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結婚式がいよいよ来週に近付いてきた今、もう準備することは殆どなくなっていた。
けれどどうしても、ルドルクス様と密着出来るのはこの寝る前の少しの時間だけ。たとえ打ち合わせすることがなくとも、だ。
薄暗い部屋へ入れば、すぐさま攫われた。
我慢できない、と言わんばかりの荒々しさが、逆にキュンとしてしまう。こうして欲されることの幸せを噛み締めている間に、するすると服を緩められ、中に手が差し入れられていた。
「んっ……あ、も、もうっ!ルドさま、だめっ……」
「だめじゃないだろう?悪いが、躾けられるほど良い犬ではないようだ。俺は」
「悪いわんこちゃんですね……くふふ」
噛み付くようなキスで、すっかりふにゃふにゃになってしまう。飼い主としたならなんて不甲斐ない。でも、この黒犬を制御できる人なんて居ない。
すっかり肌を見せることに慣れてしまったのは、ルドルクス様が『美しい』と、『綺麗だ』と、何遍も言って下さるから。
それに、大切そうに鱗すら愛でられることで、この人には見せてもいいのだと教えられたから。
「舌を……出してくれ」
「こ、こう……ですか?」
「そうだ」
言われるままに差し出した舌は、ルドルクス様のそれによって絡められ、ざりざりと混じり合う。
舌先から痺れるような快感が、頭に、胸の奥に、そして腰へと伝播していく。
ルドルクス様のお手は、すっかり大胆に僕の身体中を這い回るようになっていた。脱げたブラウスと下履きが引っかかったままなのに、僕の足を閉じさせ、その間に楔を挟む。
とても大きく、硬く、張り詰めた男根を太ももで扱くような形だ。
「あっ……うわ、……い、痛く、ないですか?」
これだけビキビキと膨張した怒張だ。僕の太ももはそれほど柔らかいとは言い難い。筋肉だってちゃんとついているから。
挟み込んだことで、ギュッと握り締めたような圧をかけてしまっていないか、心配になる。
「いや……まさか。たまらないよ。君のここも、硬くなっている」
「う……」
そんな恥ずかしいことを言わないで欲しい。……僕だって、知覚しているもの。
僕に覆い被さったルドルクス様は、あちこちにキスの雨を落としながら、ゆったりと腰を動かした。股の間のルドルクス様のルドルクス様が、みちみちと前後を繰り返す。
その度に、僕の太ももの内側の、皮膚の薄いところが擦れて、なんとももどかしい。
ぷっくりと腫れた控えめな陰茎も、ごりごりと頬擦りされ、可哀想なほど感じていた。
「はっ、はっ、はぁっ、あ、ぁ……」
「ふ……、…………くっ」
こんなの、まるで……、性交してしまっているような、錯覚。僕の真上で、僕を揺さぶるルドルクス様から汗が滴って、それがとてもえっちで……。
お腹の奥が、じゅくじゅくと熟して、甘い蜜を分泌している。
あと、きっと、もう少し。淫靡で満たされ、僕とルドルクス様の呼吸音だけが響く室内で、互いの熱が最高潮へ達そうとした時。
バンッ!!
「ルドさまぁっ!」
「ひっ」
反応できなかった僕とは違い、ルドルクス様はすぐにシーツを被せてくれた。つまり、僕とルドルクス様が一枚のシーツを隔てて、裸で抱き合っている状態だ。
「ん……?え、今、まさにヤッてたんですか?うわ、やらしい。ね、ルド様。一度ぼくを試してみてくださいっ!絶対、最高の天国に連れてってあげますから!!」
どうしてこんなところに、ティターニャが?
ルドルクス様の寝室は、このリンドバーグ辺境伯邸の中でも最も固い警備で守られる場所であるべきだ!
先ほどまでの甘い空気は霧散してしまった。溜め込んでしまった欲を誤魔化すかのように、怒りが沸き起こる。
「出て行け!ここはお前の入っていい場所ではない!」
ルドルクス様がそう怒鳴るも、いかんせん格好が格好なので迫力が無い。うう……どうして警備が誰もいないんだ。ちゃんと入れ替えた上で指導もしたのに、全員、絆されてしまったの?
「うふふっ。そう恥ずかしがらなくていいですからぁ。あっ、別に、ファルシュカ様も一緒でもいいですよ?ぼくとの差を感じて、落ち込んじゃうかもしれませんけどぉ……?」
焦る僕たちに、ティターニャはひた、ひた、と近付くと、すとん、とガウンを床へ落とした。
ティターニャは、ほとんど裸だった。
赤の、なんだか紐……のようなやたらケバケバしたネグリジェを身につけてはいるものの、モノは見えてしまっているほどの、裸だった。
目を逸らす。同じオメガでも、同じ男でも、なんとなく気恥ずかしい。
それは、彼が『色気』を全面に押し出してきているからだろうか。
厳密に言えば、彼から色気を感じた訳ではなく、『色っぽいでしょう?』という主張が伝わっただけである。それが、直視出来ない理由な気がする。
「……外の護衛は、どうした」
「えっと、おねんねしてます。やっぱり夜間警備は体に良くないですからね。仕方ありませんよっ!」
「…………はぁ、なぜそこまで俺を狙う。万が一にも愛人を抱える気はないと、分かるだろう!」
「ぼくを知っていただければ、コロッと変わりますから!いーえ、変えてみせますっ!」
「レオンを狙っていたのではないのか!?」
「んー、レオンハルト様も素敵ですけど、ルド様の方が……えへへっ。ほらぁ、いいですよ?準備はしてきましたので、今すぐいれて頂いて、構いませんっ!」
くるりと背中を向けたティターニャは、お尻を高く上げて、その中心をぐぱっと開いてみせた。
う、わ。
僕は衝撃を受ける。
脳裏に浮かんだのは、なぜか……絨毯を広げる、胡散臭いオジサン……!
「……!……っ、る、ルド、さま、」
「汚いものを見せてくれるな。はぁ……」
突然、ルドルクス様はご自分のシーツを取り払った。なんで!?
ルドルクス様の彫刻のような見事な体を晒してしまう!
反対に僕の方はシーツが被せられているけど、脚を持って方向転換させられる。うん?
「ファルシュカは、お前とは比べものにならないほど美しいんだ!」
ルドルクス様はそう言って僕を抱えて四つん這いにさせると、ぷりっと双丘を割開いたのだ。
まるで、ティターニャへと見せつけるかのように。
「や、やぁっ!ルドさまっ!?何をっ」
「この至宝に、勝てるなど……思い上がりも、甚だしい!」
混乱しているのに、容赦なく入り込む、生ぬるいもの。えっ、し、舌っ!?嘘!?
「やぁ……――――ッ!?っ、あ、ぁ、アッ、」
う、わ、気持ち良い。これ、だめ、頭おかしくなる!
じゅるじゅると音を立てて、内壁を舐められていた。あまりの強い刺激に腰は震え、なす術もなく快楽へ突き落とされていく。
もう、頭の隅っこのどこにも、ティターニャのことなど存在しえなかった。
「ぁ……っ――――――!」
いつもとは違う、絶頂。
ぶわっと視界が狭まって、チカチカする。なに、これ………………。
「はぁ、はぁ、あ、、ぅ……」
くたっ。体をソファへ沈ませると、意識がぼぅっとしてきたのだった。
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