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第73話『うん? うん。うん?』
湖の中央に大きな木が生えて、そこに座りながら私たちはドライアードさん達と再び交渉していた。
しかし、先ほどまでの頑なな様子とは違い、大分柔軟に対応してくれるのだった。
人間基準では。
「リリィさんの言いたい事はよく分かりました。姫様の妹様という事ですし。私たちも少しくらい待ちます。五百年くらい」
「おい! 短すぎるだろ! 何が五百年だ! 五千年は待て!」
「長すぎるです! 精々間を取って、千五百年です!」
「間という意味が分かっているのか? このチビ! 間なら三千年だ!」
「それも間じゃないです! 森の汚物!」
うーん。気が長いなぁ。
正直最初の五百年ですら私は生きていない時間だ。
しかしその辺りはまったく考慮されず不毛な言い争いが続く。
「あ、あのー」
「待っていろリリィ。私がしっかりと必要な時間分交渉してやる」
「何が必要な時間分ですか! お前たちエルフは怠けすぎです! 千年もあれば大抵の事は何とか出来ます! ギリギリですけど!」
「ギリギリだから、何かあった時の為に時間を伸ばしているんだろうが!」
「それなら工夫すれば良いです!」
「それで倒れたらどうするつもりだ! マヌケめ!」
不毛……本当に不毛だ。
この時間を調査に回した方が絶対に良い。
間違いない。
「あの。五百年で良いですから。多分そんなに掛からないですけど」
「「えぇ!?」」
いや、何で二人して驚いてるの。
そもそもドライアードさんは自分が提案した時間でしょ。
「リリィさん! 駄目ですよ! 言われた交渉を全部受けたら、駄目です!」
「ほらみろ! ドライアード! 純粋な人間がお前の無茶ぶりを信じてしまったじゃ無いか!」
「うわー! 私はなんて悪いドライアードなんでしょうか!?」
「あ、あの。いや。本当に大丈夫ですから。いや、ほんと。百年も要らないくらいですから」
「なんだって!?」
「信じられないです! リリィは交渉の神なのですか!?」
「いや、意味が分からないんですが。そもそも何でそんなに時間が掛かる想定なんですか」
私が投げかけた問いに、ドライアードさんとエルフさんは何故か仲良く顔を見合わせながら、何を言ってるんだコイツみたいな目で私を見た。
「ここに居るエルフは百以上だ。つまりまずここに居るエルフ全てに確認するまで十年くらい掛かる」
「うん? うん。うん?」
「ドライアードだって、同じくらいいるです。そしたら、そしたら合わせて二十年かかるです!」
「……」
「しかもこれは正直に言え! と説得して、それぞれがあんまり抵抗しないで話した場合に限る話! 本当に悪い奴なら十年くらい黙っているかもしれない!」
「な、なんて恐ろしい話なんですか!? そんな悪い奴はドライアードには居ませんよ!」
「だからこそ、時間を伸ばせと言っているんだ」
「た、確かに。今回の事はエルフの方が正しいかもしれないです」
「そうだろう!? 私は何も無茶な話をしている訳じゃ無いんだ! 私だって森の木を倒されて嬉しい訳が無いからな! 一本一本が我らの大切な思い出なのだから」
「それはそうですね……! エルフ! 疑ってごめんなさいです! お前たちは森の汚物ですけど。悪い事をやったらちゃんと謝れる奴らでした」
「分かってくれればいい。お前たちは体と一緒に頭も小さい短絡バカだが、ちゃんと理解出来る奴だと信じていたぞ」
「エルフ!」
「ドライアード!」
エルフさんとドライアードさんは互いに抱き合いながら想いを伝えあっており、周りにいる仲間たちも感動して涙を流していた。
うーん。
何か少し前にお姉ちゃんを想って流していた涙が一気に軽くなった様な感覚。
いや、考えない様にしよう。
「あの。感動している所、申し訳ないんですけど」
「おぉ。どうしたリリィ」
「そこまで時間を掛ける必要は無いと思います」
「そう言うと?」
「ドライアードさんの話では、その犯人はどーじんしなる物を作る為に木を切ろうとしていたんですよね? つまり、少なくとも木を何かしら加工する技術を持った種族が犯人という事になります」
「まぁ、そうだな」
「その上で、ドライアードさん達が住まう様な深い森の奥にある大樹を狙う事が出来る存在。これだけで数は大分絞れる事になります。ドライアードさん。例のどーじんしなる言葉を聞いたドライアードさんに確認したいのですが、その何かしらは一人でしたか? もしくは複数?」
「複数でした! 何やら会話をしている中で、そのどーじんしなる物を作ろうと言っていましたから!」
「はい。つまり、この時点でその犯人は会話が出来る程度の知性は持っていますし。集団行動が出来る存在です。しかも集団で森の奥まで行ける人物ですから、人間だとしても大分数は限られます。人はそこまで強くないですから」
「なるほど。よく考えるモノだ」
「凄いです!」
「いや、あの、虚無みたいな称賛は止めてください。なんか虚しくなるので」
私はゲンナリとしながら、後は……と考える。
