっても個人の力では難しい事もあります。大切なのはニナの心です。騎士として正しくあろうとする心、それが何よりも大事なんですよ」
「……セシルの言う事は、無茶苦茶だよ」
「え!? そ、そうですか!?」
「でも、変わらない。私の大好きなセシルだ」
なんだなんだ、パッションで話し過ぎたか?
その場のノリでペラペラ話してるから、訳の分からない事を言っていたかもしれない。
要反省だわ。
まぁ、次回に活かせるかはまた別の話だけど。
「セシルは、いえ。セシル様はこれからどうされるのですか?」
あぁ……希少な幼馴染モードが終わって騎士モードになってしまった。
残念。
「これから、ですか」
エリカ様やアリスちゃんとは話が出来たけど、もっと友好深めたいしなー。
ママに甘えるキッズになりたいんや。ワイは。
あー。それならやる事は決まっているか。
とりあえずはアリスちゃんに突撃。これしかあるまい。
「そうですね。今度はアリスさんやエリカさんと、ゆっくりお話をしたいですね」
前回は腹黒ヤンデレ監禁王子に乱入されたからな。今度こそ女の子だけのガールズトークをするんじゃい。
あー。でもリヴィアナ姫様は良い人っぽかったし。一緒にお茶会しても良いかもしれない。
まぁ、向こうはお姫様なんで、私程度が話かけても良い存在じゃ無いんですけど。
そもそもエリカ様にしても、アリスちゃんにしても、向こうはこの国の侯爵令嬢様と伯爵令嬢様だ。平民オブ平民の私がどうやって話すんだって話なんだけど。
「承知いたしました」
「え?」
「すぐ戻ります」
「え? え? ニナ?」
私が止める間もなく、ニナは部屋を飛び出すとどこかへ走り去ってしまった。
残されたのは手を空中に伸ばしたまま固まっている私だけである。
なんと間抜けな姿だろうか。
しかし、いつまでも間抜けを晒している訳にはいかない。
私は急いで、ニナを追う為に部屋の外へと出た。
だが、聖女らしく動いている私よりも、騎士として過ごしているニナの方が早いのは当たり前であり、私がニナに追いつくことは出来なかった。
そして、ニナはアリスちゃんやエリカ様に無理を言って、お茶会を用意させるのだった。
暴君にも程がある。
「申し訳ございません! 申し訳ございません!」
「だ、大丈夫ですよ。セシルさん。私たちお友達じゃないですか」
「そうですよ。またお話したいですね。と恵梨香お姉様とも話しておりましたので、ちょうど良かったです」
あぁ、なんて良い人達だろう!!
まさに天使や。
私は感動し、二人が差し伸べた手を握ろうとしたが、さりげない仕草でニナに私の手を奪われてしまう。
「……? ニナ?」
なんじゃい!!
「いえ。何もありませんよ」
何でもないって事は無いでしょ!? アリスちゃんもエリカ様もポカーンとしてるんですけどォ!?
まぁ。良いけどさ。
私はアリスちゃんとエリカ様に向き直って、楽しみにしていますと笑う。
しかし、手だけはニナが離してくれなかった為、握る事は出来なかった。
悲しみ。
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