2 / 198
第1話『私たちが暮らすこの世界にはいくつかの神話があります』②
しおりを挟む
「お婆ちゃん。薬草取ってきましたよ」
「ありがとう。アメリア。これで少しは楽になりそうだよ」
「それは良かったです。あ。でも、癒しの力は使いますね」
「あぁ、助かるよ」
「いえいえ」
私は右手をお婆ちゃんのお腹の辺りに向けると、力を使い、お婆ちゃんの病気が治る様にと祈る。
しかし、生憎とお婆ちゃんの病気を治す事は私には出来ないのだ。
仕方のない事もある。
「……アメリア」
「どうかしましたか? お婆ちゃん」
「その右手。どうするつもりだい?」
「どう、と言われましても。使命の時が来れば行きますよ。私が行かなければリリィが向かう事になりますから」
私は右手に刻まれた『聖なる刻印』を左手で触りながら、お婆ちゃんに微笑む。
そう。この刻印は約五十年に一度、世界の果てで増え続ける闇の力を、封印する事が出来る者に刻まれた『聖人』の証なのだ。
そして同じ物がリリィの右手にも刻まれている。
「アメリア。お前がそこまでする必要は無いんだよ? リリィにはリリィの役目がある」
「そうかもしれません。でも、リリィはこの証が刻まれた時、怖いと泣いていたんです。何処へも行きたくないと」
「……アメリア」
「だから私は、リリィの代わりに、時が来れば行くと決めたのです」
「そうかい。お前の意思は変わらないんだね?」
「はい。それがリリィの姉として、私に出来る事ですから」
「リリィは、決してお前に危険な事を望まないと思うけどね」
「そうかもしれません。でも、これは決めた事ですから」
お婆ちゃんは私の言葉に深い溜息を吐くと、私の右手を両手で包み、祈る様に目を閉じた。
そして、私を真っすぐに見つめて、重い口調で言葉を紡ぐ。
「なら、一つだけ約束するんだ」
「はい」
「もしその時が来ても、絶対に無理だけはするんじゃないよ。お前の体は特別だ。聖人としての役割をこなす事も出来るだろう。しかし、それでも限界はある。だから必ず仲間を頼りな。聖人はリリィの他に四人居るからね。その四人と力を合わせるんだ。良いね? でなければきっと怖い目にあうよ」
「はい。大丈夫ですよ。私も、怖いのは苦手ですから。無理はしません」
「分かっているなら良いんだ」
お婆ちゃんの言葉に私は強く頷いた。
そして、お婆ちゃんに薬草を渡してからリリィと共にお風呂へ入る。
「ありがとう。アメリア。これで少しは楽になりそうだよ」
「それは良かったです。あ。でも、癒しの力は使いますね」
「あぁ、助かるよ」
「いえいえ」
私は右手をお婆ちゃんのお腹の辺りに向けると、力を使い、お婆ちゃんの病気が治る様にと祈る。
しかし、生憎とお婆ちゃんの病気を治す事は私には出来ないのだ。
仕方のない事もある。
「……アメリア」
「どうかしましたか? お婆ちゃん」
「その右手。どうするつもりだい?」
「どう、と言われましても。使命の時が来れば行きますよ。私が行かなければリリィが向かう事になりますから」
私は右手に刻まれた『聖なる刻印』を左手で触りながら、お婆ちゃんに微笑む。
そう。この刻印は約五十年に一度、世界の果てで増え続ける闇の力を、封印する事が出来る者に刻まれた『聖人』の証なのだ。
そして同じ物がリリィの右手にも刻まれている。
「アメリア。お前がそこまでする必要は無いんだよ? リリィにはリリィの役目がある」
「そうかもしれません。でも、リリィはこの証が刻まれた時、怖いと泣いていたんです。何処へも行きたくないと」
「……アメリア」
「だから私は、リリィの代わりに、時が来れば行くと決めたのです」
「そうかい。お前の意思は変わらないんだね?」
「はい。それがリリィの姉として、私に出来る事ですから」
「リリィは、決してお前に危険な事を望まないと思うけどね」
「そうかもしれません。でも、これは決めた事ですから」
お婆ちゃんは私の言葉に深い溜息を吐くと、私の右手を両手で包み、祈る様に目を閉じた。
そして、私を真っすぐに見つめて、重い口調で言葉を紡ぐ。
「なら、一つだけ約束するんだ」
「はい」
「もしその時が来ても、絶対に無理だけはするんじゃないよ。お前の体は特別だ。聖人としての役割をこなす事も出来るだろう。しかし、それでも限界はある。だから必ず仲間を頼りな。聖人はリリィの他に四人居るからね。その四人と力を合わせるんだ。良いね? でなければきっと怖い目にあうよ」
「はい。大丈夫ですよ。私も、怖いのは苦手ですから。無理はしません」
「分かっているなら良いんだ」
お婆ちゃんの言葉に私は強く頷いた。
そして、お婆ちゃんに薬草を渡してからリリィと共にお風呂へ入る。
1
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】追放された転生聖女は、無手ですべてを粉砕する
ゆきむらちひろ
ファンタジー
「祈るより、殴る方が早いので」
ひとりの脳筋聖女が、本人にまったくその気がないまま、緻密に練られたシリアスな陰謀を片っ端から台無しにしていく痛快無比なアクションコメディ。
■あらすじ
聖女セレスティアは、その類稀なる聖なる力(物理)ゆえに王都から追放された。
実は彼女には前世の記憶があって、平和な日本で暮らしていたしがないOLだった。
そして今世にて、神に祈りを捧げる乙女として王国に奉仕する聖女に転生。
だがなぜかその身に宿ったのは治癒の奇跡ではなく、岩をも砕く超人的な筋力だった。
儀式はすっぽかす。祈りの言葉は覚えられない。挙句の果てには、神殿に押し入った魔物を祈祷ではなくラリアットで撃退する始末。
そんな彼女に愛想を尽かした王国は、新たに現れた完璧な治癒能力を持つ聖女リリアナを迎え入れ、セレスティアを「偽りの聖女」として追放する。
「まあ、田舎でスローライフも悪くないか」
追放された本人はいたって能天気。行く先も分からぬまま彼女は新天地を求めて旅に出る。
しかし、彼女の行く手には、王国転覆を狙う宰相が仕組んだシリアスな陰謀の影が渦巻いていた。
「お嬢さん、命が惜しければこの密書を……」
「話が長い! 要点は!? ……もういい、面倒だから全員まとめてかかってこい!」
刺客の脅しも、古代遺跡の難解な謎も、国家を揺るがす秘密の会合も、セレスティアはすべてを「考えるのが面倒くさい」の一言で片付け、その剛腕で粉砕していく。
果たしてセレスティアはスローライフを手にすることができるのか……。
※「小説家になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」に同内容のものを投稿しています。
※この作品以外にもいろいろと小説を投稿しています。よろしければそちらもご覧ください。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる