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第9話『大丈夫ですか!? 私が居ますからね! 大丈夫ですよ!』③
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「リアムさん! フィンさん! カー君! 争いはそこまでです! カー君! 私達も同じ証を持っているんですよ! 争う必要は無いんですよ!」
私は偽物の証を掲げながら、三人に止まる様に言う。
しかし、その争いは一瞬止まったが、それほどしないですぐにまた始まってしまった。
「な、なんでっ!?」
「コイツも聖人だって事は分かった。分かったが、それはそれとして躾は必要だろ。クソ生意気に勝手な事ばっかりしやがって、三日も無駄にしたんだぞ」
「そうだね。ちょっとお仕置きは、必要かな!」
「姉ちゃん。俺、姉ちゃんが俺と同じだったなんて嬉しいよ。でも、英雄になるなら、俺と姉ちゃんだけで良い! こいつ等は要らないよ!」
どうしてこうなったんだろうか。
既に三人の戦いは普通の人では近寄る事すら出来ない状態になっていて、私はやや離れた場所から見ている事しか出来ない。
一応声を掛けてみるが、誰も彼も自分勝手に自分の想いを叫ぶばかりだった。
協調性が足りない……!
「仕方ない。私は皆さんが満足するまで、ここで待っていましょうかね」
「ゴホン! ゴホン! あー、苦しい! 苦しいー!」
「むむ!? そこのお婆さん。どうかしましたか!? って、先日お会いしましたよね? まだ体調が良くないのでしょうか」
「ゴホッ! ゴホォ! そーなんだよ。もーツラくて、ツラくて」
「それは大変ですね。ではもう一度癒しましょうね。どうですか? 治りましたか?」
「おぉー! とても元気になった。いやーしかしな。ワシの体はボロボロでなー。すぐに駄目になってしまうんだよ」
「それは……! 心配です」
「そうかそうか。優しいお嬢さんだ。だからな。お嬢さんがウチに来て、息子の嫁になってくれたら良いと思うんだ」
「あー。いえ。それは大変申し訳無いのですが、私には行かねばならない所があるのです」
「……」
「ごめんなさい。お婆さん」
「グホァ! ガハ! ゲホッ! ゲホォ! あぁ苦しい! 苦しい!!」
「大丈夫ですか!? す、すぐに治しますね」
「あー。そんな事より、今すぐ家に、家に帰りたいー。連れて行ってくれー」
「分かりました! ではすぐに行きましょう!」
「「「行くな!!」」」
「あぅ!」
私は首根っこを掴まれて、お婆さんから引き離されてしまう。
そしてそのまま草の上を転がって、投げた人を見た。
まぁ、当然ながらリアムさんである。
「何度言ったら学習するんだお前は」
「おい。婆さん。人の気持ちにつけ込むのは感心しないな」
「だから言っただろ! 姉ちゃん! 世の中には危ない奴がいっぱい居るんだって!」
「えー。ごめんなさい?」
何だかんだ。皆さんの争いは止まり、私達はまた旅を始める事になったのだった。
カー君を連れて。
私は偽物の証を掲げながら、三人に止まる様に言う。
しかし、その争いは一瞬止まったが、それほどしないですぐにまた始まってしまった。
「な、なんでっ!?」
「コイツも聖人だって事は分かった。分かったが、それはそれとして躾は必要だろ。クソ生意気に勝手な事ばっかりしやがって、三日も無駄にしたんだぞ」
「そうだね。ちょっとお仕置きは、必要かな!」
「姉ちゃん。俺、姉ちゃんが俺と同じだったなんて嬉しいよ。でも、英雄になるなら、俺と姉ちゃんだけで良い! こいつ等は要らないよ!」
どうしてこうなったんだろうか。
既に三人の戦いは普通の人では近寄る事すら出来ない状態になっていて、私はやや離れた場所から見ている事しか出来ない。
一応声を掛けてみるが、誰も彼も自分勝手に自分の想いを叫ぶばかりだった。
協調性が足りない……!
「仕方ない。私は皆さんが満足するまで、ここで待っていましょうかね」
「ゴホン! ゴホン! あー、苦しい! 苦しいー!」
「むむ!? そこのお婆さん。どうかしましたか!? って、先日お会いしましたよね? まだ体調が良くないのでしょうか」
「ゴホッ! ゴホォ! そーなんだよ。もーツラくて、ツラくて」
「それは大変ですね。ではもう一度癒しましょうね。どうですか? 治りましたか?」
「おぉー! とても元気になった。いやーしかしな。ワシの体はボロボロでなー。すぐに駄目になってしまうんだよ」
「それは……! 心配です」
「そうかそうか。優しいお嬢さんだ。だからな。お嬢さんがウチに来て、息子の嫁になってくれたら良いと思うんだ」
「あー。いえ。それは大変申し訳無いのですが、私には行かねばならない所があるのです」
「……」
「ごめんなさい。お婆さん」
「グホァ! ガハ! ゲホッ! ゲホォ! あぁ苦しい! 苦しい!!」
「大丈夫ですか!? す、すぐに治しますね」
「あー。そんな事より、今すぐ家に、家に帰りたいー。連れて行ってくれー」
「分かりました! ではすぐに行きましょう!」
「「「行くな!!」」」
「あぅ!」
私は首根っこを掴まれて、お婆さんから引き離されてしまう。
そしてそのまま草の上を転がって、投げた人を見た。
まぁ、当然ながらリアムさんである。
「何度言ったら学習するんだお前は」
「おい。婆さん。人の気持ちにつけ込むのは感心しないな」
「だから言っただろ! 姉ちゃん! 世の中には危ない奴がいっぱい居るんだって!」
「えー。ごめんなさい?」
何だかんだ。皆さんの争いは止まり、私達はまた旅を始める事になったのだった。
カー君を連れて。
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