【完結】あなたが幸せなら、僕も幸せ……?

カシナシ

文字の大きさ
69 / 137

69 エリュカside/ファルシュカside


(エリュカside)



 ベアトリス姫は王城で軟禁状態らしい。もうっ、つまんない!

 せっかく王女のくせに使えない。ボクとファルシュカを入れ替えてくれるって約束したのに、失敗しちゃった。


 取り巻きたちもバラバラに散ってしまったし、うまくいかない。


 実際に遊んだ男なんか、下手に連れてくるからだ。あれで本当にファルシュカと結婚しちゃったら、ボクの入れ替わるメリットないじゃんか!


 ……ああそっか。ベアトリス姫も、ボクとの約束を守る気は無かったんだ。サイテーだ!


 入れ替わり作戦が失敗したのも、絶対、あんな変な男を呼んだベアトリス姫のせいだ。ボクは知らぬ存ぜぬを突き通したけど、カイロス殿下はすっかり本当のことだと認識して、蔑んだ視線を向けてくるようになったんだ。


「お前、本当に節操なしだな……その腹の子も、俺の子供なのか?本当に?」

「それは本当だよっ!?だって避妊しなかったの、カイロス様だけだもんっ」

「どうだか……ハッ、性病にかかってないか検査すべきだったな」

「なにそれぇっ!ひどいっ!」



 メソメソしても、カイロス様には通じない。なんて冷たい婚約者なんだ!




 卒業試験が近付いてくるのに、カイロス様も、お父様も頼りにならない。

 やっぱり、彼を使うしかないかなぁ……気は進まないんだけどぉ…………。












(ファルシュカside)



 王女の去った学園は平和そのものだ。……と、言いたかった。


「今日から外国語を教えることになった。特にレーゲン語が得意な、アウグストです。よろしくね~」


 教壇には、あまり見たくなかった顔がいる。

 爽やかな笑顔に、きゃあっと声を上げる生徒が多数。

 何故アウグスト殿下がここにいるかというと、現外国語教師が強く要望したことと、北国での駐在に根を上げた殿下と、利害が一致したから、らしい。ルドルクス様から教えて頂いた。


「アウグスト先生は非常に有能なお方で、レーゲン語以外の15ヶ国語もお話しになりますから、皆も良く質問し、教えてもらうように!」

「わぁぁ……すごい!」

「かっこいい……」

「離縁なされたって聞いた?独身だって……」


 ヒソヒソと生徒たちの興奮する声に、僕とセオドアだけは平静だ。

 そうそう、アウグスト殿下は北国駐在中に離縁されていた。もしかすると、あの時買った縁切り組紐の効果かもしれない。それが望ましいものかどうかは知らないけど。


「うわぁ……人気だね。若い先生珍しいからかなぁ」

「確かに、ベテランの先生ばかりだものね、ここ」


 早速生徒たちに囲まれているアウグスト殿下は、にこにこと愛想良く応えている。


 僕はというと、ほとんど無表情である。
 だって、前回リンドバーグ辺境伯邸にベアトリス王女と急襲してきた上、連れ出されている。

 その時の会話は面白かったけれど、その後、路地裏で着替える時にそっぽを向いていてくれなかったこと、いきなりフェロモンで攻撃されたこと、まだ許してない。要注意人物である。


 その認識はセオドアやルドルクス様も同じで、出来るだけ近づかない様にと強く言われている。


 心配されているのが、申し訳ないやら、嬉しいやら。


 でも、アウグスト先生はもうこちらに興味はなさそうだ。僕の方を構う気はなさそうで良かった。


 となると、考え事は週末にやり直すデートのこと。


 もう観劇のチケットは手配したし、カフェの予約も完了した。あとはランチかディナーか迷っていて、多分どっちかだと思うのだけど、何時ごろ出発するのか予想が付かない。ああ、どうしよう!

 ほくほくしながらセオドアと話していると、来月には行われる、卒業試験の話題になった。


「ぼくは経営専門科の試験だけど、ファルシュカは魔術専門科だよね……共通科目を抜きにすると」

「うん。二日くらいは別日程になるよね」

「なにやるんだろ~……緊張するなぁ。はぁ~早く終わらせたい」

「そうだね。でもセオドアなら絶対大丈夫」

「ふふっ、大丈夫なのは当たり前さ!いかにトップ10入り出来るかだよ。……ファルシュカと別科で良かったかも。ライバル一人減るわけだし」

「そうかなぁ。僕こそ心配だよ、途中からの転科だから……」

「心にも思ってないでしょう。全く、天才なんだから」


 セオドアからの指摘に、ちょっぴり舌を出してみせた。きっと大丈夫、一日の大半を魔術の勉強に費やしているから。




 





感想 128

あなたにおすすめの小説

運命の番は僕に振り向かない

ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。 それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。 オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。 ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。 ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。 ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。 ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。 完結しました!ありがとうございました。

愛され方を教えて

あちゃーた
BL
主人公リハルトは自分を愛さなかった元婚約と家族のために無惨に死んだ…はずだった。 次に目が覚めた時、リハルトは過去に戻っていた。 そこは過去のはずなのにどこかおかしくて…

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか

まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。 そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。 テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。 そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。 大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。 テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。 ※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。

塩対応の同室αが実は俺の番を狙っていた

雪兎
BL
あらすじ 全寮制の名門学園に入学したΩの俺は、入寮初日から最悪の同室相手に当たった。 相手は学年でも有名な優等生α。 成績優秀、運動もできる、顔もいい。なのに—— めちゃくちゃ塩対応。 挨拶しても「……ああ」。 話しかけても「別に」。 距離も近づけないし、なぜか妙に警戒されている気がする。 (俺、そんなに嫌われてる……?) 同室なのに会話は最低限。 むしろ避けられている気さえある。 けれどある日、発情期トラブルで倒れた俺を助けてくれたのは、 その塩対応αだった。 しかも普段とは違い、必死な顔で言われる。 「……他のαに近づくな」 「お前は俺の……」 そこで言葉を飲み込む彼。 それ以来、少しずつ態度が変わり始める。 距離は相変わらず近くない。 口数も少ない。 だけど―― 他のαが近づくと、さりげなく間に入る。 発情期が近いと察すると、さりげなく世話を焼く。 そして時々、独占欲を隠しきれない視線。 実は彼はずっと前から知っていた。 俺が、 自分の運命の番かもしれないΩだということを。 だからこそ距離を取っていた。 触れたら、もう止まれなくなるから。 だけど同室生活の中で、 少しずつ、確実に距離は変わっていく。 塩対応の裏に隠されていたのは―― 重すぎるほどの独占欲だった。

【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜

明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。 その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。 ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。 しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。 そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。 婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと? シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。 ※小説家になろうにも掲載しております。

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
【完結/番外編準備中】 目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです! ---------- 追記:読んでくださった皆さま、本当にどうもありがとうございました!! 完結しましたが回収しきれていないエピソードが私の中でいくつかあるので笑、後日番外編をアップしたいなと現在準備中です。 詳しい更新日まだ未定ですが、もしよろしかったらゼヒまた覗いてやってくださいねー!