隠れ強者の魔法使い 〜スキル隠して力隠せず！？〜

一章

異世界転移

「…ここは…どこだ？」

俺は気がつくと真っ白な世界に立っていた。
いや、正確には立ってるのかどうかすら分からない不思議な空間に浮かんでいた。
記憶を探ってみるが、何故こんな所にいるのか分からない。
ふと前を見ると、白髪の優しそうな爺さんが申し訳なさそうな顔をして椅子に座っていた。

「お主は死んでしまったんじゃよ…わしのミスでな…。」

「どういう事だ…？」

詳しく話を聞いてみると、どうやら俺は学校の通学中にトラックに轢かれて死んでしまったらしい。それでなぜ爺さんのミスになるのかと言うと、この爺さん実は神様で、結構偉い神様らしい。神様なんて本当にいたんだな…。
それで元々轢かれて死ぬはずだった人の運命をいじくって現場に近づかないように書き換えた結果、俺が轢かれる運命になってしまったと言うわけだ。
何とも理不尽な死に方をしたもんだ。

「本当にすまんかった！わしの迂闊な行動で君を死なせてしまったこと、本当に申し訳ないと思っている！」

「いや、死んでしまったもんは仕方ない。生き返らせることなんて出来ないんだろ？それと聞きたいことがある。神様ってのはそんなに定期的に人の運命をいじくっているのか？」

「随分、あっさりしとるの…。残念ながら生き返らせることはできぬな。それと運命をいじくるということは滅多にすることは無い…今回は特例じゃ…5歳の女の子じゃった。詳しくは言えぬがその子は将来あの国にとって大事な役割を持っている子供じゃった。だからここで死なせる訳にはいかなかったんじゃよ。」

なるほど…神様には色々と未来が見えていたりするらしい。それにしても俺は死んでしまったのか…今になって色々と頭の中に思い出が蘇ってきた。高校の皆は悲しがってくれているんだろうか。あまり友達はいなかったから、悲しんでくれる人は少ないか。
そんなことを考えながら黄昏ていると、神様が突然こんなことを言ってきた。

「お主には申し訳ないことをしたと思っておる。本当にすまない…そこでお主が望むなら、別の世界でその体と記憶を持って転移させることもできるがどうする？」

これっていわゆる本でよく読む異世界転移ってやつなのでは？