「後はどーじんしなる物の正体が分かれば、調査を進めやすいのですが」
「うむ。そうか。それなら、水の精霊に聞いてみようか」
「え?」
エルフさんがそう言って、水に手を付けた瞬間、私たちの近くで水が膨れ上がり巨大な人の姿になった。
驚いて言葉も出ない。
『お呼びとあれば即参上!』
『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!』
『私が来たッ!!』
『控えい! 控えぇぇええい!「やかましい!」あぁん』
水の中から現れた巨人にエルフの長さんが風の魔術を撃って、その上半身を吹き飛ばした。
しかし、体は水だからだろうか。すぐに戻ってよよよと水の上に項垂れる。
『酷い! 酷いわ! 登場時の台詞を邪魔するなんて! 許されざる悪行よ!』
『そうよ! そうよ!』
「やかましい連中だな。少しは黙れないのか?」
『アタシたちに黙れって言う事は! その存在を消せというのと同じ事なのよー!』
『そうよ! そうよ! 記憶があるから私たちは私たちで居られるのよ!?』
「もう良い。お前たちと話をしていると頭がどうにかなりそうだ」
『あら。それはきっと匂いの影響よ!』
『匂いだけじゃないわ! 夕焼けは人を振り返らせるから、それを見れば人はいつも過去を』
「じゃーかしい! 関係のない話をするな! お前たちを呼んだのは他でもない! どーじんしなる物をお前たちは知っているか!?」
『あら。懐かしい名前を聞いたわね』
『この世界でも文化が生まれ始めているという事かしら』
『同人誌。良いわよね。あの島中でまったく知らないサークルの作品と出会う瞬間がたまらないわ』
「知っているのか!?」
『えぇ。勿論』
『想像が創造を生み出し。創造が新たな想像を生み出す世界において、その想像を形とした物が同人誌よ!』
「おぉ……」
「あの!」
私は水の精霊さんとエルフさんの話に割って入って、一つの質問をぶつけた。
「その同人誌を、皆さんはどなたかに教えましたか!? 名前や役割などを!」
『えぇ。教えたわ。百年ほど前だったかしら』
「それは誰に」
『陰魔』
『私たちの意思を継ぐ、この世界の表現者たちよ』
「陰魔さん、ですか」
『そうだ。アメリアの妹。そしてその魂を受け継ぐ者よ』
『君の事は応援してるよ。リリィちゃん』
『メリバからハピエンまで導いてね』
『お姉ちゃんを助けられるのは君だけだ』
『何かあったら力を貸すよ。その時は僕達を呼んでくれ』
何が何やら言われている言葉は何も分からないが、私は頑張りますと返した。
お姉ちゃんの事を応援されている事は、分かったから。
だから、私は応援されるままに、お姉ちゃんの事も、同人誌の事件の事も両方解決するぞ! と気合を入れるのだった。
しかし、先ほどまでの頑なな様子とは違い、大分柔軟に対応してくれるのだった。
人間基準では。
「リリィさんの言いたい事はよく分かりました。姫様の妹様という事ですし。私たちも少しくらい待ちます。五百年くらい」
「おい! 短すぎるだろ! 何が五百年だ! 五千年は待て!」
「長すぎるです! 精々間を取って、千五百年です!」
「間という意味が分かっているのか? このチビ! 間なら三千年だ!」
「それも間じゃないです! 森の汚物!」
うーん。気が長いなぁ。
正直最初の五百年ですら私は生きていない時間だ。
しかしその辺りはまったく考慮されず不毛な言い争いが続く。
「あ、あのー」
「待っていろリリィ。私がしっかりと必要な時間分交渉してやる」
「何が必要な時間分ですか! お前たちエルフは怠けすぎです! 千年もあれば大抵の事は何とか出来ます! ギリギリですけど!」
「ギリギリだから、何かあった時の為に時間を伸ばしているんだろうが!」
「それなら工夫すれば良いです!」
「それで倒れたらどうするつもりだ! マヌケめ!」
不毛……本当に不毛だ。
この時間を調査に回した方が絶対に良い。
間違いない。
「あの。五百年で良いですから。多分そんなに掛からないですけど」
「「えぇ!?」」
いや、何で二人して驚いてるの。
そもそもドライアードさんは自分が提案した時間でしょ。
「リリィさん! 駄目ですよ! 言われた交渉を全部受けたら、駄目です!」
「ほらみろ! ドライアード! 純粋な人間がお前の無茶ぶりを信じてしまったじゃ無いか!」
「うわー! 私はなんて悪いドライアードなんでしょうか!?」
「あ、あの。いや。本当に大丈夫ですから。いや、ほんと。百年も要らないくらいですから」
「なんだって!?」
「信じられないです! リリィは交渉の神なのですか!?」
「いや、意味が分からないんですが。そもそも何でそんなに時間が掛かる想定なんですか」
私が投げかけた問いに、ドライアードさんとエルフさんは何故か仲良く顔を見合わせながら、何を言ってるんだコイツみたいな目で私を見た。
「ここに居るエルフは百以上だ。つまりまずここに居るエルフ全てに確認するまで十年くらい掛かる」
「うん? うん。うん?」
「ドライアードだって、同じくらいいるです。そしたら、そしたら合わせて二十年かかるです!」
