聖女の証

とーふ(代理カナタ)

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第25話『ただ、お話をしたいなと考えているのです』①

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困った。

非情に困った事になった。

「ふ、ふひ、ふひひ。本物、本物だ。本物のお姫様だ。ふひ。ふひひ。お人形じゃ無いぞ」

「えと」

「っ!? ひゃ、な、なんだ? お、おおおおお、お前ぇ!?」

「あー。いえ。何でもありませんよ」

どうしよう。

私は思わず頭を抱えたくなったが、おそらく私が動けば、目の前の少女は再び動揺してまともに言葉も話せなくなるだろう。

なら、このままで居るべきなのだけれど、ずっとこのままという訳にもいかないのだ。

「あの」

「ひゃい!!? な、ななななななに!? わた、わた、私を、食べるつもりね!?」

「いえ。その様な事はしません。ただ、お話をしたいなと考えているのです」

「お話ィ!? 私の事が好きになったって事!? 私と生涯共に暮らしたいって事!? 私と同じ墓で眠りたいって事ォォオオ!?」

「そこまでは言ってません」

「同じ事でしょォ!? お話するって事は! 結婚するって事でしょ!!」

「まぁ、確かに恋愛とはお話から始まる物ではあると思いますが」

「やっぱり!! やっぱりそうなんだ!! お話に出てくるお姫様みたいな姿して、ジメジメした陰魔のことが好きなんだ!? だからわざわざ私の家の前に来て!? 本当はずっと好きだったって事ォ!? どっかで私の事を見つけて、それで、ずっと私の事を考えてたんだ!! そうなんだ!! しょ、しょ、しょうがないな!? 私ってば本当はキラキラした王子様とお姫様の恋愛見るのが好きだったけど、私の事が好きだって言うんなら、しょうがないな!! だって好きなんだもんね!? その気持ちは誰にも止められないもんね!! あー!! あー、あぁぁああああ!!」

うーん。困った。

どうしてこうなったんだろう。

私は、意識を半分くらい飛ばしながら、こうなった経緯を考えていた。

が、特にそこまで深く考える事は無い。

ただ、空を飛ぶオークさんが居るという南東の草原地帯に行こうとして、その途中にある獣人の森へ入ったら、道を間違えてしまい、リアムさん達とはぐれて、気が付けば陰魔さんの家の前に居たのだ。

そしてリアムさん達と合流しようと家の扉をノックしたら……これだ。

突然中から伸びてきた手に引き込まれて、椅子に座らされ、目の前で陰魔さんがずっと暴走し続けている。

この状況をどうすれば良いのか。私にはもう答えが分からなくなっていた。
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