婚約破棄された銀の猫は、チートスキルと激甘伴侶をゲットしました

カシナシ

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番外編

1 アルフレッド

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「ですから、シオン様はおぐしです。あの透明感のある銀髪はどんな装飾品より美しい。お肌からお離れ遊ばせたお髪も大事に保管しております。いずれは年代毎に纏めて蝶を模ったモチーフを作ろうかと」

「……髪には魔力が宿るだろう。それを保管するのは、私は、良くないと思う。本人の許可を取り、魔法石に封入するのはどうだろうか」

「それではあまりに保管出来る量が少ない。あの艶やかで絹のような銀髪を、地に帰すなど勿体無くてとてもではないですが出来ませんよ。ああ、小さなシオン様が生えてきたら別ですが」

「君の発想は一体どうなっているんだ。しかし、御髪も素晴らしいが、やはり私はお肌が素敵だと思う。毛穴なんてない上真珠を砕いた粉でも振りかけたみたいに白く輝いていて、凹凸もシミもニキビもなくてなめらかで、息が上がると真っ赤に……何でもありません」

「アルフレッド、最低です」

「君には言われたくない」


 ブロディとアルフレッドは、最近流行りの酒場へと来ていた。


 勤務後の楽しみだ。ブロディはスキル『鍵』を使い、常に二人だけの防音空間を作ることが出来るため、シオンの話題も出せる。例えば、アルフレッドが、のシオンを思い浮かべての発言だったとしても、傍目から見れば無音の二人になってしまうため、いつも個室を選んでいる。

 ブロディのジト目に、アルフレッドは一口ウイスキーを口に含み、舌の上へ転がす。

「……シオン様のお姿は、良くも悪くも、目に毒だったんだ……」
「お声も耳に毒ですけどね」
「お声ッ!?」

 ガタン!
 アルフレッドはグラスを机へと乱暴に置いた。

「そ、そそそそそれはまさか、その、」
「ええ……とってもお可愛いらしいお声で……俺はもうあれで一生イケます」

「最低だ……ッ!ブロディ、君こそ最低だ!」
「こんな事を言えるのはアルフレッド、あなただけですよ。逆に言えば、あなたがいなければこの事は墓まで持っていくつもりでした」

「良いのか悪いのか……判断しかねるな……」
「さぁ、言いなさい。アルフレッド。あなたは何をオカズにしているのか」

 今宵は独身アラサー男二人。見た目は上品そのものの美形二人だが、残念なことに話題は下世話一直線。

「…………グロリアス先王陛下の懐に、すっぽり収まっていらっしゃるシオン様だ…………」
「可愛い!!」

 ブロディは一気に酒を飲み干すと、ベルを鳴らしてお代わりを要求した。ついでに塩辛いエビのオイル煮も。

「それから」
「ふん?」

「先王陛下に壁ドンされてるシオン様も」
「いい……焦りと照れでわたわたしているんだろうなぁ」

「あと、こないだ見た、先王陛下に庭園の陰で思いっきりキスされて抵抗してるんだけど意味をなしてないシオン様」
「弱可愛い……はぁ、グロリアス様も分かってやってるんだろうな」

「あれは良かった。素晴らしい夜になった」
「しっかり盗み見ていて割と最低です、でもいい。アルフレッドは、可愛く照れていらっしゃる状況がお好きらしい」

「そういう場面をよく見るというのもある。でも、やっぱりその、過去に見たシオン様の艶かしい姿は刺激が強くて、な……鮮明に覚えてしまっていて、罪悪感でいっぱいなのに反応してしまうのが辛い」
「辛いな……それは辛い……」

 二人は取り止めもなくシオンについて語る。シオンが好きで崇拝してオカズにもしてはいるが、愛しているとはまた違う感情。説明は難しく、ブロディとアルフレッドがこうして語り合う仲になったのも奇跡に近い。

 そうして、ふと、二人の婚約の話となる。

「……そういえば、ケリー嬢はどうなりました?我々が婚約をしたと、言いました?」
「言ったよ。思い出したく無いくらい恐ろしかった。聞いてくれ」

 アルフレッドはカタカタ震えながら話し出した。












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