【完結】魔力不足はえっちで解決!師匠、俺それ望んでねぇから!

名もなき萌えの探求者

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最終話 

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 世界をみたいとシアがいって、ユージーンはそれを受け入れ、2人はそれから旅に出た。
 新しいものにはしゃぎ、驚き、泣くシアを、ユージーンは可愛いと笑った。

 ユージーンの故郷にも顔を出した。
 もう村は無くなっていたけれど、ユージーンの家族のお墓にシアは手を合わせて満足そうだった。

 いよいよ1年が過ぎるころに、シアの体がだんだん動かなくなっていった。
 こんなふうになるんだ、と興味深そうにいうシアに、ユージーンが変な顔を返した。
 己の死を知ったあの日から重ねた時間は、シアの覚悟を決めていて、死への恐怖はもうほとんど残っていない。

 動けるうちに、ユカリやダイスにも会いに行った。
 2人は泣いて泣いて、そして「愛しているよ」とハグしてくれた。
 孤児院にも顔をだしたら、院長もまた「愛しているよ」とハグしてくれた。
 それから。


 たくさん笑って。
 たくさん怒って。
 たくさん泣いて。
 たくさん、たくさん体を重ねて。


 最期は、家に戻った。
 2人は、一緒にベッドに横になる。
 シアは、ユージーンにもらったローブを身に纏っていた。
 これが、1番好きだといって。










「師匠、ありがと」
「シアくん。お礼を言うのは、私のほうですよ」
「へへ」






「本当に、私が先でいいんですか?」
「うん、絶対看取る。これは、師匠が俺を愛してくれた証拠だから」






「痛くも苦しくもない死を迎えられるとは、思っていませんでした」
「そう言ってもらえンなら、頑張って薬作ったかいあるな!」






「シアくん。シアくん。愛して、います」
「うん。俺も、師匠が、すごく好きだ。愛してる」







「…、……」
「おやすみ、師匠。俺も、もうすぐ、いく、ね」






 2人が静かに眠りについて、それは親しい人へは魔法をかけた手紙で知らされた。
 

 2人を知らない誰かが見れば、これは悲劇なのかもしれない。
 それでも、2人の最期に、旅路に、不幸などなかった。
 なかったのである。




***

これにて、完結になります。
最後まで、ふたりの最期までお付き合いくださって皆々様、本当にありがとうございました。

納得のいかない方、死ネタが苦手だった方、本当に申し訳ありません。
けれど、2人にとってこれは、間違いなくハッピーエンドだったのだと、思っていただければ幸いにございます。

それでは、またどこかでお会いできますように…。


名もなき萌えの探求者
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