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僕と君

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夕焼けの赤色と、君から溢れる命の色が、僕の中でぐちゃぐちゃに混ざっていた。
さよなら。と僕が言うと、ごめんね。と君は返した。
奪うのは僕なのに、なんだか申し訳なさそうにに笑う君は。
最後に僕に呪いをかけたんだ。
「愛しているよ」

***

「あのとき、どうして愛してるって言ったの?」
新しい体と生をうけてから20年。
君の呪いですぐに命を失った僕は、また君に会えて、君はあの時みたいに申し訳なさそうに、でもなんだか歪んだ綺麗な顔で笑う。

「ああ言えば、君とまた会えるって知っていたから」
「じゃあ、嘘だったの?」
「まさか。ほんとだからまた会えたんだよ」

突然、君に口付けられて、舌を絡まされて、僕の性器はググっと持ち上がる。

「君に殺されるのを、避けることができないのはわかってたんだ」
「っ」

君は持ち上がった僕を優しく撫でながら続ける。

「君に傷を負わせるのも、わかってた」

でもね、と君はまた笑った。

「心底嬉しかった。君のなかに僕が傷として残ること。そして、その傷がまた僕らを引き寄せることが」
「ふ、あ」

優しく握られたことに、恐怖よりも快感が勝る。

「ね、僕に挿れてよ。僕の中をぐちゃぐちゃにしてよ。君のこれでさ。そのあと、僕も受け止めて。2人でどろどろに混ざろう」

君の声はまるで媚薬のように僕の思考を奪っていく。
あの時かけられた呪いがジクジクとまた血を流し始める。
それがひどく心地よくて、僕は君を押し倒した。

「早く脱いで」

僕の言葉に、君は一瞬だけ目を開いてから、今までで1番綺麗で嬉しそうに、笑った。
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