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佳奈堕ちした男達が正気に戻った例は見たことが無いけれども、先輩はもしかすると初めての例なのかもしれない。
佳奈が新しい私の攻撃の仕方を思い付いただけかもしれないけれども。
今の高蔵君だってそうだ。どういう風の吹き回しか知らないが佳奈が新しい遊びを覚えたようにしか思えない。さっきの佳奈の泣き声は演技?仕込み?
私が就職に困っているのにつけ込んで結婚話を持ちかけているに違いない。
「そっ、そう。そうだよ。えーっと、先輩と夜に会って、そのまま先輩の部屋に行ってたの」
先輩には悪いと思うが、先輩だって私の事を利用して暴力を振るったのだからこのぐらい巻き込んだって良いだろう。
とにかく何でもいいから手段は選ばずに引っ越しの事だけは気付かれないようにしなきゃ。
「それで……?琴子は、井口センパイの家に行って何してたの?一晩中、俺のメッセージも無視して」
高蔵君の顔から表情が消えた。
やばい。これは怒ってるの?
今までの怒った時の高蔵君とはまた何か別な危険を感じる。
本気で逃げないと殺されるかもしれない。
「べ、別に……え、えーっと、就活の相談……?とか、論文の事とか……相談してただけ」
「本当に?」
「う、うん」
「井口センパイは、さっき謝りたいとか言ってた気がしたけど、あれは何?」
「それは……その……」
「あいつに乱暴されたの?琴子はそれで逃げてきたってこと?」
「うーん……あながち間違ってはいないかも……」
高蔵君が目をくわっ!と見開いた。
「殺す……!」
「ひっ!ごめんなさい、殺さないで……!」
「琴子の事じゃないよ。ごめんね、怖がらせちゃって。でも大丈夫」
高蔵君がテーブルの上の箱に手を伸ばして、指輪を手に取った。
私の腰に手を回したまま左手を取り、後ろから抱きしめた状態で薬指に指輪を嵌める。
「ほら、ぴったり。普段使いもできるデザインにしたんだ」
確かに小さなダイヤみたいな石が散らばっているデザインは可愛いし好みだけれども。
でもそういう問題じゃない。
咄嗟に外そうとしてもがっちりと後ろから腕ごとホールドされているので身動きが取れない。
「琴子の事は、これから俺が守るよ。琴子、結婚しよう。そうすれば就活の事も何も考える必要無いよ。井口センパイの所に行く必要もなくなるし」
高蔵君が私の肩に顎を乗せて囁く。
世の女性には甘い言葉に聞こえるかもしれないが私にとっては恐怖の囁きにしか聞こえない。
夢も叶えられず、高蔵君のサンドバッグに永久就職するなんて嫌だ。
佳奈が新しい私の攻撃の仕方を思い付いただけかもしれないけれども。
今の高蔵君だってそうだ。どういう風の吹き回しか知らないが佳奈が新しい遊びを覚えたようにしか思えない。さっきの佳奈の泣き声は演技?仕込み?
私が就職に困っているのにつけ込んで結婚話を持ちかけているに違いない。
「そっ、そう。そうだよ。えーっと、先輩と夜に会って、そのまま先輩の部屋に行ってたの」
先輩には悪いと思うが、先輩だって私の事を利用して暴力を振るったのだからこのぐらい巻き込んだって良いだろう。
とにかく何でもいいから手段は選ばずに引っ越しの事だけは気付かれないようにしなきゃ。
「それで……?琴子は、井口センパイの家に行って何してたの?一晩中、俺のメッセージも無視して」
高蔵君の顔から表情が消えた。
やばい。これは怒ってるの?
今までの怒った時の高蔵君とはまた何か別な危険を感じる。
本気で逃げないと殺されるかもしれない。
「べ、別に……え、えーっと、就活の相談……?とか、論文の事とか……相談してただけ」
「本当に?」
「う、うん」
「井口センパイは、さっき謝りたいとか言ってた気がしたけど、あれは何?」
「それは……その……」
「あいつに乱暴されたの?琴子はそれで逃げてきたってこと?」
「うーん……あながち間違ってはいないかも……」
高蔵君が目をくわっ!と見開いた。
「殺す……!」
「ひっ!ごめんなさい、殺さないで……!」
「琴子の事じゃないよ。ごめんね、怖がらせちゃって。でも大丈夫」
高蔵君がテーブルの上の箱に手を伸ばして、指輪を手に取った。
私の腰に手を回したまま左手を取り、後ろから抱きしめた状態で薬指に指輪を嵌める。
「ほら、ぴったり。普段使いもできるデザインにしたんだ」
確かに小さなダイヤみたいな石が散らばっているデザインは可愛いし好みだけれども。
でもそういう問題じゃない。
咄嗟に外そうとしてもがっちりと後ろから腕ごとホールドされているので身動きが取れない。
「琴子の事は、これから俺が守るよ。琴子、結婚しよう。そうすれば就活の事も何も考える必要無いよ。井口センパイの所に行く必要もなくなるし」
高蔵君が私の肩に顎を乗せて囁く。
世の女性には甘い言葉に聞こえるかもしれないが私にとっては恐怖の囁きにしか聞こえない。
夢も叶えられず、高蔵君のサンドバッグに永久就職するなんて嫌だ。
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