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二人に捧げる福音を-Side:くらら-
△03▽ そっ閉じすんな
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「はぁっ、ぁっ……!」
二人分の荒い呼吸が小さな部屋の中に響く。
キスは激しさを増し、灰時の手がいつのまにか、くららの服を脱がそうとしていた。
「ちょ、ちょっと待って! こんなところで脱がされても……」
二人は今、立った状態で机の前にいた。と言ってもくららの方は、激しいキスのおかげで、灰時に掴まっていないと倒れそうな状態なのだが。とにかく、こんな状態で脱がされても正直、困るだけだった。
「あぁ、ごめん。つい、夢中になっちゃって……」
そう言いながら微笑み、やんわりとくららの服の中から手を引っ込める。
「それじゃあ、ベッドへ行きましょうか? お姫様」
「へっ? あっ……!」
気が付けば、くららはあっと言う間に、お姫様抱っこされていた。
(こ、これって、世に言うお姫様抱っこってやつじゃないか!?)
灰時は綺麗な顔立ちをしているため、こうしているとまるで本当の王子様のようだ。
透き通るような色白の肌に、少しタレ目がちな優しい瞳。若干、ウェーブがかったふわふわな猫っ毛と、綺麗な形をした唇からのぞく、甘い笑顔。そしてその全身から溢れ出る気だるげな色気が容赦なく、くららを惑わせる。唯一の欠点といえば、重度のシスコンでブラコンという点くらいだが……。そんな灰時が今、自分のことだけ見てくれていると思うと、それだけで体温が上がってしまう。
「な、何、お姫様とか言ってんだよ⁉ おれそんな柄じゃねーし! それにこんな抱え方されたら、……は、恥ずかしいだろ……」
くららは一人称も『おれ』であり、身体つきも凹凸があまりないため、見た目も中身も、女の子らしいところはあまりないと、自覚していた。髪も、長く伸ばしていればまだ女の子っぽく見えたかもしれないが、なんだかそれも恥ずかしくて、いつもつい、肩にかかるくらいになると切ってしまう。だからこうやって、いわゆる女の子扱いされると、どうしていいか分からなくなってしまうのだ。
恥ずかしさから、思わず灰時の腕の中で俯いていると、
「くらら……! かわいいっ!!」
「えっ!? あっ、ちょっ……! ふっ、……んっ!」
灰時に抱えられながら、顔を上げた瞬間に、またキスをされてしまった。
そうこうしている間に、気付けばくららはそっとベッドの上に降ろされていた。
「んっ……。は、いじ……」
「くらら……」
灰時は器用に、くららに口づけながら服を脱がしていく。
「は、あっ、ぅ、ん……っ!」
巧みにくららを高めていく灰時に、なんとか必死にしがみつく。気を抜けば今にも意識が飛んでしまいそうだ。
「あッ……! 灰時……っ!」
灰時がくららの上の下着の肩紐部分を少しずつ口で剥ぎ取っていく。時折、肌を舌でなぞられ、ゾクゾクと体が疼いてしまう。その度に、自分のものではないような声が響いた。
と、そのとき──、
部屋をノックする音が聞こえた。
「姉さん、ただいま。今帰ってきまし……た……」
ノック後に扉をすぐ開けた人物は、部屋の前で硬直していた。
それもそうだろう。今部屋の中には、服が乱れた灰時と、ほとんど脱がされかけたくららがベッドの上にいたのだから。
「…………」