「……」
「しかもこれは正直に言え! と説得して、それぞれがあんまり抵抗しないで話した場合に限る話! 本当に悪い奴なら十年くらい黙っているかもしれない!」
「な、なんて恐ろしい話なんですか!? そんな悪い奴はドライアードには居ませんよ!」
「だからこそ、時間を伸ばせと言っているんだ」
「た、確かに。今回の事はエルフの方が正しいかもしれないです」
「そうだろう!? 私は何も無茶な話をしている訳じゃ無いんだ! 私だって森の木を倒されて嬉しい訳が無いからな! 一本一本が我らの大切な思い出なのだから」
「それはそうですね……! エルフ! 疑ってごめんなさいです! お前たちは森の汚物ですけど。悪い事をやったらちゃんと謝れる奴らでした」
「分かってくれればいい。お前たちは体と一緒に頭も小さい短絡バカだが、ちゃんと理解出来る奴だと信じていたぞ」
「エルフ!」
「ドライアード!」
エルフさんとドライアードさんは互いに抱き合いながら想いを伝えあっており、周りにいる仲間たちも感動して涙を流していた。
うーん。
何か少し前にお姉ちゃんを想って流していた涙が一気に軽くなった様な感覚。
いや、考えない様にしよう。
「あの。感動している所、申し訳ないんですけど」
「おぉ。どうしたリリィ」
「そこまで時間を掛ける必要は無いと思います」
「そう言うと?」
「ドライアードさんの話では、その犯人はどーじんしなる物を作る為に木を切ろうとしていたんですよね? つまり、少なくとも木を何かしら加工する技術を持った種族が犯人という事になります」
「まぁ、そうだな」
「その上で、ドライアードさん達が住まう様な深い森の奥にある大樹を狙う事が出来る存在。これだけで数は大分絞れる事になります。ドライアードさん。例のどーじんしなる言葉を聞いたドライアードさんに確認したいのですが、その何かしらは一人でしたか? もしくは複数?」
「複数でした! 何やら会話をしている中で、そのどーじんしなる物を作ろうと言っていましたから!」
「はい。つまり、この時点でその犯人は会話が出来る程度の知性は持っていますし。集団行動が出来る存在です。しかも集団で森の奥まで行ける人物ですから、人間だとしても大分数は限られます。人はそこまで強くないですから」
「なるほど。よく考えるモノだ」
「凄いです!」
「いや、あの、虚無みたいな称賛は止めてください。なんか虚しくなるので」
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「え?」
エルフさんがそう言って、水に手を付けた瞬間、私たちの近くで水が膨れ上がり巨大な人の姿になった。
驚いて言葉も出ない。
『お呼びとあれば即参上!』
『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!』
『私が来たッ!!』
『控えい! 控えぇぇええい!「やかましい!」あぁん』
水の中から現れた巨人にエルフの長さんが風の魔術を撃って、その上半身を吹き飛ばした。
しかし、体は水だからだろうか。すぐに戻ってよよよと水の上に項垂れる。
『酷い! 酷いわ! 登場時の台詞を邪魔するなんて! 許されざる悪行よ!』
『そうよ! そうよ!』
「やかましい連中だな。少しは黙れないのか?」
『アタシたちに黙れって言う事は! その存在を消せというのと同じ事なのよー!』
『そうよ! そうよ! 記憶があるから私たちは私たちで居られるのよ!?』
「もう良い。お前たちと話をしていると頭がどうにかなりそうだ」
『あら。それはきっと匂いの影響よ!』
『匂いだけじゃないわ! 夕焼けは人を振り返らせるから、それを見れば人はいつも過去を』
「じゃーかしい! 関係のない話をするな! お前たちを呼んだのは他でもない! どーじんしなる物をお前たちは知っているか!?」
『あら。懐かしい名前を聞いたわね』
『この世界でも文化が生まれ始めているという事かしら』
『同人誌。良いわよね。あの島中でまったく知らないサークルの作品と出会う瞬間がたまらないわ』
「知っているのか!?」
『えぇ。勿論』
『想像が創造を生み出し。創造が新たな想像を生み出す世界において、その想像を形とした物が同人誌よ!』
「おぉ……」
「あの!」
私は水の精霊さんとエルフさんの話に割って入って、一つの質問をぶつけた。
「その同人誌を、皆さんはどなたかに教えましたか!? 名前や役割などを!」
『えぇ。教えたわ。百年ほど前だったかしら』
「それは誰に」
『陰魔』
『私たちの意思を継ぐ、この世界の表現者たちよ』
「陰魔さん、ですか」
『そうだ。アメリアの妹。そしてその魂を受け継ぐ者よ』
『君の事は応援してるよ。リリィちゃん』
『メリバからハピエンまで導いてね』
『お姉ちゃんを助けられるのは君だけだ』
『何かあったら力を貸すよ。その時は僕達を呼んでくれ』
何が何やら言われている言葉は何も分からないが、私は頑張りますと返した。
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