扉を開けた人物、くららの半分だけ血の繋がった弟、誠実は何事もなかったかのように、そっと扉を閉めた。
「…………ちょっ!? そっ閉じすんなあああぁぁ!!」
その瞬間、同じく硬直していたくららがふと我に返り、思わず叫ぶ。
「オ、オレは、何も見てない。見てないから、どうぞ続けて下さい!」
明らかに動揺しているような誠実の声が扉の向こうから聞こえてきた。
「ち、違っ、これは、何ていうかその、最初はそんなつもりはなくて……!気付いたら、灰時が勝手に……!」
何だろう。浮気がばれたときの言い訳みたいになっているような気がするのは気のせいか。
「えー。ひどーい。今日は、くららも結構ノリノリだったじゃない」
「ノ、ノリノリとか言うなっ!」
「べ、別にオレは気にしてないので……」
誠実の言葉を遮るように灰時は言葉を続ける。
「誠実くん。ごめんね。くららがあんまりにもかわいいから、つい独占しようとしちゃった。本格的なことはまだしてないから、誠実くんもこっちに来て一緒にしよ?」
「「なっ……!」」
くららと誠実が二人同時に絶句した。
「いいじゃない。誠実くん、帰ってくるの久しぶりだし。くららだって、しばらく会えなくて寂しかったでしょ?」
「そ、れはそうだけど……」
確かに、高校で生徒会に入っている誠実は、ここのところ学校行事などで忙しく、学校の寮からなかなか家に帰って来ていなかった。今日もてっきり、帰って来れないのかと思っていたのだが、帰って来てくれた。もう結構遅い時間なのだが、それでも帰って来てくれたのだ。
嬉しくないはずがなかった。
そう、くららの付き合っているもう一人の相手とは、腹違いの弟、誠実だった。誠実は、再婚した両親との間にできた子である。昔はとても仲が良く、いつも三人で遊んでいたのだが、あるときを境に、急に冷たくなった時期があった。その態度が耐えられなくなったくららが誠実を問い詰めると、実は誠実はくららのことが好きだったということが分かり、いろいろあって、さらにそこに灰時も加わり、今は三人で付き合うことになったのだ。
しかし、三人でというのももちろん問題なのだが、二人は兄弟だ。灰時は血が繋がっていないからまだいいかもしれない。でも、誠実とは、半分血が繋がっている。だから、その事実がいつもくららを悩ませている、一番重大な問題だった。
けれど、誠実を好きな気持ちもまた、本物なのだ。
意を決して、くららは誠実に言葉を告げる。
「……あ、えっと、……誠実。おれも、その……、お前に触れたい。だから……。傍に、来てくれないか……?」
「……ッ!!」
「……だめ、かな……?」
二人分の荒い呼吸が小さな部屋の中に響く。
キスは激しさを増し、灰時の手がいつのまにか、くららの服を脱がそうとしていた。
「ちょ、ちょっと待って! こんなところで脱がされても……」
二人は今、立った状態で机の前にいた。と言ってもくららの方は、激しいキスのおかげで、灰時に掴まっていないと倒れそうな状態なのだが。とにかく、こんな状態で脱がされても正直、困るだけだった。
「あぁ、ごめん。つい、夢中になっちゃって……」
そう言いながら微笑み、やんわりとくららの服の中から手を引っ込める。
「それじゃあ、ベッドへ行きましょうか? お姫様」
「へっ? あっ……!」
気が付けば、くららはあっと言う間に、お姫様抱っこされていた。
(こ、これって、世に言うお姫様抱っこってやつじゃないか!?)
灰時は綺麗な顔立ちをしているため、こうしているとまるで本当の王子様のようだ。
透き通るような色白の肌に、少しタレ目がちな優しい瞳。若干、ウェーブがかったふわふわな猫っ毛と、綺麗な形をした唇からのぞく、甘い笑顔。そしてその全身から溢れ出る気だるげな色気が容赦なく、くららを惑わせる。唯一の欠点といえば、重度のシスコンでブラコンという点くらいだが……。そんな灰時が今、自分のことだけ見てくれていると思うと、それだけで体温が上がってしまう。
「な、何、お姫様とか言ってんだよ⁉ おれそんな柄じゃねーし! それにこんな抱え方されたら、……は、恥ずかしいだろ……」
くららは一人称も『おれ』であり、身体つきも凹凸があまりないため、見た目も中身も、女の子らしいところはあまりないと、自覚していた。髪も、長く伸ばしていればまだ女の子っぽく見えたかもしれないが、なんだかそれも恥ずかしくて、いつもつい、肩にかかるくらいになると切ってしまう。だからこうやって、いわゆる女の子扱いされると、どうしていいか分からなくなってしまうのだ。
恥ずかしさから、思わず灰時の腕の中で俯いていると、
「くらら……! かわいいっ!!」
「えっ!? あっ、ちょっ……! ふっ、……んっ!」
灰時に抱えられながら、顔を上げた瞬間に、またキスをされてしまった。
そうこうしている間に、気付けばくららはそっとベッドの上に降ろされていた。
「んっ……。は、いじ……」
「くらら……」
灰時は器用に、くららに口づけながら服を脱がしていく。
「は、あっ、ぅ、ん……っ!」
巧みにくららを高めていく灰時に、なんとか必死にしがみつく。気を抜けば今にも意識が飛んでしまいそうだ。
「あッ……! 灰時……っ!」
灰時がくららの上の下着の肩紐部分を少しずつ口で剥ぎ取っていく。時折、肌を舌でなぞられ、ゾクゾクと体が疼いてしまう。その度に、自分のものではないような声が響いた。
と、そのとき──、
部屋をノックする音が聞こえた。
「姉さん、ただいま。今帰ってきまし……た……」
ノック後に扉をすぐ開けた人物は、部屋の前で硬直していた。
それもそうだろう。今部屋の中には、服が乱れた灰時と、ほとんど脱がされかけたくららがベッドの上にいたのだから。
「…………」
扉を開けた人物、くららの半分だけ血の繋がった弟、誠実は何事もなかったかのように、そっと扉を閉めた。
「…………ちょっ!? そっ閉じすんなあああぁぁ!!」
その瞬間、同じく硬直していたくららがふと我に返り、思わず叫ぶ。
「オ、オレは、何も見てない。見てないから、どうぞ続けて下さい!」
明らかに動揺しているような誠実の声が扉の向こうから聞こえてきた。
「ち、違っ、これは、何ていうかその、最初はそんなつもりはなくて……!気付いたら、灰時が勝手に……!」
何だろう。浮気がばれたときの言い訳みたいになっているような気がするのは気のせいか。
「えー。ひどーい。今日は、くららも結構ノリノリだったじゃない」
「ノ、ノリノリとか言うなっ!」
「べ、別にオレは気にしてないので……」
誠実の言葉を遮るように灰時は言葉を続ける。
「誠実くん。ごめんね。くららがあんまりにもかわいいから、つい独占しようとしちゃった。本格的なことはまだしてないから、誠実くんもこっちに来て一緒にしよ?」
「「なっ……!」」
くららと誠実が二人同時に絶句した。
「いいじゃない。誠実くん、帰ってくるの久しぶりだし。くららだって、しばらく会えなくて寂しかったでしょ?」
「そ、れはそうだけど……」
確かに、高校で生徒会に入っている誠実は、ここのところ学校行事などで忙しく、学校の寮からなかなか家に帰って来ていなかった。今日もてっきり、帰って来れないのかと思っていたのだが、帰って来てくれた。もう結構遅い時間なのだが、それでも帰って来てくれたのだ。
嬉しくないはずがなかった。
そう、くららの付き合っているもう一人の相手とは、腹違いの弟、誠実だった。誠実は、再婚した両親との間にできた子である。昔はとても仲が良く、いつも三人で遊んでいたのだが、あるときを境に、急に冷たくなった時期があった。その態度が耐えられなくなったくららが誠実を問い詰めると、実は誠実はくららのことが好きだったということが分かり、いろいろあって、さらにそこに灰時も加わり、今は三人で付き合うことになったのだ。
しかし、三人でというのももちろん問題なのだが、二人は兄弟だ。灰時は血が繋がっていないからまだいいかもしれない。でも、誠実とは、半分血が繋がっている。だから、その事実がいつもくららを悩ませている、一番重大な問題だった。
けれど、誠実を好きな気持ちもまた、本物なのだ。
意を決して、くららは誠実に言葉を告げる。
「……あ、えっと、……誠実。おれも、その……、お前に触れたい。だから……。傍に、来てくれないか……?」
「……ッ!!」
「……だめ、かな……?」
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